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データアナリストの平均年収・給料、需要の高いスキルや年収アップの方法とは

あらゆるデバイスがインターネットにつながり、安価なITインフラが普及することで企業には膨大な量のデータが蓄積されるようになりました。それら企業の内外に存在するビッグデータは、集めただけではビジネスに活かせません。それらのデータを活用し事業拡大に貢献する人材が「データアナリスト」です。

今回の記事では、データアナリストの平均年収や給料相場、転職において求人需要の高いスキル、年収アップの方法や将来性について説明します。

データアナリストとは

データアナリストは、統計やITスキルを駆使したデータ分析を専門におこなう職業です。データを探索してビジネス上の課題点や収益につながる規則性を発見したり、問題に対して仮説をたてたうえで、意思決定に必要なデータ分析を行います。そのため、Webサービスやスマホアプリ・ゲームなどを提供する企業など効果測定や消費者の把握にデータ分析が欠かせない業界、マーケティング、金融などの分野で需要があります。

その他の業界でも、従業員の行動、過去の取引履歴、生産状況や稼働状況などのデータアナリティクスを導入する企業が増加しており、統計解析のスキルを備えた人材への需要が高まっています。

データアナリストになるために必須の資格はありませんが、最低限、データ分析を行うための統計知識やPython、Rなどでのコーディングスキルが必要です。また、受託企業で働くデータアナリストはレポーティングやプレゼンテーション、コンサルティングなど企業に対するアドバイスをすることが求められます。

データアナリストの年収・給料

データアナリストとして働くうえで、平均年収や報酬は誰でも気になるものです。そこで、この段落では転職サイト大手のindeedで公開されている給与情報をもとに、給料事情を紹介します。

データアナリストの平均年収

日本におけるデータアナリストの平均年収は、indeedによると約581万円となっています。一般的なITエンジニアの年収と比べてそれほど高いと感じることはないかもしれません。しかし、エンジニアと同様に、データアナリストの給与相場も実際のところはピンからキリまでさまざまです。

あくまでも平均年収が約581万円であって、データアナリストの給与相場は一般よりも高い傾向にあります。経験豊富な人材のなかには1000万円を超える給与を受け取っている人も珍しくありません。高収入を目指すならスキルアップや実績を残すことで、自らの価値を高めましょう。

データサイエンティストの平均年収

indeedが公表している、日本のデータサイエンティストの平均年収は約658万円です。データアナリストに比べると、約70万円高い年収となっています。ただし、データアナリストと同様に、実際の求人は年収の幅が大きいのが特徴です。月給20万円台で求人を出している企業もあれば、1500万円近い年収が期待できる企業もあります。

中途採用のデータサイエンティストは、データアナリストから採用されることも多く、転職活動を行うにあたって少しでも年収の高い企業に勤めたいならば、自らの価値を高めるだけでなく持っている能力をアピールする力も必要です。

同じ分析職でも年収に差がつく要因

データアナリストとデータサイエンティストの年収に差がある原因は、仕事内容やスキル要件が異なるためです。データアナリストは、その名の通り、基本的にはデータを分析して意思決定を促したり統計モデルの作成をおこなうアナリストとしての仕事に従事します。データ分析やレポーティングなどの業務がメインとなり、課題を解決する方法をアウトプットの作成を通して提案します。それらを利用して企画や事業に反映するのは事業部門など別の担当者です。

一方、データサイエンティストも統計解析やデータ分析を行いますが、提案だけでなく事業の立案や企画といった問題解決のアクションまでを担う場合があります。また、AI分野で機械学習やディープラーニングを扱う研究開発の仕事が含まれる点が特徴です。データアナリストの能力に加えて、予測モデルを企業側に提案するコンサルティング能力や一般的なビジネス知識も求められます。データサイエンティストのほうが、データアナリストよりも求められるスキル水準や能力が幅広いので、平均年収が高くなっているというわけです。

データアナリストが年収アップするために

データアナリストに限らず会社員であれば、年収アップのためには今の職場で昇給昇進することが最も一般的です。ただし、そのほかにも方法があります。以下では収入を増やすための3つの方法を紹介します。自身の経験やスキルをたな卸しして、より稼げる働き方を探してみましょう。

転職する

データアナリストにおすすめの年収アップ方法は転職です。平均年収を見れば分かるように、データアナリストの年収は企業によって幅があります。同じスキルを持っていたとしても、採用される会社や業界によって給料を含めた待遇面が大きく異なる可能性があります。給与相場を知るためにもまずは求人検索をしてみるとよいです。転職を考える際は、生涯賃金や福利厚生も意識することが大切です。退職金や就業時間、住宅手当なども含め待遇を比較しましょう。

