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データサイエンティストはなくなる?消える?将来性や今後の動向

データ分析や統計に関わる職業が「データサイエンティスト」です。AI技術の発展とともに人気となった仕事ですが、「この先なくなるのではないか」「消えてしまうのでは」といった意見もあり、不安に思う人もいるのではないでしょうか。

この記事では、そんなデータサイエンティストの将来性について紹介します。転職や就職先としての安全性や業界で生き残るための方法ついてもみてきましょう。

データサイエンティストとは

データサイエンティストとは、データの分析を行うことで意思決定をサポートしたり、課題に対する有益な示唆を得たりして、ビジネス上の成果を導き出すことを生業とする職業です。統計やアルゴリズムなどの情報科学理論を駆使して規則性や法則などを探求する手法や学問のことをデータサイエンスと呼びますが、そのようなアプローチの担い手全般を意味する言葉でもあります。

コンピュータの計算能力やサーバー・データベースの性能が向上し、大量のデータを高速で解析する技術が発展した2010年代以降、ビッグデータやAI(人工知能)が多くの人から注目されるようになり、それらの先端技術を駆使する人材の需要も伸びていきました。

実のところ、データサイエンスの概念は1960年~70年代から存在していたといわれています。ただし当初はデータサイエンティストという明確な職業はなく、学術研究分野を除くと製造業やコンサルティング、金融、医療など一部の業界で「研究者」や「物理学者」「分析官」「解析士」「アナリスト」「リサーチャー」と呼ばれる分析の専門家が、統計や数理計算の高度な能力を活かした仕事に就いていました。

データ分析に関わる職業の在り方が変化したのは2000年代後半からで、スマートフォンの普及やインターネット通信回線の発達によるデータ流通量の劇的な増加やディープラーニング技術の登場に伴う認識精度の向上など、データや情報技術を取り巻く環境が大きく変貌を遂げたことで、一躍脚光を浴びるようになりました。

プログラミングやデータ解析の技術が世の中に浸透したことで、社会におけるデータの重要性は、今後もますます高まっていくことでしょう。そして、データ分析に関わる産業が発展を続けていく以上、プロジェクトにおいて中心的な役割を果たすデータサイエンティストは今後も必要不可欠な職業と考えられます。その一方で、データサイエンティストという職業が将来的にはなくなってしまうのではないかという意見も存在します。

データサイエンティストがなくなる要因

この先データサイエンティストが不要になるとすると、その根拠は一体何なのでしょうか。そのように考えられる要因について、以下でいくつかの言説を紹介します。

AI技術の進歩で仕事が減る

まず、一つ目はAI(人工知能)技術の進歩によりデータサイエンティストがおこなう仕事の大部分がAIに代替されてしまうという説明です。ずいぶん極端な意見のようにも聞こえますが、そもそも、大量のデータを瞬時に確認したり、繰り返し正確な動作を実行したりすることは、人間よりもコンピュータが得意とするところです。

これに加えて、ディープラーニング技術など、AI自身がデータを判別し、精度を向上する技術が発展しています。スーパーコンピュータや量子コンピュータなど、プログラムを動かすハードウェアのスペックも高くなっていくため、今は人手でおこなっているような学習や評価といったプロセスについても、今後は自動化の対象になることが予想されます。

統計や数学などの専門知識を必要とする業務だからこそ、データサイエンティストは人件費が高く、効率化することでのコスト削減効果も大きくなります。それらを考慮すると、皮肉なことにAIが発達することでデータサイエンティストは自らの仕事を奪われてしまう危険性が高いということです。

役割が曖昧だから細分化される

二つ目は、データサイエンティストが果たしている役目や仕事そのものは今後も無くなることはないが、職業の名前や肩書が変わってしまうので、結果として「データサイエンティストという職業は消える」という説です。これは、データサイエンスの業界が発展してきて分業化が進んできたこと、所属する会社や組織によってデータサイエンティストという職業の定義が様々で担う役割が曖昧であること、などが要因とされています。

中途採用や新卒採用の求人を見ても、データ分析を専門とするデータアナリストや、データの収集や管理を担うデータエンジニアの募集にも「データサイエンティスト」という名称が使われるため、その職場でどのような仕事を担当するのかイメージがしにくくなっています。また、AIブームのなかバズワード的にデータサイエンティストという言葉が世間であまりにも注目されてしまったことで、人々は過剰な期待を抱いてしまいました。

結果として、雇用主がデータサイエンティストに期待する役割と実際のデータサイエンティストの持つスキルがミスマッチを起こすという事態も少なからず発生しています。このようなことから、最終的にはデータアナリストや機械学習エンジニアなど分野ごとのスペシャリストに細分化され、これらの職業の境界線上に位置するデータサイエンティストという職業は自然消滅していくのではないか、という見解も出てきてしまっているのです。

