BIエンジニアとは?業務内容や必要なスキル、年収やキャリアパス、将来性を解説

IT化やDX化の推進により、BIエンジニアの需要が高くなってきました。BIエンジニアとは、BIツールの開発や設計といったデータ分析に関わる技術を専門とするエンジニア職です。
本記事では、BIエンジニアの基礎知識から、業務内容、求められるスキル・知識、取得しておきたい資格、年収などを解説します。キャリアパスや将来性についても解説するので、ぜひ最後まで読み進めてください。
目次
BIエンジニアとは?役割やスキルと将来性
BIエンジニアは、企業のデータ活用を技術面から支える職種です。以下では、BIエンジニアの役割や必要とされる理由、必要なスキルや知識、活用される主なツール、将来性について解説します。
▼ BIエンジニアとは?(クリックで移動)
BIエンジニアとは?役割や必要とされる理由
BIエンジニアは、データ分析に関わる技術を専門とする技術者で、データを見える化・利用可能な状態に整える役割を担います。
BIエンジニアが扱う「BI(ビジネスインテリジェンス)」とは、企業に蓄積された業務データを収集・分析・加工し、経営や業務の意思決定に役立てる考え方です。この意思決定を支えるソフトウェアや情報システムは「BIツール」「BIシステム」と呼ばれ、オンプレミス型(自社でサーバーを保有し運用する形態)と、インターネット経由で利用するクラウド型があり、企業の運用方針に応じて使い分けられています。
BIは経営の意思決定に活用されるものであるため、BIエンジニアには技術面から経営層の意思決定を支える役割が求められます。BIツールを導入したいと考えていても、技術的なハードルから活用が進まない企業も少なくありません。そのため、データベースの知識やBIツールへの理解を持つBIエンジニアの需要は高まる傾向にあり、それに伴って年収水準も比較的高めとなっています。
BIエンジニアが必要とされる背景には、企業のデータ活用の広がりがあります。かつてはERP(人事・会計・生産管理など、企業の基幹業務を一元管理するシステム)の普及により、企業内に業務データが蓄積されるようになりました。その後、クラウド型BIツールの普及によって、専門知識がなくてもデータを可視化・分析しやすい環境が整い、BI活用の裾野が広がっています。
近年では、生成AIの普及もBI活用を後押ししています。自然言語での問いかけからグラフやレポートを自動生成できる機能が主要なBIツールに搭載されるようになり、データ分析のハードルはさらに下がりました。一方で、こうしたツールを企業のデータ基盤と正しく連携させ、安定して運用するには専門的な技術が欠かせません。そのため、BIツールの導入・実装を担うBIエンジニアの必要性は、今後も高まっていくと考えられます。
BIエンジニアに必要なスキルや知識
BIエンジニアに必要なスキルや知識は主に以下の6つです。詳しく解説します。
BIエンジニアに必要なスキルや知識
- ✓ データベースのスキル
- ✓ データ分析スキル
- ✓ BIツールへの知識・スキル
- ✓ セキュリティに関する知識
- ✓ 統計学の基礎知識
- ✓ SQL、Pythonなどのプログラミングスキル
データベースのスキル
BIでは大量のデータを扱うため、BIエンジニアにはデータベースの基本的な知識や操作スキルが欠かせません。
近年は、クラウド型のデータウェアハウス(DWH)を中心に据えた「モダン・データ・スタック(MDS)」と呼ばれる考え方が普及しており、BIエンジニアに求められるスキルも変化しています。従来のBIツール操作だけでなく、dbt(DWH上でのデータ変換をSQLで管理できるツール)を用いたデータ変換や、データパイプライン全体の設計・管理まで担えるスキルが重視される傾向にあります。
データ分析スキル
BIエンジニアには、蓄積されたデータから傾向や課題を読み取る、データ分析のスキルも欠かせません。
分析に入る前段階として、表記ゆれや欠損値の処理など、収集した生データを分析しやすい形に整える「データラングリング」と呼ばれる作業も重要な工程です。データの前処理が不十分だと、その後の分析結果の精度にも影響します。
