AI / データ領域

データサイエンティストはなくなる?消える?将来性や今後の動向

データ分析や統計に関わる職業が「データサイエンティスト」です。

AI技術の発展とともに人気となった仕事ですが、「この先なくなるのではないか」「消えてしまうのでは」といった意見もあり、不安に思う人もいるのではないでしょうか。

この記事では、そんなデータサイエンティストの将来性について紹介します。

転職や就職先としての安全性や業界で生き残るための方法ついてもみてきましょう。

データサイエンティストがなくなると言われる要因

データサイエンティストがなくなると言われる要因

データサイエンティストがなくなると言われる背景には、仕事そのものが消えるという事実よりも、働き方や求められる能力が大きく変わっていることへの不安があります。これまで専門家が担当していた領域にも新しい技術やツールが入り、企業が人材に求める水準も変化しています。その結果、職種名だけを見ても将来像がつかみにくくなりました。

ここでは、なぜ「なくなる」と言われるのか、仕事の変化という視点から4つに分けて整理します。

AIの進歩により分析業務の自動化

AIの進歩により、データの整理やグラフ作成・予測モデルの作成など、一部の分析業務は自動化されつつあります。専門知識を持つ人が長い時間をかけていた作業でも、AIに指示を出すことで短時間に結果を得られる場面が増えているため、データサイエンティストが不要になるよう感じられているのです。

一方で、AIが出した結果が正しいかを判断し、どの課題に使うべきかを決める仕事は残ります。現場で起きている事情や企業の方針までは自動で理解できないからです。自動化によって減るのは主に決まった手順をくり返す作業なので、担当する仕事内容が変わると考えるのが適切です。

データサイエンティストの役割が曖昧で細分化される

企業のデータ活用が進むと、業務内容はより専門的に分かれていきます。データ基盤を整えるデータエンジニア、AIモデルを運用する機械学習エンジニア、数字から事業の改善策を考えるデータアナリストなど、それぞれの役割が明確になります。その結果、従来のデータサイエンティストという名前の求人が減っても、関連する仕事まで消えるとは限りません。

職種名よりも何を担当できるかが重視されることが予測されるので、分析だけでなく、課題設定・データ整備・AI運用・提案のどこに強みがあるかを示すことが重要です。役割の細分化は仕事の消滅ではなく、専門性がよりはっきり分かれる変化だととらえる必要があります。

BIツールの普及でデータ分析が現場レベルで可能に

BIツールの普及により、専門家でなくてもデータを見て判断しやすくなりました。BIツールとは、売上や顧客数などの情報を自動で集め、表やグラフにして表示する仕組みです。営業や販売の担当者が自分で数字を確認できるので、簡単な集計や定型的な報告だけを行なうデータ分析の仕事は減る可能性があります。

しかし、数字が変化した原因を探り、次の施策を考えるには深い分析が必要です。BIツールは分析を身近にしますが、難しい課題を解く人材まで不要にするものではありません。単純な集計から、判断を支える分析へ役割が移ると考えられます。

スキルの低い人材は沙汰される

今後、決められた手順でデータを集計するだけの人材は、仕事を失いやすくなることが考えられます。AIやBIツールが同じ作業を速く行なえるため、基礎的な操作だけでは企業から選ばれにくくなるからです。

必要なのは技術を増やすことだけではなく、業界知識・課題を見つける力・相手に伝える力も欠かせません。スキルの低い人材が一律に消えるのではなく、学びを止めて定型作業だけに頼る人が厳しくなります。変化に合わせて役割を広げることが、将来も必要とされる条件といえるでしょう。

データサイエンティストがなくならない・将来性が高い根拠

データサイエンティストがなくならない根拠

データサイエンティストの仕事は、AIの登場によって姿を変えていますが、職種そのものがすぐに消えるわけではありません。企業がデータから価値を生み出すには、技術を動かすだけでなく目的を定め、結果を読み取り、行動につなげる人が必要です。将来性を判断する際は、一部の作業が自動化される事実と、専門家への需要を分けて考えることが欠かせません。

