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サーバーエンジニア案件の単価は?フリーランスで独立する前に

サーバーの構築や保守・運用を行う職業が「サーバーエンジニア」です。サーバー・インフラに関する案件は安定した需要があり、正社員として働いた後、独立してフリーランスの道を選ぶ技術者も増加しています。

この記事では、サーバーエンジニアの単価相場や年収、フリーランスとして独立する方法を解説します。仕事やスキル、将来性なども見ていきましょう。

フリーランスのサーバーエンジニアという働き方

サーバーエンジニアは企業の情報基盤を支えるインフラ系のIT技術職です。昨今さまざまな案件でクラウド化が進んでいますが、オンプレ環境での構築や運用についても継続的な需要が見込まれています。そのような状況から、サーバーの設計や運用・保守を担当するエンジニア人材の不足に苦しむ現場も多いのです。人材確保の手段として注目を集めているのがフリーランスとして活躍するサーバーエンジニアです。

サーバーエンジニアとは

ITエンジニアの職種には専門分野の異なる様々なポジションがあります。そのなかで、サーバーエンジニアは、サーバーの管理・運用、設計・構築を行うエンジニアの事を指します。サーバーエンジニアにはWindowsやLinuxなどのOSやセキュリティなどソフトウェアだけでなく、サーバー機器に関するハードウェアの知識も必要です。用途や規模にあわせサーバー性能の見積りを行うことや、データセンターでの保守・運用業務に従事するなど仕事内容も様々です。システムが24時間稼働するための障害対応や監視業務などを担当することもあり、IT社会となった現代ビジネスシーンにおいて、サーバーエンジニアが担う役割は企業にとっても重要度が高いものとなっています。

サーバーとは

サーバーは、ネットワークに接続した状態で他のコンピュータからの通信に応答するコンピュータのことです。サーバーには、用途ごとに様々な種類が存在します。具体的には、Webサーバー、アプリケーションサーバ、メールサーバー、DNSサーバー、ファイルサーバー、データーベースサーバー、FTPサーバーなどが挙げられます。

サーバーに保管した画像やテキストなどのファイルを社内で共有することができますし、サーバーを利用することで外部のユーザーにサービスを提供することも可能になります。

ネットワークエンジニアとの違い

サーバーエンジニアと混同されがちな職種にネットワークエンジニアがあります。どちらの職種もITの情報基盤を支える「インフラエンジニア」という点では共通していますが、活躍する領域が異なります。サーバーエンジニアが「サーバー」の構築・運用・保守を業務対象にしているのに対して、ネットワークエンジニアはスイッチやルータを介した「ネットワーク」を業務対象としている点に注意しましょう。

サーバーエンジニアの単価相場・収入

サーバーエンジニアは企業からの需要が高い一方で人材不足となっており、フリーランスの単価相場としては比較的高い水準です。ここでは多角的にサーバーエンジニアの収入状況を見てみましょう。

サーバーエンジニア案件の単価相場(フリーランス)

業務委託で契約する案件の単価相場はフリーランスのような働き方をする人にとっては特に重要な要素です。サーバーエンジニア案件の単価相場や高収入案件の条件は次のようになっています。

一般的な単価相場は60万円前後

例えばPHPやJavaといった主要なプログラミング言語のアプリを動作させるにはLinuxサーバーを構築する必要がありますが、そのようなLinuxサーバー構築の単価相場は週5日常駐した場合の月額で60万円前後と言われています。同じサーバーエンジニアの案件でも専門的な知識や技術が求められる内容や、希少性が高いスキルを持つフリーランスが請け負う仕事は比較的高単価の案件が多いです。

実務経験年数別の単価相場目安

サーバーエンジニアのフリーランス案件に関する単価相場は、実務経験の年数によって報酬に開きがあるので注意しておきましょう。例えばほとんど実務経験のない駆け出しの場合は業務の一部のみを担当する案件が多いため、一般的な単価相場は20万円強と言われています。実務経験年数を重ねるに連れて2年以上で約30万円、3年以上で40万円程度、4年以上の実務経験があれば能力に応じて約50万~90万円程度まで単価を伸ばす事も可能です。

サーバーエンジニアの平均年収(正社員)

