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2019/07/19

データサイエンティストとは?仕事と年収、適性・スキル、転職・独立まで徹底解説

コンピュータ・ITなどの高度情報化が進みデータ利用の巧拙によって経営に差がつく時代となりました。それに伴い、ビッグデータを活用したり機械学習などAI技術を利用する人材について、就職・転職、採用といった部分で関心が高まっています。

今回の記事では、国内でも人気職種として定着しつつあるデータサイエンティストについて解説します。仕事内容や、年収・給料、キャリアパスについてもみていきましょう。

データサイエンティストとは

データサイエンティストが仕事で担う役割、必要な知識・スキル

データサイエンティストはデータを活用したビジネス課題の解決や機械学習・統計モデルの開発を行う職種です。大規模なデータを整え、分析できる環境・体制作りの役割を担うこともあります。

機械学習や深層学習(ディープラーニング)に精通した人材の需要が増加し、AIブームでIT業界以外での認知度も向上したため求職者からも人気の職業となっています。

データサイエンティストの生まれた背景

データサイエンティストという職業名のもととなった「データサイエンス」は2007年に新語として登場しました。同時期に、それらを専門とする統計学者や分析者がデータサイエンティストを名乗るようになりました。2012年にハーバード・ビジネス・レビューが「データサイエンティスト:21世紀で最もセクシーな職業」と報じたことがきっかけで、日本でもブームとなっています。

世の中に存在するデータの多くは、統一のフォーマットで管理されているわけではなく、活用するためにデータの整形や統合が欠かせません。また、現在では、PCやスマートフォンで簡単にインターネット上の情報が得られるようになったとはいえ、それらのデータも十分活用されているとはいえない状況でした。

しかし、従来のヒト、モノ、カネに加え、「情報=データ」が重要な経営資源であるということが認識されると、ビッグデータの活用に本腰をいれる企業が増え、データ分析の専門職がより注目されるようになったのです。機械学習・ディープラーニングなどのAI技術もアルゴリズムなど統計的にデータを扱う知見が必要とされ、データサイエンティストの人気を後押ししています。

ビッグデータとは

ITシステムやインターネット、ハードウェアデバイスなど様々な手段や形式で蓄積された大量のデータが「ビッグデータ」です。企業が保有するデータを分析に活用するには、データウェアハウス、データレイク、データマートといった分析基盤にデータを集約する必要があります。IT化が進み始めた当初の頃に比べ、現在ではコンピュータの処理速度やクラウドインフラなどデータ利用の環境が整ったことにより技術の進歩が加速しています。

データサイエンティストの役割

担当する業務や責任範囲に違いはあれど機械学習や統計解析に関するプロジェクトを成功に導くことがデータサイエンティストの役割です。数理統計に基づく予測、異常検知、最適化などの取り組みは、使い方次第でビジネスをはじめ多彩な方面で生かすことができます。

しかし、実務では、整ったデータをすぐに活用できる環境は少なく、多くの場合はデータの収集や準備から始めることになります。また、ビジネスで実用可能な精度を出すことは容易ではありません。そのため、蓄積されているデータのパターンや特徴を把握し、ビジネス上のニーズにマッチする利用方法や解析手法を提案するとともに、業績アップにつなげられる視点を提供することが求められます。

また、経営層がデータに基づいた判断を行えるようにサポートすることもデータサイエンティストの役割のひとつです。企業に有効的なデータの活用方法を提供するためには、データ収集や分析を的確にできることが大切です。そのため、集めたデータを蓄積する環境を構築し、SASやR、Pythonなどのプログラミング言語を駆使してデータ分析をする役割も求められます。

さらに、分析結果からビジネスに貢献できる情報が得られても、それが正しく伝わらなければ生かすことはできません。そのため、意思決定にデータを活用するためのダッシュボード構築や、しっかりしたレポート体制を整える役割も担っています。

データサイエンティストの年収・給料

正社員として働く日本のデータサイエンティストの平均年収は、dodaのキャリアコンパスによると500万円、求人ボックスの給料分布では649万円です。そのことから国内のデータサイエンティストの給料相場は、年収で500から600万円程度といえます。求人ボックスの情報をみると中途採用の給与幅が411〜1,159万円と広く、経験やスキルによって年収相場が異なる点は注意が必要です。

