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RPA案件の単価は?フリーランスの求人動向、必要スキル、将来性

「ロボティック・プロセス・オートメーション」、略して「RPA」は現代のビジネスシーンで注目されている技術です。デスクワークで行う日常業務をソフトウェア型のロボットが代わりにやってくれるという点で、働き方改革や人手不足の解消に役立つことが期待されています。

今回の記事では、エンジニア、コンサルタント、オペレーターといったRPA関連の求人動向について紹介するとともに、年収・給料やフリーランスの単価相場について解説します。RPAの将来性や求人ニーズについてもみていきましょう。

RPAのフリーランス求人動向

業務効率を高め、人間がこれまで以上に生産的でクリエイティブな作業へと集中できるようにするためのテクノロジーとして、大手企業を中心にRPAの導入が進んでいます。それに伴い、RPAの導入推進や保守・運用を行う人材への求人需要が高まっています。

RPA関連の職業として、エンジニア、コンサルタントなどが挙げられます。それらの求人の多くは、コンサルティングファームやIT企業などRPA業務を受託し顧客を支援するベンダー企業が中心に中途採用やフリーランスの募集をしています。ただし、RPA自体が新興の分野なので、決して十分な人材がそろっているとはいえません。

そのため、スキルがあれば若手の登用にも積極的な業界となっています。新卒社員からキャリアアップを目指す転職者まで、注目しておいて損はないでしょう。また、フリーランスで活躍するRPA関連の人材も増えてきています。独立開業を考えているなら、狙う価値のある分野です。

RPAのフリーランス単価相場

ここでは、RPA関連の仕事でフリーランスとして働く場合の報酬相場について紹介します。RPAエンジニアの単価相場は、月額で約30~60万円。RPAコンサルタントの場合で、約80~120万円が月単価の相場です。

実際のフリーランス求人:RPAの求人・案件一覧

ただし、フリーランスは仕事やスキル次第で年収が大きく変動するため、保有しているスキルや経験によって相場以上の収入を得るエンジニアも多いでしょう。RPA関連職種でもオペレーターや在宅ワークの場合は、もう少し単価は低くなります。当初は時給1000円台の低単価案件からスタートすることも普通です。

会社員としてRPA関連の職業に就こうと思った場合、もっとも求人数が多いのは「エンジニア」です。RPAエンジニアの年収は、企業にもよるものの、およそ400~500万円前後が目安です。ただし、経験やスキルを買われているエンジニアなら、600万~1000万円の年収も夢ではありません。

また、30代・40代で経験豊富なRPAコンサルタントは年収2000万~3000万を手にしていることもあります。

RPA関連職種の仕事内容と必要スキル

まず、「コンサルタント」はRPAの提案者です。コンサルタントはRPA技術を業務に適用するための役割を担っています。そして、コンサルタントがクライアントと話し合い、決まった内容を具現化するのが「エンジニア」というイメージです。いずれもRPAにおいては欠かせない役割です。以下、2つの違いを詳しく述べていきます。

RPAエンジニア

クライアントの要望や与えられた要件に沿ってRPAのシナリオや付随するシステムを構築するのがエンジニアです。PRAツールを利用する業務も多いですが、実務ではプログラミング能力も必要です。ブラウザ操作や業務アプリケーションとの連携などの業務フローのうちRPAで対処できない箇所は開発で対応します。また、開発現場により利用するRPAツールは異なることも多く、それぞれのソフトウェアを深く理解し操作を覚えることも重要です。

RPA開発の根幹となるのは業務改革や効率化です。そのため、RPAをどのようにクライアントの職場へと導入し、どのような効果を生むのかの流れが明確であるほどプロジェクトが成功しやすいといえます。そのため、開発スキルとあわせ業務知識があるエンジニアは重宝されるでしょう。RPAの設計図としての意味も果たすシナリオの作成や要件定義など上流業務を学ぶことも重要です。シナリオを作成するにあたり、関連部署や他のメンバーとのコミュニケーション能力も不可欠です。

