データマイニングエンジニアの仕事とは?必要なスキル経験などを解説

データマイニングは多くの業界でおこなわれており、データドリブンなビジネスを行う際には欠かせない存在となっています。
本記事ではデータマイニングを仕事とするエンジニアの仕事内容や必要なスキル・経験、想定される年収について解説します。
目次
データマイニングとは

データマイニングとは、主に統計学や機械学習の手法を駆使して大量の複雑なデータからパターンや知識を抽出し、有益な情報を取り出してマーケティングなどに活用することです。とくに企業や研究機関では、データマイニングを活用して効果的な意思決定や将来の予測を行っています。さまざまな情報が収集できるようになった近年ではデータマイニングの重要性が急速に増しており、ビッグデータ時代においては不可欠なツールとなっています。
データマイニングを行うための手順3つ
データマイニングの目的は、企業が収集した膨大なデータの中から有用な知見を発見し、データに裏付けられた意思決定を行うことです。 データマイニング実施で前述したように、データマイニングエンジニアはさまざまな手法を用いてデータの集まりから必要な情報を引き出しています。
では、具体的にどのような手順で行うのか、手順3つを解説します。
可能であれば事前にデータウェアハウス(DWH)を設ける
データマイニングには大量のデータが必要です。 データの収集と管理を適切に行うために、大量のデータを効果的に扱うためのデータウェアハウス(DWH)を設けることが有効です。
データウェアハウスは、業務で発生した基幹系の情報を時系列で大量に保管しておくことが可能な倉庫のような役割であり、データマイニングに適切な形でデータが提供されます。
データウェアハウスの定義としては、下記の4つがあげられます。
- データを時系列にストックしている
- データを消すことがない
- データがサブジェクトごとに保管されている
- データラベルが統合されている
また、セキュリティを向上させる機能も備わっているため、データの保護も担保されます。 上述したことから、可能であればデータウェアハウスを設けることをおすすめします。
データ収集における目的を決め実際にデータを収集する
データマイニングのプロセスのひとつとして、データ収集における目的を決め実際にデータを収集することは欠かせません。
データマイニングで、何が知りたいのか目的を明確にしプロジェクトの範囲を特定することで、問題や課題を解決するための目的に沿ったデータを収集します。 収集したデータの内容と量は、データマイニングの成功には欠かすことができず、結果を大きく左右します。
情報が集まったら動作可能な状態へ加工を行う
収集された状態の一次データの品質チェックを行わないまま、分析や活用するのは非常に難しいです。 なぜなら、一次データをそのまま分析や活用するのは信頼性の面で難しいため、事前に動作可能な状態へ加工を行う必要があるからです。
企業にとって必要なデータとは信頼性の高いデータであり、信頼性の高いデータ分析をする上で、動作可能な状態に加工する工程は、データの信頼性を高めるために必須です。
データマイニングエンジニアの仕事内容

データマイニングエンジニアとは、データマイニングについて専門的に扱うエンジニアです。それでは、具体的にどのような仕事内容があるのでしょうか。ここでは大きく3点を紹介します。
データ分析のための環境構築
データマイニングをおこなうには、まずデータ分析の基盤となる環境を構築する必要があります。データの正確な収集、整理、保存をおこなうためには、適切なデータベース設計やクエリの最適化が欠かせないためです。また、クラウドサービスやデータ分析ツールといったシステムを効率化できるツールを効果的に導入し、データにスムーズかつ迅速にアクセスできるようにする役割もあります。データマイニングエンジニアはこのような環境構築を通じて、データの迅速な分析や、分析結果のスムーズな活用を可能にしているのです。
データ分析・検証
データマイニングエンジニアはデータを詳細に分析し、そこから役立つデータを抽出したり、異常値・欠損値を検出して不具合を見つけたりする役割を果たしています。ここでは統計手法や機械学習アルゴリズムを駆使しており、膨大なデータから効率的に情報を引き出します。データの信頼性や精度をふまえて必要に応じて前処理をおこなうことで、分析の信頼性を向上させるのも大切なポイントです。これらのデータ分析・検証によって、ビジネスや研究機関は信頼性の高いデータに基づいた意思決定ができるようになっています。
データマイニングの実施
データマイニングエンジニアは、さまざまな手法を用いてデータの集まりから必要な情報を引き出しています。クラスタリング・分類・回帰などの機械学習や、自然言語処理などの手法です。これによりデータから傾向やパターンを発見し、企業は市場動向の予測や意思決定に役立つ情報を手に入れることができます。そのため、データマイニングエンジニアはこれら最新のアルゴリズムや技術の動向に敏感である必要があり、最先端の手法を取り入れながら、より正確で効果的なデータ解析をすることが求められるのです。
データサイエンティストとデータマイニングエンジニアの違い
データサイエンティストとデータマイニングエンジニアは、どちらもデータに関する専門家ですが、それぞれの役割には異なる点があります。大まかに説明すると、データサイエンティストは主にデータを活用したビジネスの課題解決を目的とするのに対し、データマイニングエンジニアは、技術的な手法やツールを開発・応用をすることに特化しています。
データマイニングエンジニアに必要なスキル・経験