正社員のサーバーエンジニアとして働く場合の平均年収は、大手転職支援サイトのDODAによれば約486万円とされています。全業種の平均年収が420万円程度である事を考慮すると、サーバーエンジニアの平均年収は企業勤めでも高い部類と言えるでしょう。

サーバーエンジニアの仕事内容

サーバーエンジニアの仕事内容は「構築系」と「保守系」の2種類に大別出来ます。それぞれに細かい作業が必要となってくるので、予め概要を整理しておきましょう。

サーバー機器の構築

構築系の業務にはソフトウェアに関する知識はもちろん、ハードウェアを直接取り扱う知識と技術も重要になってきます。主な構築系の業務は以下の3種類です。

設計・サーバー選定

ひとくちにサーバーといっても、webサーバー・メールサーバー・ファイルサーバーなどその種類は多岐に渡ります。どんなサーバーが何台必要になるのかをクライアントやシステムエンジニア達と協議して、スペック・コストを加味した上でサーバーの選定・設計を行う事がサーバーエンジニアの重要な仕事です。

ラッキング・配線

設置するサーバーの設計と構築が終わったら、それらを現地のラックに組み込んで配線する事もサーバーエンジニアの業務です。無駄のない配線でキレイに整えておく事で予期せぬ事故を防ぎ、後々のメンテナンスも楽になります。

OS・サーバー設定

構築系業務でもOSやサーバーの選定にはソフトウェアの知識が必要になってきます。クライアントの事業内容によって必要なアプリや適切なOSは異なるため、案件内容に応じて最適なソフトウェアをインストールしましょう。サーバーシステムとしてはLinuxとWindows Serverが大きくシェアを占めています。

サーバーの運用・保守

サーバーエンジニアは構築・設定したサーバーを納品した後のフォローアップも忘れてはいけません。サーバーの適切な運用・保守はクライアントとの信頼関係を築くために重要な業務なのです。

設定の変更

サーバーが納品前の設定で半永久的に使い続けられる事はまずありません。OSのバージョンアップやアプリケーションのアップデートなどで端末自体の設定を変更する必要が出てくる場合もあるのです。また、メールサーバーへのアドレス追加やサーバー増設などもサーバーエンジニアの業務範囲内となっています。

監視・障害対応

サーバーエンジニアはサーバーに対して不審なアクセスやエラーが発生していないか監視します。とは言え目視で四六時中監視するという訳ではなく、監視用のプラグラムを動作させて異常が確認された場合にチェックするというのが一般的です。

バックアップ

どんなに万全を期していても、予期せぬアクシデントが起きてします可能性は0ではありません。そうした場合にそなえて定期的にバックアップを保存する仕組みを整えておく事も大切です。こまめにバックアップ状態を確認して、問題が発覚したら迅速に設定し直すよう心がけましょう。

フリーランスのサーバーエンジニアになる前に

フリーランスという働き方は名乗ってしまえば成立こそしますが、安定した収入を得られるかどうかは実力次第の世界です。ここからはフリーランスのサーバーエンジニアとして独立するための心得をご紹介します。

実務経験を積んだ後に独立するのが基本

前述の通り、フリーランスのサーバーエンジニアは実務経験年数によって単価相場が変動するというのが一般的です。したがって、独立してすぐに稼ぎを安定させたいのであれば企業へ就職するなどして実務経験を積んでおくのが基本と言えます。現実問題として、実際のサーバー構築や運用などの業務は自学自習で取り扱い方を学ぶのが難しいという点にも留意しておきましょう。未経験からフリーランスを目指す場合でも、まずは転職活動をおこないましょう。

サーバーエンジニアに求められるスキル

サーバーエンジニアはエンジニア職の中でも特殊性が高く、幅広い専門知識やスキルが求められます。効率的に学習を進めるためには、求められる要素をしっかり把握しておく事が重要です。

ハードウェアに関するスキル

エンジニアと言えばプログラミングスキルやソフトウェア関連の知識を連想する人も多いでしょう。そんな中でサーバーというハードウェアに関するスキルが求められるのはサーバーエンジニアの大きな特徴とも言えます。CPUやメモリといった部品の知識だけでなく、電源周りや設置環境を整えるための技術も必要です。

