キャリア

2020/09/09

CIOとは?なるには?役割・仕事・採用・キャリア・年収・将来性

情報システムやIT部門を統括する役職が「CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)」です。インターネットの普及や情報処理技術の高度化により情報戦略の重要性が高まるなか国内においてもCIOの登用事例が増えています。

この記事では、CIOの仕事内容や役割、CTOやCDOとの違い、年収相場、必要とされるスキル・経験、採用方法などを紹介します。転職や就職など目指す方法やキャリアパスについてもみていきましょう。

CIOとは

CIO(シー・アイ・オー)は、Chief Information Officerの頭文字をとった言葉で「最高情報責任者」を表します。英語のOfficerは日本語で「役員」を意味するように、CIOは情報担当役員や情報技術に関する役職者を指すのです。そのほか文脈によっては、「Chief Insights Officer」の略称として使用されることもあります。

以下では、CIOの役割は何なのか、仕事内容や年収についても合わせて紹介します。

CIOの役割

情報処理技術の高度化やさまざまな分野でのデジタル化が進むにつれ、情報システムやデータを活用してビジネスをいかに有利に展開するかという情報戦略が無視できなくなっています。

CIOの役割は、単に自社で保有する情報資産やシステム、エンジニアリング組織、IT部門を管轄するだけでなく、それらのテクノロジーを活かした経営戦略の策定とIT投資などの執行を進める責任者となることです。

CIOが管轄する領域は、ITマネジメント・ITビジネス創出・ITリスクマネジメントの3つです。それぞれについて、説明しましょう。

ITマネジメント

ITマネジメントの分野では、デジタル戦略やIT戦略を立案して売上向上やコスト削減など継続的な課題に取り組みます。企業全体で競争力や投資の利益を追求し、ビジネス上のROIを最大化するためには、情報システム部門においても適切な予算配分が欠かせません。

そのために組織されたITチームを主導するのが、CIOの役割の1つです。経営陣と協力しながらの戦略立案となりますが、エンジニア人材の確保や育成、組織の価値観に至るまで管轄することになり、改革的な役割を果たすこともあります。

アウトソーシング化や法改正・クラウド化・BCP対策などにより社内システムの刷新が必要になることもあり、目を光らせなければならない範囲が幅広いのが特徴です。

ITビジネス創出

ITを活用して新規事業を創出するのも、CIOの担当です。新規事業を創出するには、自社の既存ビジネスを熟知したうえでアイディアをまとめなければなりません。社外からの意見を取り入れるオープンイノベーションも、視野に入れておいたほうがよいでしょう。

新ビジネスの創出には該当のテクノロジーを利用してアイディアの実現が可能かどうか検証する工程も欠かせず、これらすべてをスムーズかつスピーディーに進めるデジタル人材が必要になります。

開発途中に変更があっても柔軟に対応できるアジャイル開発、無駄なく顧客のニーズを汲み取って迅速により良いサービスを提供するリーンスタートアップなどに精通した人材を社内外から募りメンバーを確保する採用・調達業務もCIOの仕事です。

ITリスクマネジメント

CIOの最重要課題といってもよいのが、ITに関するリスク管理やセキュリティ対策です。サイバー攻撃や情報流出などが起こると、企業においては実害以上の信用問題が心配されます。セキュリティ上の不備による情報漏洩や風評被害により一旦顧客が離れてしまえば、再び顧客を取り戻すために並々ならない努力が必要となるでしょう。

株価が下がり、経営において致命的な状況にもつながりかねません。このようなリスクを防ぐために、経営計画にセキュリティ対策を盛り込んでいくのがCIOの仕事です。

慎重にリスク調査や分析をおこない、最新のセキュリティテクノロジーを低コストで導入したうえで社内の危機管理を対策するよう期待されます。

CIOの仕事内容

CIOという肩書きが生まれたのは、アメリカです。日本語に直訳すれば最高情報責任者であるように、本来は役員の位置づけがされています。しかし、日本では責任者という言葉が先に立ち、情報システム部門の部門長やリーダーのような立場と捉えられている傾向があります。

IT技術の重要性が高いことは認識されつつありながら、CIOが経営責任を負う企業のキーパーソンであるという認識はまだあまりされていないようです。情報システムをけん引する最高指導者かつ最高責任者としての仕事は、非常に大きな役割です。

CIOの年収

CIOは企業の役員クラスであり、国内最高年収で5,000万円という企業もあることが調査結果として報告されています。平均年収でも2,500万円といわれる世界ですが、日本企業の年収は世界に比べるとまだまだ伸びしろがあるようです。

