キャリア

2021/06/09

フロントエンドとバックエンドの違いは?仕事や能力、将来性の差も解説

Web開発やウェブ制作の現場でよく聞く「フロントエンド」と「バックエンド」の差はどこで区別できるのでしょうか。また、Web系エンジニアのキャリアを考える際に、どちらを選べばよいか迷う方も多いかもしれません。

この記事では、バンクエンドエンジニアとフロントエンドエンジニアの違いを、仕事、スキル、年収の点から解説します。役割分担や将来性についてもみてきましょう。

フロントエンドとバックエンドの違い

フロントエンド(front-end)とバックエンド(back-end)は、前後の工程や段階などの対比において使用される概念です。ここでは、ソフトウェア開発における「フロントエンド」と「バックエンド」の違いについて解説します。

フロントエンド

ウェブサイトやアプリケーションを開いたユーザーの目に触れる部分を指して「フロントエンド」といいます。たとえば、ブラウザ上で文字を入力したり、マウス操作やタッチ操作でボタンをクリックしたりするGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を提供するプログラムが「フロントエンド」に該当します。

デザインをもとにHTML・CSSを指定してブラウザ上にグラフィックを表示、スマホ、PC、タブレットなど端末に応じた画面サイズ、条件に応じた処理を実行するなどして、最適なユーザー体験を実現します。

バックエンドとの情報の受け渡しやUI上の動的な表現もフロントエンドの領域です。フロントエンドを開発する際には、主にJavaScriptやTypeScript、PHPといった言語が使用されます。

バックエンド

フロントエンドとは逆に、バックエンドはユーザーの目には触れない部分を指します。クライアントサイドとの対比でサーバーサイドと呼ぶ場合もありますが、ほぼ同じ意味合いです。

ウェブサーバー側で処理されるプログラムについては、データベースシステムなどがあり、ユーザーが入力した内容の処理・保存、検索結果を出力するといったことが役割です。検索や投稿のほかに、決済などの機能について設計や開発を行うケースもあります。

例をあげれば、SNSなどのコミュニティサイトでユーザーが会員登録・お気に入り登録・投稿・フレンド申請・チャットなどの情報を処理するプログラム全般が該当します。バックエンド開発ではプログラミング言語として、Java、Perl、PHP、Python、Ruby、Goなどが使用されます。

フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアの違い

Web開発の技術が進歩しプロジェクトの規模が拡大するとともに、Web業界でもエンジニアの役割分担が進むようになりました。同じWebエンジニアといえども担当する領域が「バックエンド」と「フロントエンド」とでは、担当する業務はどのように変化するのでしょうか。

また、必要なスキルセットや人材募集の求人要件、キャリアパスにも違いはあるのでしょうか。ここからは「フロントエンドエンジニア」と「バックエンドエンジニア」について、仕事内容や能力、年収についてみていきましょう。

フロントエンドエンジニア

HTMLやCSS、JavaScriptなどを活用して、Webサービスやスマホアプリなどのフロントエンド開発に従事するのがフロントエンドエンジニアです。自社でサービスを開発する企業のほか、制作会社や広告代理店などに所属するケースも多く、近年フロントエンドエンジニアが特に活躍している場として、モバイルのUI設計や実装などの仕事があります。

法人向けのBtoBではPCの利用率も高いですが、消費者向けのBtoCでは場所を選ばずに使用できるスマホの利用者は非常に多く、フロントエンドエンジニアもモバイルを中心とした仕事を得る機会が増えています。

仕事内容

Webデザイナーが作成したデザインからHTMLでページの構造をマークアップしCSSで見た目を装飾します。アプリケーション上でのデータの受け渡しやUIに関する企画・設計、SEOに関する配慮などもフロントエンドエンジニアの仕事に含まれます。

設計した内容をもとに、JavaScrip、PHPなどで実装します。更新面を考えてCMS(コンテンツマネジメントシステム)を構築したり、既存のものをカスタマイズしたりするのもフロントエンドエンジニアの仕事です。

企業によっては仕事の分担に違いがあり、HTML・CSSでのコーディングは、マークアップエンジニアやコーダーが担当し、フロントエンドエンジニアは、動的なプログラム構築を担当することで分業が成立するケースが多いでしょう。また、デザインに関して一部をフロントエンドエンジニアが担当することもあります。

必要な能力

フロントエンドエンジニアになるには最低でもHTML、CSS、JavaScriptという3つの習得が必要になります。こういった言語はウェブサイトやアプリケーションを作成する際に必要になるからです。

