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データアナリストとは?仕事内容や年収目安、必要スキルや資格情報までわかりやすく解説!

データアナリストとは?仕事内容から必要スキル、就職・転職の方法まで徹底解説

情報化社会においては、さまざまな分野でビッグデータの解析が重要視されるようになりました。そして、専門職である「データアナリスト」にも注目が集まっています。データアナリストの仕事内容は業種や業態によって変わるため、興味のある人は正しい知識を身につけておきましょう。この記事では、データアナリストについて詳しく説明していきます。

データアナリストとは?

データアナリストは、シンプルにいうと、データ分析の専門家です。IT業界は慢性的な人手不足といわれますが、特に育成が追い付いておらず、ビッグデータ時代に欠かせない存在となりつつあるのがデータアナリストです。では、データアナリストはどんな役割を担っているのでしょうか。混同されることが多いデータサイエンティストとの違いについても記載します。

データアナリストの役割

企業におけるデータの重要性は増しており、ビッグデータと呼べるほどの大量のデータを保有したり、活用できる環境が整っています。こうしたデータをもとに、企業の課題解決のヒントを探ったり、データの活用方法などを考えるのが、データアナリストの役割です。

なお、データアナリストは「コンサル型」「エンジニア型」に分かれます。これらの役割の違いについては、のちほど詳しく解説します。

データサイエンティストとの違い

データアナリストと近しい職種としてデータサイエンティストが挙げられます。データサイエンティストは、扱うビッグデータから必要な情報を抽出し、分析する仕事を担います。両者の線引きは難しいのですが、データサイエンティストが分析モデルの構築から分析までと、データ分析における開発分野を担当するのに対し、データアナリストは分析結果から規則性や方向性を導き出すなど、データを活用する側であることが違いとなります。データアナリストはデータサイエンティスト以上に現状分析へと重きを置いており、企業が現状抱える課題を明確にし、解決のためのアウトプットを作成する役割を担っています。

データアナリストの年収目安

データアナリストの平均年収は約766万円と算出しています。データアナリストの年収は、企業規模や担当する領域、経験やスキルなどにより大きく異なります。新入社員であっても年収500万円以上、企業が求めるレベルのスキルを持つ実務経験者は、その3倍にあたる1,500万円以上提示されるケースもあるようです。

なお、データアナリストの需要は高く、フリーランスとして活躍する人も多いと言われています。フリーランスの場合は案件ごとの報酬となり、正社員と比較してもスキルや実績次第で年収アップにつなげやすいとも言われています。データアナリストのキャリアビジョンの選択肢に、フリーランスとしての独立も候補の一つになりうるでしょう。

データアナリストの仕事内容

データアナリストの主な仕事は、データベースから必要な情報を抽出し、データのパターンや複数のデータの関係性を導き出すことですが、得られた分析結果の活かし方により、「コンサル型」と「エンジニア型」の2種類に仕事内容がわかれます。企業の考え方により、どちらかに特化して仕事を任せる場合もあれば、一人のデータアナリストが両方を兼務することもあります。それぞれの仕事内容を見ていきましょう。

コンサル型データアナリストの場合

コンサル型データアナリストは、データ分析で得られた結果から、問題解決の施策や提案を行います。仕事のやり方としては、企業やクライアントが抱える課題に対して仮説を立て、収集したデータを分析して解決策を打ち出したり、解決策を実施した後の検証まで担当することもあります。コンサル型データアナリストは、コンサルティングファームやマーケティング業界などが主な活躍の場となり、仮設の見立てやデータの適切な抽出ができるかどうかが仕事の成果を大きく左右します。

エンジニア型データアナリストの場合

エンジニア型データアナリストは、データ分析結果をもとに、必要なシステム構築や改善まで踏み込んで業務を担います。コンサル型データアナリストと同様、データ分析を行うわけですが、さらにシステムへの提案や実装に携わる点が「エンジニア型」といわれる所以です。エンジニア型データアナリストは、主にWebメディア運営会社や、一括してさまざまな媒体の広告配信を行うアドテクノロジー企業などで活躍しています。

「コンサル型」と「エンジニア型」でこのように違いはありますが、データアナリストに求められる役割は企業やクライアントによっても異なります。コンサル型、エンジニア型いずれの役割も担うこともあるので、その点は理解しておきましょう。

データアナリストに必要な知識・スキル

企業や研究機関などで引く手あまたのデータアナリストには、どんな知識やスキルが求められるのでしょうか。こちらでは、業務を行うのに必要な知見やテクニックとともに、考え方を含めた5つの点を取り上げます。

