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RPAコンサルタントとは?気になる年収相場、仕事内容とスキル、将来性までを徹底解説

RPA技術を利用した業務効率化や作業の自動化に注目が集まり、RPA関連の開発プロジェクトが多く立ち上がっています。コンサルタント経験者やIT技術者のなかでも、RPAコンサルタントへの転職やキャリアチェンジをお考えの方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、そんなRPAコンサルタントの業務内容や平均年収、給与相場・求人需要を交えて解説します。気になる将来性やキャリアパスについても紹介していきます。

RPAコンサルタントとは

ロボティック・プロセス・オートメーションは、RPAと略称されます。このRPAは、人が行う作業を自動化させるシステムのことです。作業を自動化させるシステムなので、AIと比べられることも多いですが、AIと違って自己学習機能がありません。つまり、RPAは設定された動作しかしないシステムなので、予測不可能な動きがなく、代替可能な工数の見積りを行うことができれば、導入後のコスト削減効果や投資に対するリターンを算出しやすいといえます。そのため、多くの企業が作業を効率化させる目的で、RPAを導入し始めています。

しかし、いざRPAを導入しようとした際に、社内に導入ノウハウがあるとは限りません。また、多くの場合、RPA導入の提案は、顧客企業から導入業務を請け負うコンサルティングファームやベンダー企業が担当します。そのような場合に、課題の切り分けや業務設計などで活躍する仕事が「RPAコンサルタント」と呼ばれるRPAの専門家です。

社内の仕事効率を上げるために、どの作業が負担となっているのかを調査したり、業務の一部を自動化させたりして、社員が働きやすい環境を作るための提案を行います。このRPAコンサルタントが、RPAの導入支援をすることで、運用前のPoC(概念実証)や、RPA適用箇所の洗い出しなどをスムーズに進めることができるのです。

RPAは、運用の仕方によっては複雑な業務にも対応できるため、人材不足を解消できるというメリットがあります。少子高齢化社会が問題となっている日本国内では、労働人口の減少が度々問題となっています。今後、さらに労働人口は減っていくと考えられるため、RPAコンサルタントは、この先しばらくは安定した職業といえるでしょう。

RPAコンサルタントの仕事内容

RPAコンサルタントは、顧客の要望するRPAの導入支援をする働き方、もしくは社内専用のシステムを構築する働き方かのどちらかが一般的です。このように、勤め先によって働き方は若干異なりますが、どちらも仕事内容にそこまで大きな差はありません。

ここからは、RPAコンサルタントがどのようにRPAの導入をすすめていくのか、その仕事内容を具体的に紹介していきます。

導入前

RPAを導入する前に、まずは会社で行われている業務のなかで、どの作業を自動化させれば時間やコストを大きく削減できるのかを洗い出します。社内の情報共有が不足していると、仕事の数や担当者、作業に費やしている時間などを全く把握できていないケースがあります。社内全体の業務を可視化させなければ、せっかく費用をかけてRPAを導入させても、高い費用対効果を望めない可能性があるのです。

まずは、社内での聞き取り調査やアンケート、業務観察などを実施し、どの作業に時間がかかっているのか、自動化させても問題ない業務かを切り分けていきます。そうすると、ある特定の期間中にどの業務にどのくらいの時間を費やしているのかが明確になり、自動化させたほうが良い業務の区別がつけられるのです。その際に、RPAで実現出来る箇所と追加開発が必要な個所との仕分けも行います。

続いて、RPAを導入すべき業務を洗い出したら、導入計画を立案します。ある程度のまとまった費用をかけてRPAを導入するので、企業やクライアントを納得させられるだけの案を用意しなければなりません。ただ漠然とRPAの導入で作業が効率化できると説明するのではなく、導入によるコスト削減効果や費用について指標となる数値や根拠とともに提示します。