近年は生成AIの活用も進んでおり、自然言語で問いかけるだけでグラフの作成や異常値の検出、将来予測ができるツールも増えています。こうした技術によって基本的な分析作業の負荷は下がりつつありますが、その分、BIエンジニアには分析結果を正しく解釈し、ビジネス課題の定義や意思決定支援まで踏み込むスキルがより求められるようになっています。
BIツールへの知識・スキル
BIエンジニアには、BIツールを使いこなし、データを分かりやすく可視化するスキルが求められます。
Tableau・Microsoft Power BIなど、企業によって導入するツールはさまざまなため、特定のツールだけでなく、複数のBIツールを扱える柔軟性も重要です。
近年のBIツールには、自然言語でのデータ分析やインサイトの自動生成といったAI機能が搭載されるようになりました。こうした機能によって基本的な操作の負担は軽くなりつつありますが、その分、AIが提示した分析結果や提案が業務の実態に即しているかを見極める判断力が、BIエンジニアにはより求められるようになっています。ツールの操作方法を覚えるだけでなく、現場の課題とデータをつなぐ役割を担えるかどうかが問われます。
セキュリティに関する知識
BIエンジニアには、データを安全に扱うためのセキュリティ知識も欠かせません。
BIツールでは、経営層と現場担当者で閲覧できるデータの範囲を分けるなど、アクセス権限の設計が必要になる場面があります。また、BIで扱うデータには顧客情報や売上情報など機密性の高いものが含まれるため、個人情報保護法をはじめとした関連法規への理解も重要です。
近年はクラウド型のBIツールやAI機能の利用も広がっており、データの保管・通信時の暗号化、AI機能を利用する際の情報漏洩リスクへの配慮など、扱う技術の変化に応じたセキュリティ意識も求められています。
統計学の基礎知識
BIエンジニアには、データから客観的な示唆を導き出すための統計学の基礎知識も求められます。
平均・分散といった基本的な統計量の理解に加え、回帰分析(データ同士の関係性を数式で表し、将来の値を予測する手法)やクラスタリング(似た性質を持つデータをグループ分けする手法)など、データの傾向や関係性を把握する分析手法への理解も重要です。
高度な統計解析までできる必要はありませんが、基礎知識を身につけておくことで、より精度の高い分析や、機械学習を活用した予測モデルの構築にもつなげやすくなります。
SQL、Pythonなどのプログラミングスキル
BIエンジニアには、データベースを操作するためのSQL、データの加工や分析、自動化処理に使うPythonなどのプログラミングスキルも求められます。
SQL(Structured Query Language)はデータベース言語の中でも特に普及しており、データの前処理や集計・抽出に欠かせないスキルです。
近年は、AIコーディング支援ツールを活用してSQL文やPythonコードを自動生成できる場面も増えてきました。自然言語での指示からSQLを生成できる機能も普及しつつありますが、AIが出力したコードが意図通りに動作しているかを確認し、必要に応じて修正できる基礎的なプログラミング知識は、引き続きBIエンジニアに求められる点は変わりません。
BIエンジニアが用いる主なツール
BIエンジニアが用いるツールを紹介します。主なツールは、Tableau・Microsoft Power BI・Data Studio・Actionista!の4ツールです。これらのBIツールを利用して、データ収集・管理・分析を行います。
Tableau
Tableau(タブロー)は、ドラッグ&ドロップなどの直感的な操作で、データの可視化や分析ができるBIツールです。ExcelやCSV、クラウド上のデータベースなど、さまざまなデータソースと接続でき、分析結果をグラフやダッシュボードとして表示できます。
また、生成AIを活用した「Tableau Agent」では、自然言語によるデータ探索やビジュアライゼーションの作成、計算式の作成などを支援します。専門的な操作を効率化できるため、BIエンジニアがダッシュボードの構築やデータ分析を行う際にも活用される代表的なBIツールです。
なお、TableauのユーザーライセンスにはViewer、Explorer、Creatorがあり、それぞれ料金が異なります。
ライセンス料金 ※価格は税別です。請求は1年単位です。| プラン名 | 月額料金 |
|---|---|
