フリーランスのAWSエンジニアって実際どうなの?仕事内容や年収事情、メリットを解説

AWSエンジニアとして働いている方、あるいはAWSに関心のある方の中には、フリーランスとしての独立を視野に入れている方もいるでしょう。実際のところ、フリーランスのAWSエンジニアはどのような仕事をしており、どの程度の収入を得られているのでしょうか。
AWSは、近年のクラウド市場の中心を担っているサービスで、フリーランス向け案件も豊富に募集されています。フリーランスとして独立しても、スキルさえあれば十分に活躍の場が期待できるでしょう。
本記事では、フリーランスのAWSエンジニアの仕事内容や年収事情、必要なスキルや将来性について解説します。フリーランスのAWSエンジニアを目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
フリーランスのAWSエンジニアの仕事内容
フリーランスのAWSエンジニアの仕事内容は、主に以下の4つです。
- 設計
- 構築
- 運用保守
- オンプレミスからの移行作業
スキルレベルによって担当できる仕事内容は異なります。フリーランスとしての独立を考えている方は、自身のスキルレベルを考慮したうえで独立を検討してみてください。
設計
1つ目は、AWSを使用した開発環境の設計です。AWSの特徴を把握したうえで、システムの要件に合った開発環境を構築する必要があります。拡張性や可用性を十分に考慮し、長期的にシステムを運用できるような設計をしなければなりません。
企業がオンプレミス環境でもシステムを構築している場合は、クラウド環境であるAWSとの連携にも気を遣わなければなりません。サーバーやネットワーク、クラウドなど、幅広い知識と経験が求められる仕事です。
構築
AWS環境を構築するのも、フリーランスのAWSエンジニアの仕事です。AWSには多種多様なサービスが用意されているため、それらの中から必要な機能を組み合わせて環境を構築していかなければなりません。サーバーやデータベース、セキュリティ、メール、プログラム実行環境など、100を超える機能を正しく設定するスキルが求められます。
設計と同じく、新規に開発環境を構築する案件は少なくないため、フリーランスのAWSエンジニアにとっては主要な仕事の1つと言えます。
運用保守
AWSエンジニアの仕事は、設計・構築が済めば終わり、というものではありません。構築された環境上でシステムを安定的に稼働させるための運用保守業務も、AWSエンジニアの仕事です。
「Amazon CloudWatch」といったモニタリングサービスを活用してパフォーマンスを監視し、リソースやログをチェックして、システムが安定して稼働しているかを確認します。障害が発生した場合には復旧対応を行い、メンテナンスや改修を実施する必要もあります。
オンプレミスからの移行作業
クラウドサービスの普及に伴って、既存のオンプレミス環境から脱却してクラウド環境へと移行する「脱オンプレ化」の動きも多方面で見られます。しかし、オンプレミスからの移行にはAWSについての専門的な知識が要求されるため、フリーランス向けの案件も一定数確保できるでしょう。既存の環境や稼働中のシステムについての理解はもちろん、適切なAWS環境を設計・構築するスキルも必要になります。
フリーランスのAWSエンジニアの年収事情
フリーランスのAWSエンジニアとして独立する場合、どの程度の年収が期待できるのでしょうか。ここでは、スキル別にフリーランスのAWSエンジニアの年収相場をご紹介し、フリーランスエージェントを利用した場合のAWS案件の単価相場についても解説します。
スキル別の年収相場
AWSエンジニアとして多くの業務を担当できるほど、年収は上がる傾向にあります。たとえば、設計や構築はできず運用保守までしか担当できない場合には、年収500万円程度までしか見込めないこともあります(単価相場40~50万円)。しかし、AWS環境の設計や構築まで担当できるエンジニア、AWS環境上でのシステム開発を担当できるエンジニアであれば、年収600万円程度は期待できるでしょう(単価相場50~60万円)。
AWS環境の設計や構築に加え、Oracle等のデータベース製品を使ったデータベース設計や構築、インフラ全般の構築や、サーバーサイドのプログラミングなど、より高度なスキルがある場合は、年収700~800万円に達することも不可能ではありません(単価相場70~80万円)。
フリーランスエンジニア全体に言えることですが、PMやPLなどのマネジメント職を担当できれば、年収を大きく上げることができます。AWSエンジニアの場合にも、PMも担当できれば年収900万円まで期待できるでしょう(単価相場90万円以上)。
AWS案件の単価相場
AWS案件の単価相場は、案件の内容によって幅があります。たとえば、大手フリーランスエージェント「レバテックフリーランス」 では、AWS案件の平均月額単価は「77万円」ですが、最低単価「27万円」最高単価「165万円」となっています。