若年層の情報科学分野や理系学生の獲得競争が過熱しており、日本でも20代の若年層においてデータサイエンティストは他の職種と比べ給与が高い傾向にあります。

また、IT先進国の欧米では、日本と比較してITエンジニアの年収が高い傾向にあり、データサイエンティストも同様です。求人サイト「Glassdoor」によると、アメリカのデータサイエンティストの平均年収は117,345ドル(2019/7/15時点)。日本円に換算すると約1200万円です。国内でも、スキルを持った人材やフリーランスとして活躍する場合は年収2,000万円を目指せる職業です。

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データサイエンティストの年収相場・給料事情

データサイエンティストの仕事・業務

次にデータサイエンティストの実際の業務内容を紹介します。ビジネス上の課題に関連するデータを収集・整理して解析することはあくまで一面にすぎません。ビジネス面での提案やコンサルティングが業務に含まれることもあります。統計を駆使した予測モデルの作成や解説なども行います。さらに、最近ではシステムを実装するITスキルを要件とする求人も多いです。ただ、データサイエンティストが取り扱う領域や業務が多岐にわたるため、同じデータサイエンティストといっても行っている業務に違いがあったり、企業内で業務を分担していたりすることもあります。

実際にデータサイエンティストが取り組む仕事の例として「データ分析・統計解析」「数理統計モデルの作成・データ処理」「分析環境の設計・構築」「データ可視化・自動化」について以下で解説します。

データ分析・統計解析

データサイエンティストの仕事のひとつにデータ分析やアナリティクスに関する業務があります。この仕事はデータアナリストなど分析職種のほか、コンサルタントやマーケティング出身者も携わることがあります。数理統計に関する知識のほか、ビジネスモデルの把握や事業への深い理解が求められます。

数理統計モデルの作成・データ処理

AIエンジニアや機械学習エンジニアと呼ばれるデータサイエンティストの仕事に、統計解析、機械学習などのモデリングやアルゴリズムに関する仕事があります。自然言語処理、画像処理、音声処理といった非構造化データを扱う分野でディープラーニング技術を応用した業務に携わることも増えています。

分析環境の設計・構築

ビッグデータの解析や機械学習には、分析基盤などの環境構築が必要です。所属組織や分析目的に応じた分析環境を設計し整える業務もデータサイエンティストの仕事といえます。ただし、基盤構築やクラウドなど専門技術が必要なため、データ活用に積極的な企業では、ITインフラや分析基盤の整備は、データエンジニアの仕事とされることも多いです。

データ可視化・自動化

分析基盤に集約したデータや統計解析の結果を事業部門や経営層が利用するにはデータの見える化や可視化が必要です。また、AIによる業務自動化も進んでいます。それらデータ利用の社内啓蒙やAIのビジネス利用を推進する役割をデータサイエンティストが担うこともあります。

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データサイエンティストの仕事内容

データサイエンティストの就職先・活躍の場

IT化が進んだ現代では、ビジネスで業績を上げるために、企業が様々な場所から得られる情報を活用するのは当たり前になりつつあります。そのため、データサイエンティストが活躍できる職場や企業も増加しています。会社員、フリーランスという働き方別に活躍する場所をみてみましょう。

会社員

国内の企業でも、データ分析を専門に行う部署や研究開発の部署を設ける会社が増えてきました。その傾向は、Web系のビジネスを展開する企業などで顕著です。ウェブメディアやソーシャルゲーム、ECサイトなどWeb上でサービスを展開する場合、ユーザーがサイトにアクセスした際の行動ログや購買履歴を分析することで売り上げに貢献することができます。

たとえば、ユーザーがサイトを離脱することが多いポイントが見つかれば、改善してユーザーの満足度を上げることが可能です。また、この商品を購入する人は、こちらの商品にも興味を抱きやすいという傾向をレコメンドしたり、価格の最適化を自動化したりなど、ユーザーが興味をそそる商品にスムーズに誘導できるよう改善することもできます。

もちろん、Web系のビジネスだけではなく、金融や流通、人材などマーケティング分野で消費者の動向を分析することで利益につなげられる企業もデータサイエンティストのニーズが多い業界です。ほかにも、製薬会社・医療系、製造業、官公庁などでもデータサイエンティストが求められているケースがあります。

