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データアナリストに役立つおすすめの資格8選!

今回の記事では、データアナリストに役立つ資格、転職や就職で求められるスキル、スキルアップの方法やおすすめの本について説明します。

データアナリストとは

データアナリストとは、統計のスペシャリストでありデータ分析の専門家です。統計モデルの作成や分析結果の考察・レポーティングなどアナリストとしての立ち位置でビジネスに貢献します。たとえば事業運営に関するデータからは、顧客の行動パターンや商品の売れ行きの違いなど様々な傾向を読み取ることができます。データアナリストには、そのようなデータの探索や仮説を検証して消費者が何を求めているのかを把握する、あるいは過去のデータから将来の状況を予想する、そのようなデータ分析の仕組みを整えるといった役割が求められます。

データアナリストが活躍する場所としてインターネット企業、広告代理店、小売やメーカーなどがあげられます。ただし、それぞれのデータアナリストにより得意分野や専門分野は異なり、分析手法も一様ではありません。目の付け所が違えば、取り扱うデータも違うため求められる能力やスキルが担当分野によって異なる職業です。業務内容の例をあげるとBI・BAといった経営指標の可視化、各種施策の効果検証、統計モデリングなどがあります。

近年は、分析に利用できるデータ量が増大し、リアルタイム性が高まるなどの変化がありITを活用する能力の高いデータアナリストの需要が急伸しています。そのように技術力を備えたうえで、本質的なビジネス課題の解決やデータから価値を見出せる分析者は優れたデータアナリストといえるのではないでしょうか。

データアナリストは歴史が浅く、職務定義があいまいな点もあります。特にデータ分析の専門人材がまだまだ希少とされる日本においてはコンサルティングやマーケティングの流れでデータ分析を行なう担当者もデータアナリストとされることには注意しましょう。

データアナリストが資格を取得するメリット

データアナリストは特別な資格が無くてもなれる職業ではありますが、資格を取得するとさまざまなメリットがあります。大きく2点に分けて見てみましょう。

1点目は、スキルレベルを客観的に証明できることです。データアナリストはIT業界でもまだまだ認知度が低く、ビッグデータやAIと関連付ける形で初めて知ったという方も多い職種です。企業や人事担当者にはデータアナリストの適性を測るための判断材料が少ないため、自社の求める人材かどうか分かりづらい面があります。データアナリストに求められるような統計学やITの専門資格を取得しておくと、第三者からもスキルレベルを測りやすいという利点があります。

2点目は、統計学やITの専門知識を効率的に習得できることです。データアナリストは実践的なスキルの方がより重視される仕事ですが、座学の知識もある程度までは実務に活かすことができます。統計学やITの専門知識については資格取得を目標にした方が網羅的に習得でき、知識の定着度も高くなります。

データアナリストに役立つ資格8選!

ここからは、データアナリストになるための資格やスキルアップに役立つ検定試験などを紹介します。

統計検定

データ分析を行う上で重要なスキルに統計解析があります。「統計検定」はその名の通り、統計学に関する知識や活用能力を評価する全国統一試験です。一般財団法人 統計質保証推進協会が運営しており、4級から準1級、1級までの5段階にわかれています。履歴書に記載するのは2級以上からが一般的です。

この先ますます情報化が進んでいくことで、データ分析の専門職にかかわらずデータを活用する業務の増加が予想されています。そのような職場ではデータアナリストに限らず統計を活用するスキルが必要となるでしょう。また、統計検定はこれからデータアナリストを目指すうえでも役に立つ資格です。実際に統計学に対する社会的関心も高まっており、取得を目指す人が増えてきています。

オープンソースデータベース技術者認定資格(OSS-DB技術者認定資格)

OSS-DB技術者認定資格は、オープンソースデータベースの設計・開発・運用に関する技術力と知識を認定するIT技術者認定資格です。データアナリストとして活躍するために必要なデータの収集・処理に関する知識を証明するために有効な資格といえるでしょう。特定非営利活動法人エルピーアイジャパン(LPI-Japan)が運営しており、受験資格は特にないため誰でも受験することができます。

データベースの設計や構築に関する能力があれば、データ分析関連の仕事で幅広い観点から考察することが可能になります。実務でデータベースを取り扱う際には、さまざまなオープンソースソフトウェア(OSS)を使用することになりますが、OSS-DB技術者認定資格の試験内容は「PostgreSQL」を基準とした問題が出題されます。

この資格には「Silver」と「Gold」の2種類があります。「Silver」がデータベースシステムの設計や開発、導入や運用など、PostgreSQLの基本的な知識や技術を備えていることを証明する資格であることに対し、「Gold」のほうはさらに大きなデータベースシステムの運用管理やコンサルティングができることを示す資格となっています。

基本情報処理技術者試験

「基本情報処理技術者試験」および「応用情報技術者試験」も役に立つ資格の一つです。いずれも独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が提供しています。ビッグデータを解析する際などはシステム開発の知識も求められるので、情報処理に関する知識はデータアナリストの仕事にも応用できます。取得すれば採用などでも有利に働くでしょう。