また、AI・データサイエンスに特化したフリーランスエージェントである「BIGDATANAVI」 では、AWSを使った案件の単価は最低「70万円」から最高で「170万円」です。AI・データサイエンス分野のスキルが要求されるため、一般的な環境構築やシステム開発関連の案件よりも単価が高めになっています。
フリーランスAWSエンジニアの案件例
実際にどのようなフリーランスAWSエンジニアの案件があるのか、気になる人もいるでしょう。ここからは、案件例をいくつかご紹介していきます。
案件例|パブリッククラウド共通基盤(AWS)構築
| 内容 | |
|---|---|
| 職種 | インフラエンジニア |
| 単価目安 | ~¥750,000/ 月 |
| 業務内容 | ・AWS構築インフラ自動化 ・IaC(Infrastructure as Code)開発全般) ・AWS上でCloudFormation、Ansible、Terraformなどを用いた自動化の仕組み(ジョブ作成など)の構築) ・設計・実装工程がメイン(詳細な設計書作成よりも技術的な実装が中心) |
| 必須スキル |
・AWS環境でのインフラ構築経験 ・CloudFormation、Ansible、Terraformいずれか(または複数)を用いたIaC開発の実務経験 ・自動化の仕組みを設計・実装できる高い技術力 ・スクラム開発の基本的な概念の理解または経験 |
案件例|AWSインフラ設計・構築及び運用保守
| 内容 | |
|---|---|
| 職種 | エンジニア |
| 単価目安 | ~¥800,000/ 月 |
| 業務内容 | AWSインフラの設計・実装、Linuxサーバーの維持管理、Lambdaやバッチ処理による自動化・効率化の実装、および障害対応やセキュリティ管理 |
| 必須スキル |
・AWSシステム設計、構築経験(実務2年以上): ECS、RDS、ALB、NLB、KMSの使用経験 ・サーバーの運用保守経験(24h365dサービス): Linuxサーバー ・バッチ作成やLambda実装の経験 |
案件例|AWS設計・移行
| 内容 | |
|---|---|
| 職種 | クラウドエンジニア |
| 単価目安 | ~¥700,000/ 月 |
| 業務内容 | ビルド環境や関連する運用業務(CI/CD含む)等の クラウド(AWS)移行のための運用業務把握・インフラ設計・運用検討・移行作業 |
| 必須スキル |
・AWSインフラ設計経験 ・運用検討・運用設計経験 ・コミュニケーション能力(報告・相談・確認を主体的に実行) ・Pythonまたはシェルスクリプトによる自動化・移行作業経験 |
フリーランスのAWSエンジニアに必要なスキル
フリーランスのAWSエンジニアには、どのようなスキルが求められるのでしょうか。ここでは、フリーランスのAWSエンジニアとして活躍するために必要なスキルを5つご紹介します。
- AWSに関する知識やスキル
- インフラやネットワークに関する知識やスキル
- データベースに関する知識やスキル
- 情報収集力
- チーム開発やリーダー、マネジメントの経験
AWSに関する知識やスキル
AWSに関する知識やスキルがなければ、AWSエンジニアとしての独立はできません。他分野のエンジニアとして働いている方や、IT業界での経験がない方は、まずはAWSについての知識やスキルを身につける必要があります。
未経験からAWSのスキルを身につけたい場合は、AWS認定資格の受検がおすすめです。レベルや分野別に多くの資格が用意されているため、自身のスキルレベルに合わせたステップアップを目指せます。
インフラやネットワークに関する知識やスキル
AWSはインフラ分野に属する技術のため、サーバーやネットワークなど、インフラに関する知識やスキルがないと始まりません。特に、既存のオンプレミス環境からAWSへと移行する場合など、オンプレミスでのネットワークやサーバーに関する知識がなければ、対応は難しくなります。AWSの専門的な知識だけでなく、インフラに関する知識も広く習得しておかなければなりません。
データベースに関する知識やスキル
AWSを扱う際には、データベースに関する知識やスキルも習得しておきたいところです。AWS上で提供されているデータベース管理システムとして、「RDS」と呼ばれるサービスがあります。RDSでは、Amazonオリジナルの「Amazon Aurora」というRDBMSに加え、MySQLやMariaDBなどのメジャーなRDBMSを使うことができます。データベースについてのスキルがあれば、さらに活躍の場を広げられるでしょう。
情報収集力
AWSエンジニアとしてフリーランスで働く場合、情報収集力も大切な要素の1つです。企業に勤める場合と違って、トレンドとなっている技術や最新のアップデート情報など、自身でキャッチアップして対応しなければなりません。特にAWSでは、次々に新しいサービスが追加されていくため、最新情報を入手して自身のスキルアップや業務に役立てる必要があります。
チーム開発やリーダー、マネジメントの経験
