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Agentic Workflow(エージェントワークフロー)とは?導入手順やメリット・デメリットについて解説

Agentic Workflow(エージェントワークフロー)とは?導入手順やメリット・デメリットについて解説

AI活用は今、「プロンプトを投げる」段階から**「自律的なワークフローを構築する」**フェーズへと進化しています。その鍵を握るのが「Agentic Workflow(エージェントワークフロー)」です。

AIに試行錯誤や推敲を繰り返させることで、従来の単発回答では不可能だった高度な業務完遂が可能になります。本記事では、その定義から具体的な導入手順、メリット・デメリットまで解説します。

Agentic Workflow(エージェントワークフロー)とは

Agentic Workflow(エージェントワークフロー)とは

Agentic Workflow(エージェントワークフロー)とは、大規模言語モデルを単なる回答者としてではなく、自律的に思考し行動する「エージェント」としてシステムに組み込み、一連のワークフローを反復的に実行させる手法のことです。

従来のプロンプト入力は、一度の指示で完璧な回答を求める「ゼロショット」が主流でした。

しかし、Agentic Workflowでは、AIが「計画→実行→検証→修正」というループを回します。

この手法はAIの権威であるアンドリュー・ン氏らが提唱し、GPT-4などの高性能モデルをそのまま使うよりも、モデルを賢く「動かす」仕組みを作る方が、最終的なアウトプットの質が高まることが証明されたことから、急速に注目を集めています。

RPAとの違い

RPAとの違い

RPAは、あらかじめ決められた「Aの次はBをする」という固定的なルールに従って動作します。

そのため、予期せぬエラーやUIの変化、非定型なデータの処理には対応できません。

一方、Agentic WorkflowはLLMの推論能力をベースにしているため、曖昧な指示や状況の変化に対しても、AIがその場で「次に何をすべきか」を判断して動きます。

定型作業の自動化を超えた、知的判断を伴う業務の自動化を可能にするのが、このワークフローの強みです。

Agentic Workflowの主要な設計パターン

Agentic Workflowの主要な設計パターン

Agentic Workflowの主要な設計パターンには、以下のようなものがあります。

  • 自己修正
  • ツールの活用
  • 計画立案
  • マルチエージェントの協力

それぞれ詳しく解説します。

自己修正

自己修正は、AIが生成したアウトプットに対し、自ら「間違いがないか」「もっと良くできないか」をチェックし、修正案を出して再度実行するパターンです。

例えば、プログラムを生成した後に、AI自身がテストコードを走らせ、エラーが出たらその内容をもとにコードを書き直すといった使い方が挙げられます。

このループを繰り返すことで、初期回答の精度を大幅に引き上げることが可能になり、人間が逐一チェックしなくても一定水準の成果物を維持しやすくなります。

ツールの活用

Agentic Workflowでは、AIが必要に応じて外部のツール(検索エンジン、電卓、データベース、ファイル操作APIなど)を自律的に呼び出し、不足している情報を補いながら結果を統合します。

最新情報の取得や正確な数値計算といったモデル単体の知識や性能の限界を補うことで、実務に直結するアウトプットが可能になります。

計画立案

計画立案型は、複雑で大きなタスクを渡された際、AIがそれを実行可能な小さなサブタスクに分解し、実行順序を立てるパターンです。

目標達成のために「まず何を知るべきか」「次に何を準備すべきか」というロードマップを自ら描き、進捗に応じて計画を柔軟に書き換えていきます。

これにより、人間が細かく指示を出さなくても、抽象的な目標から具体的な成果物までを自走して作り上げることができます。

マルチエージェントの協力

マルチエージェントの協力は、それぞれ異なる役割を与えられた複数のAIエージェントを対話させ、共同でタスクを完遂させるパターンです。

たとえば「調査担当」「実装担当」「レビュー担当」といった役割を与えて、互いにフィードバックを出し合うことで、専門性の高い多角的な視点を持ったチーム作業に近いアウトプットを導き出すことができます。