ここからは、データサイエンティストが今後も必要とされる根拠を、企業や仕事を取り巻く変化を6つ取り上げ説明します。

ビッグデータを活用する企業の増加とDX推進

データサイエンティストの需要は、企業によるビッグデータ活用とDXの広がりによって支えられます。DXは、ツールを新しくするだけではなく、データやデジタル技術を使って商品・サービス・業務の仕組みを変える取り組みです。そのため、集めた情報を分析し、経営課題の解決につなげる人材が欠かせないのです。

小売業だと会員情報や購買履歴を調べれば顧客ごとに適した商品を提案できますし、製造業では機械の動作記録を分析し故障する前に点検する仕組みを作れます。ほかにも医療や金融・物流などでも、日々生まれる大量のデータを活用する動きが進んでおり、新しい商品やサービスを考える場面で顧客の行動を読み解く力が役立ちます。DXに取り組む企業が増えるほど、どの情報を使い、何を明らかにし、結果をどの施策へ反映するかを設計するデータサイエンティストの活躍の場も広がるでしょう。

AIだけでは完結しない仕事がある

AIが高度になっても、データ分析に関する仕事のすべてを任せることはできません。AIは与えられた指示やデータをもとに答えを出しますが、企業が本当に解くべき課題を自ら決めたり、経営上の責任を負ったりする存在ではないからです。

ある商品の売上が落ちた際、AIは価格や広告と売上の関係を示せますが、競合店の出店・接客への不満・社内の在庫方針など、数値だけでは読み取れない事情があります。さらに、分析結果を経営者へ説明し、費用や危険性を踏まえて実行案を選ぶ仕事も残ります。AIは有力なツールですが、目的の設定や結果の検証・関係者との合意形成まで自動で完結するわけではないので、AIを適切に使い、人の判断につなげられる専門家は今後も必要です。

教師データの品質がAIの精度を左右する

AIの精度を高めるには、学習に使う教師データの品質が重要です。教師データとは、AIに正しい判断の仕方を覚えさせるため、入力情報と答えを組み合わせたデータのことを指します。教師データの量が多くても、内容に誤りや偏りがあればAIは不正確な規則を学んでしまい、期待とは異なる結果を出してしまうのです。

どのデータを集め、どの基準で正解を付与するかは、業務の目的や現場の知識にもとづいて決めます。学習後も結果を監視し、状況の変化に合わせてデータを更新しなければなりません。したがってAIの性能を安定させるには、データを設計し、品質を管理できるデータサイエンティストが欠かせないのです。

高度な知識やスキルが必要

データサイエンティストには、複数の分野を組み合わせる高度な知識とスキルが求められます。統計学や機械学習・PythonやSQLといったスキルとともに、分析結果を伝える力、企業の課題を正しくとらえるための業界や業務に関する知識も必要だからです。

技術・事業・対話の能力を横断して使える人材は短期間では育ちません。AIが簡単な作業を補助するほど、人にはより高度な判断が迫られます。幅広い知識を使って課題解決を進める専門家の価値は、今後も残ります。

IT人材が不足している

国内においてはDXを進めるIT人材の不足が続いており、データサイエンティストも不足感の強い職種です。企業がAIやデータを活用したくても、計画を作り、現場へ導入し、継続して改善できる人が足りなければ取り組みは進みません。この需給の差が、専門家への需要を支えています。

企業は採用に加え、社内人材の学び直しや専門家との協力も進めています。求められる能力の水準は高くなりますが、十分な力を持つ人が多すぎる状態ではありません。AIで定型作業が減ったとしても、DXを実際に動かせるデータ人材の不足が続く限り、データサイエンティストの需要は簡単にはなくならないでしょう。

人材育成の機運も高まっている

国や企業・教育機関では、データやAIを扱える人材を育てる動きが高まっています。人材育成に力が注がれているのは、データ活用を進めるうえで専門知識を持つ人が必要だと考えられているからです。職種が近く消えると判断されているなら、長期的な教育制度や実践的な研修を整える動きは広がりにくいでしょう。

しかし、講座を受けるだけで専門家になれるわけではなく、学んだ知識を現場の課題へ使い、試行錯誤を重ねることが重要です。育成の機会が増えている今は、未経験者や若手にも挑戦の入口があります。継続して学び、実務で価値を示せる人にとって、将来性のある分野です。