基本情報処理技術者試験は、プログラマーやシステムエンジニアが多く取得している資格です。SQLやプログラミングなどの開発技術、プロジェクトマネジメント、システム設計など幅広い範囲から出題されます。IT技術者として働いた経験がない場合などは、データベースの資格よりも先にこちらを取得するとよいでしょう。

応用情報技術者試験

応用情報技術者試験は、基本情報処理技術者試験の上位にあたる資格です。期待される技術水準や出題範囲も、経営戦略・情報戦略の策定・評価、システムの設計・開発・運用などについてより応用的な知識を問うものとなっています。 時代はどんどんITに傾倒しており、あらゆる企業がITシステムを基礎に事業を押し進めているのでぜひ取得しておきたい資格です。

オラクルマスター

「オラクルマスター」とは日本オラクル社によって制定されたデータベース試験です。「Bronze」「Silver」「Gold」「Platinum」の4段階のランクがあり、積み上げる形で試験を受ける仕組みになっています。オープンソースデータベース技術者認定資格と性質は似ていますが、扱うソフトウェアがOracle Databaseとなっている点が異なります。

G検定・E資格

エンジニア型のデータアナリストを目指す場合は、機械学習の知識やフレームワークを扱うスキルが必要です。関連する資格としてG検定とE資格を紹介します。

G検定とE資格はいずれもディープラーニングに関する知識を証明する資格で、一般社団法人 日本ディープラーニング協会(JDLA)が運営しています。G検定はビジネス寄りですがE資格はエンジニア寄りの専門的な内容を含み、JDLA認定プログラム修了レベルの比較的高度な内容が出題されます。

G検定はオンラインで実施され、選択式の知識問題約220問を120分で回答する試験です。E資格は、受験資格として「JDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了していること」が必要で、選択式の知識問題約100問を120分で回答する試験となっています。どちらもシラバスの内容から出題されるので、シラバスを確認して対策を行う必要があります。

Python3 エンジニア認定データ分析試験

Python3 エンジニア認定データ分析試験は、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が運営している資格です。Pythonエンジニア認定試験には、「Python3エンジニア認定基礎試験」と「Python3エンジニア認定データ分析試験」の2つの試験区分があります。前者はPythonの基礎的な内容、後者はPythonや数学の基礎に加えて、ライブラリを使用したデータ分析実践等が試験範囲です。教材の指定があり、出題範囲の詳細がPythonエンジニア育成推進協会の公式ホームページに記載されています。

Python3 エンジニア認定データ分析試験はCBT(Computer Based Testing)方式で試験会場にて受験します。選択式の知識問題が40問出題され、試験時間は60分となっています。

アクチュアリー資格試験

アクチュアリー資格試験は、公益社団法人 日本アクチュアリー会が運営している資格です。アクチュアリーとは確率や統計などの手法を用いてデータ分析を行う数理業務のプロフェッショナルのことで、金融機関やコンサルティング会社などで活躍しています。

1次試験では基礎科目である「数学」「生保数理」「損保数理」「年金数理」「会計・経済・投資理論」、2次試験では専門科目である「生保コース」「損保コース」「年金コース」のうちいずれか1つを選択して受験します。2次試験の受験は、1次試験の5科目すべてに合格していることが条件です。2次試験合格後のプロフェッショナリズム研修を修了すると、資格取得者として認定されます。

データアナリストに必要なスキルセット

データアナリストにはさまざまな分野のスキルが求められます。一般社団法人 データサイエンティスト協会が公開する「データサイエンティスト スキルチェックリストver.4」でも、データアナリストに必要なスキルセットが「ビジネス力」「データサイエンス力」「データエンジニアリング力」に分類されていますので参照してください。ここからは、データアナリストに必要なスキルセットの中から5つを紹介していきます。

統計や数学のスキル

統計や数学は、提示された統計情報を適切に読み解き、理解を行う上で非常に重要です。確率や統計、微分・積分、集合論などの基礎的な数学の知識、回帰分析やクラスタリングなどの各分析手法を適切に用いることができるような統計学の知識・スキルが必要になります。

プログラミングスキル

統計学の知識を実務に活かすには、データ分析を行うためのプログラムを作成する必要があります。データアナリストはそれほど高度なプログラミングスキルを要求されませんが、GNU R(R言語)やPythonなど、統計に用いられることの多いプログラミング言語やフレームワークの使い方は習得する必要があります。

機械学習のスキル

データ分析の過程で機械学習を用いることがあります。特にエンジニア寄りのデータアナリストを目指すのであれば、機械学習のスキルも身に着けておくと業務の対応範囲が広まるでしょう。

機械学習を学ぶのであれば、弊社が提供している「AIジョブキャンプ」がおすすめです!AIジョブキャンプは社会人向けの「AI教育講座」と業務委託の案件紹介をする「エージェント」サービスがセットになった無料の研修プログラムで、現役のデータサイエンティストによる機械学習講座がオンラインにて無料受講できます!登録料や受講料などは無料ですので、ぜひ活用ください!