そのため、初めてRPAを導入する際は、期待できる効果と費用や実現可能性を加味して、作業自動化による成果をあげやすい一部業務から段階的に導入を進めていくことが多いです。企業によっては、RPAを導入する業務が既に決定している場合があるので、導入したらどうなるかを検討し、随時要望を取り入れながらプロジェクトを進めていきます。

導入時

RPAの導入をするときは、システムや業務フローの検証を含めた試運転期間を設けることが一般的です。実際にRPAロボットを運用してみると、使いにくかったり、さらなる改善が必要だったりすることがあるからです。システムを構築してから導入するまでは、半年以上かかることもあります。短期間でRPAを導入するには、導入経験があったり、開発経験があったりと、ある程度の知識と技術力が求められるのです。

そして、RPAの実用化に問題がなければ、他の業務にも適用範囲を拡張していきます。保守・運用を受け継ぐ部署への引継ぎや社内研修を実施したりして、運用面の支援を行うこともあります。

RPAのシステムを適用する業務部門では、RPAに関して知識のない社員も多く存在します。そのため、現場の社員がシステムを使い易く、そして分かり易く操作できるようにする必要もあります。RPAの設定を行う情報システム部門と連携しながら、利用者たちだけで運用できるように、社員に向けたマニュアルの作成、万が一システムにトラブルがあっても業務が滞ることのないように、別に業務を進める方法も構築したり、エラーに直ぐ対処できるようにしたりもします。

導入後

RPAを導入した後は、実際の業務時間はどれくらい短縮されたか、業務にかかる人件費などのコストが削減できたのかを測定します。短期間では効果が実感しにくい場合もあるので、社員や現場スタッフの意見を聞き取りしたりもします。

そうして、RPAのシステム運用後の課題点を洗い出すのです。RPA運用のアドバイスをしたり、導入範囲の拡大の提案をしたりして、さらなる社内の業務短縮化を目指していきます。

RPAコンサルタントの年収相場・求人状況

RPAコンサルタントの年収は約500~1200万円程度が求人募集の相場となっており、給与に幅があります。コンサルティングファームの平均年収と比較すると少ないと感じる方もいるかもしれませんが、IT業界においては比較的高収入といえます。知識や実力に合わせて給与も上がる傾向があるため、管理者などのワンランク上の求人ともなれば、年収が1500万円を超えるのも夢ではありません。

実際に、RPAコンサルタントの責任者や管理者などの求人では、年収2000万円を越している募集がみられることもあります。コンサルティングファームや大手SIer、IT企業、RPAベンダーなどの受託企業(BtoB)がRPAコンサルタントを募集しています。なかでも、コンサルティングファームや外資系のRPAベンダーなどで給料が高く設定されている傾向があります。

日本では、少子高齢化や働き方改革の風潮から業務効率化への関心が高まっています。そのため、人材不足を補おうとRPA導入プロジェクトの案件が増え、作業の自動化や効率化を推進する動きが活発となっています。そのようなクライアント企業へのソリューションを提供する受託企業を中心に、今後もRPAコンサルタントの求人が増加していくことでしょう。

RPAコンサルタントは高度な専門知識が必要となる職種のため、まったくの未経験者の募集はほぼありません。既にIT業界で働いた経験のあるシステムエンジニアやプロジェクトリーダー経験のある人材を募集しており、キャリアアップのためにRPAコンサルタントを目指す人が多いのです。

RPAコンサルタントに必要な知識・スキル

RPAコンサルタントになるには、IT知識を中心に、コンサルタント関連やプロジェクトマネジメントなどの知識が求められます。ただし、RPAの実務経験がある人材は少ないという状況もあり、企業によってはRPAの開発や導入経験がない未経験枠の募集もあります。その場合もIT関連で働いたことがある人を対象とした求人がほとんどです。