データサイエンティストとは

データサイエンティストとは

データサイエンティストは、企業が持つ多くの情報を読み解き、仕事や経営の改善につなげる専門職です。ただし、企業によって担当する範囲や求められる能力が異なるため、名前だけでは実際の姿をつかみにくい職種でもあります。

本章では、主な役割と仕事内容からデータサイエンティストへの理解を深めていきましょう。

データサイエンティストの主な役割

データサイエンティストの主な役割は、データを使って企業の課題を明らかにし、より良い判断を支えることです。数字を集めて結果を示すだけではなく、何を調べるべきかを考え、分析した内容を実際の行動へ結び付ける、技術と事業の間をつなぐ立場ともいえます。

売上が落ちている企業では、商品の価格や購入者の年齢・広告の反応などを調べ、値下げ・広告の見直し・商品の改善といった案を示します。データから答えを出すだけでなく、企業が次に何をするべきかを考える点に大きな価値があるといえるでしょう。つまり、データサイエンティストは、数字を事業の成果へ変える専門家です。

データサイエンティストの仕事内容

データサイエンティストの仕事内容は、課題の整理から分析後の改善まで幅広くあります。最初に、企業が抱える問題を確認し、分析によって何を明らかにするかを決めます。目的が曖昧なままでは、時間をかけて分析しても役立つ結果を得にくいので、この準備が重要です。

次に、社内システムやWebサービスから必要なデータを集め、統計や機械学習を使って傾向を調べ、グラフや表で結果を見えるようにします。分析が終わったら、結果を資料にして関係者へ説明し、改善策を提案するのです。提案を実行したあとは、売上や利用者数などが変化したかを確認するなど、一度分析して終わるのではなく、確認と改善を続けることまでが仕事です。

AI開発におけるデータサイエンティストの役割変化

AI開発が進むにつれて、データサイエンティストに求められる働き方も変わっています。従来と同じ作業を続けるだけでは十分でなく、技術をどの場面で使い、どのような価値を生み出すかまで考える力が必要です。今後のキャリアを考えるうえでも、新しい役割を知っておくことが欠かせません。

ここでは、AI時代におけるデータサイエンティストの役割の変化を具体的に見ていきます。

分析作業から戦略立案・課題設定へのシフト

AI開発では、データサイエンティストの役割が単純な分析作業から、戦略立案や課題設定へ移っています。AIが集計や予測モデルの作成を助けるようになったため、人には「何を解決するべきか」を決める力がより強く求められるからです。

AIに作業を任せられる範囲が広がるほど、問題を正しく定め、関係者を動かす役割の価値が高まります。これからは、分析技術だけでなく事業全体を見る視点も必要です。

AIツールを活用した業務効率化

AIツールを使うことで、データサイエンティストは業務を速く進められます。コードの下書き・データの整理・グラフ作成・分析方法の候補出しなどを補助してもらえるので、手作業に使う時間を減らせるからです。

しかし、AIの出力をそのまま使うのは危険です。存在しない処理を書いたり、数字の意味を誤って解釈したりする場合があります。人が安全性と正確さを受け持ち、AIを作業の補助者として使うことで、品質を保ちながら生産性を高められます。

データ品質管理とアノテーション設計の重要性

アノテーションとは、画像や文章などのデータに、AIが学ぶための正しい意味や分類を付ける作業です。基準が曖昧で担当者ごとの判断が異なると、AIも安定した答えを出せないため、AI開発ではデータ品質の管理とアノテーション設計が精度を左右します。

作業者向けの説明書を用意し、付けられた答えにずれがないかを確認することはもちろん、古い情報・重複した情報・入力ミス・偏ったデータ、といったノイズを取り除かなければなりません。AIへの信頼を支えるためにも、信頼できるデータを整え、正しい基準で学ばせる役割は、今後さらに重要になるでしょう。

データサイエンティストとして生き残るには?

データサイエンティストとして生き残るには?

