フリーランス

Webエンジニアはフリーランスで独立できる?案件獲得・単価相場・失敗しないために

近年、Webサービスやスマホアプリの需要が増えてきたことから、IT市場規模は拡大しつつあります。それに伴いWebエンジニアのニーズも高まってきています。Webエンジニアとして働く人の中には、将来フリーランスとして独立したいと考える人も多くいるのではないでしょうか。

この記事では、フリーランスWebエンジニアの単価や年収といった実情に触れつつ、案件獲得の秘訣や、失敗しないためのポイントについて解説していきます。

フリーランスWebエンジニアの実情

Webエンジニアとして企業に勤めている人の中には、将来フリーランスになって、時間や場所を選ばず働きたいと考える人もいるでしょう。会社員とフリーランスでは、仕事の内容に変化はあるのでしょうか。フリーランスになると、年収がアップするという話も聞きます。気になるフリーランスWebエンジニアの実情をご紹介します。

仕事内容

Webエンジニアの仕事には、Webコンテンツやスマホアプリなどの各種サービスの開発があります。Webサイトやスマホアプリなどのユーザーが直接目に触れるフロントエンド部分の設計や開発を行うのがフロントエンドエンジニアです。Webサーバー側で、フロントエンドからの入力などに従ってデータの処理や保存などを行うシステムの土台を設計・開発するのがバックエンドエンジニアです。ネットワークやサーバーなどのITインフラの企画や設計、保守や運用などを行うのもWebエンジニアの仕事に含まれます。会社員でもフリーランスでも、仕事の内容は大きく変わりません。

年収相場

「求人ボックス給料ナビ」によると、2022年6月の「求人ボックス」に掲載された求人情報から算出した正社員のWebエンジニアの平均年収は577万円です。フリーランスのWebエンジニアの平均年収は、利用するデータにもよりますが500万円から800万円ほどが相場とされています。フリーランスの案件では高いスキルが求められるものほど単価も高くなるため、個人の経験やスキルなどによって年収は左右されます。

案件例と単価相場

フリーランスの求人サイト「CREATIVE JOB」の2022年6月の案件には、フロントエンドエンジニアの仕事があります。リモート中心の仕事ですが、打ち合わせなど適宜出社が必要となっています。想定月収35万円〜50万円で、募集内容は「GA4(Googleアナリティクス4プロパティ)実装エンジニア(大手鉄道関連のデジタルマーケティング新会社/GA4の導入・実装)」です。JavaScriptの実装経験とJavaScriptを使用したマーケティングツール実装経験、コミュニケーション能力が必須の条件です。

東京都港区にある企業のフロントエンドエンジニアの在宅の仕事では、月収が50万円から100万円となっています。募集内容は「Salesforceカスタマーサクセスエンジニア」です。「Salesforceコンサルティング」の専任チームとして、PM・SE・コンサルタント数名で働きます。必須の条件はSalesforce製品の実装および運用保守と、SQLを使ったデータベース構築および運用保守の経験がそれぞれ1年以上となっています。

Webエンジニアのフリーランスで必要なスキル

Webエンジニアがフリーランスになると、会社員時代とは異なるスキルが求められます。ここでは、必要な開発スキルとコミュニケーション力、自己管理力について解説します。

開発スキル

Webエンジニアですから、当然ITに関する知識と開発スキルが必要です。具体的にはプログラミングやデータベースなどの知識やスキルになりますが、特にLAMPと呼ばれる環境が使いこなせれば仕事を受注しやすくなります。なお、LAMPとはLinux(OS)、Apache(Webサーバー)、MySQL(データベース)、Perl、PHP、Python(プログラミング言語)の頭文字を取ったものです。

コミュニケーション力

フリーランスのWebエンジニアは、コミュニケーション能力がなければ営業ができません。仕事を獲得する際には、クライアントと報酬や納期などの条件交渉も必要です。大規模な仕事では、チームでメンバーと協力して開発をすることになります。コミュニケーションを円滑にして良好な関係性が築ければ、良い人脈を広げることにつながります。

自己管理力

フリーランスのWebエンジニアは自身の裁量で仕事ができる半面、スケジュールの管理が適切にできないと納期が遅延したり、業務過多で体調に支障をきたしてしまうこともあります。また、エンジニアとしての作業のほかにも、経費や税務処理など、お金の管理も必要です。つまり、エンジニアとしてスキル以外にも、自己管理がしっかりできることはフリーランスにとって必須と言えます。

Webエンジニアがフリーランスになるメリット

Webエンジニアがフリーランスになると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここで、詳しく見ていきましょう。

自由度高く働ける

フリーランスのWebエンジニアとして働くことで、自由度の高い働き方が実現できます。例えば、高度なスキルは要求されるものの高額報酬を得られる仕事をすることも、ソースコードの改修などの比較的簡単な仕事で数をこなすことも可能です。また、リモートの仕事を選べば、働く場所も時間も選びません。週に2~3日程度稼働の案件を選べば、会社員時代と比較してゆとりのある生活を送ることも可能になるでしょう。