| Viewer | 4,200円/ユーザー/月 |
| Explorer | 8,400円/ユーザー/月 |
| Creator | 13,800円/ユーザー/月 |
Microsoft Power BI
Microsoft Power BIは、Microsoft社が提供するBIおよびデータ可視化ツールです。
社内のさまざまなデータを集約し、グラフやダッシュボードとして視覚化することで、データに基づく迅速な意思決定を支援します。 Power BI Desktopではデータの抽出・変換・結合やレポート作成、Power BI ServiceではWebブラウザからレポートの閲覧・共有などができます。また、PCだけでなくスマートフォンやタブレットから利用できるPower BI Mobileも提供されています。Microsoft Fabricと連携してデータ分析基盤を構築できる点も特徴です。
生成AIを活用したCopilotでは、自然言語によるデータ分析をはじめ、レポート作成やDAXの生成などを支援します。BIエンジニアのデータ分析やレポート開発を効率化する機能としても活用されています。
ライセンス料金 ※価格は税別です。請求は1年単位です。| プラン名 | 月額料金 |
|---|---|
| 無料アカウント | 0円/ユーザー/月 |
| Power BI Pro | 2,098円/ユーザー/月 |
| Power BI Premium Per Use | 3,598円/ユーザー/月 |
Data Studio
Data Studio(旧Looker Studio)は、無料で利用できるBIツールです。GoogleスプレッドシートやGoogleアナリティクス、BigQueryなどのデータを接続し、グラフやダッシュボードとして可視化できます。
Data Studioで作成したレポートはデータを更新でき、閲覧者が表示期間を変更したり、指定した条件でデータを絞り込んだりできます。そのため、条件を変えるたびにレポートを作り直す必要がありません。また、Google系のサービスだけでなく、Facebook広告やSalesforceなど、さまざまな外部サービスのデータにも接続できます。
また、Geminiを活用したAI機能も提供されています。Conversational Analyticsでは、自然言語でデータについて質問し、分析結果を確認できます。さらに、自然言語による計算フィールドの作成支援や、Data StudioのレポートをGoogleスライドのプレゼンテーションに追加する機能などもあります。なお、一部のGemini機能はData Studio Proで利用できます。
ライセンス料金 ※Data Studio Proは、契約期間などによって料金が異なる場合があります。| プラン名 | 月額料金 |
|---|---|
| Data Studio | 0円/ユーザー/月 |
| Data Studio Pro | 9ドル/ユーザー/プロジェクト/月 |
Actionista!
Actionista!(アクショニスタ)は、株式会社ジャストシステムが提供する純国産のBIツールです。専門知識がなくても、Webブラウザ上でデータの集計・分析やレポート作成を行えます。
ドラッグ&ドロップで集計表を作成できる「クイックピボット」や、予実・変動・相関などの分析シナリオからグラフを作成できる「分析ウィザード」など、直感的に操作できる点が特徴です。開発・販売・サポートまでジャストシステムが一貫して対応しており、日本語でサポートを受けられます。
また、クライアントフリーのサーバーライセンスを採用しており、1ライセンスの購入で企業内のすべてのユーザーが利用できます。 さらに、過去データの傾向や季節性をもとに、将来の売上やコストを予測するシミュレーション機能も備えています。分析結果をグラフや集計表で確認できるため、データに基づいた意思決定を支援します。
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BIエンジニアの将来性
BIエンジニアは、今後も需要が期待される職種です。
その背景として、将来的に日本ではIT人材不足が深刻化すると予測されています。具体的には以下の通りです。
- 2030年に約45万〜最大79万人のIT人材が不足すると予測