フリーランス

企業に所属し会社員として活躍する方法のほか、フリーランスのデータサイエンティストとして独立・起業の動きも活発です。データサイエンティストはデータを活用してビジネス上の課題解決を行う仕事です。そのため、大量のデータが存在し、それを活用しようと考えている大手企業や事業会社でも、業務委託として常駐するフリーデータサイエンティストの採用募集のポジションが増加しています。

また、それらの支援を行うコンサルティング会社やIT企業、データ分析の受託企業のフリーランス求人需要も多くあります。ベンチャーやスタートアップ企業のなかでも、機械学習や深層学習などの特に難しい課題や複雑な問題を抱えている会社で、データサイエンティストのニーズが増してきました。

データサイエンティストで豊富な実務経験を持つ人材は少ないため、経験やスキルレベルが高い場合に副業のデータサイエンティストとして、活躍する人材もいます。

データサイエンティストへのキャリアパス

データサイエンティストは、まだまだ新しく歴史の浅い職業です。そのため、データサイエンティストになるためのキャリアパスが、ひとつに確立されているわけではありません。また、データサイエンティストを育成するための教育課程も不足しているといえます。これから本格的に勉強をはじめる学生ならば、情報学や統計学などを含め、まずはデータサイエンスの基礎を学んでおくことが必須です。

一方、社会人としてすでに別の職種に就いているところから、データサイエンティストへのキャリアチェンジを目指すこともできます。特にデータアナリストやエンジニアとして働いた経験がある人は、データサイエンティストを目指すのに適しています。ここでは、データアナリストからのキャリアパスとエンジニアからのキャリアパスについて取り上げます。

データアナリストから

データアナリストもデータを分析し、その結果をビジネスに役立てるという点ではデータサイエンティストと共通している職業です。ただし、データアナリストの場合は、現状の情報に向き合い、分析することが主体となっています。一方で、データサイエンティストの場合は、機械学習やAI技術なども駆使して予測モデルを構築しながらビジネスに役立てる仕事です。とはいえ、データに携わり、分析するという共通点があるため、データアナリストとしての経験に加え、ビジネスやITスキルを磨くことでデータサイエンティストへのキャリアパスにも無理がないでしょう。

データサイエンティストは名称にサイエンティスト(科学者)と付いているように、データを科学するという側面があります。そのため、データの収集や加工、用いる数理モデルの選択など、ときには科学者のように何度もやり直すような作業が必要です。また、構造化されていない膨大なデータを扱う高度なエンジニアリングや有益な情報を見つけ出す英語力なども養わなければなりません。さらに、データをビジネスに生かせるよう可視化し、プレゼンテーションできるスキルを磨いていくことで、データアナリストからデータサイエンティストへの転向も可能になります。

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データアナリストとは?仕事内容から必要スキル、就職・転職の方法まで徹底解説

エンジニアから

機械学習や深層学習などのAI技術を実装できるフレームワークやAPIが普及してきており、エンジニアリングのスキルをもったデータサイエンティスト(機械学習エンジニア)の求人ニーズが増加傾向にあります。データサイエンティストの仕事はコンピュータサイエンスの上に成り立っています。そのため、データベースの設計やシステム開発などを経験しており、統計学や理系の素養があるエンジニアは、データサイエンティストへ転職しやすいでしょう。

また、機械学習やビッグデータ分析に関して分析基盤や環境が必須となっており、多くの場合AWSやGCPなどのクラウド環境で実行されます。そのため、それらインフラ技術やデータベースなどの基盤設計、分散処理、セキュリティといったITスキルはデータサイエンティストとしての仕事に役立ちます。

ただし、エンジニア・プログラマーとしてコードを書く仕事をメインでおこなってきた場合、統計分析やマーケティング、コンサルティングなどに関して、あまり学んだり携わったりすることがありません。そのため、データ解析の技術を学ぶほか、事業の仕組みや構造にも興味を持ち、企業が求める課題を見つけだすことなど、実際のビジネスに関わることが必要になります。

データサイエンティストに必要なスキル

データサイエンティストとして実務を行ううえで、数理統計や情報科学などデータサイエンスの知識は欠かせません。それに加え、分析・レポーティングや提案に関するビジネススキル、Python、Rなどのプログラミング、データ処理のためのエンジニアリングのスキルが必要です。

一般社団法人 データサイエンティスト協会の「データサイエンティスト スキルチェックリスト」では、データサイエンティストに必要なスキルを「ビジネス力」「データサイエンス力」「データエンジニアリング力」の3つに分類しています。

