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フロントエンドエンジニアの将来性は?仕事内容から今後の予想まで解説!

フロントエンドエンジニアの将来性は?仕事内容から今後の予想まで解説!

フロントエンドエンジニアとは、WebサイトやアプリケーションのUI (ユーザーインターフェース)を実装するエンジニアです。 本記事では、フロントエンドエンジニアの将来性や需要、今後も活躍するために必要なスキルなどを解説していきます。

フロントエンドエンジニアとは?

フロントエンドエンジニアとは、ウェブサイトやウェブアプリケーションのユーザーインターフェースの開発に関わるエンジニアを指します。ウェブサイトの見た目や動作がユーザーにとって直感的で使いやすいものになるように設計し、実装することが主な業務内容です。フロントエンドエンジニアは、HTML、CSS、JavaScriptなどの技術を用いてデザイナーが描いたビジュアルをコードに変換し、デザインと技術の橋渡し役として、ユーザーが実際に触れる形を作ることが役割となっています。

フロントエンドエンジニアの主な仕事内容

フロントエンドエンジニアの主な仕事内容には、主に4つが挙げられます。1つ目は、ウェブデザインの実装です。デザイナーが作成したウェブサイトのデザインを、HTML、CSSを用いて実際のウェブページに反映させます。2つ目は、インタラクティブ要素の開発です。JavaScriptやフレームワーク(React、Vue.jsなど)を使用して、ユーザーがサイトと対話できる動的な要素を作成します。3つ目は、レスポンシブデザインの実装です。ユーザーが異なるデバイス(スマートフォン、タブレット、PC等)でウェブサイトを見た時に、最適な表示になるようにします。4つ目は、パフォーマンスとアクセシビリティの最適化です。サイトの読み込み速度を高速化し、障害を持つユーザーも含めて、誰もがアクセスしやすいウェブサイトを開発します。

フロントエンジニアとバックエンドエンジニアの違いとは

フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアの違いは、主に彼らが取り組むウェブ開発の領域にあります。フロントエンドエンジニアがユーザーが直接触れる部分、つまりウェブサイトやアプリケーションのインターフェース部分の開発を担当するのに対し、バックエンドエンジニアはサーバー・アプリケーション・データベースを扱い、ウェブサイトの裏側で動作するシステムの開発を行います。

さらに詳しく説明すると、フロントエンドエンジニアが扱う主な技術はHTML,・CSS・JavaScriptなどです。ユーザーにとって直感的で快適な体験ができるよう、ユーザーインターフェースの設計や実装を行ないます。一方で、バックエンドエンジニアはPython・Ruby・Javaなどがよく使われる技術です。データの処理と保存、アプリケーションのセキュリティとパフォーマンスの確保などを目的に、サーバー、アプリケーションロジック、データベースの設計や実装を行ないます。

この2つの領域は密接に連携しており、一つのウェブサイトやアプリケーションを構築するためには、フロントエンドとバックエンドの両方の技術が不可欠です。フロントエンドエンジニアがユーザーに対する窓口を作り、バックエンドエンジニアがその背後でデータのやり取りや処理を担当する形となっています。

フロントエンドエンジニアが活躍する場面

フロントエンドエンジニアは、主に新しいウェブサイトの開発で活躍します。新規にウェブサイトを立ち上げる際、フロントエンドエンジニアはユーザーが直接触れる部分の設計と実装を担当し、美しいデザイン・直感的な操作性を持つサイトの開発を行なうのです。また、場合によっては既存ウェブサイトのリニューアルに関わることもあるでしょう。

また、モバイル対応の実装を含めたユーザーエクスペリエンス向上の場面でもフロントエンジニアは活躍します。ユーザーがサイトを使う上で直面する問題を解決し、全体の体験を向上させるために、スマートフォンやタブレットなど、様々なデバイスからアクセスできるレスポンシブデザインを実装するのです。どのデバイスを使用していても快適にサイトを閲覧できるようにし、ユーザーに寄り添ったサイトを開発します。

フロントエンドエンジニアの将来性

フロントエンジニアには将来性があるのでしょうか。今後、需要が飽和したり、AIなどに仕事を奪われたりする可能性がないか不安に感じている方も多いでしょう。ここでは、フロントエンジニアの将来性について解説します。