Agentic Workflow導入のメリット

Agentic Workflow導入のメリット

Agentic Workflow導入のメリットとして、以下のようなものが挙げられます。

  • モデルの限界突破
  • 信頼性の向上
  • 開発スタイルの変化

それぞれ詳しく解説します。

モデルの限界突破

Agentic Workflowを導入することで、使用するLLM(大規模言語モデル)の単体性能を超えたアウトプットを得られる可能性があります。

実際、アンドリュー・ン氏は「GPT-3.5をエージェント的なワークフローで運用した結果、ゼロショットのGPT-4を上回る精度を出した」という事例を報告しています。

このように、推論のループや自己修正、ツール連携を組み合わせることで、モデル単体では得られない高度な成果を生み出せる可能性がある点が、Agentic Workflow導入の大きなメリットといえます。

信頼性の向上

単発のプロンプトでは、AIが誤った情報をもっともらしく話す「ハルシネーション」を完全に防ぐことは困難です。

しかし、Agentic Workflowでは検証ステップが組み込まれているため、AIが自らのミスに気づき、修正する機会が生まれます。

また、ステップごとに事実確認や論理チェックを挟めば、最終的な成果物にも一定程度以上の正確性が担保されるため、ビジネス実務に耐えうる信頼性を確保できるようになります。

開発スタイルの変化

Agentic Workflowを導入すると、エンジニアの開発スタイルは「単なるプロンプトの微調整」から、「システム全体の設計」へと変化します。

AIをブラックボックスとして扱うのではなく、どのタイミングでどのエージェントに何を実行させるかを設計し、制御可能なワークフローとして構築することが可能になります。

Agentic Workflow導入のデメリット

Agentic Workflow導入のデメリット

Agentic Workflow導入のデメリットとして、以下のようなものが挙げられます。

  • API費用が高くなる
  • 応答速度が遅くなる
  • 無限ループや迷走のリスクがある

それぞれ詳しく解説します。

API費用が高くなる

Agentic Workflowは「何度も考え何度も実行する」というAIが納得するまで思考と修正を繰り返す仕組みです。

そのため、自己修正やマルチエージェント間の対話を重ねるほど、消費されるトークン量は累積し、APIの利用料金は跳ね上がります。

単発の実行であれば安価で済みますが、複雑なループを組むとAPI費用が数十倍に膨らむこともあるため、費用対効果を見極めた設計が必要になります。

応答速度が遅くなる

「計画→実行→検証→修正」というステップを逐次的に踏むため、最終的な回答が得られるまでの待ち時間は必然的に長くなります。

複数のエージェントが議論を戦わせたり、外部ツールを実行して結果を待ったりする時間は、場合によっては数分に及ぶこともあります。

リアルタイムなレスポンスが必要なカスタマーサポート用チャットボットなどには不向きなので、用途に応じて使い分けることが大切です。

無限ループや迷走のリスクがある

エージェントの指示が曖昧だったり、終了条件が不適切だったりすると、AIが同じ間違いを繰り返して修正し続けたり、本来の目的から逸れた行動を繰り返したりする「無限ループ」や「迷走」に陥ることがあります。

特に自律性を高く設定しすぎると、人間の制御を離れて予期せぬAPI消費を招く恐れがあるため、Agentic Workflowを導入する際は、最大ループ数の制限や、異常を検知して停止させる監視機能の実装が必要になります。

Agentic Workflowの導入手順

Agentic Workflowの導入手順

Agentic Workflowの導入手順は、以下の通りです。

  1. 目的を決める
  2. エージェントの役割と権限の設計を決める
  3. 推論ループのパス設計を行う
  4. 適切なフレームワークを選定する
  5. 実装
  6. 評価と改善

それぞれ詳しく解説します。

目的を決める

まずは、どの業務をエージェント化するかというターゲットを明確にします。

すべてのタスクに導入するのではなく、「手順は複雑だが論理的な正解が存在する業務」や「人間が何度も差し戻して修正させている業務」などが最適です。

また、達成すべきゴールと、何をもって成功とみなすかの評価指標を最初に定義しておく必要があります。

エージェントの役割と権限の設計を決める

Agentic Workflowでは、各エージェントにどのような役割を与えるか、どこまで判断・行動させるかを明確に設計することが重要です。

例えば、調査担当にはWeb検索ツールへのアクセス権を与え、執筆担当にはトーン&マナーの遵守を徹底させ、校閲担当には批判的な検証を命じるといった形です。この役割を曖昧にすると、エージェント同士の衝突や無駄な試行が増え、効率や精度に悪影響を及ぼします。