未上場やベンチャー企業になると、CIOの年収は800万~1,500万円ほどが相場です。役員として管轄する領域によっても差があり、企業の規模にも影響されやすいことがわかっています。

CIOになるには

CIOは企業において役員の1人であり、任務に就くにはそれなりの経験やスキルが必要です。どのような経験・スキルが求められるか、キャリアパスなども紹介します。

CIOに必要な経験・スキル

最高責任者とはいえ、情報技術をはじめとするIT関連の知識を部下に任せてばかりおくわけにはいきません。幅広い知識を備えておくのと共に、経営的な経験やスキルも必要です。IT活用で自社のビジネスをどう伸ばすか、IT関連の投資予算管理をどうおこなうかは、必須のスキルといってよいでしょう。

同時に求められるのが、コミュニケーション能力です。他部門の責任者やベンダーなどとの折衝が日常的におこなわれ、対人スキルが交渉や調整の成功を左右するためです。

CIOのキャリアパス

CIOは、幅広い領域を管轄しています。そのため、確固としたキャリアパスがあるわけではありません。ITと経営に関するキャリアは欠かせないとはいえ、企業が求めているのは常識的な枠を外れたキャリアかもしれません。大まかに社内人事と中途採用の2種類に分けて、CIOのキャリアパス例を紹介しましょう。

社内人事で昇格する

社内人事でCIOに昇格する例としては、4年制大学や大学院を卒業し企業に採用されるのがファーストステップです。社内SEやソフトウェアエンジニアとして情報システム部門に配属後、順調に出世を重ねていき最終的に到達する方法が王道です。

開発経験は必ずしも必要ではありませんが、情報技術やテクノロジーに関する高度な知見やプロジェクト推進経験は必須となります。

企業によっては技術職ではなく営業・企画開発部門などに配属された後、ジョブローテーションを経てCIOに就任するケースもありますが少数派でしょう。

中途採用・ヘッドハンティング

現在CIOに就任するタイプとして増えているのが中途採用の場合です。経営層クラスの求人になると通常の転職ではなくヘッドハンターなどを介しての採用も増えてきます。事業会社の情報システム部門やSI・コンサル企業でのIT推進経験のある人材を外部からCIOとして招聘する流れが多いようです。

大学で専攻するのは、IT関連か経営学が主流。企業で経営企画、情報システム部門などのキャリアを積み、MBAを取得してCIOの中途採用募集に応募・合格したというケースもあります。

技術系のマネジメントとして優秀な人材であれば、経営者からCIOとして直接スカウトされる例もあるようです。スタートアップ企業や外資系企業は人材の入れ替わりが激しく、上級役員の募集も多い傾向があります。

日本と米国でのCIOの違い

そもそもは、米国で提唱されたCIOという役職ですが、日本とアメリカではどのような違いがあるのでしょうか。ここではCIOの位置づけやキャリアパスなど日米での違いについて言及します。

米国のCIO

アメリカに本社を置くグローバル企業でのCIOは、企業の役員として高い地位を持つことが確認されています。自社内でのIT推進やシステム開発をリードする責任を持ち、結果を重視してベンダー企業を常に探しています。キャリアパスとしても、大学やMBAなど教育面でCIOへの道筋がつけられているのが特徴的です。

ロースクールに設けられたエリートコースの中には、IT技術に強い弁護士を養成するコースがあるほどで、卒業すると理工系の博士号と法務系の博士号を両方取得できるのです。CIOになるべく養成される人材を早くから確保している様子がうかがえます。

日本のCIO

一方でアメリカでの立場に比べると、日本企業でのCIOは立場が弱めです。他の重役がさらなる出世を遂げるのに対して、伝統的に情報システム担当は執行役員止まりという傾向があります。国内のIT開発ではSIerやシステムインテグレーターなどベンダー企業に全委託することも多く、トラブル時の責任すら外注先に依存しやすいため、社内にノウハウが蓄積されていかない点は問題です。

しかし、日本でのCIOの肩書はまだ始まったばかりであり、情報システムやテクノロジーに関する管掌役員についてこれからの期待は高まっていくでしょう。優秀なCIOが増えることによって、位置づけも今後は改善されてくるかもしれません。

CIOの採用

CIOの採用について、そのメリットや方法、選び方や育成方法を見ていきましょう。

CIO設置のメリット

CIOを設置するメリットは、社内に情報システム関連の責任を一任できる人物がいることです。従来のように開発をベンダーに丸投げしてトラブル時の責任もベンダーに負わせるというのでは、情報システム部門のメンバーは社内SEとしても成長していきません。

