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フリーランスが失敗する理由・失敗例・独立で失敗しないために

働き方改革や副業解禁などの話題から「フリーランス」という働き方が注目されています。プログラマーやエンジニアなどIT職種のほか、営業、人事、経理、美容師、料理人、建設土木、カメラマン、クリエイターなど様々な業界でプロフェッショナルが活躍しています。

自分の腕一本で仕事を受注するフリーランサーは、裁量が大きい点や高収入が魅力です。在宅ワークや時短勤務、週3日などママワーカーも活躍しやすいなどメリットがある一方で、安定性に欠ける点や失敗のリスクを不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、会社員が独立後に失敗する原因や具体的な失敗談、フリーランスで成功するためのポイントなどを解説します。

フリーランスで失敗する理由

会社員からフリーランスに転身して成功する人もいれば、失敗する人もいます。ここでは、独立して失敗してしまう原因を紹介します。

仕事が受注できない

フリーランスになって失敗したと感じる理由で多いのが、仕事を受注できなかったり、見込んでいた売上がなくなった瞬間だったりするものです。ある程度は自動的に仕事が割り振られる会社員と異なり、フリーランスの場合は自分自身で仕事を獲得しなければなりません。

仕事を受注できなければ収入もゼロであるためフリーランスという働き方を続けることは難しいのです。

スキル不足

いくら本人がフリーランスとして活躍したいと望んでいても、業務に関する知識やタスクを実行できるだけのスキルが不足していては上手くいきません。雇用契約の会社員であれば、将来を見据えた教育体制があり、先輩や上司の指導のもと未経験でも採用されるかもしれません。

しかし、短期契約が前提のフリーランスは、現場に入ってきた時点で即戦力であることが期待されます。そのため、実力が一定水準のレベルに達していないと活躍はできないのです。

実績不足

また、フリーランスは、専門分野においてスキルを保有しているだけでなく、これまでの経験や自身の有用性を上手くクライアントに説明できないと業務委託の案件を獲得できないでしょう。

そして、クライアントがフリーランスに仕事を依頼するかどうかの判断に利用するのが実績です。

社会人経験が浅い若手や簡単な仕事しかこなしたことがないと実績不足と判断され仕事をまわして貰えないことも多いでしょう。

多くの人がこの人に依頼したいと指名が入るほど実績があれば、効率の良い仕事を受注できます。しかし働き始めで実績が少ないとクライアントからの信頼を得られません。そのため割の良い仕事に結びつかないのです。

営業力不足

スキルがあり、実績があったとしても、フリーで働く以上、営業活動をしなければ仕事は獲得できません。自分で直接交渉や営業を行うことが苦手な場合は、フリーランス向けのエージェントや案件紹介サイトを利用する方法もありますが、クライアントとの商談や面談で自分ができることを説明するなど最低限の営業スキルは必要なのです。

フリーランスとして働き始めたばかりであればスキルや実績が不足していてエージェントを利用できない場合も多いでしょう。それをカバーするためにも営業力が必要です。

営業スキルがあれば、クラウドソーシングなどで仕事を受注できます。逆に営業力が不足している方は、フリーランスとして満足の行くスタートが切れない可能性が高いです。

自己管理できない

すべて自分の判断で仕事をできる点は、独立の大きなメリットのひとつです。会社に雇用される正社員には就業規則があり監督者のもと仕事をしますが、フリーランスと依頼主は対等な立場で作業指示などなく自己の裁量で働けます。

しかしそのように自由度が高いからこそ、きちんとした自己管理が必要になるのです。モチベーションを維持し、作業の進行やクライアントの与信、トータルでの仕事量を管理できなければ、個人で仕事を続けることは難しいでしょう。

怠けてしまう

エンジニアやデザイナーが自宅でフリーランスとして働く場合、自分ひとりだけの空間で集中して作業をおこなうことが多いです。会社のオフィスであれば上司や同僚の視線があるために怠けることはありませんが、在宅ワークだと気を抜いてしまうこともあるでしょう。