また、フリーランスとして独立する場合はRPA経験も必要です。実際に、RPAコンサルタントにはどのような知識やスキルが求められているのか、詳しく紹介していきます。

RPA業務設計・開発知識

RPAコンサルタントに求められるのは、システム開発全般に関する知識、特定分野に関する業務知識、それからRPA業務設計の経験の有無です。また、WinActor、UiPath、BizRobo!といった特定のRPAツールの経験者は優遇される傾向にあります。そのため、システム開発経験のまったくない業界未経験者では、RPAコンサルタントになるのは非常に厳しいといえます。また、RPAを導入する際は、プログラムのコードを書く必要はないとは言われていますが、実際運用するときは規制品のRPAツールでは対応できず、自分達で作ることもあります。

そのため、ネットワークやセキュリティ、サーバーアーキテクチャ、プログラミング言語などの幅広いIT関連の知識が必要となります。それと同時に、RPAツールやIT技術には海外製品も多くあり、それらのドキュメントを参照するためのビジネスクラスの英語能力も必要といえるでしょう。

コンサルティング・BPRの経験

RPAコンサルタントは、クライアント企業の業務改革の立案や、システム構造を設計し、運用するところまで取り組まなければなりません。そのため、コンサルティングやBPRの経験があるかが非常に大切となってきます。

RPAコンサルタントには、業務改革ができるかどうかの資質が問われるのです。今あるシステムをより良くする業務改善とは違い、業務改革では既存のものを否定し、より良くしようとする視野が必要となります。

プロジェクトマネジメント

プロジェクトマネジメントとは、企画を考えて計画をし、上手く遂行しているかを管理・監視して、最終的な成果までもっていく手法のことです。品質を重視するのか、作業時間を重視するのかでも、RPAの導入過程は異なります。そのため、案件ごとに手法を変えていく手腕が必要となるのです。

特に、RPAコンサルタントは、問題提起から手法を提案し、実施するまでの一連の流れを全て担当することとなります。いかに一連の作業をスムーズに実施できるか、計画し管理する力が求められています。

コミュニケーションスキル

RPAコンサルタントは、顧客に要望を聞いたり、調査報告をしたりするため、コミュニケーションスキルは必須ともいえます。顧客の要望を聞いて、RPAを導入したくなるように提案できなければ、いくらスキルを持っていても、RPAコンサルタントに就くのは難しいといえるでしょう。

顧客に意図や効果を伝えるためのドキュメンテーションやプレゼンテーション能力もコミュニケーションスキルに含まれます、会社にとって必要なシステムかどうかを提案できなければ導入を舵取りすることはできません。RPAを導入するには、長い期間やまとまった費用を講じる必要があるので、納得させられるだけの交渉力が必要といえるのです。

RPAコンサルタントのキャリアパス

RPAコンサルタントになるには、IT業界で働いてある程度の経験をつむべきでしょう。システム導入における要件定義・設計や開発のマネジメントは、RPAコンサルタントとして働くときに求められるスキルの一つといえるのです。RPAツールを使えば、プログラムを書くことはなくなりますが、既成のツールでは対応できないときや、エラーが発生したときなどはプログラムを作成することもあります。

そのため、VBScriptおよびJavaなどを使用した業務システムの開発に携わる職場、もしくはIT関連の職場で3年ほどは経験を積むほうが良いでしょう。また、並行してコミュニケーション能力や英語力の向上をはかる必要があります。RPAコンサルタントとして働くのであれば、数年後の自分がどうなりたいかを想像し、そこに到達するためにどうするべきかを日頃から考える癖をつけたほうが良いといえるのです。

RPAコンサルタントの将来性

RPAコンサルタントの将来性についてですが、2025年以降はさらにRPAコンサルタントを必要とする企業は増えると予想されます。少子高齢化が加速している日本で、人材不足が解消される見込みは当分望めないといえるでしょう。そのため、RPAコンサルタントは、今後も需要が増していく職業であるといわれているのです。

エンジニア・プログラマーから転職し、正社員のRPAコンサルタントとして業務経験を積めば、その後はフリーランスとして独立することも可能です。また、RPAコンサルタントでの勤務経験があれば、他のIT関連の職種へと転職することもできるので、需要がなくなっても次のキャリアプランを描くことができます。

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