  • ビジネス力:課題背景を理解した上で、ビジネス課題を整理し、解決する力
  • データサイエンス力:情報処理、人工知能、統計学などの情報科学系の知恵を理解し、使う力
  • データエンジニアリング力:データサイエンスを意味のある形に使えるようにし、実装、運用できるようにする力
引用元:データサイエンティスト協会

未経験からデータサイエンティストへの転職や就職でも、データサイエンス力について最低限の素養は必要です。

データサイエンス協会の定義する「シニア(業界を代表するレベル)」「フル(棟梁レベル)」「アソシエイト(独り立ちレベル)」「アシスタント(見習いレベル)」の4段階のうち、見習いレベルのデータサイエンティストに必要なデータサイエンス力は「統計数理の基礎知識」「データ分析の基礎知識」「基本統計量や分布の確認、および前処理」「前処理後のデータに対し、抽出、集計、可視化」です。

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データサイエンティストに必要な15のスキル

データサイエンティストには文系からでもなれる?

データサイエンティストには、文系出身のデータサイエンティストも存在します。しかしながら、データサイエンスは数学や統計の理論により成り立つ領域未経験から転職・就職する場合に、機械学習や情報科学系の大学院・学部出身者のほうが有利といえます。

データサイエンティストの資格

未経験からキャリアチェンジを目指す方やスキルアップを考えている方は、以下を参考に資格取得を検討してもよいでしょう。データサイエンティストに資格は必要ありませんが、取得により知識の体系的な学びや実力の証明になります。

  • 情報処理技術者試験/情報処理推進機構(IPA)
  • データスペシャリスト試験/情報処理推進機構(IPA)
  • OSS-DB技術者認定試験/エルピーアイジャパン(LPI-Japan)
  • 統計検定(準1級)/統計質保証推進協会
  • G検定・E資格/日本ディープラーニング協会(JDLA)
  • Python 3 エンジニア認定基礎試験/Pythonエンジニア育成推進協会
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データサイエンティストに役立つ資格6選!資格取得のメリット、難易度、スキルを解説

データサイエンティストに向いている人・適性

データサイエンティストとして働くためには、最低限データ解析や統計学、数学などの基礎知識を持っていることが求められます。そして、もちろんデータ分析やデータ保存、データ整形処理などで使うプログラミング言語を使いこなせることも必要な適性のひとつです。

ただ、データサイエンティストは、言葉としてまだ2007年に新しくできた職業であるため、定義などが明確ではないところもあります。また、技術の進歩をはじめ、進化がめまぐるしい分野です。そのため、データサイエンティストに求められるスキルは多岐にわたり、この先まだまだ変化することも考えらます。

たとえば、データの解析や予測などのプロセスでは、どんどん機械化や自動化が進んでいるため、機械学習に関する知識があることも求められるでしょう。

さらに、いくらデータ分析やプログラミングの技術的なスキルが高くても、的外れの結果を導き出していれば役には立ちません。また、情報があふれかえっている現代では、情報を得ること自体は難しくなくなりました。むしろ、膨大な情報の中から必要なものや役立つものを選び取ることが重要なのです。データサイエンティストにも同じことがいえます。

つまり、蓄積されている膨大なデータの中から関連性を見いだし、ビジネスに活用できる課題を見つけだせる発想力も大切なのです。そもそも、データサイエンティスト自身も、ある程度ビジネスの内容に関して興味を持って取り組める人が向いているといえるでしょう。日頃からビジネスや経済の動向、時代のニーズなどに目を向け、興味を持っていれば、企業がなにを求めているかも把握しやすくなります。

そして、導き出した結果が最終的に企業の問題解決にどう役立つかということを繰り返し検証し、試行錯誤しながら精度を高めていける忍耐力を持っている人も適性がある人材です。仕事に対して突き詰めて考え、ときには楽しみながら取り組めるくらいの人の方が向いているといえます。

データサイエンティストの仕事はデータと向き合う仕事であるため、人とのコミュニケーション能力があまりなくてもいいのではないかと考える人もいるかもしれません。しかし、せっかく的確な結果を得られても、それが企業側に正しく伝わらなければビジネスに生かすことはできないのです。そのため、データサイエンスに詳しくない企業の経営者や担当者にも理解できるよう、相手の立場に立って適切に結果を伝えられるコミュニケーション能力を持っている必要もあります。

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