※経済産業省「IT人材需給に関する調査」を参考 - 特にAI・先端IT人材の不足が深刻
※経済産業省「デジタルスキル標準」Ver.2.0(PDF)
背景には、企業のDX推進やデータ活用ニーズの拡大があります。近年はAI活用も進んでおり、データを収集・分析し、経営や業務に活用するための人材が重要になっています。
経済産業省も2026年4月のデジタルスキル標準改訂で、AI活用の前提となるデータ整備・管理・利活用の重要性が高まっているとしています。 BIエンジニアは、企業のデータ活用を技術面から支える職種です。IT人材の不足やデータ活用の重要性が高まる中、今後も活躍の場が広がると考えられます。
BIエンジニアの求人市場動向
ITエンジニアの求人市場は、引き続き活発な状況にあります。
dodaの転職求人倍率によると、2026年7月の「エンジニア(IT・通信)」の転職求人倍率は7.06倍でした。ITエンジニアの採用需要は高く、企業がIT人材を確保しようとしている状況がうかがえます。
特に、企業のDX推進やデータ活用が進むなか、BIツールの導入・運用だけでなく、データ基盤の構築や分析環境の整備まで担える人材の需要も高まっています。そのため、データを扱うスキルとIT技術の両方を持つBIエンジニアは、今後の求人市場でも需要が期待されます。
出展元:doda
BIエンジニアと類似の職種との違い
BIエンジニアと類似の職種との違いは何でしょうか。似た職種として、データサイエンティスト・BIコンサルタントがあります。こちらの2職種との違いを解説していきます。
データサイエンティストとの違い
データサイエンティストは、統計学や機械学習などの知識を活用し、データからビジネス上の課題解決につながる知見を導き出す職種です。
一方、BIエンジニアは、BIツールやDWH、ダッシュボードなど、データを見える化・利用可能にする基盤を作る役割を担います。両者とも企業のデータ活用を支援する職種ですが、データ分析や予測モデルの構築を担当するのに対し、BIエンジニアはデータ基盤・可視化の仕組みを作る点が大きな違いです。
どちらもデータを扱うスキルセットに共通点が多いため、BIエンジニアとしての経験を積んだ後にデータサイエンティストへキャリアを広げる人や、逆にデータ分析の経験を活かしてBIエンジニアへ移る人も見られます。
BIコンサルタントとの違い
BIエンジニアと近しい職種に、BIコンサルタントがあります。どちらもBIツールを扱う点は共通していますが、担う役割には違いがあります。
BIコンサルタントは、クライアントの課題や経営方針に応じてBIの導入方法を提案し、解決へ導く仕事です。ヒアリングを通じて最適なBIツールを選定・提案し、運用方針の検討から戦略策定まで、BIの導入・運用にかかるプロジェクト全体をマネジメントします。
一方、BIエンジニアは、BIシステムの開発・設計を担う技術者です。BIツールのシステム実装や画面開発など、技術面での支援が中心の業務となります。技術的な知見をもとに軽い提案を行うことはあっても、戦略策定や意思決定支援まで踏み込むのはBIコンサルタントの役割です。 なお、規模の小さい企業では、BIエンジニアとBIコンサルタントを一人が兼任するケースも見られます。
また、BIコンサルタントは経営層・意思決定者と直接対話する場面が多いのに対し、BIエンジニアは開発チームや情報システム部門とのやり取りが中心になりやすい傾向にあります。
さらに、BIコンサルタントはヒアリング力・提案力・業界知識が重視されるのに対し、BIエンジニアはSQLやBIツールの実装スキルなど、より技術的なスキルが重視されます。
BIエンジニアの仕事内容
BIエンジニアの仕事内容は主に以下の7つです。
▼ BIエンジニアの仕事内容(クリックで移動)
BIダッシュボード構築
BIエンジニアの仕事として、ダッシュボード構築があります。経営層や現場担当者が必要な指標をひと目で把握できるよう、売上・KPI(重要業績評価指標)などのデータをグラフや表にまとめ、見やすい画面として設計・構築する業務です。
どのデータを、誰に、どのような形で見せるかを設計する力が求められます。利用者の目的に応じて、日次で確認する運用状況のダッシュボードや、経営層向けの月次サマリーなど、用途に合わせた構成を考える必要があります。