このような気の緩みは、仕事のクオリティ低下にもつながります。たとえ一時的に魔が差しただけだとしても、納期に間に合わなかったり、作業が遅いとクライアントの信頼を失ってしまいます。

仕事を引き受けすぎ

多くの仕事を受注することは報酬の面からすると喜ばしいことです。しかし、個人が納品できる仕事の容量にも限界があります。自分の許容範囲を超えて受注しすぎると、成果物の品質を担保できず評判が下がってしまうリスクが生まれます。

また無理をして働くことで心身がすり減ってしまい、体調を壊すかもしれません。結果的にクライアントへ不信感を与えることとなり、契約が解消されてしまう可能性もあります。

連絡や納期の遅れ

フリーランスは、クライアントと良好な信頼関係を保たなければなりません。そのためにもこまめに連絡することは大切です。作業の進捗状況を逐一伝えるだけでもクライアントに安心感を与えられます。

逆に連絡が滞ると、作業に問題が起きているのではないかと不安に感じるものです。また納期の遅れは信用を大きく損なってしまいます。

フリーへの認識が甘い

フリーランスを希望する方の中には、場所や時間を選ばず自由に働けるというメリットばかりに注目する方がいます。しかし、フリーランスとして働き生活するにはデメリットについても正しく認識しなければなりません。

実際、フリーランスに転身して間もない時期には、多くの失敗体験をするものです。すべての責任は個人が負うことになるので、会社員時代よりも大きなプレッシャーを感じるかもしれません。

本業以外の雑務が多い

フリーランスは、新規顧客を獲得するための営業活動や確定申告などの事務作業など、本業以外の雑務にも取り組む必要があります。自分の得意なことだけをしたくてフリーランスになった人からすると、そのような雑用に対してギャップを感じることも多いのです。

人との交流がなくなる

フリーランスになると、ジャンルによっては会社員時代にあった同僚や取引先など人との交流が少なくなることもあります。特にリモートワークが浸透しているWeb業界のフリーランスなどで顕著です。

人と話さなくとも問題ないという人も多いですが、他者とコミュニケーションが十分に取れない状態が長く続くと、孤独を感じる人も多いのです。そのような性格であれば、フリーランスは向いていないかもしれません。

貯金が十分でない

フリーランスになりたての頃は思うように仕事を獲得できないことも多々あります。そのため生活資金が底をつきフリーランスを諦めるケースも少なくありません。独立して最初の一年目などは顧客も少なく、収入も安定しないケースがあります。

そのため、会社員を辞める前に、ある程度の貯金を用意しておくべきです。最低でも1年間は生活できるよう貯蓄をしておかないと事業が軌道に乗るまで苦労すると言われています。

トラブルに遭う

フリーランスとして働き続けるとさまざまなトラブルに遭遇します。その種類は多岐にわたるため全てに備えることは難しいかもしれません。体調に気を使ったり、金銭トラブルに巻き込まれないよう普段から注意したりする必要があります。

金銭管理を怠る

個人事業主として活動する以上、売上と費用の収支管理も自分でおこなう必要があります。エージェントなどの仲介業者を通して仕事を受注するフリーランスでは、入金や請求管理などもエージェント事業者が間に入りますが、直接案件を受注する場合や外注スタッフを利用する際などは、赤字にならないよう金銭の管理に注意しましょう。

手数料で搾取される

また、仲介業者の中には相場よりも高い金額を手数料として抜く事業者も存在します。フリーランスとして働く際に、自分の価値や相場を把握していないと足元を見られてしまいます。お金の流れをきちんと把握して、条件に納得できない場合はその旨を伝えることも必要です。

報酬を踏み倒される

請負契約など直接の依頼では、クライアント企業とお金のやり取りを行うことが頻繁にあります。その際の入金漏れや遅れは注意しましょう。企業によっては満足に報酬を払わないケースや倒産・夜逃げといった事件もあるかもしれません。中には支払いを踏み倒そうとする企業も存在します。

