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AIエンジニアに必要なスキルセット

人工知能(AI)の研究や開発に関わる技術職が「AIエンジニア」です。画像認識や自然言語などの分野でディープラーニングにスポットライトがあたり近年注目される職業ですが、就職後の実務ではどのような能力や専門知識が必要になるのでしょうか。

この記事では、AIエンジニアとして活躍するために必要なスキルセットについてわかりやすく解説します。

機械学習やディープラーニング

AIエンジニアの主な業務内容として機械学習やディープラーニングなどの専門スキルを用いてAI(人工知能)関連のシステムやソフトウェアを開発することが挙げられます。そのため、人工知能に関する知識は必須といえるでしょう。

機械学習とはシステムがデータを読み取り、学習した内容から法則性や関連性などの新たな知見を得て、実際の問題を解決できるようにすることです。例えば、将棋を指すことのできるAIを開発する場合には、勝利条件や過去に行われた対局の棋譜をデータとして与えます。システムがゲームにおける最善の手を繰り返し研究することで人間のように将棋を指すことができるようにするのです。

また機械学習の具体的な手法としてはシステムに正解のデータを与えることによって学習させる「教師あり学習」、正解のデータを与えずに学習させる「教師無し学習」、システムが出力する結果に点数をつける事によって点数を最大化する方法を学習させる「強化学習」があります。また機械学習を発展させたものとして人間の脳にある神経細胞の働きを基としたモデルであるニュートラルネットワークを複数の層に重ねることによって、学習能力やデータの分析力を高めたものをディープラーニングと言います。

AIエンジニアになるために機械学習のスキルを身に着けるのであれば、「AIジョブキャンプ」がおすすめです。AIジョブキャンプは社会人向けの「AI教育講座」と業務委託の案件紹介をする「エージェント」サービスがセットになった無料の研修プログラムです。現役のデータサイエンティストによる機械学習を学べるオンライン講座を受講でき、登録料や利用料などは一切かかりません。将来的に独立を目指している方なども、まずはご登録だけでもご利用ください。

数学や統計学

AI技術を扱ううえで、数学や統計学は欠かせません。課題に対して最適なAIモデルを作り上げ、チューニングをおこなうことで精度を向上するには、システム上に作り上げたAIがどのように学習をおこなうのか理解しなければなりません。また、データに目を通して信憑性を評価したり、解析結果の妥当性を検証したりするうえでも統計に関する知識は有用です。分析のためにそろえたデータを可視化して特徴量を選定することなども学問的な基礎があってはじめて実行できます。

AIの導入や活用に関するプレゼンで、営業担当やコンサルタントではなくAIエンジニアから顧客に対して技術的な説明をすることもあります。エンジニアが提案に同席するということはクライアント側の知識レベルも高いケースが多く、技術要素や数理に関するより詳細な箇所の説明が求められます。AIが動作するロジックや精度の基準などを十分に解説するために、データサイエンスの素養が必要になります。

プログラミング

AIエンジニアとして働くにはAIの開発によく用いられる「Python(パイソン)」やデータを統計的に処理する「R言語」などのプログラミング言語を習得し、実務で活用できるスキルが求められます。Pythonはデータ分析のためのライブラリやフレームワークが充実しており、大学のデータサイエンス教育でも用いられる標準的なプログラミング言語です。

アプリケーションや組み込み開発にも使用でき、少ないコードで簡潔に記述できるという特徴があります。またC言語やアセンブラ言語のように人間から見てコードを読むことが困難なプログラミング言語に比べて、コードが読みやすくプログラミングの初心者でも学習を進めやすいことが挙げられます。

そのためPythonを採用することによってAIシステムの開発だけでなく、データの収集や前処理、分析したデータの解析や顧客への提案など他の業務にも幅広く応用できると言われています。R言語は統計解析に特化しているプログラミング言語です。グラフの出力に優れていたり、手早く計算ができる一方で、Pythonに比べて動作が遅いなどの特徴があります。

AI開発に用いられるプログラミング言語は、他にもJuliaやHaskellなど様々なものがありますがそれぞれに適した用途と特徴があるため、組み合わせて活用する際にはそれぞれのプログラミング言語の仕様を理解する必要があります。

フレームワーク・ライブラリ

AIシステムの実装や開発の目的にあわせてフレームワークやライブラリを取捨選択して活用できることが求められます。フレームワークとはプログラムを開発する際に用いられるひな形のことです。ライブラリとはほとんどフレームワークと同様の物ですが、フレームワークが決められた範囲の中での開発が可能なことに対して、ライブラリは自由に組み合わせることによる開発が可能であるという違いがあります。どちらも開発を効率化するために使われます。ここではAIの開発に用いられるフレームワークについて簡単に説明していきます。

AIで用いられる主なフレームワークとしてはTensorFlow(テンソルフロー)とPytorch(パイトーチ)が挙げられます。TensorFlowの特徴としてはデータの処理に多次元配列(テンソル)を用いる、データの流れを表すデータフローグラフを構築して処理することを想定して作られているなどが挙げられます。このことによってニュートラルネットワークの構築や訓練するシステムの要求への応答などの複雑な機能を実現しています。

またPytorchの特徴としては機械学習における計算処理をより効率的に行うPythonの拡張機能であるNumpyと酷似していることが挙げられます。そのためPythonを標準的に用いるAIの開発に携わるプログラマーにとって学習に時間がかからないというメリットがあります。プログラム言語と同様にフレームワークにもそれぞれに適した用途と特徴があるため、単に活用するだけでなく用途と特徴を具体的に説明するためにも、フレームワークやライブラリなどの基本的知識の理解が必要になると言えます。

データベース

機械学習においてシステムに学習させるデータセットを管理するためにも、AIエンジニアにはデータベースを設計・構築し、運用できるスキルや経験が求められます。データベースとは目的に応じて集めたデータを利用しやすい形にまとめたデータの集合体のことを指します。

AIは有用なデータを効率よく与えることができるかどうかによって精度が変わるため目的に応じたデータを収集して、適切なデータベースに格納して、常にデータが最新で正確な内容になるようメンテナンスする必要があります。

具体的にはMySQLなどのデータベース運用システムやデータベースの管理に特化した言語であるSQLを用いて管理します。

クラウド

最後に、AIの開発に携わる人材やリソースの不足を補うためにもAIエンジニアにはクラウドサービスの知識が求められます。クラウドとはシステム開発に必要なソフトウェアやサービスについてインターネットを介して利用することのできる提供形態のことです。

企業から見てAIの開発は専門的な知識を持った人材と大量のリソースを要求される分野であるため、容易に参入できる分野ではないと言えます。

よってクラウドを用いることによって人材やリソースの不足を補うためにもクラウドの知識が重要になります。クラウドの代表的な例として海外のIT企業が提供するGoogle Cloud Platform(GCP)、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azureなどが挙げられます。それぞれ機械学習に必要なツールを備えているためAIの開発に用いられています。

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