キャリア

2019/07/05

データサイエンティストの年収相場・給料事情

膨大なデータの分析や機械学習などの解析を担当するデータサイエンティストは、これからのビジネスにおいて非常に重要な役割を担うものと考えられています。それだけに、その職業に就いた場合、どの程度の年収が期待できるのかは気になるところです。

今回は、そんなデータサイエンティストの平均年収や賃金・報酬の相場について日本の場合と海外の場合について解説します。そのうえで、目指せる年収や給料が高い理由などについて探っていきます。

データサイエンティストの平均年収

日本のデータサイエンティストの平均年収・給料相場

労働に従事している日本人の平均年収は420万円ほどです。もっとも、これはあくまでも首都圏を含めた全体の平均であり、地方では300万円を切るといったケースも珍しくありません。それではデータサイエンティストはどうかというと、平均年収で655万円となっています。(平均年収.jp調べ)これは職種別年収でトップにランクインしている専門職(コンサルティングファーム・専門事務所・監査法人など)の588万円をも大きく上回る数値です。専門職の中でも特に年収の高い弁護士には及びませんが、経営コンサルタントや会計士などと比べるとほぼ同レベルです。また、一般的には給料が安くなりがちな地方でも550~650万円程度の数値を記録しているところが大半を占めています。それらの事実を踏まえると、年収に関してはかなり高い職業だといって差し支えないでしょう。

ただ、データサイエンティストと一言でいっても、そこにはいくつかの種類があります。代表的なものとして挙げられるのが、会社で集めた情報を集積及び分析する「データ分析業務」、顧客の傾向や業界の動向などを分析したうえで問題解決を提案するような「上流業務」、機械学習や統計モデルなどのを担う「開発業務」などです。この中で、最も高い年収を期待できるのは上流業務です。具体的にいくらとは一概にはいえませんが、1000万円を大きく超えるケースも珍しくありません。

海外のデータサイエンティストの平均年収・給料相場

アメリカにおける全職業の平均年収は430万円ほどです。日本が420万円なのでほぼ同レベルということになります。一方、データサイエンティストの平均年収は約1200万円です。日本と比べると実に倍近い開きがあります。

なぜ、これほどまでに大きな違いがあるかというと、アメリカでは企業の保有する莫大なデータ、いわゆるビッグデータには会社の命運を左右するほどの価値があると考えられているからです。また人材の流動性やキャリアパスも日本と海外では異なります。そのうえで海外でも、優秀なデータサイエンティストの数は限られています。そのため、多くの企業はデータ処理や解析能力に長けているデータサイエンティストを高い賃金やストックオプションなどの報酬で囲い込もうとしているというわけです。

そうした状況の中で、データサイエンティストはアメリカ国内で「もっとも稼げる職業」といわれるまでになっています。実際、この職業に対する世間の評価は極めて高く、アメリカの何万という職業を比較して格付けする「ベストジョブ」に4年連続で選ばれているほどです。しかも、単に給料が高いというだけではなくて、データサイエンティストとして働いている人々の満足度も極めて高い数値を示しています。収入とやりがいの両方を同時に満たせる職業だからこそのベストジョブだというわけです。

データサイエンティストの給料事情

日本におけるデータサイエンティストの給料はアメリカほどではないものの、それでも他の職業と比べると高いレベルにあります。ただ、当然のことながら、データサイエンティストになったからといって最初から高額の給与がもらえるわけではありません。他の職業と同じで、キャリアを積んでいくごとに少しずつアップしていくわけです。そこで、若手の頃の給料はどのくらいで、最高でどの程度の年収を目指すことができるのかについて解説をしていきます。

若手の平均年収は同世代でトップクラス

転職サービス「doda」の調査によると、データサイエンティストにおける20代の平均年収は404万円です。これはデータサイエンティスト全体の平均と比べるとかなり低いものの、同世代の他の職業と比較した場合はトップクラスの数字となります。要するに、就職したばかりの段階からある程度の収入が保証されているわけで、これはなかなか魅力的です。ただ、学生が就職活動について考えた場合、最初に頭に思い浮かぶ職業はおそらく、営業・経理・事務・エンジニアなどといったところでしょう。

一方、データサイエンティストは需要の高まりに反して、就活生にとってあまりなじみ深いとはいいがたいものがあります。国内では統計学やコンピュータサイエンスを専門に学ぶ大学や教育機関がまだまだ少なく、知名度が低いために優秀な人材が育っている分野ともいえません。つまり、希少価値が高いために、給料面で優遇されているという側面もあるわけです。

ちなみに、データサイエンティストになるのに特に必要な資格はありません。もちろん、採用を勝ち取るにはそれなりのスキルは必要となってきますが、難関資格の取得を前提としている職業に比べるとそのハードルは低いといえるでしょう。なぜなら、そうした職業は資格を取得するだけで何年も要してしまう場合が少なくないからです。いくら年収が高くてもそれでは就職するまでに年齢を重ねることになりかねません。したがって、若い間からある程度の収入を確保したいと考えた場合、データサイエンティストという職業はかなり有力な選択肢だといえます。