フロントエンドエンジニアの需要は高い

デジタル技術がビジネス戦略の中心になる現代において、フロントエンドエンジニアの役割はますます重要性を増しており、需要は高いです。企業は、ユーザーが使いやすいなウェブサイトやアプリケーションを通じて顧客との接点を強化しようとしているため、その実現に不可欠なフロントエンドエンジニアの技術はこれからも重宝されるでしょう。

近未来的には明るいが長期的な将来性は未知数

フロントエンドエンジニアは、短期的には非常に明るい未来が予想されますが、長期的な展望については予測が難しい部分があります。というのも、技術が急速に進化し、新たなフレームワークやツールが登場し続けているため、今後どのような市場の動きを見せるか分かりづらいのです。とくに、AIや機械学習の技術がデザインやコーディングのプロセスに取り入れられることで、より効率的な開発が可能になる一方で、既存の仕事が変化する可能性もあります。フロントエンドエンジニアは、このような変化に柔軟に対応し、新しい技術を積極的に学び続けることが将来のキャリア形成に欠かせないといえるでしょう。

フロントエンドエンジニアが今後飽和する可能性は?

フロントエンドエンジニアの分野へは、多くの人が続々と市場に参入しています。そのため、特定の分野では飽和を引き起こす可能性もあるでしょう。しかし、デジタル化の波はますます広がりを見せているため、優秀なフロントエンドエンジニアに対する需要は引き続き高いままではないかと予想されます。重要なのは、技術の進歩に伴って新たに求められるスキルや知識を身につけ、自分自身の専門性を維持し続けることです。ウェブ開発技術は絶えず進化しており、学習を続ける姿勢がフロントエンドエンジニアには不可欠です。より専門的な知識を持つエンジニアへの需要は今後も続くと考えられるため、市場の変化に敏感であり続け、技術革新の最前線に立った人材は、これからも飽和することはないでしょう。

AIなどに仕事を奪われる可能性は?

AIなど自動化技術の急速な進歩は、フロントエンドエンジニアを含む多くの職種に大きな影響を与えています。とくに、デザインやコーディングの初期段階での作業は、これらの技術によって一部自動化される可能性があります。しかし、フロントエンド開発の核心は、ユーザーの体験を深く理解し、それを技術的に実現するプロセスです。このプロセスはAIが模倣できるものではなく、人間特有の洞察力・創造性・感性が必要とされる領域であるため、フロントエンジニアのすべて仕事が奪われるとはいえないでしょう。

一方で、AIを効果的に活用することで、より複雑なユーザーインターフェースの設計や開発に集中できるようになり、フロントエンドエンジニアは新たな価値を生み出せるという側面もあります。AIの進化は、仕事を奪うというよりも、フロントエンドエンジニアの開発を効率化し、より価値の高い作業ができるよう支援する方向に作用すると考えられます。AIと共存し、その進化を自分たちのスキル拡充の機会と捉えることが、将来性のあるキャリアを築く鍵となるのです。

今後のフロントエンドエンジニアに求められること

フロントエンドエンジニアは、技術的なスキルだけでなく、柔軟な考え方・継続的な学習・ユーザー中心の設計思考がこれからも強く求められるでしょう。テクノロジーの進化に迅速に適応し、新しいフレームワークやツールを学び、活用する能力が不可欠です。ユーザーエクスペリエンス(UX)やユーザーインターフェース(UI)設計に関する深い理解、アクセシビリティや国際化など、より包括的なウェブ標準への対応も重要になってきます。

また、先述したAIや機械学習などの新技術を、デザインや開発プロセスに組み込むことも大切です。より効率的に作業をすることで、革新的なソリューションを提供できる可能性もあります。フロントエンドエンジニアは単なるコーディングだけでなく、プロダクトの戦略など、開発チーム内での重要な戦略的役割を果たすようになるかもしれません。

さらに、コミュニケーション能力やチーム内での協働能力も、プロジェクト管理やステークホルダーとの関係構築に欠かせません。プロジェクトの成功には、技術的な問題を解決するだけでなく、プロジェクトのビジョンや目標を理解し、それを実現するための戦略を立て、チームメンバーと協力して作業を進めることが求められるのです。

将来に備えて身に付けておきたいスキルや経験

フロントエンドエンジニアは、技術の進化に伴い、新たなスキルや経験が継続的に求められています。ここでは、将来性を高め、キャリアの可能性を広げるために身につけておきたいスキルや経験を見ていきましょう。