マーケティングの知識

データアナリストは知識やツールを活用してデータ分析を行うのみでなく、分析結果をビジネス課題の解決につなげることが求められます。担当する分析プロジェクトにおける事業領域について理解を深め、データを活用して戦略を立案するためには、ビジネスへの理解やマーケティングの知識が必要になります。

データベースの知識

データアナリストは日常的に、データベース内の大量のデータを抽出したり加工したりして統計的な処理を行います。データベース設計に関する知識やSQL言語によるデータベース操作方法、データレプリケーションの知識など、データベース周りの知識や操作方法については一通り習得する必要があるでしょう。

ロジカルシンキング(論理的思考力)

データ分析の結果に対して課題解決の施策を立案し、クライアントに論理立てて分かりやすく説明するスキルも重要です。抜け漏れなく課題を洗い出して体系的に分類を行い、データ分析内容を基にストーリーを組み立て、論理的なプレゼンテーションを行う能力が求められます。

データアナリストのスキルアップにおすすめの本

スキルや知識の向上にはインプットとアウトプットが必要です。まずは、オンラインでの情報収集とあわせ書籍を読む習慣をつけるとよいでしょう。統計やプログラミングなどについて体系的な知識を得る場合、読書に勝る学習方法はありません。データアナリストにはさまざまな知識が必要ですが、どのような本を読めば効率的に学習できるのでしょうか。ここからは、スキルアップにおすすめの本をいくつか紹介していきます。

Pythonによるデータ分析入門

Pythonはプログラミング言語の一つで、他の言語に比べ初心者でも学びやすいのが特徴です。科学計算や統計分野で高いシェアを誇り、機械学習やAI開発においてもスタンダードになりつつあります。この書籍ではサンプルコードを通してPythonでのデータ分析についてわかりやすく解説されています。これからデータアナリストを目指す場合の入門書籍としておすすめです。

ビッグデータ分析・活用のためのSQLレシピ

大規模なデータを処理する場合などSQLに関する高い知識が求められます。SQLが書けなければデータアナリストは務まらないといっても過言ではありません。「ビッグデータ分析・活用のためのSQLレシピ」という本では、オープンソースデータベース技術者認定資格に必要なPostgreSQLをはじめとする、RDBやNoSQLなどさまざまなデータベースの知識を存分に学習することができます。SQL中級者〜上級者の人はぜひ手にとってみることをおすすめします。

データ解析のための統計モデリング入門

データを正確に分析するには統計モデリングに対する深い理解が必要です。統計学にはさまざまな考え方がありますが、この本を読めば統計モデリングがどのような過程を経て発展してきたのかが分かるようになっています。一般化線形モデル、階層ベイズモデル、MCMCとあらゆる考え方が網羅されており、実戦に役立つ知識も得ることができる非常に万能な一冊となっています。

はじめてのパターン認識

パターン認識に対する知識の有無もデータアナリストを目指すうえでは非常に大きな影響を及ぼします。特に現代では速やかなデータ分析を実現するためにコンピューターの力を活用するので、機械学習に対する理解が不可欠になっています。この本は機械学習における代表的なアルゴリズムを一通り学習することができるということで多くの人から支持を集めています。

データアナリストのスキルアップにはKaggleもおすすめ

データアナリストのスキルアップにはKaggle(カグル)を利用するのがおすすめです。

Kaggleは世界中のデータアナリストが集うコミュニティーサイトであり、企業・政府などの組織とデータアナリスト個人を繋げるプラットフォームとしての役割も果たします。Kaggleの一番の特徴は、企業や政府などの組織がコンペ形式で課題を提示する「Competition」と呼ばれる機能です。この課題で出されたデータをデータアナリストたちは競って分析を行いますが、最も精度の高い分析モデルには賞金が支払われます。

Competitionに参加し結果を残すことができれば、データアナリストとしての力が身につくだけでなく、仕事のオファーなどを得ることができるので、データアナリストを目指すのであればぜひ挑戦してみることをおすすめします。

データアナリストの平均年収

データアナリストの平均年収は、2023年3月時点で>Indeedの公表している数値では約635万円、求人ボックスの公表している数値では約691万円となっています。日本の平均年収よりは高い傾向にありますが、募集する企業の規模や経験年数、業務範囲などによって実際の年収には差があり、約400万~1200万円と幅が広いので注意が必要です。

データアナリストの将来性

データアナリストは今後も需要の高い職種になると予想されます。国の政策としてデジタル・トランスフォーメーション(DX)が推進されており、データ活用を行える人材を育成し登用する動きが今後も続くためです。また、AI技術を活用した事例は徐々に増えつつあり、現在よりもさらに多くの業種や分野に活躍の場が増えていくと期待されています。

ただし、データアナリストの職に就いても、自動化ツールで置き換えられる業務については差別化が図りづらくなっていくでしょう。たとえばデータベースからのデータ取得、集計、レポート作成といった定型業務に関しては、技術やツールの発展により自動化が進んできています。今後は以下のような知識やスキルを磨いていくことで、専門家としてのポジションを確立していく必要があります。

  • データ分析が特に重視される金融・EC・広告・ゲームなどの業界知識
  • 的確な課題分析を行えるコンサルティングスキル
  • 独自のデータ分析モデルを構築し、より深い分析や予測が行える専門スキル

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