フリーランス

インフラエンジニアの副業は稼げる?副業案件の種類や探し方、単価相場を解説

情報システムやソフトウェア、デジタルツールなどを活用するインフラ基盤を整備するプロジェクトが活況を迎えるなか、専門人材を求める企業が増えており、在宅ワークや土日の週末などに対応できる業務委託の副業求人が増加しています。

また、ネットワークやサーバー、データベースなどIT部門を支えるスペシャリストとしての実務経験をいかし、ダブルワークや兼業で収入アップを検討中の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、インフラエンジニアが副業で働く場合の単価相場や案件例などをわかりやすく紹介します。初心者が仕事を獲得する方法もみていきましょう。

目次

インフラエンジニアの副業について

IT系の週末起業や副業で代表的なものといえば、アプリ開発やWebサイト制作などが挙げられます。ネットワークやサーバー構築はこれらとは異なるため、インフラエンジニアやSEは、副業に向かないのではないかと思う人も多いでしょう。

しかし、会社員として働くインフラ関連の技術職もそのスキルを活かして副業をすることは可能です。まずは、その背景について、以下でくわしく見ていきましょう。

企業におけるITインフラの需要は高い

クラウドサービスの普及でインフラエンジニアの需要は下がっているのではと思う人もいるかもしれませんが、実際は逆です。多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する中、既存のITインフラを刷新し構築しなおすといった需要は確実に高まっています。

経済産業省のDXレポートによれば、クラウドコンピューティングの普及に伴ってオンプレミスからクラウドに移行する企業は増加の一途をたどっており、それに伴って移行に必要なスキルを持つインフラエンジニアが求められています。

在宅ワークやフルリモートの案件も増えつつある

ネットワークなどのIT基盤を整えるインフラエンジニアは、データセンターやオンプレミス環境のもと、チームの一員として働くことが多いため、副業では無理というイメージがあるかもしれません。確かにこれまでの業務委託では週5日常駐でフル稼働という働き方の案件が主流でした。

しかし、クラウドサービスによるインフラ構築が可能になったため、管理画面上から構築やアップデートなどの作業できるようになり、それに伴って週1日などからフルリモートで実施できる副業案件が増えてきました。

副業マッチングやクラウドソーシングなどのプラットフォーム上で流通する在宅ワークの仕事も増えているため、平日夜間や土日などの時間をつかって副業を行うことは十分に可能です。

インフラエンジニアの副業案件の種類

インフラエンジニアが副業で受けられる仕事には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、主なものを7つご紹介します。

物理サーバーでのインフラ構築

物理サーバーでのインフラ構築とは、自社やデータセンターなどに物理サーバーを構築して運用する、いわゆるオンプレミス型のサーバー構築の作業のことを言います。こうした物理サーバーのインフラ構築も、インフラエンジニアが副業として受けられる仕事の一つです。作業にあたっては、WindowsやLinuxといったOSのネットワーク機器に関する知識やスキルが求められます。

クラウド上・AWS上のインフラ構築

近年は、インフラ環境をクラウド上に構築するケースが増えてきています。クラウド上のインフラ構築の場合、リモートでも作業ができるために副業としても人気の案件です。「AWS(Amazon Web Services)」「GCP(Google Cloud Platform)」「Azure(Microsoft Azure)」といった主要のクラウドサービスでのインフラ構築経験やスキルが必要となります。特にAWSは案件数が多く、メールサーバーやシステム開発の環境だけでなく、ビッグデータや分析基盤となるデータベースに精通している人は幅広いプロジェクトに関われるため有利です。AWSに関して秀でた実績があれば優遇されるでしょう。

サーバー関連の保守・運用・メンテナンス

既存のサーバー関連の保守、運用、メンテナンスといった作業もインフラエンジニアに求められる業務の一つです。クラウド型のサーバーの場合、基本的に保守、運用、メンテナンスはクラウドサービス提供者が行うため、こうした作業は不要です。そのため、メンテナンスや運用に関する業務は物理サーバーが対象となります。システム監視や障害対応が業務の中心となり、経験の浅いエンジニアでも取り組めますが、その分単価は下がる傾向になります。また、物理サーバーを対象としているために現地で対処を行うケースがあることは覚えておきましょう。