サーバー構築スキル

クライアントによって必要とするサーバースペックが異なるので、サーバー構築スキルはハード・ソフト両面の知識をバランス良く備える事が重要です。場合によっては1台のサーバーの中に複数のサーバーを立ち上げる事もあります。

ネットワークのスキル

大企業であればネットワークエンジニアとサーバーエンジニアが分業する事もありますが、中小企業の場合はサーバーエンジニアがネットワークの設定も担うケースが多いです。ここでもハード面・ソフト面の双方における幅広い知識が求められます。どんなに優れたサーバーを組み上げても、ネットワークの設定が適切に行われていなければシステムとして機能しないため重要なスキルです。

セキュリティに関するスキル

サーバーには企業活動の生命線となるネットワークや重要な情報が存在します。そのため、外部からのハッキングや情報漏洩を防止するための堅牢なセキュリティシステムを組む必要があるのです。IPアドレスの識別やアクセス制限など、基本的なセキュリティの知識を身につけておきましょう。

未経験からサーバーエンジニアになるには

サーバーエンジニアは基本的に経験者優遇ですが、未経験でも案件を獲得したり採用を勝ち取ったりする事も可能です。その際には効率的な方法を採る事が重要になるため、ここで2つのパターンをご紹介します。

運用・保守の求人に応募して就職・転職する

実務経験を積むためにサーバーエンジニアとして就職するのであれば、保守・運用の求人に応募するようにしましょう。サーバーエンジニアのキャリアは下流行程である保守・運用業務から始めるのが一般的と言われており、そこでスキルと技術を培って上流工程の構築業務も担当出来るようになるのです。

インフラスキルを学べるスクールに通う

就職以外では、インフラスキルを学ぶ事の出来るスクールに通うという方法もあります。慢性的なエンジニア不足を解消するために民間でも多くのエンジニアスクールやセミナーが開講されており、体系的に知識とスキルを身につける事が可能です。しかしそれだけでは実力を証明するには至らないので、最終的には資格の取得を目指すのが良いでしょう。

安定的に稼ぎながらスキルアップするには

フリーランスという働き方は自由度の高さが魅力的ですが、案件獲得に対する取り組み方を間違えると仕事がなくなってしまうリスクも孕んでいます。さらに、未経験から活動を始める場合にはスキルアップを図ってより一層高単価な案件に繋げる努力も重要です。安定した収入を確保しつつスキルアップを図るには以下の点に気をつけましょう。

高単価な案件を確保する

収入的な不安を解消するためには安定して案件を確保しておく必要があります。サーバーエンジニアの案件はひとつひとつがそれなりに作業期間を要するため、現在進めている案件をこなしながら別の案件を探すといった事も可能です。その際には進めている案件の納期や次の案件の着手日などに十分注意しましょう。単価の低い小規模案件を多くこなすよりも、高単価案件にじっくり取り組む方が効率的に経験値が高まり高まります。

インフラ全体を最適化できるようスキルを磨く

サーバーエンジニアは企業の活動基盤を整える「インフラ系」エンジニアに分類されます。インフラはサーバー・ネットワーク・データベースなど様々な要素から構成されており、サーバーエンジニアにはこれらについて幅広くカバー出来るスキルが必要です。安定したインフラを構築するためには、案件を通じてインフラ全体の最適化を図るためのマクロな視点を養う事も心がけましょう。

セミナーや勉強会に参加する

エンジニア向けに開催されているセミナーや勉強会は、フリーランスの人でも参加出来るものが多いです。ひとりで作業する事の多いフリーランスエンジニアにとってこうした学習の場は貴重と言えます。知識を深めるもよし、他の参加者や講師との人脈を作るもよし、可能性の広げ方は自分次第なのです。

高単価なサーバー・インフラ案件を獲得するために

フリーランスのサーバーエンジニアとして高単価案件を獲得するためには、企業が重要視するポイントを押さえて経験や知識を積み重ねるのが近道です。具体的には以下の3つが大きなポイントとなっています。

サーバー設計など上流の経験

サーバーエンジニアの業務はサーバー設計や構築といった上流工程にベテランスタッフを配置するのが一般的です。そのため、上流工程の実務経験があれば高単価案件の獲得にも大きく近づく事が出来るでしょう。上流工程を任せてもらえるまでは企業に勤める、あるいは自分でも採用してもらえそうな上流工程の案件には積極的に着手するなどの取り組みが重要です。