スキルの低い人が淘汰される

現在の市場環境ではデータサイエンティストを求める企業や団体の採用ニーズは旺盛です。求人数は年々増加しており、人を雇いたいという需要の高さに反して、募集要項に示される仕事内容や経験、スキルなどの条件に対応できる求職者の数はまだまだ少ない状況です。しかしながら、将来的に各社で人材採用が進み、データサイエンス業務の経験者が今のペースで増加していくと、いつかは需要と供給の比率が逆転することが考えられます。そうなってくると、売り手市場が買い手市場となり、結果として今度は人材があぶれていくことが予想されます。

また、就活生に認知されたことで、理系の大学院を卒業した人材などが新卒でデータサイエンティストとして働くようなケースも増えており、数年前に比べると人材の質が向上してきています。企業内でもOJTや研修を通じた人材育成が行われることで確実に裾野は広がっていきます。また、フレームワークやライブラリなど環境が整備されたなかでスキルアップのスピードの速い若手人材が市場に供給されはじめます。そうして、値ごろ感の高い人材に需要が集中し、スキルの低い人材は消えていくのです。

一見すると良いことのように見えますが、スキルが低い人材は社会人になった後にキャリアチェンジを目指す未経験者も含むため、新人が実績を積みにくくなり、転職のハードルが上がります。これが業界全体の衰退を招くのではないか、と危惧されているのです。

データサイエンティストは消える?今後も必要?

データサイエンティストという職業が無くなってしまうという懸念が存在するのは先述の通りですが、結局の所、データサイエンスの専門知識を備えた人材は将来的に企業にとって不要となるのでしょうか。反対する意見はもちろんありますが、データ分析に関わる職種の需要自体は今後も続くことが想定されます。

以下では、データサイエンティストが今後も必要となる理由について解説します。

ブームが終焉し日常に浸透

データサイエンスに関するブームは終焉し、ことさらに人々の耳目を集めることはなくなりました。世間での人気が下がったようにも思えますが、ビジネスシーンにおいてもデータ分析が珍しいものではなくなり、段々と馴染んできていることを意味しています。また、ブームの中で生まれた技術そのものが無くなることはありません。

現在においては、統計やAIのモデルを搭載したシステムを様々な場所で目にすることが可能です。検索エンジンで関連する検索ワードを自動で提案してくれるサジェスト機能や、ユーザーの質問にオペレーターではなくシステムが自動応答するチャットボット、天候や需要の予測など、データ解析の技術が有効に活用されている身近な例を数えれば枚挙に暇がありません。

そのようにデータサイエンスを活用したサービスが増えてきたことに伴い、運用や管理の仕事も生まれています。ユーザーによりよい体験を提供するための改善や、サービスを安定的に稼働させるためのメンテナンスに人手が必要となるのです。そのような組織にとって事業部門の担当者や開発チームのメンバーと同様に、データサイエンティストは欠かせない存在なのです。

データサイエンスの進歩は続く

学術的な探求や先端技術の研究は今後も続いていきます。かつてのデータマイニングや機械学習がそうであったように、ディープラーニングが過去のものになり、データサイエンティストという仕事の中身が変わったとしても、要素技術の研究やR&Dの領域においてデータサイエンスという分野そのものがなくなるとは限りません。今後も、解析技術や数理統計を基盤としたテクノロジーはますます発展していくでしょう。

そして、そのように時代の先端を担う人材というのは数が限られているものです。活躍できるフィールドの数も少ないですが、企業も論文発表などで実績のある専門家を求めています。裏を返せば、本当の意味でのデータサイエンティストは慢性的な人手不足状態にあると言えるのです。

それだけ希少価値の高い人材ともいえますから、技術者や研究者を抱え込むために給与体系を変え待遇改善をおこなったり、他の企業からヘッドハンティングを行ったり、まとまった人数を確保するために企業ごと買収したりすることも行われています。そのように熾烈な獲得競争が今後も続いていくという意見もあるのです。

データサイエンティストが活躍する場所・就職先

データサイエンティストの就職先は、黎明期では大学や研究施設、シンクタンクなどの研究機関。民間では金融業界やIT・情報通信業、コンサルティング業界、製造・メーカー、医療・製薬などの分野に限定されていました。そこで、数理計算やデータ分析をおこない事業をサポートする経営分析、データ分析システムの研究開発、株価や為替の値動きの予測、製造管理などといった業務に関わっていたのです。