近年は、生成AIを活用してダッシュボードのレイアウトを自動生成できる機能を備えたツールも増えており、基本的な構成を短時間で作成できる場面も出てきています。とはいえ、実務では利用者の要望に応じた細かい調整が欠かせないため、設計力そのものは引き続き重要なスキルです。
データパイプラインの構築
BIエンジニアの仕事として、データパイプラインの構築があります。データの発生源から分析環境まで、データを自動的に移動・処理する仕組みを作ることです。
データパイプラインの構築には4つのステップがあります。
- 収集(Ingestion):アプリのログや外部APIからデータを集める。
- 加工・変換(Transformation):重複の削除や形式の統一を行う。
- 保存(Storage):データウェアハウス(DWH)にデータを蓄積する。
- 活用(Visualization):BIツールでデータを読み込み、ダッシュボードにする
データパイプラインの構築手法としては、ETL(抽出・変換・格納の順で処理する方式)とELT(先にデータを格納してから変換する方式)の2つが代表的です。それぞれの詳しい内容は、後の項目で解説します。
BIツールのシステム実装・画面開発
BIダッシュボードを実際に形にする工程が、BIツールのシステム実装・画面開発です。
多くのBIツールでは、GUI(Graphical User Interface:アイコンやボタンなどを画面上で操作できる仕組み)を使って分析画面を構築します。データの項目をドラッグ&ドロップで配置したり、グラフの種類を選択したりする操作が中心で、プログラミングの知識がなくても取り組める点が特徴です。
BIツールの操作に慣れていない場合でも、GUIを使った画面構築からBIツールへの理解を深められます。
DWHの構築
DWHの構築も、BIエンジニアの重要な業務です。DWH(データウェアハウス)とは、企業内のさまざまなデータを分析・集計しやすい形で蓄積するためのデータ基盤です。社内の基幹システムや各種SaaS、Webログなど、さまざまな場所に散らばったデータを一箇所に集約し、分析しやすい形で蓄積する役割を担います。
近年は、Snowflake、Google BigQuery、Amazon Redshiftといった、クラウド型のDWHサービスも広く利用されています。従来のオンプレミス型DWHでは自社でサーバーを用意・管理する必要がありましたが、クラウド型であればインフラの管理負担が少なく、データ量の増減に応じて処理能力を柔軟に拡張できる点が特徴です。
DWHの構築は、通常のシステム開発とは異なり、実際にデータを利用するクライアントや社内の担当者にとって使いやすい設計にすることも重要です。BIエンジニアには、こうしたDWHサービスの特性を理解した上で、利用者の視点を踏まえながら、企業の規模やデータ量、予算に合わせて適切な構成を設計・構築するスキルが求められます。
ETLの開発
ETLの開発も、BIエンジニアの業務の一つです。ETLとは、Extract(抽出)・Transform(変換)・Load(格納)の3工程で、データを整理しながらDWHへ統合する処理を指します。
近年は、GUIソフトを使ってノーコードでETLを構築できるツールも一般的になっています。ただし、ノーコードであっても、どのデータをどう変換し、どのタイミングで処理するかといった設計には専門知識が必要なため、ある程度の実務経験が求められる業務です。
また、クラウドDWHの処理能力が向上したことにより、データを先にDWHへ格納してから変換する「ELT」という手法も広く利用されています。DWH自体の計算能力を活用できるため、大量のデータをコスト効率よく、柔軟に処理できる点がELTの利点です。BIエンジニアには、ETL・ELTそれぞれの特性を理解した上で、扱うデータの量や要件に応じて適切な手法を選択するスキルが求められます。
データの収集・加工・分析
パイプラインやDWHを通じて整えられたデータをもとに、実際に分析を行うのもBIエンジニアの業務です。売上の推移や顧客の行動傾向など、データから読み取れる特徴を整理し、経営判断や業務改善に使える形の情報としてまとめます。