コンサルティング

インフラの構築・設計はもちろん、顧客への提案やマネジメントなどの経験が豊富なエンジニアは、その知識やノウハウを活かしたコンサルティングを行うことができます。どのようなソフト・ハードを選んだら良いかのアドバイス、コストを最適化するためのベンダー選定やアーキテクチャ設計、クラウド導入にあたり技術者の指導など、ITに課題を持つ中小・ベンチャー企業は多いです。

スポットコンサルティングのような一回限りで手離れが良い案件も多いので、まさに週末の土日のみに稼働するタイプの副業者には最適と言えるでしょう。

講師・メンター

プログラミングスクールでは、現役のITエンジニアを講師として迎えているところが多くあります。企業向け研修やセミナー、教室で週何コマかの授業を担当したり、モニター越しにオンライン授業を行うという形での副業は十分可能です。社会人向けのスクール講師の稼働時間は終業後の夜間が多く、会社員の副業におすすめです。

また、資格試験の対策やネットワーク技術などについて動画で教えるe-ラーニングの講師なら、録画ですので時間や曜日の制約はなく、土日や祝日などの休日にも対応できるでしょう。

IT教育に関する副業の中には子供向けプログラミング教室の講師やメンターといった案件もあり、普段にはない新鮮な体験もできるでしょう。

ライター・記事作成

ネット上でIT系のメディアやブログを目にしたことがある人も多いでしょう。そうしたサイトに掲載する記事を作成するWebライターの仕事は比較的敷居が低く、副業初心者や未経験者にもおすすめです。取材をして記事を作成する他に、電子書籍の執筆という仕事もあります。文章を書くことが仕事のため、土日や週末の空いた時間に自分のペースで進められます。

ブログ記事のライティングはクラウドソーシング上での募集も多い案件で、最初は低い単価から始まりますが、実績を積んで文章力をアップさせることで徐々に稼げるようになっていくでしょう。

YouTubeやブログでの情報発信

受託案件だけでなく、YouTubeやブログなどで自ら情報発信することで広告収入を得る方法もあります。インフラエンジニアとしての経験やスキルを活かして、学習方法などを発信すれば、インフラエンジニア志望者からの閲覧数が稼げるかもしれません。YouTubeやブログであれば、自分のペースでできるため負担も少なく、閲覧数が大きく成長すればその分広告収入が増える可能性もあります。動画や記事を制作するスキルや、閲覧者のニーズを探し当てる能力なども必要となってきますが、副業方法としては負担も少ないと言えるでしょう。ただし収益化には時間がかかり、また必ず稼げるといった保障はありません。しっかり稼ぎたいという場合には、他の副業方法を優先したほうがよいでしょう。

インフラエンジニア副業の単価相場/報酬目安

インフラエンジニアが副業をする際に、稼げる報酬の金額はどの程度なのでしょうか。ここからは、業務委託の単価相場について紹介します。副業の単価は仕事内容によって異なり、見積もりや契約次第で変化するため、あくまで参考として紹介します。

ジャンルで分類した際に、報酬が高いのはコンサルティングで時給5,000円程度、次がサーバー・ネットワークの設計・構築で時給2,000円~5,000円程度です。ここまでは比較的高単価の部類と言えるでしょう。

スクール講師・メンターは時給1,500円~2,000円程度、記事作成は1文字当たり0.5円~3円が相場です。週末の2日間を副業に当てると考えると、月10万円くらいの収入が目安となるでしょう。

インフラエンジニアが副業を獲得する方法/探し方

次に、実際にインフラエンジニアが副業の仕事を受注にはどうすれば良いのか、案件の探し方や営業の方法を紹介します。

副業マッチングやエージェントに登録する

フリーランス・副業向けのマッチングサイトやエージェントでは業務委託の求人情報を保有しており、希望の条件や持っているスキルなどで検索すると自分に合った案件を探すことができます。経歴やプロフィール、希望条件などを登録しておくと、自分向けの案件が入り次第メールで知らせてくれるサービスもあります。ポートフォリオや経歴書を用意しておくとよいでしょう。

紹介を受ける前に面談に参加する必要があるエージェントもありますが、スキルシートの添削なども受けられるため登録しておいて損はないでしょう。スポットコンサルティングを中心に扱うサイトでは特にリモート案件を多く扱っています。