そのような事態に陥ることを避けるためにも、作業内容や報酬の支払いに関しては事前に細部まで突き詰めて決める必要があるのです。

病気・怪我など

フリーランスにとって身体は資本です。病気や怪我などによって働けなくなれば、基本的には無収入になってしまいます。また、すでに着手している案件があった場合、納期を守ることが難しいかもしれません。シビアな案件であれば、クライアントからの損害賠償請求などに発展する可能性もあるため注意しましょう。

フリーランスの失敗事例・失敗談

フリーランスとして働くと、些細な原因から失敗することもあります。ここでは参考となる失敗事例を紹介します。さまざまな失敗例を認識しておくことで、同じ轍を踏まずに済むかもしれません。

報酬が低すぎて生活ができない

雇用契約により固定給がベースとなる会社員と違い、スキルや経験などの専門性を対価としてプロジェクト毎に報酬を稼ぐことができる点がフリーランスのメリットです。しかしながら、独立後に仕事が上手く受注できないことで、会社員よりも低収入となってしまい後悔することも多いのです。

2015年発行の小規模企業白書によると、全体の4割程度を占めるフリーランスが年収200万円以下だという調査結果があるほどです。報酬が低すぎて生活ができない例は枚挙にいとまがありません。

オンとオフの切り替えができない

会社の就業時間に縛られること無く、事業主として自己の裁量で働ける点がフリーランスのメリットです。しかし場合によっては、オンとオフの切り替えができないというデメリットに変わってしまいます。自宅で働くのなら特に注意が必要です。常に仕事のことを考えている状態に身を置くため、心身ともに休まる暇がないというのはよく耳にする事例です。

スキルアップできない

会社員と違いフリーランスには教育の機会や研修などの制度がありません。フリーランスとして順調に働くと毎日が忙しく過ぎるものです。独立後に、時間を割いて勉強することがあまりできなかったり、知識を得る環境がないことに気づくのです。

また、無難にこなせる仕事ばかり受注しても成長は難しいです。会社員のほうがスキルアップを目指す環境としては優れていることもあるのです。

失敗するフリーランスの特徴

脱サラしてフリーランスに転身しても、その後に失敗することはあります。ここでは、失敗するフリーランスに共通するいくつかの特徴をみていきましょう。

コミュニケーションが苦手

人との会話やコミュニケーション、交渉事が苦手な方がフリーランスになると失敗しやすい傾向があります。なぜなら仕事の受注や時給換算での単価をあげていくうえで、コミュニケーションが欠かせないからです。

もちろん、専門技能が高いスペシャリストなどでは、コミュ力がなくとも一人でやっていける職人気質なフリーランサーも多いため、一概には判断できません。

しかしながら、一般的なスキルのフリーランスにコミュニケーションは欠かせません。クライアントと信頼関係を築くうえで会話や説明も大切な要素だからです。基礎的な信頼関係を築けなければ継続も難しいでしょう。

仕事のスキルが低い・効率が悪い

独立して失敗する人の特徴として、そもそも仕事のスキルが低かったり作業効率が悪かったりする点が挙げられます。会社員であれば、チームプレーで別のだれかがカバーできますが、フリーランスは自己責任です。

スキルが低いと仕事を探すのに苦労したり、リピート受注も増えません。また、高単価で割の良い仕事も滅多に舞い込まないでしょう。

そして、フリーで活動するなら効率も重要です。薄利多売を強いられて、一件当たりの単価が低くければ、思うように稼ぐことができなくなってしまうのです。

意識や向上心が低い

フリーランスとして大成できないパターンで、仕事に対するプロ意識が低く向上心もないことが挙げられます。フリーランスは自分の采配で仕事を決められるため、向上心が低いと今現在持ち合わせているスキルと知識で処理可能な、無難な仕事だけを受注してしまいがちです。