また、データアナリストなどのIT系の人材は供給が需要に追い付いていない状況になっています。つまり、売り手市場となっているので、思っていたよりも好待遇で迎えられる可能性もあることは覚えておきましょう。

副業する

データアナリストの仕事内容は、インターネット企業を中心にさまざまな業種業界において重要な役割を持っていると認識され始めています。しかし、実際には統計スキルをもった人材は需要に対して供給が追い付いておらず、各企業にデータ分析をおこなうための満足な人員が配置されているとはいえない状況です。

そのため、データ分析や解析業務を外部に発注する企業も一定数存在し、それらの企業をターゲットに副業をするデータアナリストもいます。あえて独立せずに会社に所属したまま副業を行うことで、安定して収入を増やせる点はメリットです。

独立する

データアナリストとして働くうえで、最も収入を増やせる可能性があるのは独立することです。起業して企業からデータ分析を受託する会社を作ったり、フリーランスのデータアナリストとして働くことで、安定して案件を受注できれば会社員の給料よりも多くの報酬を得ることが出来ます。企業に属していると会社の給与テーブルや人事評価によって年収が決まるため大きな変動は期待できませんが、独立すれば自分の働き方次第で収入を大きく増やすことができます。仕事をすればするほど収入がアップするというのは、大きなモチベーションになるでしょう。

ただし、独立すると取引相手になる顧客を自分で開拓する必要が生じてきます。独立してもある程度顧客が確保できる自信が付くまでは、スキルアップも兼ねて企業に勤めていたほうが無難です。

求人需要の高いスキル

データアナリストが転職する場合、需要はかなり高いので積極的に採用を検討してくれる企業はそれなりに見つかるでしょう。未経験者の場合でも、大学や大学院で情報科学や統計を学んだ経験があると採用に有利です。また、より年収が高い企業へ勤めるためには、データアナリストのなかでも需要の高いスキルや仕事を理解して、その能力を習得しておくことが重要です。そこで、求人需要の高いスキルを4つ紹介します。

データ分析を軸に事業やサービスを成長させた実績

データアナリストの本業は、データを解析して適切な分析結果や提案などのアウトプットを提供することです。それによって企業の問題が解決し、事業や収益面で成果が得られれば、データアナリストの実績になります。転職において高く評価されるためには優れた資格やスキルを保持していることよりも、過去の実績や経歴がより重視されます。実際にサービスをグロースさせた実績や事業拡大に深く関与した経験があれば、企業側により高く評価してもらえるでしょう。結果的に条件の良い転職先でも採用されやすくなるはずです。

データ分析チームの立ち上げや分析部門のマネジメント経験

データアナリストを求人募集する多くの会社では、すでにデータ分析やデータ活用の専門部署がありそこで働くデータ分析職の増員として中途採用をおこないます。一方で、データ分析をこれから進めていくような会社や一人目のデータアナリストを採用する会社もなかにはあり、そのような企業から需要の高い人材として、データ分析やデータサイエンスチームを率いてきた経験や一から立ち上げを行った経験に対して需要があります。

機械学習や数理統計モデリングの経験

データアナリストの仕事は主にデータ分析ですが、より希少性の高いスキルを持つ人材は相対的に転職市場での価値が上昇します。そのため仕事に付加価値を付けられる別の種類のスキルを磨くといった方法は有効です。たとえば、データ分析やレポーティングに加えて機械学習の実務経験やデータエンジニアリングに関するITスキルがあるデータアナリストはより広範囲なタスクに対応できます。

アルゴリズムを使った統計処理や機械学習モデルの作成には、データのパターンや特徴を探し出すスキルが必要です。それらを1人の担当者がすべて行えるのであれば、企業にとって非常に重宝する人材といえます。データアナリストの仕事と相乗効果のある経験があれば、転職においてライバルに大きな差を付けられるでしょう。

機械学習のスキルを身に着けるなら「AIジョブキャンプ」

データアナリストから機械学習を学ぶのであれば、弊社の「AIジョブキャンプ」がおすすめです!AIジョブキャンプは社会人向けの「AI教育講座」と業務委託の案件紹介をする「エージェント」サービスがセットになった無料の研修プログラムで、現役のデータサイエンティストによる機械学習講座がオンラインにて無料受講できます。登録料や受講料などは無料ですので、ぜひご利用ください。