案件特集:RPAエンジニアの求人案件

RPAを納品した後もエンジニアの仕事は続きます。「サポートエンジニア」はクライアントに届けられたRPAを見守り、トラブル時に対処をします。さらに、クライアントが業務を拡大したり、変更したりするとシステムもカスタマイズしなくてはいけません。こうした微調整もサポートエンジニアが引き受けます。

なお、エンジニアと同じくRPAツールを操作する「RPAオペレーター」という職種もあります。在宅ワークとして働く場合や派遣求人などで人気の職種です。プログラミングスキルやエンジニア経験がない場合は、オペレーターから業界に入る人も多く、先輩の指示にしたがって正確に作業を進められるかどうかが評価の基準です。

RPAコンサルタント

現場とクライアントをつなぎ、RPAを的確に導入させるのがコンサルタントの役割です。クライアントに現在の業務内容を聞いたうえで、どのようにRPAを取り入れるべきなのかを提案します。RPAの応用方法は多種多様であり、どれだけクライアントの問題点を浮き彫りにできるかがコンサルタントの資質です。コンサルタントはフローチャートによってクライアントにRPA導入イメージを説明したり、費用の見積りや研修を担当したりと業務は多岐にわたります。

エンジニアから出発してコンサルタントになる人もいます。クライアントの信頼を得るために、RPAの操作性、プログラムに関する知識は大切だからです。一方で、コンサルタントはクライアントの立場になって業務を俯瞰(ふかん)できる視野も身につけなくてはなりません。RPAの知識だけに限らず、経営や経済についての基本は押さえておくべきでしょう。さらに、クライアントにRPAのメリットを魅力的に説明できるだけのプレゼンテーション能力も備えておくべきです。

案件特集:RPAコンサルタントの求人案件

RPA案件の特徴

ここからは、フリーランスのRPA求人や案件の特徴について紹介します。RPA案件に関しても、案件毎にもとめられる人材像や難易度、単価は異なります。あくまで大枠の傾向になりますが、押さえておきましょう。

RPAツールを使って開発する

まず、RPAは専用ソフトウェアによって開発するのが特徴です。主なものとしては「WinActor」や「UiPath」が有名です。いずれのツールを用いてRPAを開発するかはケースバイケースなので、クライアントとのヒアリングに応じて使い分けるようにしましょう。注目するべきポイントはまず、「スムーズな導入が可能かどうか」です。クライアントの業務内容に合っていなかったり、操作性が難しかったりすると導入は上手くいきません。また、海外発のツールも少なくないので、日本語によるマニュアルが用意されているかもチェックするべき要素です。

エンジニア側の作業や工数についても見逃さないようにしましょう。RPA開発では往々にして、膨大なデータ量を取り扱うこととなります。データの取り込みが遅いと作業が滞るばかりでなく、完成後の使い勝手にも影響するので適切なソフトウェアを選びましょう。エンジニアの意見も取り入れてツールを選定するのが無難です。そのほか、既存システムとの相性も確認しておきたいところです。RPAを導入することによって、クライアントの既存システムに影響が出てはなりません。互いに干渉しあわないツールで作業を進めましょう。

VBAやシステム開発の経験をいかせる

RPAの世界では、他分野から生かせるスキルや経験もあります。まず、「VBA」に詳しい人は活躍のチャンスが広がるでしょう。VBAとはMicorosoft Officeに含まれているアプリの拡張機能です。ユーザーがプログラムを打ち込むことで、さまざまな処理ができるようになります。あるいは、処理を行うためのプログラム言語を指すこともあります。VBAをそのままRPAに使用するとは限らないものの、プログラミングの基礎を学べているという点では有利でしょう。