分析作業では、SQLやPythonといったプログラミングスキルに加え、機械学習ツールを使った将来予測や、RPA(定型作業を自動化するツール)による集計作業の効率化など、目的に応じたツールを使い分ける場面もあります。
経営戦略などの提案やサポート
BIエンジニアは技術支援が主な役割ですが、業務を通じて得た知見をもとに、軽い提案を行う場面もあります。
例えば、ダッシュボードを構築する中で「この指標も可視化した方が意思決定に役立つのではないか」「このデータの見せ方を変えると傾向がつかみやすくなる」といった、データの扱い方や見え方に関する提案です。経営戦略そのものの立案や、施策の意思決定支援まで踏み込むのはBIコンサルタントの役割ですが、BIエンジニアも現場に近い立場から、データ活用の質を高める提案を行うこともあります。
BIエンジニアの年収相場
BIエンジニアの年収相場を、以下の3つの観点から解説します。役職や企業規模、働き方によって年収に差が出やすいため、自身のキャリアと照らし合わせながら参考にしてください。
▼ BIエンジニアの年収相場(クリックで移動)
経験年数ごとの年収
BIエンジニアの年収は、経験レベルに応じて上昇する傾向があります。
Robert Halfの調査によると、BIエンジニアの年収は、経験が限られている層で約700万円、中程度の実務経験を持つ層で約900万円、豊富な経験と専門資格を持つ層では約1,000万円が目安です。
出展元:Robert Half Japan
企業による年収(中小・大手・日系・外資系企業の差)
BIエンジニアの年収は、企業によっても大きく変化します。
例えば、中小企業と大手企業では、企業規模や事業内容によって年収水準が異なります。一般的には、スタートアップや中小企業では大手企業と比べて基本年収が抑えられるケースもありますが、ストックオプションやインセンティブ制度など、給与以外の報酬制度を設けている企業も少なくありません。
また、日系企業と外資系企業にもBIエンジニアの年収相場の違いがあります。日系企業の平均年収は903.2万円、外資系企業の平均年収は1,002.0万円です。
出展元:JAC Recruitment
フリーランスの年収
BIエンジニアがフリーランスとして働く場合、経験者であれば月額70万円〜100万円程度の案件が期待できます。年収換算すると、800万円〜1,200万円程度の水準です。
出典元:求人情報サービス「Indeed」の求人データ(FLEXY掲載情報)
BIエンジニアは、企業のデータ活用を技術面から支える専門性の高い役割を担うため、フリーランスであっても比較的高単価な案件を獲得しやすい傾向があります。正社員としての年収相場と比較しても、経験を積んだ人材であればフリーランスの方が高い報酬を得られるケースも少なくありません。
BIエンジニアを目指す人や転職のポイント
BIエンジニアを目指す人や転職のポイントを、主に以下の3つに分けて解説します。
▼ ポイント3選(クリックで移動)
SQLやBIツールを独学で習得する
BIエンジニアとして必要なSQLとBIツールの知識は、無料の学習サイトやツールを活用して独学で身につけられます。
1. SQLの独学方法
基礎学習: プログラミング学習サイト(Progateやドットインストールなど)で、SELECT句やWHERE句、JOIN(結合)などの基本文法を学びます。
実践演習:GROUP BYやサブクエリ、ウィンドウ関数などを、無料で利用できるMySQLやPostgreSQLをローカル環境に構築して、実際にデータを扱いながら身につけます。また、Web上のSQL練習サイトを利用する方法もあります。
2. BIツールの独学方法
ツールの選定:無料から使える代表的なBIツール(Microsoftの「Power BI Desktop」やTableau Publicなど)をパソコンにインストールします。 チュートリアル活用:公式のラーニングパスやYouTubeの解説動画を使い、サンプルデータを読み込んでグラフやダッシュボードを作成する手順を模倣します。
3. スキル証明・ステップアップ
ポートフォリオ作成:自分で集めた公開データやサンプルデータを使い、BIツールで分かりやすいダッシュボードを作成してスキルを可視化します。
ITエンジニアからキャリアチェンジ