これまで何度も触れたように、データサイエンティストは慢性的な人手不足の状況にあり、それ故に様々な企業が欲しがる人材です。

しかし、だからといって安穏とした立場に甘んじて良いわけではありません。

むしろ、人材育成の機運が高まっている状況下で、現役のデータサイエンティストは仕事を続けるために最大限の努力を払わなければ、これから先増加する生え抜きのデータサイエンティスト達に淘汰されてしまう可能性すらあるのです。

以下では、今後もデータサイエンティストとして消えてしまわずに、社会で生き残っていくために必要なことについて説明します。

継続的なスキルアップ

データサイエンティストとして働き続ける上で、継続的なスキルアップは欠かせません。AIやビッグデータを取り巻く技術は日々進歩を続けています。

常に海外の論文や最新情報に触れ、新たな技術や情報をインプットし、プロジェクトや自己学習でアウトプットを続けなければ、すぐに知識が陳腐化してしまうのです。

分析者として生き残るためにも、アンテナを高くして学び続ける姿勢を大事にしましょう。

そして、やはりビジネスにAIを活用することで実績となります。

だからといって単にAIを作ればよいかというとそうではありません。事業上の課題を適切に把握して、実際に業務効率化や売上拡大につなげる必要があります。

プロジェクトでは、データの収集や分類、モデルの評価、チューニングなどデータサイエンティストとしての能力はもちろんですが、マネジメントやリーダーシップのスキルも必要です。

AIは予測や認識において人間を遥かに凌駕する能力を持っています。これに真っ向から対抗するよりも、その高い能力を味方につけることを考えましょう。

業界知識や問題解決能力を高める

データサイエンティストの使命は、ビジネスに対してデータサイエンスの切り口から新たな付加価値を加えていくことです。

この使命を果たす上では、データサイエンスの知識のみならず、経営やマーケティング、財務経理といったビジネスのスキル、あるいは金融、医療、小売など事業ドメイン毎の業界知識も要求されます。

業界に関する特有の知識がなければ、データを分析したところで解けない課題もあり、クライアントやユーザーの抱える問題も決して見えてくることはありません。

知的好奇心を持ち、知識を探求する姿勢を忘れないことが肝要です。

その上で、「この問題の原因はどこにあるのか」「この指標が意味する傾向は何か」といった問いに対してある程度の仮説を持ったうえで、的確な分析手法や解決策を提示しなければなりません。

この時に必要となるのが論理的思考力や業務観察の能力です。業務フローを理解し課題の原因を見つけ出すこと、その原因を解決するための方法を探ること、この両方ができて初めて、データサイエンティストは使命を果たすことが可能となります。

データサイエンティストに関するよくある質問

データサイエンティストについて調べると、記事や求人ごとに説明が異なることもあり、どの情報を基準にすべきか迷うことがあります。大切なのは、表面的な情報だけで結論を出さず、職種の実態や自分の状況に照らして考えることです。

本章では、データサイエンティストについて調べるうえで、疑問に感じやすいポイントを取り上げ回答していきます。

Q1. データサイエンティストの平均年収は?

A. データサイエンティストの平均年収は、600万円前後が一つの目安です。

ただし、調査の対象や集計方法によって金額は異なるため、実際の年収は経験年数や担当業務・勤務先の規模・地域・保有するスキルなどによって大きく変わります。

機械学習モデルの開発やデータ基盤の設計、経営課題の整理・プロジェクト管理まで担当できる人であれば高い年収を得やすく、データ活用を推進する業界でも良い待遇が期待できます。年収を上げるには、PythonやSQLを使えるだけでなく、分析結果を事業の改善へつなげる力が重要です。

Q2. 未経験からデータサイエンティストになる事はできる?

A. 未経験からデータサイエンティストになることは可能ですが、学習しただけですぐ採用されるとは限りません。

企業では、SQLやPython・統計学などの知識に加え、実際の課題をデータで改善した経験を重視する傾向があるからです。

まずはSQLでのデータ取得やPython・統計の基礎を学び、売上予測や顧客分析などの成果物を作ったうえで、得られた結果を説明できる形にできると実務に近い力を示せるでしょう。現職で分析業務を増やしたり、オンラインの学習講座を活用したりするなど、未経験者であれば基礎学習と小さな実績を重ねることが現実的です。

関連記事Related Posts