企画や開発について経験を積まなければ、今後ITを活用した経営の成長にも期待が持てなくなり、時代の波に乗れない企業になりかねないのです。社内にCIOがいることで経営に関わるITの全ての責任を自社内で解決することができ、経営の革新にも期待できるでしょう。

CIO人材の採用方法

CIOのような高度なキャリアやスキルを持つ人材は、エグゼクティブエージェントやヘッドハンティングに頼る手が有効です。しかし募集の依頼をしても、なかなか良い人材が見つからないこともあります。

そのため、ベンチャー・スタートアップでは、いきなりCIOを採用するのではなく、将来的にCIOとして活躍し得るポテンシャルのある人材をCIO候補として採用してから採用後にステップアップで育成する方法もとられています。採用募集を開始しても、求職者からの応募が少ない場合は検討してみる価値があります。

CIO人材の選び方

これからCIOを採用するのであれば、IT投資に革新を起こす積極的な戦略をえがけるデジタル人材が有望です。日本企業では、IT関連の費用の多くが既存システムの運用・保守に使われているといいます。未来への投資に予算が設定されていないのは、今後の企業の成長に大きな影響を与えかねません。

情報技術やエンジニアリングを通じて将来的にも国際的な競争力を強化するためには、単にテクノロジーを導入するだけでなく経営的な観点からも技術や情報システムへの投資戦略を担える人材をCIOとして選定することが重要です。

CIOの育成方法

情報部門と経営部門の領域をバランスよくカバーするCIO人材を社内で育成するのは、簡単なことではありません。そこで活用すると便利なのが、戦略的CIO育成のような支援事業です。

CIO経験者や関連するキャリア・スキルを持つ専門家を一定の期間企業に派遣したり、研修や人材教育を通してCIO候補者を育成するのがこのサービスの目的です。

中途採用でCIOを募集採用するよりも、自社の文化になじんだ正社員を活用でき、育成期間はかかりますが内製化をリードできるメリットがあります。

他の職種との違い

CIOに似た役職や仕事内容もあり、CIOと混同してしまうこともあります。CIOと他の職種がどのように違うのか、確認しておきましょう。

CIOと情報システム責任者との違い

CIOは、情報システム関連の最高責任者であり執行役員です。単に責任をとるだけでなく、経営戦略に携わるという側面も持っています。対して情報システム責任者は、情報システム部門に特化した責任を負う役割です。

企業によって部門の規模は違うとしても、チームリーダー的な位置づけの情報システム責任者と役員としてのIT統括責任を担っているCIOとでは権限にも大きな違いがあります。

CIOとCTOとの違い

IT企業では情報技術がビジネスのメインですから、CIOとCTOがほぼ同じ意味を持つこともあります。というのも、CTOはChief Technical Officer(技術関連最高責任者)を指すためです。

技術戦略の策定・執行、研究開発などにおいて責任を持つのがCTOです。CIOとCTOの区別は、企業の業種によってつけられることが多いようです。

CIOとCDOとの違い

CDOには、既存業務をデジタル化に変革する役割があります。最高デジタル責任者とも呼ばれるCDOは、デジタル技術を用いて新たなビジネスやサービスを生み出す分野の責任者として分担することもあります。

DXなどの変革を主とするCDOと情報技術の統括を中心とするCIOとでは異なる面もありますが、CIOの仕事の領域にCDOの仕事が含まれているという見方もできます。

CIOの将来性

最後に、CIOの将来性について見ていきましょう。

ITリーダーが活躍する機会は今後も増える

ITの進化は止むことがなく、そのリーダーとなるCIOが活躍するチャンスは今後も限界がないだろうと考えられています。テクノロジーと無関係の企業はほとんどなく、ビジネスの成長やリスク回避についてITリーダーの責任が問われるシーンはさらに多くなるでしょう。

AIなどのテクノロジーを組み合わせ有効活用する

これからのCIOには、AI関連の知識が不可欠といってもよいでしょう。AIについて正しく理解し、AIをどう活用できるか判断する力があれば、時代の先端をいくことも可能です。様々なテクノロジーを組み合わせて有効活用する積極性が、未来に進むCIOには求められています。

より多くの変化に対応しなければならない

進化が目覚ましいITという分野に責任を持つCIOは、業務を進める中で臨機応変に対応する柔軟な姿勢が必要です。途中でトラブルや変更が起きても、最終的な目的を果たすために必要な舵取りをしなければなりません。より多くの変化に対応するノウハウは、確かな知識と様々な経験によって蓄積されます。

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