ITエンジニアからBI(ビジネスインテリジェンス)エンジニアへのキャリアチェンジは、既存のプログラミングやデータベースに関する知識を活かしながら、データ分析や可視化のスキルを身につけられるため、比較的取り組みやすい選択肢です。
新しくBIツール(TableauやPower BIなど)の操作やDWH(データウェアハウス)に関する知識を学ぶ必要があります。このとき、システムを「動かす」ことから、データを「ビジネスの意思決定に活かす(可視化・分析する)」ことへ、視点を切り替えることが重要です。
転職準備として、現職の業務でデータ抽出(SQL)を経験したり、無料で利用できるBIツール(Power BI DesktopやData Studioなど)を使って簡単なダッシュボードを作ったりするのもおすすめです。また、Webエンジニアならプログラミングやアプリの仕様理解、インフラエンジニアならデータベースやセキュリティの知識、社内SEなら社内ユーザーの課題を把握してきた経験など、これまでの職種で培ったスキルをアピールすることも重要です。
BIエンジニアを目指す上で取得しておきたい資格
BIエンジニアになるために必須の資格はありません。しかし、取得しておくと業務や転職に役立つ資格・検定もあります。今回は主に4つ解説します。
取得すると役立つ資格・検定
- ✓ 統計検定®
- ✓ オラクルマスター
- ✓ データベーススペシャリスト
- ✓ G検定
統計検定®
「統計検定®」は、統計に関する知識や活用力を評価する全国統一試験です。
1級・準1級・2級・3級・4級の5段階に分かれており、レベルに応じて統計学の知識やデータ分析、問題解決に関する能力が問われます。BIエンジニアには統計の知識も求められるため、資格を取得することで統計に関するスキルをアピールできるでしょう。
※「統計検定」は一般財団法人 統計質保証推進協会の登録商標です
オラクルマスター
オラクルマスターは、「Oracle Database」に関する技術力を証明できる資格です。
Oracle Databaseの運用や管理、トラブルシューティングなどに必要な知識やスキルを身につけるのに役立ちます。BIツールの認定資格ではありませんが、データベースやSQLに関する知識の習得に役立つため、スキルアップを目指す方におすすめです。現在はOracle AI Database 26aiに対応した資格も提供されています。なお、オラクルマスターにはBronze(ブロンズ)、Silver(シルバー)、Gold(ゴールド)、Platinum(プラチナ)などの認定資格があります。
データベーススペシャリスト
データベーススペシャリスト試験は、国家試験である「情報処理技術者試験」の試験区分のひとつです。
データベースに関する専門知識を持ち、システム基盤の企画や要件定義、開発、運用・保守などを担える人材であることを証明できます。IT系の試験の中でも難易度が高い試験ですが、取得することでデータベースに関する専門知識を客観的に証明でき、転職時のアピール材料になるでしょう。BIエンジニアに必要なデータ分析基盤に関する知識を学ぶきっかけにもなる資格です。
G検定
G検定は、ディープラーニングを事業活用するための知識や能力を有しているかを検定する試験です。
人工知能・機械学習・ディープラーニングの基礎知識から、生成AIなどの最新動向、法律・倫理まで幅広い知識が出題範囲となっているため、AIに関する体系的な知識を身につけたい人におすすめです。BIエンジニアの業務でAIや機械学習に関する知識が求められる場合は、G検定の学習を通じて基礎知識を身につけるのに役立つでしょう。
BIエンジニアのキャリアパス
BIエンジニアのキャリアパスとして、主に4つを解説します。
▼ キャリアパス(クリックで移動)
BIコンサルタント
BIエンジニアは、データを分析・可視化できる環境を構築する技術者で、データを見える化・利用可能な状態に整える役割を担います。その経験を活かして、BIコンサルタントを目指すキャリアパスもあります。
BIエンジニアが技術面の支援を担うのに対し、BIコンサルタントはクライアントの経営課題や業務課題の解決を支援し、その手段としてBIツールを活用します。KPIの設計、データ分析基盤の構想策定、データ活用の組織定着(社内研修の企画など)まで担うことがあります。
ITコンサルタント