React、Angular、Vue.jsなどフレームワークに関する知識もあるほうが良いでしょう。フレームワークとはよく使用する機能をパッケージ化したものを指します。開発効率を向上するため、フレームワークやライブラリを使用する現場は多く、CSSのフレームワークでは、Bootstrapが有名で使用される率も高めとなっています。

ほかには、依頼を受けた際や仕事上でデザイナーと協力する場合が多いため、Webデザインやマーケティングについても勉強をしておくと役立ちます。できることが増えるほど任される仕事の幅も広がるでしょう。

年収

求人ボックスの給料ナビによると、正社員のフロントエンドエンジニアの平均年収は、約584万円です。派遣社員の平均時給は2,051円、アルバイト・パートの平均時給は1,100円です。また、Web専門人材サービスWEBSTAFFによると、フロントエンドエンジニアの平均年収は約500万円ともいわれています。

エンジニアの世界は実力社会といっても過言ではなく、実力がある人のなかには年収1000万円を得る人もいます。しかし、一般的には大体400~600万円の年収であるといえるでしょう。

バックエンドエンジニア

バックエンドエンジニアは、ウェブサイトやアプリケーションを構築する際に、サーバー側で動作するプログラムを担当するエンジニアです。サーバーサイドエンジニアとも呼ばれ、職場によっては、開発や運用、検証などでチームを分けて作業を分担するケースが多いです。

ゲームやECサイト、広告など直接的な収益にも貢献し、企業が一般消費者に提供するWebサービスを影で支える重要な人材といえます。

ユーザーが見える部分を担当しているのがフロントエンドエンジニア、見えない部分を担当しているのがバックエンドエンジニアと考えるとわかりやすいです。

仕事内容

Webサービスや業務アプリケーション、ネイティブアプリなど様々なシステムのアーキテクチャ設計から構築、実装などを担当します。サービスの規模に応じて、数人から数十人規模のチームで開発をおこないます。サービスのリリース後にも、仕様変更、機能追加など継続的なリリースは続くため、優先順位をつけて開発や運用改善などにも取り組みます。

安定稼働や速度向上などインフラを担当する場合は、データベースの設計と構築、パフォーマンスチューニング、エラー監視などシステムの運用と保守なども行います。

ほかには、必要に応じてバグの修正や手動で行う運用作業、データバックアップなどの業務効率化を実施したりするのも仕事のひとつです。

必要な能力

バックエンドエンジニアは開発から修正、仕様変更まで幅広い仕事をこなします。そのため、Java、PHP、Ruby、Pythonなどから最低限一つ以上のプログラミング言語を習得しておきましょう。

開発環境の構築やSQLでのデータベース操作、フレームワーク・ライブラリなどの開発プラットフォームや運用・保守に関する知識も必要です。

アプリケーションのアーキテクチャを理解し、速度などのボトルネックを理解するには、OSやミドルウェア(補完ソフトウェア)の知識が必要になります。共同で作業を行う場合に備えて、バージョン管理ツールのGitHubの経験があるとより良いでしょう。

年収

バックエンドエンジニアの年収は300万~600万円と幅広く、フロントエンドエンジニア同様に実力によって差が出ます。企業によっては年収1000万円を得ることができるケースもありますが、それほど高額な収入を得るのは役職に就いた人である場合も少なくありません。

また、フリーランスのバックエンドエンジニアとして活躍するのであれば、報酬の目安として月単価60~80万円が相場といわれています。

フロントエンドとバックエンドの将来性は?

Web系の開発プロジェクトにメインの人材として関わるフロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニア。インターネットやスマートフォン、IoTなどの普及からテクノロジーがますます発展している昨今では、それらのサービスを支える技術職の存在は欠かせません。

特に、フロントエンドエンジニアは職種としての歴史も浅く、業務経験者が少ないためスキルの高いエンジニアは企業からの求人ニーズも高いです。

では、こういった職業に今後も将来性はあるのでしょうか。

フロントエンドエンジニアの将来性

バックエンドエンジニアより学習しやすいといわれているフロントエンドエンジニアを目指す人は多く、未経験者や初心者などを募集する求人の依頼は比較的多いものの、最初の収入は安くなる傾向があります。未経験からでも早ければ4カ月程度勉強をすれば、フロントエンドエンジニアとして勤めることが可能です。

就職・転職に関しては競争率が高いことから、若手の頃からスキルを常に磨き、実力を上げる必要があるでしょう。根気強さと経験を積んで実力アップをすることができれば、リーダーやマネジメント職に出世して安定的なキャリアを得ることも可能です。