数理統計やデータマイニング、機械学習に関する知識

データアナリストとしての業務を行うには、大学基礎レベルの数学知識が必要です。その中でも、統計・確率・微分積分・線形代数は、直接仕事に活かすことができる分野です。また、大量のデータを機械学習や統計学といった分析手法を用いて、有意の情報を見出す「データマイニング」をすることもデータアナリストには求められます。データマイニングに必要なのは、先に挙げた統計学や、機械学習の知識が役に立ちますので、データアナリストにこれらのスキルや知識は必須のものと言えます。

Python、R、SQLなどのプログラミングスキル

データアナリストにプログラミングスキルは欠かせないものですが、現在主流になっているPython・R・SQLなどは特に習得しておきたい言語だと言えます。それぞれのプログラミング言語の位置づけですが、SQLはデータ分析の前段階となるデータ加工・集計・抽出などを効率よく行えます。そして、データ解析はPythonやRを使って行う流れとなっています。近年は、使いやすい分析ツールも登場していますが、カスタマイズできる範囲が限られ、有料のものもあるため、プログラミングスキルを持つことをおすすめします。

BIツールでの見える化やレポーティングのスキル

データアナリストは、分析結果を企業活動に役立つようにレポートとしてまとめることも業務に含まれています。その点で役立つのが、BIツールです。BIツールの「BI」はビジネスインテリジェンスの略語で、ビジネスの意思決定に直接結びつく情報という意味があります。わかりやすいレポートづくりだけでなく、グラフや図表で分かりやすく情報を表現できるBIツールを使いこなすスキルも、データアナリストに必要とされます。

データベースに関する知識

データアナリストは、データベースの情報抽出や分析が仕事なので、当然のことながらデータベースに関する知識が必須といえます。データ抽出に欠かせないのがSQLですし、データを安全に保管・保護するためのレプリケーションの知識も、データアナリストが習得しておきたい分野の一つです。

論理的な思考力(ロジカルシンキング)

データ分析に必要なのは客観性です。いくら正しいデータがそろっていても、そこに主観が入ると正確な分析ができず、所属企業やクライアントを誤導することにつながります。そのため、データアナリストには、ロジカルシンキングといわれる論理的な思考力が求められます。論理的な思考力があれば、物事を体系的に整理したり、複雑な問題を分解して考えることができ、矛盾のない結論に達しやすくなります。論理的な思考力は、自分の思考の癖を理解しつつ、言葉を具体的に表現したり、本質的な問いに目を向けるなど、日ごろの努力を通して身につけられるでしょう。

データアナリストになるには

将来性が見込めるデータアナリストに興味がある、なりたいという方は多いかもしれません。では、データアナリストは、どんなルートでなることができるのでしょうか。メインとなる2つの方法を取り上げます。

企業に就職してデータ分析の実務経験を積む

データ分析を専門に行う企業や研究機関、製品やサービスの分析を自社で行っている企業に入社・入職し、実務経験を積むことでデータアナリストになれるでしょう。自社でデータ分析を行う企業としては、金融・証券・製造・医療などの分野が挙げられます。一つの分野を突き詰めるのには、自社で分析を完結させているところに就職するのがおすすめです。分野を横断して分析力を高めたい方は、クライアントからの依頼を受けてデータ分析を専門に行う企業に就職するとよいでしょう。また、マーケティングやリサーチを行う企業でデータ収集や分析、施策提案などの実務経験を積み、その後にデータアナリストに転身を図ることもできるようです。

分析職で採用されない場合はエンジニアを目指す

分析にかかわる仕事に就けない場合は、少し回り道に思えるかもしれませんが、エンジニアとしてプログラミングスキルなどを磨き、機が熟したときにデータアナリストにキャリアチェンジする方法もあります。ITエンジニアとして働く間に、統計学の知識を習得したり、データ分析ツールなどの使い方を身につけると、スムーズに転職できる可能性が高まります。

データアナリストに向いている人

データアナリストは、人によって向き不向きがはっきり表れる職種といえます。下記に挙げる特徴をより多く持ち合わせている人は、データアナリストに向いています。どのような特徴があるのか一つずつ見ていきましょう。