さらに、ロボット以外でもシステム開発に携わってきた人は、スキルの応用が効きます。特に、エンジニアの立場からシステムを組み立て、プログラマーに指示を出していた経験があるなら業界からも重宝されるでしょう。グループウェアや生産管理など、社内システムの開発経験者はRPAでもクライアントの求めているポイントが理解しやすくなります。

コンサルタント・PMなど高単価な案件もある

フリーランスでRPA関連の仕事を始めた場合、当初は単価が安いのではないかと不安になる人もいるでしょう。しかし、RPAにおける収入状況は個人の資質で左右されます。もしもスキルや経験を備えている技術者であれば、順調に高単価案件を受注できることも珍しくありません。たとえば、RPAの導入やクライアントの業務改革を上流工程から担当するコンサルタントは、希少価値のあるポジションです。技術に関する知識だけでなく、コンサルティングの経験値も求められるので、求められるスキル要件は高いですが契約候補となる企業はたくさんあります。

また、プロジェクトマネージャー(PM)のポジションにつける人材も、多くの企業が探しています。優れたスキルがあっても、チームを統括できるエンジニア・コンサルタントはまれです。プロジェクトが大きくなればなるほど、プロジェクトを円滑に進められる人間の価値は高まるでしょう。PLなどシステムエンジニア(SE)としての管理職経験もアピールポイントになりえます。

RPAで自動化できる業務

経理や人事などのバックオフィス業務や事務作業はRPAが最も活用される分野です。民間だけでなく役所や公官庁なども対象となります。そのような場所では、必須ではありながら人間の手で行うとかなりの時間が奪われてしまう仕事があります。RPAを利用することで、こうした作業について自動化を図ることができます。

たとえば、給与計算や人事評価、取引履歴・購買履歴、売上・経費処理などの集計や膨大なデータをシステムに取り込む作業などはRPAでかなり簡略化できます。また、システムによって算出された図表、数値を元にして資料を作成するなどの仕事も、RPAに任せられるでしょう。

そのほか、「マーケティング」の分野でもRPAは注目されています。マーケティングではインターネットを利用し、トレンドや口コミの情報収集が欠かせません。この作業をロボットに任せると、正確性が高まるだけでなく収集量も格段に増えるでしょう。主観が介在しにくくなるのもメリットです。

また、「営業・セールス」といった部門では、新規開拓のリスト抽出やCRMでの入力作業などでRPAを有効活用できます。取引履歴や顧客とのコミュニケーションをデータベースに蓄積することで、ある商品・サービスに対し、営業をかけられそうな見込み顧客の抽出もRPAで効率化することができます。人間が顧客リストと格闘する時間や入力の手間が省略され、効率的な営業活動が実現します。

RPAの需要・将来性

単なる業務効率化を越え、RPAが多くの企業で欠かせないシステムになりつつあるのは、「意思決定」までもロボットに委ねられる画期性があったからです。これまでの業務効率化ソフト・システムはあくまで、人間の単純作業をサポートすることに重きが置かれていました。

しかし、RPAは作業を短縮化するだけでなく、データを条件に則して収集し、結論を導くまでの一連の流れをスムーズに自動化したのです。当初は銀行など、ル-ティンワークに追われていた一部の業界で導入されていたRPAが、さまざまな分野に応用されるまで時間はかかりませんでした。2016年ごろから急速にRPAの需要は高まっています。

フリーランスの活動を考えている人からしても、RPAはとても将来性のある業界だといえます。働き方改革の影響によってワークバランスが見直されている昨今、「無駄な作業を簡略化しよう」と考える企業は増えてきました。RPAは、残業や休日出勤の多い企業の解決策にもなりえるシステムです。システムエンジニアやプログラマーとしての経験があるなら、目指してみても損はないでしょう。

ただし、仕事を始めるにあたって、RPA業界独自の傾向は押さえておきましょう。RPAは新しいビジネスだけに、ほかの業種と比べて指針とするべき前例がそれほどありません。だからこそ、少ない情報量をかき集めながら業務に生かすことが大切なのです。

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