チーム開発やプロジェクトリーダー、プロジェクトマネジメントの経験があると、年収を大きく上げられます。フリーランスといっても、実際に案件に参画する場合はチームで動く場合がほとんどです。そのため、チームで開発した経験やチームを率いた経験、さらにプロジェクトをマネジメントした経験があると、よりよい待遇で働くことができます。
フリーランスとして高単価のAWS案件を獲得するためのポイント
フリーランスのAWSエンジニアとして高単価の案件を獲得するためのポイントを紹介します。
上流工程の案件へ参画する
基本的に下流工程よりも上流工程の案件の方が単価は高くなります。上流工程の方が高度なスキルや知識、責任が求められるからです。
上流工程とはプロジェクトの初期段階で企画や要件定義、設計などをするプロセスを指します。プロジェクトの成功を左右する重要な工程であり、クライアントとのやり取りやドキュメント作成など技術的な作業以外の業務が多いです。コンサルタントやプロジェクトマネージャーなどの役割を要求されます。
チームを統括してマネジメントした経験があると、上流工程の案件獲得で有利になるでしょう。ヒアリング力や設計力、マネジメント力などのスキルを身につけるのも重要になります。
AzureやGCPなどAWS以外のクラウドサービスに関する知識やスキルを身につける
AWSだけではなくAzureやGCPなど他のクラウドサービスに関する知識やスキルがあると、獲得できる案件の幅を広げられます。企業によって採用しているクラウドサービスは異なるからです。幅広いクラウドサービスへ対応できれば、より高単価の案件を見つけやすくなります。
たとえば、Microsoft製品のソフトを利用している企業ではAzureを選ぶケースが多いです。AzureはMicrosoftが提供しているクラウドサービスであり、Microsoft製品との相性に優れています。Azureは今後も市場シェアが拡大していくとされていて、案件の数が増える可能性は高いです。
また、AWSとAzureなど複数のクラウドサービスを併用するケースも増えています。AWSだけに特化するのはフリーランスエンジニアとしてリスクになるため、扱えるクラウドサービスを増やしておくと将来的にプラスになるでしょう。
未経験からフリーランスAWS案件を獲得する方法
未経験の状態からフリーランスAWS案件を獲得するための具体的な方法を紹介します。
AWSエンジニアとして必要なスキルを習得する
AWSエンジニアに要求されるスキルを習得する必要があります。AWSエンジニアに求められるスキルは以下の通りです。
- AWSを扱うスキル・知識
- インフラ・ネットワークに関するスキル・知識
- データベースに関するスキル・知識
- プログラミングスキル
- マネジメントスキル
AWSについて正しく理解して適切なサービスを選ぶスキルが必要です。さらに、インフラやネットワーク、データベースの構築や管理のためのスキルや知識が要求されます。
AWSエンジニアの仕事ではプログラミングスキルは必須ではありません。プログラミングスキルがあると案件の幅が広がるため、習得する価値はあります。PythonやRuby、JavaScriptなどよく使われる言語の習得がおすすめです。
企業に就職し実務経験を積む
WSエンジニアとしての基礎的な知識やスキルを習得した後は企業に就職して実務経験を積みましょう。AWSエンジニアのフリーランス案件に採用されるには実務経験が必須になるからです。
実際にAWSを活用したインフラ構築の業務に従事した経験が求められます。最低でも3年以上の実務経験が必要であり、5年以上の実務経験があると高単価の案件を獲得しやすいです。
スクールなどに通ってAWSエンジニアの知識やスキルを学ぶ場合は、就職・転職支援があるかどうかを重視しましょう。スクールからサポートを受けられる場合は、AWSエンジニアとしてスムーズに就職できます。
副業案件からスタートし独立する
すぐに独立するのはリスクがあるため、最初は副業案件から挑戦して実績を積むのがおすすめです。副業として案件をこなしていくとフリーランスで独立して成功できる見込みがあるか判断できます。副業をしている間にクライアントとの信頼関係を築ければ、独立後も安定して案件を受注できるでしょう。
副業であっても開業届の提出や帳簿付け、確定申告などは必要になります。副業では本業に影響を与えないようにスケジュール調整などが必要であり、自己管理が重要です。副業は独立するまでの準備期間と考えて、自己管理や事務作業などに慣れておきましょう。
フリーランスのAWSエンジニアになるメリット
フリーランスのAWSエンジニアになると得られるメリットを紹介します。
年収アップを目指せる
AWSエンジニアはフリーランスになれば会社員よりも年収が上がりやすくなります。フリーランスは受注する案件を自身で選べて、報酬の交渉もできるからです。案件の受注量も自身で調整できるため、高単価の案件を多くこなせば年収がアップします。