ウェブサイトの数は年々増加しており、2019年に行われた調査によると、プログラミング言語としてJavaScript、続いてHTMLやCSSが非常に多く使用されていることがわかっています。特に、JavaScriptは7年連続で使用率1位になっているほどです。これらの言語はフロントエンドエンジニアが得意とするものであり、将来的に需要が高いことがわかります。

ただ、AIや自動化の技術が発達することにともなって、エンジニアの仕事がなくなるのではと心配されている側面もあります。たしかに、オートメーション技術の進歩によってシンプルなコードを生成するような単純なフロントエンドの仕事は需要が減少する可能性がないとはいえません。

そのため、ロボットではマネできない技術を身につけたり、自動化の波をいち早く察知することができるように、常に情報や知識を収集しておくほうが良いでしょう。

将来的な需要を考慮し、SPA(Single Page Application)の構築やPWA(Progressive Web App)、BaaS(Backend as a Service)、WebAssemblyの技術を身に着けておくのもおすすめです。また、プロジェクトマネジメントなどのビジネススキルも重要になります。プロジェクトを管理したり、企画をおこなうようなクリエイティブな作業はAI技術が進化したとしても代替しにくいスキルだといわれているからです。

バックエンドエンジニアの将来性

フロントエンドエンジニアと比較するとバックエンドエンジニアはさらに幅広い専門知識が必要となるため、収入面では報酬の相場も高めです。仕事として始めるためには深い知識と技術を身に着ける必要があり、未経験から目指す場合の競争率もフロントエンドエンジニアより高くないといえるでしょう。

フリーランスエンジニアとして活動するバックエンドエンジニアも多く、過去の開発実績や能力を認めてもらうことができれば、独立後に安定的な仕事を得るのも難しくはありません。

ただ、クラウドコンピューティングでの開発環境が普及し、ソフトウェア開発のプラットフォームが進化したことにより、バックエンド部分の開発が以前よりもスムーズに行えるようになりました。

そういった現状から、モダンな技術に対応できないバックエンドエンジニアの将来性は低いのではないかともいわれています。なかでも、プログラマーが担当していたような「仕様に沿ったシステム構築」をする点は今後需要が減少する可能性もあるでしょう。

しかし、いくら技術が発達しても、バックエンドエンジニアにしかできない仕事もあります。システムの監視は比較的容易ですが、プログラムの修正や改修などの直す作業は、いまのところ知識と経験を積んだエンジニアにしかできません。

さらに、今後新たに開発されるサービスでも企画には事業や業務を理解するマインドが必要になることも考えられ、まだまだAIに代替される段階ではないでしょう。さまざまな企業で必要とされるタスクや業務フローに関する専門知識を増やしたり、セキュリティやブロックチェーンなど最新技術に関するジョブチェンジや転職もおすすめです。

両方を備えるフルスタックエンジニアへ

そして、よりマルチな開発者として現場で活躍するには、フロントエンドとバックエンドと両方の経験を積み、知識や技術を増やすことも有効です。どちらの経験もある人材であれば、より広い視点で開発の全工程を俯瞰してみることができますし、企業側としても1人の専門家に確認するだけで良い分、重用されやすくなります。

そのように、ひとりですべての開発をおこなえるエンジニアは「フルスタックエンジニア(あるいはマルチエンジニア)」と呼ばれています。ウェブサイトやアプリケーション、システムの開発、運用・保守まで幅広いタスクをこなす敏腕エンジニアです。

年収に関してはフロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニアよりフルスタックエンジニアのほうが高くなる場合が多いでしょう。しかし、雇用される企業でどういった内容の仕事をするのかにもよるため、一概に平均年収を出すことは難しいです。

実際に、フルスタックエンジニアの求人を出している複数の企業が提示する年収の例では、500万~1200万円と幅が広くなっています。経済産業省の調査によると、一般的なエンジニアの年収は約592万円です。比較すると、フルスタックエンジニアの年収が高額になる傾向があるとわかります。

バックエンドエンジニアからフルスタックエンジニアを目指す場合は基本的な知識が身に着いているため、学習する時間も比較的短期ですむ可能性もあります。しかし、エンジニアとしての知識や経験が少ない場合はHTMLやJavaScript、PHP、Ruby、Pythonといった使用率が高いプログラミング言語の習得、OS・ミドルウェア、クラウドサービスのスキルも身に着けておくほうが良いでしょう。

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