年収1000万円も目指せる

dodaのデータでは、20代で404万円だったデータサイエンティストの平均年収は30代では520万円となり、働き盛りの40代では642万円に達します。しかし、これはあくまでも平均にすぎません。スキルを磨いていけば、年収1000万円の大台に達する可能性は大いにあるのです。なぜなら、多くの企業は有能なデータサイエンティストを欲しがっており、そのためには相場よりも遥かに高い給料を払っても惜しくはないと思っているからです。実際、求人をみてみると、経験者を対象に1000万円以上の年収を提示しているところも少なくないことがわかります。したがって、より高い年収を目指そうと思えば、ある程度のキャリアを積んだのちに転職を検討するのも一つの手です。

ただ、そのためには単にデータサイエンスの知識だけあればよいというわけではなく、統計実務や機械学習への深い理解が問われることになります。それに加えて、自分の考えをビジネスサイドの人間にうまく伝えられるコミュニケーション能力があれば、より一層重宝されることになるでしょう。そうなれば、給料の交渉なども優位にすすめることができるはずです。いずれにしても、大事なのはいかにして自分を得難い人材だと思わせるかです。

データサイエンティストの年収が高い理由

そもそも、データサイエンティストは他の職業に比べてなぜここまで年収が高いのでしょうか。その理由を「ニーズ」「スキル」「雇用企業」の3点からみていきます。

データ分析や機械学習のニーズが高まり求人数が増加している

昔と比べて企業が利用すべきデータは飛躍的に増え、会社によってはビッグデータと呼ばれる膨大なものになっています。あまりにも情報量が多く、素人が扱えるレベルを遥かに超えてしまっているのが現状です。そのため、専門家によるデータ分析やAIを用いた機械学習が注目されるようになってきたというわけです。

データ分析の専門家であれば無秩序に見えるデータの羅列の中から一定の法則を見出すことができますし、機械学習は膨大なデータを解析してビジネスに必要なモデルを生成してくれます。ビジネスシーンにおいてこうしたデータ分析や機械学習のニーズは高まる一方であり、いまや企業にとってなくてはならないものになっています。そして、それらの扱いに長けているのがデータサイエンティストです。

今や、優秀なデータサイエンティストを確保することが、会社の浮き沈みを左右するといっても過言ではないほどです。そのため、データサイエンティストを対象とした求人の数はどんどん増えています。当然、優秀な人材を確保するにはよりよい条件を提示しなければならないので、必然的に給料も増えてきているというわけです。前述の通り、実務経験や実績の豊富なデータサイエンティストは求人市場では希少なため、必要なスキル要件を満たす人材には相応の報酬を支払うというスタンスの企業が増えています。

求められるスキル要件や能力が高く、該当する人材は希少性が高い

データサイエンティストになるのに特別な資格は不要ですが、だからといって、求められているスキルが低いというわけではありません。それどころか、データ分析の他に、プログラミング言語のコーディングやデータベースの操作、マーケティングなど、実にさまざまな知識が必要なのです。これらをすべて独学で習得するのはなかなか難しいものがあります。

ところが、日本にはデータサイエンティストに必要なスキルを総合的に学べる大学がわずか数校しかありません。もちろん、スキルは不十分でも就職してから実戦の場で学んでいくという手はありますが、企業側でも新入社員に対する専門的な教育システムは確立されていないというのが実際のところです。

そのため、即戦力を雇うのが問題解決の近道だとはいうものの、該当する人材は必要な数に対してあまりにも少なすぎます。つまり、優秀な人材の希少性が高いために、争奪戦が熾烈になり、結果として年収が吊りあげられていっているというわけです。もっとも、将来、データサイエンティストの教育体制が充実してくれば、このような争奪戦も沈静化してくるかもしれません。しかし、教育システムを整えるにはかなりの時間を要するため、当面はこの状態が続くものと予想されます。

ビッグデータを保有する企業は大手企業や給与水準が高い企業が多い

そもそも、なぜデータサイエンティストが必要かといえば、その企業がビッグデータを所有しているからです。逆にいえば、一定以上の規模でデータを持っていない企業にデータサイエンティストの必要性はあまりありません。小規模なデータに対して専任の分析チームを設けることは現実的ではなく、簡単な分析はエクセルなどの表計算ソフトを用いておこなうだけでも十分に対応が可能なはずです。多くの中小企業では、製造量や取引回数、Webサイトのトラフィックなどのデータ規模が小さく分析に適した量にまで蓄積されにくい状態にあります。

それではどういった企業がビッグデータを所有しているかというと、その多くは大企業や成長著しい優良企業などです。従業員や利用する顧客数、生産する製品の数量など企業としての活動量が多く、分析するためのデータが豊富にあり、分析をおこなうための環境構築や投資にも積極的だからこそ、データサイエンティストの持つ統計や解析のスキルを活かせるというわけです。

つまり、データサイエンティストを求人募集している会社の多くは給料の高い大企業や成長企業ということになります。そう考えれば、データサイエンティストの給料が高いのはごく当たり前の話だともいえます。

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