クラウドソーシングで仕事を探す

マッチングサイトやエージェントに比べ、さらに多くの案件を扱っているのがクラウドソーシングのプラットフォームです。ITインフラの仕事だけでなく、記事作成やプログラミングなどの副業案件も探すことができます。「ランサーズ」や「クラウドワークス」といったサービスが有名で、オンラインで完結できる在宅ワーク/フルリモートの仕事が多数を占める点が特徴です。

エージェントのような手厚いサポートはありませんが、比較的ライトな仕事が多いため、初心者にとってもハードルが低く挑戦しやすいと言えるでしょう。データ入力などの案件から始めて経験を積み、徐々にレベルの高い仕事にチャレンジしていくのがおすすめです。

知り合いからの紹介

副業・パラレルワークの案件は、これまで紹介したエージェントやクラウドソーシングといったサービスにすべて登録されるわけではありません。個人商店や中小企業の経営者が小さな仕事を「知り合いのエンジニアに頼む」といったケースも多いです。顧客に直接営業して契約や料金交渉もおこなうため、契約書類や請求書もすべて自分で用意します。

副業マッチングのサービスを利用するのと並行して、知り合いに日頃から声をかけておくと思わぬタイミングで仕事を紹介してもらえることがあるかもしれません。

インフラエンジニアが副業をするメリット

インフラエンジニアにとって、本業を持ちながら並行して副業や兼業を行うことにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

収入を得られる

ダブルワークをして本業以外にサブの収入を得られることは、インフラエンジニアが副業を行う一番のメリットと言えます。会社員として雇用される立場のなか、年収を上げることは容易ではありません。残業をするといっても限界がありますし、社内規定などで給与テーブルが決まっていることがほとんどです。その場合、いくらがんばったり、成果を出したりしても大幅な年収アップは見込めないでしょう。

また、フリーランスエンジニアであったとしても収入の経路を、本業と副業で分散させておくことは、リスクヘッジに繋がります。スポットの案件で臨時収入が得られると家計の足しになりますし、副業で毎月10万円稼ぐことができれば、年収は額面上120万円アップします。生活にもかなりゆとりが生まれるのではないでしょうか。

スキルアップできる

本業ではできない経験ができる、というのも副業の大きな魅力です。インフラエンジニアも技術者である以上、プロジェクトを通してスキルアップを図っていくものです。とはいえ、会社員は所属する組織により仕事の傾向が決まっていることが普通ですし、客先を選べるわけでもありません。そのため、プログラミングなど普段の仕事で出来ないことに関わりたいという実務参加が目的の副業も一定数存在するのです。

インフラ関連の案件を手掛けるとしても、本業で扱わない業種・規模のクライアントを担当したり、いろいろなクラウド製品を使うなどが考えられます。会社が変われば文化や価値観も変わるため、体験を通して客観的に自身の仕事を見直すことにもつながるでしょう。

独立の準備ができる

現在は会社員エンジニアとして働いているけれど、将来的にフリーランスで独立したい、起業して社長になりたい、という思いをもった人にとっても、副業で得られるメリットは多いです。個人事業主として会社とは別に活動することになるため、何か仕事を受注する際は、個人の立場で発注者と契約をおこないます。一定の金額以上に所得を得ることになれば、確定申告もおこなわなければなりません。

様々な案件をこなしてスキルアップすること以上に、案件の見積もりや受注時の交渉、経理や会計、債権管理など事業を運営していくうえで、技術以外の部分を学ぶことができ、独立の準備として最適です。また、いろいろな人と知り合いになり、人脈を築けることも大きいです。

実績も人脈もないまま独立しても、うまくいかないことが多いでしょう。そういったリスクを減らしておくためにも、独立の前に副業を経験しておくのは有効です。

インフラエンジニアが副業するために

ここからは、インフラエンジニアが副業を始めるに当たって、あらかじめ準備しておきたいことについて解説します。

技術を身につける

ITの世界は日進月歩ですから、常に新しい技術を取り入れることが必要です。特にインフラエンジニアの場合、守備範囲を広くしておくとより多くの案件を獲得しやすくなるでしょう。サーバーやネットワーク、セキュリティなどの知識はもちろんですが、AWSなどのクラウドサービスにも通じておくことが重要です。また、DevOpsやCI/CDといった新たな手法も身につけておきたいところです。