会社員は昇給の条件が厳密に定められており、多くの業務をこなして成果を出しても収入に直結しにくいです。フリーランスは自身が頑張った分が直接収入につながり、大幅に年収を上げられるチャンスがあります。効率的に案件をこなせる状態を維持できれば、年収1,000万円超えも不可能ではありません。
会社員よりも短期間で年収をアップさせたいならば、フリーランスの働き方はおすすめです。
好きな案件を選べる
フリーランスになると好きな案件を自分で選べる点がメリットです。案件の業務内容や報酬、納期などを確認した上で自分の希望に合わせて自由に選べます。自分が納得した条件で働くことができるため、モチベーションを維持しやすいです。
会社員の場合は自身で業務内容を選ぶのが難しく不満を抱えながら働いている人が少なくありません。フリーランスであれば、自分の興味のある仕事や適正のある仕事のみを選べます。仕事内容や条件面で気が進まない案件は自由に断ることが可能です。
稼働日数や時間など自分の裁量で働ける
フリーランスであれば稼働日数や時間などを自分の裁量で選びながら働ける点がメリットです。期日までに納品できれば、それまでの働き方は自由であり、自分に合った働き方を実現できます。
たとえば、週3日だけ稼働する、午前中だけ仕事をするなど自由な働き方が可能です。案件を受注するタイミングを調整すれば、長期休暇を確保して海外旅行をするなどプライベートを充実させられます。
リモートに対応している案件が多いため、働く場所の制約も基本的にありません。パソコンとインターネットに接続できる環境があれば、自宅やカフェなどで仕事ができます。
フリーランスのAWSエンジニアになるデメリット
フリーランスのAWSエンジニアになった場合に生じるデメリットについて紹介します。
収入が不安定になる可能性がある
フリーランスになると会社員のAWSエンジニアだった頃よりも収入は不安定になります。会社員は固定給であり、毎月安定した収入が保証される働き方です。フリーランスは案件をこなして報酬を受け取らないと収入が発生しません。
常に安定して案件を受注できるとは限らず、案件が途絶えるのは珍しくないです。クライアントの都合によって急に契約を打ち切られるリスクもあります。
フリーランスで収入を安定させるには、スキルや実績、人脈が必要です。さらに、貯蓄や民間保険への加入などで収入減に備える必要があります。
社会保障や福利厚生が手薄い
フリーランスになると社会保障や福利厚生が最低限のものになる点がデメリットです。
フリーランスは厚生年金や雇用保険、労災保険に加入できません。怪我や病気をした際の社会保障がないため、働けなくなった場合に生活が破綻する可能性が高いです。
企業が提供していた福利厚生も一切利用できなくなります。各種手当を受け取れなくなり、健康診断は全額自己負担です。
社会保障や福利厚生の手薄さを補うためには、民間保険や福利厚生サービスへの加入など対策が必要になります。生活を破綻させないために計画的に備えをしなければいけないのが、フリーランスで苦労しやすい点です。
案件獲得や経理業務などを自身で行わなければならない
フリーランスのAWSエンジニアになると案件獲得や経理業務などを自分で対応しなければいけない点がデメリットです。本業以外の業務が増えるため、本業に集中しにくくなります。
安定して案件を受注するには常に営業活動に取り組まなければいけません。確定申告のために日々の帳簿付けもする必要があります。さまざまな雑務が増えた結果として会社員の頃よりも自由な時間が減る可能性がある点に注意しましょう。
営業活動や経理業務などは外部サービスを利用して外注が可能です。フリーランスのAWSエンジニアを目指すならば、雑務をどのように処理するのか対策を考えておきましょう。
フリーランスのAWSエンジニアの将来性
フリーランスのAWSエンジニアとして独立を検討している方の中には、AWSの将来性を気にしている方も多いでしょう。AWSの需要は今後も伸びていくため、将来性も十分に期待できると考えられています。
AWSはクラウドサービスでも上位の存在
AWSは、クラウドサービスの中でも高いシェアを誇るサービスです。例えば、2022年第四四半期のクラウドインフラのシェアに関する調査では、AWSは全体の30%を超えるシェアで、1位の座をキープしています。
こうした事情を考慮すると、AWSを専門的に扱えるAWSエンジニアの将来性は今後も期待できると考えてよいでしょう。MicrosoftのAzureがシェアを伸ばしている関係上、以前よりもシェア率は下がっていますが、今度も十分なシェアが期待できます。
今後もクラウド市場は伸びていく見込み
また、AWSに限らず、今後もクラウド市場全体が伸びていくことが予想されています。各業界でシステムの「脱オンプレ化」が進み、AWSをはじめとするクラウド環境への移行が検討されているため、AWSをはじめとするクラウドエンジニアであれば、独立しても案件には困らない状況がしばらく続くと考えられています。
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