しかし、WebサイトやSNS、スマホアプリ、ゲームなどのインターネット媒体が一般に浸透していくにつれて、データサイエンティストの活躍の場もWeb業界やゲーム・エンタメ領域に広がっていきました。サイトを訪問したユーザーのアクセス履歴や指標のレポート、ソーシャルゲームでコミュニティの活性化やマネタイズ、広告の配信ロジックや最適な価格のシミュレーションなど分析の結果や精度が売上を左右するようになり、データサイエンティストの市場価値が向上したのです。

また、インターネット広告の市場規模がテレビ、新聞、雑誌、ラジオなどのマス広告を抜き、デジタルマーケティングに注目が集まる中、マスコミ各社やメディア企業、広告代理店などの業界でもデータを活用したマーケティングを行うためにデータサイエンティストの存在は欠かせません。

そのほか、ビッグデータの活用を進めている不動産業や小売業、IoTの推進を狙う建設や物流などの業界でも、データマイニングや機械学習といった領域の知見を持つデータサイエンティストが重宝されています。

それらの事業会社を支援するSIerやコンサル会社、人材紹介、派遣業、教育・スクールなどの業界では、データサイエンティストそのものの人手不足を解消すべく、未経験者を育成する社会人向けスクールや人材派遣のサービスも登場しました。このように、多種多様なジャンルでデータサイエンティストという人材が活躍できる場所がうまれているため、今のうちに就職しておくと、この先数年で急に職に困るといったことは考えにくいでしょう。

データサイエンティストがなくならない根拠

民間企業を中心に、データ分析やAI技術に関する専門家の需要が高いことは先述したとおりです。しかし、他にも「データサイエンティストがなくなる」という懸念が杞憂であることを示す根拠はいくつか存在します。以下では、データサイエンティストという職業が今後も安泰であるという意見について説明します。

AIがそこまで急速に発展しないから

シンギュラリティが到来し人間の脳と同程度のAIが近い未来に誕生するという説もありますが、まだまだAIで出来ることには限界があるという認識が一般的でしょう。先に述べたように技術の成長やハードウェアスペックの向上によって、より高性能化したAIは高度な予測や分析、大量のデータの取り扱いなどの領域においても人間に取って代わっていくことが予想されます。そして、AutoMLやより簡易的にデータを扱えるツールが普及することでデータサイエンティストの役割が縮小することは考えられます。

しかしながら、さらに高度な分析の企画やスクラッチでAIを開発したりする需要も新たに出てくるはずです。そのように考えるとコンピュータがデータサイエンティストの仕事を完全に奪うことはできません。何故ならば、認識や予測の精度という点ではAIに劣りますが、解決すべき問題を設定したり、適用する場面を探すというのは人のほうが得意な分野と見られているからです。

AIは集められたデータを解析し、特定の分野で何らかの判断を下すことはできますが、汎用的に柔軟な思考をおこなうことはできません。分析結果から判断し、次の手を選択したり、前提となる事象を疑ったりできるのは人間だからです。AIが提示した予測や分析結果に対して付加価値を与え、様々な判断を行う材料として活用方法を考えるのは、当分の間は人間でなければできないことといえるでしょう。

データ分析市場の拡大

デジタルトランスフォーメーション(DX)の掛け声のなか、企業の経営者はデジタル化の推進やデータを活用した事業の舵取りをもとめられています。そのようなDX文脈のなかで、データ分析の市場が拡大したことが追い風となり、データサイエンティストの需要が衰えることはないと考えられているのです。そして、デジタル変革の施策として重視されるのがデータドリブンな事業推進というテーマです。

データに基づく意思決定をおこなうには、データを収集し保管するための基盤環境を整え、組織内での文化を客観的で論理的な判断がおこなえるものに変えていかなければなりません。そのような組織改革やコンサルティングを担う役割としてデータサイエンティストが期待されています。ここでのデータサイエンティストは、企業が持つデータの活用方法を考えるスペシャリストとして重要な存在と言えるでしょう。

また、ビッグデータ分析の需要は世界的に高まる一方です。インターネットが日常生活の一部として完全に浸透し、モバイルやIoTなど様々な端末に接続してリアルタイムに流通するデータの量は膨大になってきています。この膨大なデータの中から、事業の拡大に有効となる根拠や改善に役立つレポートを効率よく作成してビジネスを動かすスキルの持ち主が求められているのです。

育成の機運が高まっている

データを活用する需要の高まりと同時に、人材育成の機運も高まっています。アメリカでは2010年代に多くの大学がデータサイエンティスト育成のカリキュラムを設けた他、社会人向けの教育プログラムの実施も行い、多くのデータサイエンティストを輩出しました。一方日本でも、諸外国に遅れを取ってしまっている中で、統計や数学などデータサイエンス教育の動きは活発化を始めている状況です。