BIエンジニアからITコンサルタントへ転職し、データ活用や上流工程の経験を活かして、より上流から課題解決に携わるキャリアを目指すこともできます。
BIエンジニアはデータ基盤の構築やBIツール(Tableau、Power BI等)を用いたダッシュボード開発など、「データ・システム実装」を担うことが多い一方、ITコンサルタントでは経営課題や業務課題のヒアリング、システム化計画や全体アーキテクチャの策定など、「上流工程」を担うことが多いです。業務プロセスの見直し(BPR)、ベンダーコントロール、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)としての進捗・リスク管理など、プロジェクト全体を支援する業務もあります。
BIエンジニアとして培ったデータ活用や業務理解の経験は、データ活用・DX領域のITコンサルタントを目指す際にも活かせます。
データサイエンティスト
BIエンジニアはデータを活用できる環境の構築や可視化を担う技術者であり、データ分析のスキルをさらに高め、データサイエンティストを志す人もいます。一方、データサイエンティストはデータを分析し、ビジネス上の課題解決や意思決定に活用します。
BIエンジニアとして培ったDWHやデータ基盤に関する知識は、データサイエンティストとしてデータを分析する際にも活かせます。また、ビジネス側と関わった経験があれば、分析結果を分かりやすく伝える際にも役立つでしょう。
データサイエンティストになるには、機械学習や統計学・数学に関する知識、Pythonなどによるデータ分析・プログラミングのスキルが求められます。
データアナリスト
BIエンジニアからデータアナリストへの転身は、BIエンジニアとして培ったデータ活用の経験を活かしやすいキャリアチェンジの一つです。
データアナリストは、データを分析して事業や施策の課題を把握し、意思決定や改善に活用する役割を担います。例えば、BIコンサルタントがデータ活用の仕組みづくりを支援するのに対し、データアナリストはデータを分析し、事業上の課題解決や意思決定に活用します。
BIエンジニア出身者は、データの所在やDWHの構造、SQLに関する知識を活かして、分析に必要なデータを効率よく準備できる点が強みになります。 BIエンジニアではダッシュボードの開発などが主な業務の一つですが、データアナリストは分析結果をもとに、業務改善や施策を提案することもあります。
BIエンジニアに関してよくある質問
BIエンジニアについて、よくある質問をまとめました。未経験からのキャリアや生成AIによってBIエンジニアの価値が下がるかなど、気になるポイントを解説します。
Q1. 未経験からBIエンジニアになることは可能?
A. 未経験からBIエンジニアになることは可能です。
BIツールはドラッグ&ドロップなどの直感的な操作で、データの可視化や分析ができます。
一方で、BIエンジニアとして働くには、データベースやSQL、データ分析などの基礎知識が求められます。独学で知識を身につけるだけでなく、BIツールを使って実際にダッシュボードを作成するなど、実践的な経験を積むことも重要です。
未経験から目指す場合は、学習した内容をポートフォリオとしてまとめ、転職活動でスキルをアピールする方法もあります。ITエンジニアとしてデータベースやプログラミングの経験がある場合は、既存のスキルを活かしてBIエンジニアへのキャリアチェンジを目指すことも可能です。
Q2. 生成AIによってBIエンジニアの価値は下がる?
A. 生成AIによってBIエンジニアの価値が一律に下がるとは考えにくいです。
生成AIが進化しており、グラフ作成やレポート作成など作業の一部は効率化されます。しかし、AIに任せるだけでなく、「データが正しいか確認する・必要なデータを適切に整備する・AIの分析結果が業務上妥当か判断する・利用者の課題に合わせてBI環境を設計する」といった「AIを使う側・判断する側」のスキルが重要になってきます。
そのため、生成AIを活用しながら、データ基盤やBIツールへの知識、業務理解を組み合わせられるBIエンジニアが求められます。
AIを仕事にするためのキャリアノウハウ、機械学習・AIに関するTopics、フリーランス向けお役立ち情報を投稿します。

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