SPA構築スキル

SPA(シングルページアプリケーション)とは、Webページを単一のものから構成することで、高速な表示を提供できる技術です。React・Vue.js・AngularなどのJavaScriptフレームワークを駆使してSPAを構築するスキルは、フロントエンドエンジニアにとって不可欠となっています。これらの技術を使いこなすことで、より反応が良く、動的なウェブアプリケーションの開発が可能です。

PWAに関する技術

PWA(プログレッシブウェブアプリ)とは、Webアプリ・Webサイトなどをネイティブアプリのように利用できる技術です。従来のウェブアプリケーションに比べて高速で、オフラインでも使用可能といった特徴があります。フロントエンドエンジニアはこれらの技術を駆使することで、ユーザーエンゲージメントを向上させ、SEOのパフォーマンスを高めることも可能です。PWAの開発においては、レスポンシブデザイン、オフラインでのデータハンドリング、プッシュ通知といった機能の実装が求められます。

BaaSのスキル

BaaS(バックエンド・アズ・ア・サービス)とは、アプリケーションにおけるバックエンドの機能を提供するクラウドサービスです。BaaSを利用することで、フロントエンドエンジニアはバックエンドの開発における複雑さを気にすることなく、認証・データベース操作・ファイルストレージなどの機能を迅速にアプリケーションに組み込むことができます。開発スピードや効率を大幅に向上させることができるため、BaaSのスキルを身につけることで、より複雑なアプリケーションの開発に対応することが可能です。

WebAssemblyのスキル

WebAssemblyは、Webブラウザでさまざまなプログラムを高速に動作させる技術です。C、C++、Rustといった言語で書かれたコードをブラウザで実行できるようにすることで、ウェブアプリケーションのパフォーマンスを向上させ、従来のJavaScriptに比べて高速な処理が可能になります。とくにゲーム開発や音声・動画処理など、重い計算処理を伴うアプリケーションにおいて、WebAssemblyの活用は大きなメリットをもたらすでしょう。この技術をマスターすることで、フロントエンドエンジニアはより高度なウェブアプリケーションの開発ができ、ユーザーにより優れた体験を提供できるようになります。

マネジメントスキル

フロントエンドエンジニアには、技術的な能力だけでなく、プロジェクト管理やチームマネジメントスキルが不可欠です。チームメンバーの能力を最大限に引き出し、プロジェクトを効率的に進めるためには、コミュニケーション能力・タスク管理能力などが求められます。また、リーダーとしてチームをまとめ、モチベーションを高める能力も重要です。フロントエンドエンジニアが技術者からリーダーへのステップアップを考える際は、このようなマネジメントスキルがキャリア形成に必要となるでしょう。

上流工程に関する知識やスキル

要件定義や設計などの上流工程に関わる知識やスキルを身につけることで、プロジェクトの初期段階で正確な要件を把握し、効率的かつ効果的な設計を行うことができ、開発プロセス全体の品質を向上させることができます。上流工程での作業は、プロジェクトの目標やビジョンを深く理解する機会にもなるため、より戦略的な視点から開発に貢献でき、より重要な役割を担うことにつながるでしょう。技術者としてだけでなく、プロジェクトの企画や設計段階から価値を提供することができるフロントエンドエンジニアとして、ほかの人材との大きな差別化要因となります。

フロントエンドエンジニアの平均年収

厚生労働省が発表した「令和4年賃金構造基本統計調査」によれば、フロントエンドエンジニアの平均年収は550万2,000円です。すべての業界の平均である年収496万5,700円と比較すると、高い水準にあることがわかります。ただし、スキルや経験による変動も大きいです。20代のフロントエンジニアの年収が320万円~430万円程度であるのに対し、30代は510万円~600万円、40代は620万円~685万円と、大きな幅があります。

また、雇用形態による年収の差も大きいと考えられています。フロントエンドエンジニアは正社員や派遣だけでなく、副業・フリーランスなど業務委託の形態も多いです。複数の案件を掛け持ちできるフリーランスは、収入が安定しない反面、高い年収を獲得しやすいといえるでしょう。

何故フロントエンドエンジニアの仕事がつらいと言われるのか?