アーキテクトの知識とスキル

サーバーエンジニアはシステムの根幹を成すサーバーの設計を担当するポジションです。そのため、クライアントの要求を満たすために何が・どの程度必要になるかを物理的・システム的に把握しておく必要があります。優秀なサーバーエンジニアにはこうしたITシステムを設計・構築する「アーキテクト」としての高度な知識が備わっているのです。

クラウドサーバーの知識とスキル

技術の進歩によって物理的なサーバーを用いない「クラウドサーバー」という方法も広まりつつあります。厳重なセキュリティ体制が求められる一方で、ハードウェアの設置場所や物理的なメンテナンスが必要ないため低コストというメリットやスピーディーに導入できる点が魅力です。クラウドサーバーに精通したサーバーエンジニアは多くないため、先んじて知識とスキルを身につけておけば高単価案件を獲得するチャンスが増えるでしょう。

サーバーエンジニアに役立つ資格

実務経験を経ずにフリーランスのサーバーエンジニアを目指す、または更なる高単価案件獲得を希望するには資格による実力証明が特に重要なポイントとなるでしょう。以下ではサーバーエンジニアに関する代表的な資格を4つご紹介します。

MCP(マイクロソフト認定資格)

MCP(マイクロソフト認定資格)は世界150ヶ国以上で実施されているグローバルな資格です。Windowsサーバーに関する知識や技術を認定する試験となっており、難易度は易しいものからMCSA・MCSE・MCSDの3段階となっています。

LinuC(Linux技術者認定)

サーバーエンジニアとして避けては通れないシステムであるLinuxサーバーの構築・運用・管理についての技術力を証明するにはLinuC(Linux技術者認定)がおすすめです。LinuCは物理環境だけでなく仮想環境も含めた技術領域をカバーする内容になっているので、これからの現場で役立つ認定資格ということができます。難易度はLinuCレベル1/レベル2/レベル3の3段階であり、各試験で問われる技術難度が異なります。まずはLinuCレベル1の認定取得に向けて対策しておきましょう。

CCNA

CCNAは世界最大手のネットワーク機器メーカーと言われるCisco Systems(シスコシステムズ)が実施している資格試験です。この資格は「エントリー」「アソシエイト」「プロフェッショナル」「エキスパート」「アーキテクト」の5段階あるCisco技術者認定のアソシエイトにあたります。ITエンジニアの幅広い知識を問う資格ですが、CCNAはサーバーやネットワークに関する出題がメインです。

CCNP

CCNAと同じくCisco技術者認定のひとつであるCCNPは難易度プロフェッショナルにあたる資格です。主に大規模ネットワークの保守・運用に関する知識が問われます。ネットワークエンジニア寄りの資格ですが、サーバーエンジニアでもこの資格を取得しておく事で他者との差別化が可能となるでしょう。

サーバーエンジニアの今後の動向、将来性

ITの世界は日進月歩で進化し続けています。最後に、サーバーエンジニアの今後の動向や将来性について確認しておきましょう。

クラウドの普及

総務省の統計によれば、一部だけでもクラウドサービスを利用している企業は2013年時点で33%だったのに対して、2017年には56.9%にまで増加しています。コストやメンテナンス面の優位性からクラウドサーバーの導入を検討している企業も多く、サーバーエンジニアとしてはクラウドに関する知識と技術を身につけておく事が生き残るために重要となるでしょう。

サーバーレスの浸透

OSメンテナンスやパッチ更新といったサーバー管理をクラウドプロバイダーが行う「サーバーレス」という形式も誕生しています。サーバーエンジニアとしての保守・運用業務はこうした形で軽減されていく事が予想されるため、構築・設計業務の重要度が高まると言われているのです。

サーバー・インフラの需要はなくならない

業務内容に多少の変動こそあれど、サーバー・インフラ業務が企業活動を根底から支える重要なポストである事には変わりありません。サーバーエンジニアの需要が無くなるという状況は考えにくく、市場の需要は今後も高い水準を保っていくと言えるでしょう。

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