それでは、データマイニングエンジニアにはどのようなスキルや経験が求められるのでしょうか。ここではとくに重要な5つの項目について見ていきましょう。
統計学の知識や経験
データマイニングエンジニアには統計学の知識と経験が不可欠です。膨大なデータから有益な情報を引き出すためには、統計の手法を理解し、適切に利用できる能力が必要であるためです。科学的に効果のある統計学的手法を用いることでデータ分析の信頼性を高め、意義ある結果を出すスキルや経験が求められます。また、統計学の知識を持っていることは、どのデータがどのような特性を持っているか、どのデータにどの分析手法を利用するかを選択する上でも重要なスキルです。
プログラミング言語
データマイニングエンジニアは主にITシステムを活用してデータ処理をおこなうため、プログラミング言語のスキルも必要です。近年ではとくにPythonやR言語などが主に利用され、データの前処理・分析・機械学習モデルの構築を行います。データを効率的かつ柔軟に処理するアルゴリズムを実装するため、プログラミングは欠かせないスキルです。また、これらの技術は次々に新しいライブラリやフレームワークが開発されているため、これらを迅速に検証・導入できるよう最新技術に敏感であることも必要なスキルのひとつといえるでしょう。
機械学習
データマイニングエンジニアはデータを扱う手法として機械学習についてもよく知っている必要があります。機械学習とは、さまざまなデータをコンピュータに学習させることでその傾向を見つけ、今後の予想をおこなう手法です。機械学習にはさまざまモデルが存在するため、それぞれモデルの特徴を理解して最適なモデルを選択し、トレーニングやテストをおこなうことができるスキルが求められます。機械学習は大規模なデータ分析において強力なツールであるため、今後さらに処理するデータ量が増えれば、より重要なスキルとなっていくでしょう。
SQLに関する経験や知識
データマイニングエンジニアは、データベースを扱う言語であるSQLに関する経験や知識も重要視されます。SQLについてよく知っておくことで、データの格納方法を最適化し、データベースから必要な情報を抽出することができるためです。データマイニングにおいて、このようなデータの正確で適切な取得はとても大切で、SQLを適切に利用すればデータセットの取得や結合、集計を効率的におこなうこともできます。このように、SQLは大規模なデータベースからのデータ処理においてとくに有益なスキルなのです。
自然言語処理
自然言語処理(NLP)の知識も、データマイニングエンジニアには欠かせないスキルです。自然言語処理とは人間が用いている言語を情報抽出やテキストマイニングなどの技術を駆使して分析し、意味あるデータを引き出すことです。自然言語処理を理解しているデータマイニングエンジニアは、クチコミやユーザーレビューなど構造化されていないデータからも価値ある情報を抽出することができます。このようなテキストデータはインターネット上にあふれているため、これらを適切に解析できる自然言語処理の学習は欠かせないといえるでしょう。
データマイニング案件の単価や想定年収
データマイニングエンジニアの需要は急速に増加しているため、その単価や想定年収もほかの職種より高い傾向にあります。データマイニング案件の単価はプロジェクトの規模や難易度によって大きく変動しますが、平均で月単価75万円ほどといわれています。これを12ヶ月で換算すると、年収900万円ほどです。ただし当然、これらの単価はスキルや経験によっても異なります。実務経験を要しない案件では30~40万円程度のものがあり、年収は400万円ほどとなっています。
データマイニングエンジニアとして取得しておきたい資格はある?

データマイニングエンジニアにとって必須の資格はありませんが、取得しておきたい資格をいくつかご紹介します。
統計検定
統計検定は、統計に関する知識などを評価しデータ分析、問題解決能力を証明することを目的とした検定です。 また、データ分析の基礎をはじめとした幅広い知識を習得することができます。
Python3エンジニア認定データ分析試験
Python3エンジニア認定データ分析試験はPythonの基本的な文法の知識を中心に問われる試験です。 また、数学の基礎に加えてライブラリによる分析実践などの設問があるため分析の分野を深く学ぶことができます。
データベーススペシャリスト試験
特定のソフトに特化した試験ではなく、データベースに関する体系的な知識を身につけることができる試験です。 上記の他にも資格はたくさんありますが、あなたが目指すキャリアプランにあった資格に挑戦することが、キャリアアップのステップになります。
データマイニングエンジニアのキャリアパス
データマイニングエンジニアのキャリアパスは多岐にわたり、個々の経験や志向によって異なりますが、ここでは一般的なものを紹介します。まず、初めてデータマイニングエンジニアとしての職に就いた場合、最初の数年間は実際のプロジェクトの経験を通じて基本的な能力を高めることになるでしょう。その後はより高度なプロジェクトのリーダーなどマネジメントのポジションに進むか、より専門的なスキルを身に着けてスペシャリストとなるかにわかれます。プロジェクトマネージャーはプロジェクト全体を俯瞰し、ビジョンを具現化する力がとくに重要です。最終的には企業内のリーダーやコンサルティングのポジションに進むこともあります。スペシャリストとしてのキャリアは、専門的な分野へ特化するのも一つの選択肢です。たとえば自然言語処理や画像認識など、特定の領域においてエキスパートとなることでより単価を上げることができるでしょう。
データマイニングエンジニアの将来性
データの量が爆発的に増加し、そこから価値ある情報を抽出する能力がますます企業にとって重要になっている現在、データマイニングエンジニアの将来性は非常に高いです。とくに人工知能や機械学習の進化に伴いデータマイニングエンジニアの役割はますます多岐にわたるようになっています。これらの新たな技術や手法の導入によって高度な分析や予測を行い、ビジネス上でのより迅速で正確な意思決定を行えるようになるため、リアルタイム分析などの分野でも今後さらに需要が高まるでしょう。
まとめ
データマイニングエンジニアは、さまざまな専門知識を必要とする職種ですが、データの価値がますます認識される中で、今後も市場価値は上昇し続けるでしょう。データマイニングエンジニアの将来性は非常に高く、さらに技術の進化も伴って、ビジネスにおいて不可欠な存在です。データの価値を最大限に引き出して企業をサポートするデータマイニングエンジニアは、今後ますます重要な職種となっていくことが予想されます。

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