フロントエンドエンジニアの仕事は、ウェブ開発の最前線で活躍する魅力的な職種である一方で、時に「つらい仕事」といわれることもあります。ここでは、何故フロントエンドエンジニアの仕事がつらいと言われるのか、その要因について解説します。

納期に追われることがある

プロジェクトの納期は、フロントエンドエンジニアにとって大きなプレッシャーの一つです。クライアントやプロジェクト管理チームからの厳しい期限内で高品質の成果を出さなければならないため、精神的なストレスは大きいでしょう。とくに、デザインや要件が頻繁に変更される場合、計画通りに進まないことが多く、納期を守るために残業時間が多くなることもあります。

フロント開発以外の業務を行うこともある

フロントエンドエンジニアは、時にはフロントエンド開発以外の業務を行うことも求められます。たとえば、バックエンドのコードの理解や、デザインの微調整、クライアントとのコミュニケーションなどです。フロントエンドエンジニアの業務範囲を把握していないクライアントも多く、専門外の幅広い業務を任される場合もあります。このように専門外の学習や作業に多くの時間をあてなければならないのも、つらい仕事といわれる要因の一つです。

他の職種の作業状況の影響を受ける

フロントエンドエンジニアの作業は、ほかの職種、とくにデザイナーやバックエンドエンジニアの進捗状況に大きく依存しています。これらのチームメンバーの作業遅延や変更は、フロントエンドの作業にも直接影響を及ぼし、プロジェクト全体のスケジュールや品質に影響を与えることもあるでしょう。このように、自分がコントロールできない要因によって作業計画が狂うこともあるため、フロントエンドエンジニアはストレスがかかりやすくつらい仕事といわれるのです。

日々の学習や情報収集が欠かせない

フロントエンドエンジニアリングの分野は、技術の進化が非常に速い領域です。新しいフレームワーク、ツール、技術が絶えず登場するため、最新のトレンドを追いかけ、学習を続けることが求められます。この継続的な学習は、業務時間外で行なわなければならない場合が多く、すでに多忙な日々の中で大きな負担となります。フロントエンドエンジニアは、市場価値を維持し続けるためにこのような努力が不可欠であるため、つらい仕事といわれるのです。

フロントエンドエンジニアが活躍できる就職先は?

フロントエンドエンジニアは、ウェブ開発の重要な役割を担っているため、さまざまな業界・企業で求められる人材です。それでは、具体的にどのような職種で活躍できるのでしょうか。ここではとくに活躍できる就職先を紹介します。

Sler

Slerは、顧客のニーズに合わせたウェブシステムやアプリケーションの開発を行う職種です。フロントエンドエンジニアは、これらのプロジェクトにおいて、ユーザーインターフェース(UI)の設計や実装、ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上など、エンドユーザーが直接触れる部分の開発を担当します。とくに、異なるシステムやアプリケーションを統合する際には、一貫性のあるユーザー体験を提供することが重要となるため、フロントエンドエンジニアの役割は非常に重要です。また、プロジェクトマネジメントや顧客とのコミュニケーションなど、技術以外のスキルを身につけることで、キャリアパスを広げることもできるでしょう。

自社開発企業

自社製品やサービスを開発している企業でも、フロントエンドエンジニアは大きく活躍できます。フロントエンドエンジニアは、製品の顔とも言えるインターフェースの設計・開発が主な担当業務です。自社開発企業では、プロダクトの企画段階から開発、運用、改善に至るまで一貫して関わることができるため、製品に深く関わることができます。自社製品の成功に直結する仕事を通じて、大きなやりがいと成長を感じることができるでしょう。

SES

SES(システムエンジニアリングサービス)とは、エンジニアが開発支援などのサービスをクライアントに提供する業態を指します。派遣社員とは違い、クライアントとの指揮命令関係はなく、SES企業との雇用関係だけがある場合が多いです。SESは開発したシステムなどプロジェクトの成果物ではなく、エンジニアとしての業務を行なうこと自体を対価として報酬を受け取ります。そのため、さまざまなプロジェクトに参画しつつ経験を積み、自身の専門性を磨いていくことが可能です。

まとめ

フロントエンドエンジニアリングは、技術がどんどん進化しており、常に変化し続ける分野です。ユーザーに直接届くプロダクトの顔を作る重要な役割を担っているため、納期や技術力のプレッシャーもある反面、やりがいも大きいでしょう。みなさんも、技術のトレンドを追いかけ、柔軟な思考で新しい解決策を見出し、ユーザーの体験を豊かにできるフロントエンドエンジニアを目指してみてはいかがでしょうか。

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