BIツールやダッシュボードの開発、KGI・KPI設計

全社KPIのダッシュボード化やレポート自動化など数値共有の効率化は非常にニーズの高い分野です。企業内に点在するデータや売上数値などをダッシュボードに分かりやすくまとめて表示させることで経営判断やビジネス上の意思決定を容易にします。たとえば、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールとしては「Re:dash」や「Tableau」などが代表的です。こうしたツールを使用した開発経験があれば、求人市場において非常に高い需要が期待できます。

BIの開発導入にはデータアナリティクスの経験のほか、システム設計やビジネスに関する業務知識も必要です。経営におけるデータの重要性が見直されており高いスキルがあれば、多くの企業が欲しがる人材とみなされることでしょう。

データ分析基盤の設計、開発、運用

ビッグデータの解析を行うには、データの収集・管理を行う分析基盤が必要です。そのようなデータマネジメントに関する仕事もデータ分析チームに欠かせない役割のひとつです。通常はデータアナリストとは別にデータエンジニアがおり、業務分担が成立している場合が多いです。

一般的にデータアナリストはRやPythonでの分析、SQLを使ったデータ集計程度のプログラミングスキルがあれば問題ありません。そのため、データ基盤の開発や運用を経験したことのあるエンジニア寄りのデータアナリストは、さらに付加価値の付いた希少人材とみなされ、企業から高い評価を得られます。

機械学習やビッグデータ分析に必要なインフラを整える業務に興味がある場合は、データアナリストとして働きながら、分析基盤や分散処理の勉強も進めていくとよいです。たとえば、AWS、GCPなどクラウド環境の構築やバッチ処理、データベースにデータを送るためのパイプライン構築などの業務が挙げられます。

データアナリストのキャリアパス

データアナリストは統計的な手法をビジネスで実践する分析職種であり、データを活用する様々なシーンでビジネスに貢献できます。また、それと同時にデータサイエンティストなどの仕事と重複する部分もあるので、キャリアパスの選択肢は多いです。以下では、データアナリストの主なキャリアパスについて紹介します。

データ分析のスペシャリストとして働く

最もオーソドックスなキャリアパスは、データ分析のスペシャリストとして働く方法です。要は、データ分析官としての働き方を貫きとおすことだといえます。ただし、現役の分析者を続けていくためには、解析スキルを磨いたり、より専門性を高めていく努力が求められます。たとえば、特定の業種に特化したデータアナリストとしての地位を築けば、他の人との差別化を図ることが可能です。また機械学習などAI技術を身につけていく必要もあるでしょう。データ分析のスペシャリストを目指す場合には、早いうちから将来の方向性を見定めておき、それに注力していくとよいです。

経営・事業・企画サイドや分析部門のマネジメントとして出世する

エンジニアと同様にデータアナリストも、ある程度の現場を経験したらマネジメントに出世するというキャリアパスがあります。それまでの経験を活かして、経営や事業、プロダクトといった分野で働く方法です。また、スキルを活かして企画職やマーケターとして働くケースも珍しくありません。いずれにしても、データアナリストとしての専門職とは異なる視点や立場で働くことになるので、これまで以上にビジネス知識が求められます。さらに、人を動かしていく必要も出てくるのでプレイヤーとして働く場合とは違った難しさがありますが、やりがいも増すことでしょう。

データサイエンティストやデータエンジニアに転身する

データアナリストの仕事は、データサイエンティストやデータエンジニアになっても活かせます。そのため、キャリアアップを図る手段としてデータアナリストからデータサイエンティストへの転職は比較的多いパターンです。また、データアナリストよりも平均して給与が高くなることが多い点もメリットだといえます。ただし、データアナリストよりも求められる仕事の範囲が広くなるので、常に向上心を持ってスキルを上げていく姿勢は必要です。

データアナリストの将来性

ビッグデータの解析は、近い将来AIでも可能になるといわれています。そういう意味においては、データアナリストの需要は徐々にではありますが、減っていく可能性があるのは事実です。しかし、それはあくまでもコンピュータやAIで自動化できる仕事に限る話だといえます。データ分析の結果から何らかの示唆を読み取ったり、ビジネス上の課題や問題に統計を活用する箇所を選定し、解決策を考えるような箇所は人間の仕事として残っていくでしょう。

また、機械学習モデルを構築したり、AIをトレーニングするデータサイエンティストの仕事もAIには一朝一夕には解決できないタスクだといわれています。そのため、これからデータアナリストとして働くつもりのある人は、統計の理論や機械学習、プログラミングとあわせ早い段階でビジネスや問題解決などの勉強も始めておくとよいでしょう。データアナリストはキャリアパスの出発点だと考えて、転職活動を進めていくことをおすすめします。

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