論理的な思考力がある人

データアナリストには、客観的な視点が欠かせません。主観を挟まず、事実から論理的に結論を出せる能力は、関係者の利益に貢献する資質です。論理的思考は、データアナリストを目指してこれから磨くことも可能ですが、すでにロジカルシンキングができている人は、この点で努力は必要なく、他のスキルを磨くことに時間を振り分けられます。論理的な思考力は、聞く力と伝える力を強化し、コミュニケーション能力向上にも役立ちます。

最新情報をキャッチアップでき、学び続けられる人

データアナリストに限らず、IT技術者に要求される業務知識やスキルは常に進化し続けています。好奇心旺盛な人や新しい知識を学ぶことに喜びを感じる人は、データアナリストに向いています。

コミュニケーションスキルやプレゼン能力が高い人

データアナリストは、問題や課題を認識し、データを分析して解決に導くのが仕事です。何が問題で解決すべき課題なのかといった見極めは、社内やクライアントのニーズをとらえる力にかかっており、そのためには関係者と綿密なコミュニケーションが必要です。データアナリストはIT技術者とはいえ、コミュニケーションスキルが重視されるのはこのためです。また、データアナリストは分析結果を関係者に伝える責任があります。そのため、要点をわかりやすく的確に伝えられるプレゼン能力の高さが求められます。

データアナリストに役立つおすすめの資格

データアナリストに必須とされる資格はありませんが、データアナリストを目指す方、すでにデータアナリストとして働いているものの、実力を確かめたい方に取得を推奨する資格は以下の通りです。

統計検定

データ分析に必要な統計の知識や活用する力を評価するのが、統計検定です。統計検定は、レベル毎の試験とともに、「統計調査士」「専門統計調査士」といったデータ分析能力に特化した試験も設けられています。データアナリストには大学基礎レベルの数学知識が求められますが、それに相当するのが2級です。準1級は、実社会のさまざまな問題に対し、統計学を適切に用いて応用できる能力があることの指標になります。1級は、定量的なデータ解析に関して大学専門分野を修了したレベルの試験内容となっています。

オラクルマスター

オラクルマスターは、情報処理分野のベンダー資格の中でもよく知られた試験で、商業分野でシェアの高いデータベース・Oracle Databaseを利用したり管理するレベルがどれほどなのかを客観的に評価します。データベースに関する知識があるというだけでなく、実際に扱える技術を裏付ける点が、オラクルマスターの特徴であり、取得する側のメリットといえるでしょう。試験内容は、入門となるBronzeから始まり、Silver、Gold、Platinumに至る4段階のレベルに分かれています。加えて、SQLのスキルに特化した「Silver SQL」資格も設けられています。

OSS-DB技術者認定試験

OSS-DB技術者認定試験は、オープンソースデータベースの技術や知識の程度を認定する資格で、特定非営利活動法人エルピーアイジャパンが主催しています。こちらの試験は、データベースの設計や開発、導入や運用スキルを認定するSilverが下位資格で、Silverを取得した人だけが上位資格となるGoldを受験できます。Goldは、大規模データベースを視野に入れた内容が含まれ、運用管理やコンサルティングが可能なレベルとなります。なお、Goldの受験には、認定日から5年以内にSilverを取得している必要があるなど、知識や技術の陳腐化を排除した形で行われます。

情報処理技術者試験

プログラマやシステムエンジニアが基礎的なITスキルを持っていることを証明できるのが、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が主催する情報処理技術者試験です。こちらは国家資格で、特定のベンダーやソフトウェアに依存しない情報技術の原理や基礎知識・技術について幅広く出題されるため、プログラミングやIT技術を活用するデータアナリストの取得も目立ちます。データアナリストを目指すIT職種の未経験者は、200時間ほどの学習時間が必要といわれています。

データベーススペシャリスト試験

データベース活用に資する高い知識や技術があることを証明できるデータベーススペシャリスト試験も、データアナリスト向きの国家資格といえます。IPAが主催する情報処理技術者試験のカテゴリの中でも、高度情報処理技術者試験に位置づけられ、合格率も15パーセントとハードルが高くなっています。

データアナリストの需要・将来性

ビジネスチャンスを逃さないために、集めた情報やデータをフル活用する姿勢の企業が多くなり、分析能力に秀でたデータアナリストは常に引く手あまたの状況です。データアナリストは、AIの登場で将来的にどうなるのか不安視される側面もありますが、逆にAIを活用してさらに精度の高い分析が可能になることに期待する声が大勢を占めます。データアナリストの仕事は今後も増えるとともに、業務内容が高度化することが考えられます。最新の知識や技術の習得に励み、分析スキルを磨き続けるデータアナリストの将来は有望といえるでしょう。

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