収入をあげやすい

会社員としての給与面での待遇に満足していない場合には、フリーランスになることで賃金の高い仕事を得ることも実現可能です。実力さえあれば、会社員として同じ仕事をするよりも、高収入を得られる可能性があるでしょう。

案件を自分で選べる

会社員として働く場合には、会社が求める仕事をする必要があります。しかし、慣れてくると物足りなくなり、やりがいを感じられなくなることもあるでしょう。フリーランスでは仕事の案件を自分で選べますので、興味のある仕事や得意な案件だけを受けることができます。ステップアップにつながる仕事を選べば、仕事そのものをモチベーションにすることも可能です。

Webエンジニアがフリーランスになるデメリット

Webエンジニアがフリーランスになる場合には、仕事は同じでも会社員とは異なる状況に置かれます。メリットだけでなく、デメリットについても知っておくことが大切です。ここで、詳しく見ていきます。

競争にさらされる

Webエンジニアは不足しているため、案件は多数あります。しかし、フリーランスの場合、自身で仕事を獲得しなければならないため、Webエンジニアとしてスキルを相対的に評価されて競争にさらされます。十分な経験やスキルを備えていない場合、仕事が得られずに収入が下がったり、不安定になる可能性があります。

社会的な信用が下がる

フリーランスは会社員よりも高収入を得られる可能性がある一方で、安定した収入ではなくなることで社会的な信用が下がりやすいというのも事実です。そのため、クレジットカードや各種ローンの審査が通りにくくなるとも言われています。もし必要ならフリーランスになる前に審査などを終わらせておきましょう。

孤独を感じることも

フリーランスとして働くと、上司や同僚といった存在はなくなり、一人で仕事を進めていかなければなりません。そうしたときに、これまであった人間関係がなくなるといった不安や、モチベーションの低下を感じる人もいます。

もしフリーランスで働くことで孤独感があるという場合は、一人で作業を行う在宅型ではなく、企業に出社する常駐型の案件を受けることというのも一つの手段です。また、フリーランス同士の勉強会に参加するなどして、横のつながりを持つのもおすすめです。

フリーランスWebエンジニアの仕事獲得方法

フリーランスWebエンジニアの仕事の獲得には、伝手や紹介、クラウドソーシングやエージェントを利用する方法があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

伝手や紹介で受注する

フリーランスになったばかりなら、自身が働いていた会社から仕事を請け負うという方法があります。会社員時代の同僚や友人、取引先から仕事を受注することもできるかもしれません。スキルアップや情報交換のためのエンジニアの交流会やセミナーなどに参加して人脈が広がれば、今まで接触のなかったクライアントと出会うことも可能です。

クラウドソーシングを利用する

クラウドソーシングは、フリーランスが仕事を獲得するための最も身近な方法です。サイトに登録してやりたい案件を探し、応募して採用されれば仕事を獲得できます。クラウドソーシングの利用には手数料がかかるのが一般的です。実績がわかるポートフォリオを用意すると採用されやすくなります。

エージェントで紹介をうける

フリーランスを対象にしたエージェントで、案件の紹介を受けるのも良い方法です。多くの場合は無料ですので、コストもかかりません。希望の条件を伝えてエージェントから紹介を受ければ継続して仕事を行うことができ、実績を積むことで信用を築くことができます。個人では受注できないような大きな案件や単価の高い案件にも出会えるかもしれません。

個人で営業する

コミュニケーション能力に自信がある場合は、個人で営業することも可能です。最近ではサイトやSNSを使って、事業内容や仕事への取り組みなどの情報を発信することもできるようになりました。Webポートフォリオを作成して、名刺にURLを載せておくのも有効です。営業メールを送ったり、電話や飛び込みの営業をかけることも可能ですが、一方的な営業は避け、相手のニーズを汲み取る形で営業しましょう。

フリーランスWebエンジニアで稼ぐために

ここでは、フリーランスWebエンジニアで稼ぐために必要なことを見ていきます。

得意分野を極める

Webエンジニアは幅の広い仕事で、フロントエンド、バックエンドなど分野によって使用するプログラミング言語なども異なります。まずは自身の得意・不得意を明確にし、得意分野を伸ばすことを意識しましょう。自身の得意とする領域を極めることで、関連する案件を受注しやすくなりますし、成果物の品質が良ければクライアントから継続して案件を受注することもできます。また、他のWebエンジニアと差別化を図るのであれば、国家資格のITパスポート試験や、ITエンジニアの登竜門とされる基本情報技術者試験などを取得するのも良いでしょう。