資格を取得する

インフラエンジニアの仕事に資格が必須のものは少ないですが、その実力を客観的に評価しやすいという点で持っていると有利になることがあります。IT技術者として「ITパスポート」はまず押さえておきたいところですが、もう少し難易度の上がる「基本情報技術者試験」「応用情報技術者試験」に合格しておくとさらに評価が高まるでしょう。「ネットワークスペシャリスト試験」は例年合格率15%以下という難関ですが、それだけに価値も高いです。

人脈を広げる

案件獲得には「知り合いの紹介」という方法があることをご紹介しましたが、実はこれが一番メジャーで確実な方法です。幅広い人脈を持ち、方々から声がかかるようであれば、あえてエージェントやクラウドソーシングで案件を探す必要もありません。何より「信用」で繋がっているということで、継続的に案件を獲得できる可能性もあります。本業で出会う人や友人・知人のつながりなど、日頃から人脈を広げる努力をしておきましょう。

インフラエンジニアの副業における注意点

ここからは、インフラエンジニアが副業をするにあたり気を付けておきたい注意点について見ていきます。

就業規則を確認する

副業をする際は、必ず勤めている企業の就業規則を確認しましょう。副業を禁止している会社で副業をしてしまうと、万が一の場合には懲戒免職といったことも考えられます。のちのちトラブルにならないためにも、副業をしてよいかは事前に確認しておくべきです。また、副業をするにあたり守秘義務についても改めて意識しなければなりません。本業、副業で知りえた情報を外部に漏らさないように注意しておきましょう。

本業に支障がないようにする

副業で多く稼ごうとして案件を受けすぎてしまうというのはよくあるケースです。しかし、オーバーワークで本業に支障があるといったことは避けなければなりません。副業の稼働は、本業でのパフォーマンスを維持できる程度にコントロールしておきましょう。働きすぎることで体調面、精神面に影響するケースもあるので、休暇やリフレッシュの時間を適切にとることも大切です。

契約内容を書面にし内容をしっかり確認する

副業の仕事をするにあたり、契約書を取り交わすことは重要なポイントです。副業の場合、何かあったときは自分ひとりでトラブルの対処などもしなければなりません。契約前に、業務内容や報酬形態などを書面にしチェックしておくことで、トラブルを防ぐことができます。また、契約前に疑問点があればクライアントに確認しましょう。

確定申告を忘れず行う

副業をするにあたり忘れないでおきたいのが、確定申告です。本業とは別に年間20万円以上の所得が発生する場合、確定申告を行わなければなりません。また、住民税の場合は20万円以下の場合も手続きが必要となりますので、別途申告が必要です。申告漏れが発覚した場合などは追徴課税といったペナルティが課せられることがありますので、忘れずに行いましょう。

インフラエンジニアの副業時に知っておきたいポイント

インフラエンジニアが副業に携わる際に知っておきたいポイントについても見ていきます。選択肢を広める意味でも、ぜひチェックしてみてください。

インフラエンジニアとネットワークエンジニアの違い

ネットワークエンジニアとは、文字通りネットワークに特化したエンジニアです。ネットワーク機器や回線の選定、ネットワークの構築作業、ファイアオールなどのセキュリティ導入から、監視や障害対応まで、ネットワークの設計・構築や運用、保守といった業務を行います。インフラエンジニアの場合、これらの業務に携わった経験があるという人も多いでしょう。インフラエンジニアとしての副業だけでなく、ネットワークエンジニアとして副業に取り組んでみるのも選択肢の一つです。

インフラエンジニアとサーバーサイドエンジニアの違い

サーバーサイドエンジニアは、サーバー関連の業務に特化したエンジニアです。インフラエンジニアの場合もサーバー関連の業務は行いますが、サーバーサイドエンジニアの場合、サーバー管理に集中して携わるスペシャリストとしての立ち位置となります。サーバーの選定、設置、使用環境の構築といった設計・構築業務から、監視やバックアップ、障害対応といった運用保守にもあたります。専門性を深めれば、インフラエンジニアであってもサーバーサイドエンジニアの副業に携われるでしょう。

関連記事Related Posts