また、権限設計も欠かせません。外部ツールの呼び出しやデータアクセスを許可する範囲を限定することで、安全性やコスト管理が容易になります。

推論ループのパス設計を行う

推論ループのパス設計では、入力から出力までの処理フローや分岐条件、終了条件を整理します。

この段階では、どのタイミングで自己修正を行うか、ツール呼び出しを行うか、マルチエージェント間で情報を共有するかを明確にしておきましょう。

ここを曖昧にすると、無限ループや精度低下の原因になりやすく、結果的にコストや時間も増えてしまう可能性があるため注意が必要です。

適切なフレームワークを選定する

Agentic Workflowをゼロから実装するのは極めて難易度が高いため、用途に適したフレームワークを選定します。

現在、Pythonベースでは、グラフ構造で複雑な条件分岐を制御できる「LangGraph」や、役割分担と協調に優れた「CrewAI」、マルチエージェント間の対話に特化した「Microsoft AutoGen」などが主流です。

実装

実装段階では、設計したワークフローを小さな単位で検証しながら組み上げていきます。

ここで一気に全体を構築してしまうと、バグや設計ミスが見えにくくなり、修正に時間がかかってしまう恐れがあります。

そのため、まずは単一のエージェントや小規模な推論ループを動かし、出力の精度やAPIコスト、応答速度を確認しながら段階的に拡張していくのがおすすめです。

評価と改善

実装したワークフローを実際に稼働させ、出力の精度、APIコスト、応答速度、無限ループの有無などを評価します。

その際、期待した精度に達していない場合は、エージェント間のフィードバックの内容を見直したり、ツールから得られる情報の粒度を調整したりといった改善を繰り返します。

Agentic Workflowスキルはフリーランスの武器になる

Agentic Workflowスキルはフリーランスの武器になる

Agentic Workflowの設計・運用スキルは、フリーランスとしての市場価値を大きく高める武器になります。

自走型人材としての評価

Agentic Workflowを構築できるエンジニアは、単にコードを書くだけの人材ではなく、「AIを駆使して自律的に課題を解決するシステムを構築できる人材」として高く評価されます。

フリーランス案件では、クライアントの抽象的な悩みを自走するAIワークフローへと落とし込むといった、コンサルティング領域に近い能力があると高く評価されやすく、単価交渉においても有利になります。

検証済みの成果物を納品する信頼性

「AIが作ったものなのでミスがあるかもしれません」という段階では人材的な価値は低いですが、「検証済みの成果物」を出力する仕組みを納品できれば、プロとしての信頼につながります。

品質を担保するプロセス自体をシステムとして構築できる能力は、クライアントにとっての安心感にもなるため、継続案件や他社への紹介といったチャンスが生まれやすくもなります。

既存ツールとの連携によるDX推進力

従来の自動化では、SlackやGoogle Workspaceといった業務ツール間のデータの受け渡しに、人間による判断や複雑なプログラムが必要でした。

しかし、Agentic Workflowを導入すれば、AIが「API経由で顧客情報を取得し、メールの下書きを作成し、Slackで担当者に確認を求める」といったツールを跨ぐ一連の作業を自律的に完遂できます。

これにより、従来は個別のプログラムや人手に頼っていた業務フローを統合的に処理できるため、DX推進の幅が大きく広がります。

また、フリーランスとしても、単なる作業代行にとどまらず、クライアントの業務プロセス全体を改善する高付加価値な提案が可能になります。

まとめ

Agentic Workflowとは、AIを自律的に動かし、計画・実行・検証・修正のループを回す設計手法です。

RPAのような固定手順型の自動化と違い、複雑で知的な業務にも対応することができ、従来のプロンプトでは到達できなかった高い精度と信頼性を実現できるのが特徴です。

もし、Agentic Workflowをはじめとする最先端のAI実装スキルを磨き、その技術を実際のビジネス案件で活かしたいと考えているなら、AI・データサイエンス特化型エージェントサービス「BIGDATA NAVI」を活用してみてください。

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