大規模案件やマネジメントの経験を積む

エージェントなどを利用して大規模案件を受注できれば、高単価の仕事を得られる確率があがります。最近では、企業がフリーランスをプロジェクトリーダーやマネージャーにするケースもあります。上流工程とされるマネジメントの経験を積んでおくと、実務経験があるということで、さらに高単価な案件を獲得しやすくなります。機会を有効に活用して、経験を積みましょう。

躊躇なく単価を交渉する

Webエンジニアがフリーランスとして働く場合、基本的に報酬は時間単位か案件単位で設定するのが通例です。しかしながら、仕事を得ようと安すぎる単価で案件を受けることはおすすめしません。自身の経験やスキル、必要な経費なども考慮したうえで、適正と思える価格でクライアントへ交渉するようにしましょう。躊躇せず、自信をもって交渉することで単価のアップが実現するかもしれません。

なお、当然ですが報酬に見合うスキルを備えておくことも大切です。自信をもって交渉に臨むためにも、日々のスキルアップに努めておくようにしましょう。

未経験からフリーランスWebエンジニアになる方法

未経験の人がフリーランスのWebエンジニアになるには、企業でWebエンジニアとしての知識や技術を身につけて経験を積んだのち、フリーランスとして独立するのが一般的です。具体的にどのような段階を踏んでいくべきか、詳しく見ていきましょう。

スキルを身につける

これまで述べた通り、Webエンジニアの仕事は幅広いものです。フロントエンド、バックエンドなど、どの分野のWebエンジニアになりたいのか決めたら、プログラミング言語など目指す仕事に適した知識や技術を身につけましょう。独学なら書籍やサイトを利用できます。プログラミングスクールに通えばより近道でしょう。

企業に就職する

Webエンジニアとしての知識や技術が身についたら、なりたい分野のWebエンジニアとして経験を積める会社に就職します。フリーランスの世界では経験がものを言うため、実務経験が2年から3年ほど必要だと言われています。基本情報技術者試験などに合格しておけば、知識やスキルがあることの証明になりますので就職に有利になります。

独立する

独立するのはWebエンジニアになってから1年でも可能です。しかし、獲得できる案件は限られており、経験不足から不採用になるなどのケースも出てきますので、前述したように企業での実務経験を積んでおくことをおすすめします。また、独立する前に副業として始め、実際の仕事を経験しておくと不安を軽減できるでしょう。このように段階を踏んでいくことで、フリーランスのWebエンジニアとして独立することができます。

フリーランスWebエンジニアで失敗しないために

フリーランスWebエンジニアとして失敗しないためには、仕事を受注する上でいくつかの注意点があります。具体的に確認してみましょう。

ポートフォリオを準備する

フリーランスWebエンジニアは、案件ごとにクライアントにアピールして仕事を得る必要があります。複数の仕事を同時に契約することもあるため、その都度実績や自己PRを考えていては非効率です。名刺のように、これまでの仕事内容がわかるポートフォリオを用意しましょう。

受注内容を明確にして契約する

仕事を受注したら、きちんと業務委託契約書を作成しましょう。口頭で仕事を受けると、話が食い違ったりとトラブルの原因になります。特にWebエンジニアの仕事は幅が広いため企画から開発、保守まですべてを1人で行う場合もあります。自分が請け負う仕事の範囲や単価、期限などを明確にしたうえで、契約書を交わしておけば安心です。

市場にあわせ単価を更新する

フリーランスWebエンジニアとして実績やスキルが向上してきたのであれば、独立時に設定した単価を更新して、価格をアップすることも大切です。単価の交渉を行う際はクライアントにとっての自身の価値をアピールしましょう。例えば、有名企業で働いていたことや仕事の速さ、作業量なども市場価値となります。実務経験が長くなるほど単価相場も上がります。

スキルアップを継続する

IT業界では毎日のように新しい技術が生まれ、情報が更新されていきます。当然ながらフリーランスのWebエンジニアとしても、最新の知識、スキルを習得することが求められます。新しいプログラミング言語を習得したり、開発環境に対応することによってWebエンジニアとして長く働くことが可能になります。日々のスキルアップを継続して、クライアントのニーズに応えられるようにしておきましょう。

フリーランスWebエンジニアの将来性

Webサービスの増加やスマホアプリの開発促進などによって、IT業界は市場規模を拡大しています。需要が増えているにもかかわらず、Webエンジニアの数は不足していることからも、Webエンジニアには将来性があるとされています。しかし、コーディングが不要のツールが開発されたり、技術のトレンドが速いこともあり、すべてのWebエンジニアが安泰というわけではありません。クライアントに必要とされるWebエンジニアになるには、常にスキルアップに努めて自分だけの強みを持つことが大切です。将来性のあるプログラミング言語を選ぶことも重要です。Web関連の幅広い知識と同時に最新技術に関する情報の収集を怠らず、世の中のニーズを読み取ることができればフリーランスWebエンジニアとして生き残ることができるでしょう。

関連記事Related Posts