以下では、日本におけるデータサイエンティスト育成の代表的な活動を2つ紹介します。

データサイエンティスト協会の発足

2013年に発足した「一般社団法人データサイエンティスト協会」は、これまで曖昧だったデータサイエンティストに要求されるスキルや知識の定義付けを行い、育成のためのカリキュラム作成や評価制度の構築、コミュニティの形成を進めています。現役データサイエンティストを支援するほか、データサイエンティスト志望者に向けた情報サイトの運営も行っており、日本国内におけるデータサイエンスの普及やデータ分析者の地位向上、育成の土壌作りに一役買っている存在と言えるでしょう。

データサイエンス学部の増加

2017年に岐阜大学が日本で初めてデータサイエンス学部を開設したのを皮切りに、滋賀大学や横浜国立大学など様々な大学や高等教育機関でデータサイエンス学部の設置が行われています。また、学科や研究科といった形でデータサイエンスを専攻する場を設ける大学も増えてきている他、学部や学科を横断して履修できるプログラムを設ける学校も登場しました。今後は高等教育の場でデータサイエンスを学び新卒で企業に入社した生え抜きのデータサイエンティストが、様々な業界で活躍することが予想されます。

高度な知識やスキルが必要

上記で述べたように、データサイエンティストを育成する動きは活発化しています。しかし、一人前のデータサイエンティストは一朝一夕で生まれるものではありません。データサイエンスの実務には、機械学習や統計モデルの作成、ビッグデータ処理に関する高度な知識やスキルが求められます。これらを知識だけでなく仕事で使いこなせるようノウハウを身につけ、訓練するには相応の時間がかかるのです。故に、データサイエンティストの人材不足がすぐに解消されることはなく、今後も実務経験者は引く手あまたの状況が続くことが予想されます。

データサイエンティストとして生き残るには?

これまで何度も触れたように、データサイエンティストは慢性的な人手不足の状況にあり、それ故に様々な企業が欲しがる人材です。しかし、だからといって安穏とした立場に甘んじて良いわけではありません。むしろ、人材育成の機運が高まっている状況下で、現役のデータサイエンティストは仕事を続けるために最大限の努力を払わなければ、これから先増加する生え抜きのデータサイエンティスト達に淘汰されてしまう可能性すらあるのです。

以下では、今後もデータサイエンティストとして消えてしまわずに、社会で生き残っていくために必要なことについて説明します。

継続的なスキルアップ

データサイエンティストとして働き続ける上で、継続的なスキルアップは欠かせません。AIやビッグデータを取り巻く技術は日々進歩を続けています。常に海外の論文や最新情報に触れ、新たな技術や情報をインプットし、プロジェクトや自己学習でアウトプットを続けなければ、すぐに知識が陳腐化してしまうのです。分析者として生き残るためにも、アンテナを高くして学び続ける姿勢を大事にしましょう。

そして、やはりビジネスにAIを活用することで実績となります。だからといって単にAIを作ればよいかというとそうではありません。事業上の課題を適切に把握して、実際に業務効率化や売上拡大につなげる必要があります。

プロジェクトでは、データの収集や分類、モデルの評価、チューニングなどデータサイエンティストとしての能力はもちろんですが、マネジメントやリーダーシップのスキルも必要です。AIは予測や認識において人間を遥かに凌駕する能力を持っています。これに真っ向から対抗するよりも、その高い能力を味方につけることを考えましょう。

業界知識や問題解決能力を高める

データサイエンティストの使命は、ビジネスに対してデータサイエンスの切り口から新たな付加価値を加えていくことです。この使命を果たす上では、データサイエンスの知識のみならず、経営やマーケティング、財務経理といったビジネスのスキル、あるいは金融、医療、小売など事業ドメイン毎の業界知識も要求されます。

業界に関する特有の知識がなければ、データを分析したところで解けない課題もあり、クライアントやユーザーの抱える問題も決して見えてくることはありません。知的好奇心を持ち、知識を探求する姿勢を忘れないことが肝要です。

その上で、「この問題の原因はどこにあるのか」「この指標が意味する傾向は何か」といった問いに対してある程度の仮説を持ったうえで、的確な分析手法や解決策を提示しなければなりません。この時に必要となるのが論理的思考力や業務観察の能力です。業務フローを理解し課題の原因を見つけ出すこと、その原因を解決するための方法を探ること、この両方ができて初めて、データサイエンティストは使命を果たすことが可能となります。

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