しかし時代のトレンドは常に流動的であるため、新しいことに挑戦しようという気概のない方は取り残されてしまいます。

また、成果を出すことに集中できなければ、継続してパフォーマンスを提示することも困難です。やがてクライアントからも見限られてしまう可能性があるのです。

自分の意見が言えない

フリーランスとして活躍するには周囲の意見に同調して人間関係を円滑にする能力が必要だと言われています。しかし、それと同じくらい自分の意見を言うことも大切です。

例えば自分にとってデメリットが大きい仕事を押し付けられそうになったとしても、きっぱり断らなければなりません。

個人で働く以上は、守ってくれる組織も上司もありません。愛想良く振る舞っているだけでは、最終的に貧乏くじを引いてしまうのです。

行動力がない

常に受身でいる方はフリーランスに向いていないかもしれません。なぜなら、フリーランスは自ら行動力を発揮することで新しいことを吸収し、また仕事も獲得しなければならないからです。

スキルアップや人との交流についもアクティブに行動しなければ取引のチャンスは広がりません。

成功するフリーランスの特徴

一方で、フリーランスとして成功する人にはどのような傾向があるのでしょうか。起業・独立が向いている人に共通する特徴についてみていきましょう。

経験がある分野で独立している

未経験の分野を手探り状態で開拓しているフリーランスは、なかなか仕事を受注できません。なぜならクライアントはすぐに戦力となる人材に仕事を依頼したいと思っているからです。そのためフリーランスとして成功するには、最初から十分なスキルや知識が必要だと言われています。

また、新規事業の立ち上げ経験や大手企業での経験、マネジメント経験など希少性が高い経歴は評価されるでしょう。会社員時代に経験がある分野で独立すると、それらを備えた状態からスタートを切れるので成功しやすいです。

人脈づくりや営業活動をおろそかにしない

フリーランスとして成功する人は、率先して人脈を作ります。同業者同士で情報を交換することで最新のトレンドに触れることができるし、そこで培った人脈を頼りに営業活動もできるからです。

集中して作業に没頭することも大切ですが、門戸を開いて積極的に他者と交流することもフリーランスにとっては大切な仕事だと言われています。

スキルアップや自己投資を怠らない

フリーランスとして末永く活躍するためには、常にスキルアップするように努力をし、そのための自己投資を怠らないことが重要です。例えば書籍を購入したり、セミナーに通ったり、同業者と会食したりすることは長い目で見れば自身の成長に役立ちます。

能力向上にかかる費用は必要な投資だと割り切ってください。また、そのような出費は経費として計上することができるので節税にも結びつきます。

同業者の仲間を作り交流している

同業者の仲間を作り交流することは、フリーランスとして働き続ける上で必要です。フリーランスとは自由に働ける一方で、全ての課題を自分で乗り越えなければならず時に孤独を感じます。

そのような時に同じような悩みを抱える仲間がいれば励まし合うことができるはずです。また、同業者であれば業界の動向や最新情報を交換することもできるでしょう。

フリーランスで失敗しないために

フリーランスとして失敗しないためのポイントを紹介します。

準備してから独立する

フリーランスとして失敗しないためには、事前にきちんと準備をしてから独立することが肝心です。会社員時代に取引先との人脈を築けているのであれば保持してください。元々の勤務先から仕事の発注をもらう形で独立するフリーランスも多いです。また在職中からクレジットカードを用意したり引っ越しをしておくとスムーズです。

具体的な将来ビジョンを持つ

自由な働き方が可能なフリーランスは、自制心がないと堕落してしまいがちです。そのため具体的な将来のビジョンを持つと良いでしょう。数年先の目標を定めることで、毎日の仕事に張り合いが出て良い仕事ができます。

毎月の目標金額や予算設定し達成する

フリーランスは、毎月の売上目標金額を決めるべきです。また予算も設定してください。これらの目標を達成するためにお金を管理することが、フリーランスとして成功するための第一歩です。

複数のクライアントと契約する

フリーランスは収入が不規則です。少しでも安定させるために複数のクライアントと契約することは効果的だと言われています。ひとつの契約が途切れたとしても、他に収入の柱があるという事実は安心感にもつながります。

健康・体調を管理する

フリーランスは思う存分働くことが可能です。しかし張り切りすぎると健康を害することもあります。末永くフリーランスとして働くためには、日頃から健康や体調を管理することが大切です。

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