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Web系・業務系・組み込み系の違い

IT業界のエンジニア・プログラマーは「Web系」「業務系」「組み込み系」という3つの系統に区分されます。転職や就職で技術者を目指しているけど、どの道を選べばよいか迷ってしまうという人も多いのではないでしょうか。

この記事では、「Web系」「業務系」「組み込み系」それぞれの違いについてわかりやすく解説します。仕事内容やスキルについても見ていきましょう。

Web系

Web系エンジニアは、スマホやパソコンなどの端末に表示される管理画面やブラウザ上で動作するシステムの開発が主な業務になります。ショッピングサイトやSNSなどのオンラインサービスを安定して利用可能な状態に保てるよう運用するということも重要な仕事です。Webサイトのほかアプリケーション、ゲームなど一般消費者が利用するBtoCサービスにおいて需要が伸びており、就職先としての人気も高いのが特徴です。

Web系の開発は大きく分けてフロントエンド、バックエンドという2種類の領域から成り立っています。フロントエンド開発は、直接ユーザーが目に触れる部分を指します。ホームページなどの外観やボタンをクリックする箇所、検索機能などです。そのため、フロントエンドエンジニアは、主に「HTML」や「CSS」「JavaScript」「TypeScript」などの経験やデザインの知識が必要になります。インターネットが普及したことでパソコンやスマートフォンなどさまざまなデバイスから常時ネットに接続する環境となっており、Webサイト制作やアプリ開発の需要はますます高まっていくでしょう。

一方バックエンド開発は、ユーザーに見えない裏側の部分で、Webサイトの根幹となるシステムを構築します。データベースの登録や会員情報の出力などサーバー側での処理が中心です。「Java」や「Ruby」「PHP」「Go」といったプログラミング言語を使い、サーバーやOSなどの知識も必要です。フロントエンドに比べるとバックエンドエンジニアの方が歴史は長く、仕事を受注できるようになれば安定的に収入を得ることができるでしょう。

フロントエンドとバックエンドは密接に関係しているため、プロジェクトによっては両方のスキルが必要です。Web系エンジニアは求められるスキルや知識が幅広く、日々変化しているため柔軟に対応することも重要です。大変ではありますが、最も需要のある仕事でもあるのでその分やりがいはあるでしょう。

業務系

業務系エンジニアの主な領域は、システムインテグレーションやIT化の促進です。組織運営の効率化にむけたパッケージソフトの導入やタスクの処理を自動化するためのアプリケーション開発、稼働するシステムの保守管理などIT業界の仕事そのものといえるでしょう。財務経理に関する基幹システムから給与、勤怠、労務、生産、営業、CSなど社内のあらゆる業務を管理するシステムが対象となります。ジャンルによって技術者が分かれる傾向にあり、システム開発以外に、ネットワークやサーバー、セキュリティといった特定の領域を担当することもあります。

古くからある既存システムに対応することも多く、レガシーな言語や技術での経験が求められることも少なくありません。企画や要件定義では、クライアントにどのような課題や要望があり、どのようなシステムが必要なのかをしっかりヒアリングし理解することが重要です。

受託開発の仕事では、クライアントとの綿密なコミュニケーションが求められます。ユーザーが求めていることや業務の内容などを深く理解しなければいけないため、ビジネスへの関心も必須といえます。また企業内の業務フローやデータベースにも深く関わるため、開発に必要な知識だけではなく全く異なる業種の専門知識やコンサルティング力も必要になることもあり、開発がメインのエンジニア業務と比較すると特殊な分野といえます。

またほとんどのクライアントはITに関する専門知識がないため、周囲の人間にわかりやすく理解してもらうための説得力もスムーズな開発には必要です。専門知識のないクライアントの意向をシステムに組み込むために、柔軟な考え方と想像力も欠かせません。むずかしい仕事のように感じるかもしれませんが、近年IT化する企業が増えていることから業務系エンジニアの需要は右肩上がりに伸びています。

クライアントと蜜なコミュニケーションを取りながら寄り添い合い、一緒に良いものを作っていくという点は非常にやりがいを感じることでしょう。良いものを作ることで、クライアントに喜ばれていることを実感できるところは、業務系の魅力といえます。

組み込み系

組み込み系エンジニアの仕事は、家電製品や電子ガジェット、工業用機器などのハードウェア製品に組み込まれているコンピューターを制御するシステムの設計や企画・開発が主になります。家電製品などにはマイコンと呼ばれる小型コンピューターが搭載されています。例えば洗濯機に搭載されているマイコンには「一定の水の量に達したら○分間回転する」などがプログラミングされていて、手順に沿って各ハードウェアに作業を指示していきます。一連の手順に従って器機を制御するソフトウェアを作り出すのが組み込み開発です。

Web系や業務系はスマートフォンやパソコンでの操作が前提となりますが、組み込み系のシステムは炊飯器や洗濯機、自動車のナビなど搭載されるハードウェアはさまざまで、仕事の幅も非常に広いです。ハードウェアと一緒に開発されることも多く、専門の知識が必要になることもあります。プログラミング言語については「C」「C++」「Java」などの言語を使用するプロジェクトが多いでしょう。

組み込み系の難しいところは、限られた能力のコンピューターを駆使して機械の制御に必要なプログラムをすべて収納しなくてはいけない点です。いかにコンパクトにまとめるかによって、製造コストにも大きく関わっているため、組み込みエンジニアの腕の見せどころでもありますね。よりコンパクトに、より高速に、そして省エネといった性能を求められることもあり、また違った専門性を求められることもあります。

組み込み系システムの開発にはソフトウェアとハードウェアの両面があり、求められる知識も幅広いです。またハードウェアの種類に合わせた開発が必要になるため、専門的な知識も必要になります。将来的に様々なデバイスがインターネットとつながるようになり、IoTシステムも今以上に普及していきます。リアルタイムの通信といった、さらに高度なシステムが要求されるようになり、それにともなって幅広い知識と技術が求められるでしょう。そのため今後は、ますます人材の需要が高まり、転職、就職のチャンスが広がる分野でもあります。

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