データサイエンティストに向いている人・向いていない人
データ分析に関わる職業として人気の「データサイエンティスト」ですが、向いている人はどんな性格や経歴を持った人なのでしょうか。一方、向いていない人は、どのような傾向があるのでしょうか。
この記事では、データサイエンティストへの適性や向き不向きについて分かりやすく解説します。転職や就職で必要なスキルについても確認しましょう。
目次
データサイエンティストに向いている人
膨大な量の情報を扱い、そこから様々なことを読み解くのがデータサイエンティストの仕事です。この仕事は、IT関係の中でも情報の活用を専門としている分、特殊な能力を要求されるのが特徴と言えます。ビッグデータを効率的に処理する必要があり、組織における情報活用の中核的な役割を担うため責任も重大です。
そんなデータサイエンティストには、どのような人が向いているのか、以下でチェックしていきましょう。
情報収集や分析が得意
目的に照らし合わせて最適な情報を集め、物事を構成する要素や側面について分析するのが得意な人は、データサイエンティストに向いているでしょう。様々な物差しから比較や検証をおこない、仮説の立案と事実の探求を繰り返すことで、目標達成や課題の克服、効果の検証など、与えられたミッションをこなすのが役割だからです。
データ分析が事業の拡大に貢献し、新しい施策を立案してビジネスを作り出すこともありますが、基本的には意思決定をサポートする仕事です。情報処理の作業では、長期間にわたっての地道な取り組みが欠かせません。コツコツとデータの整理に取り組むのが楽しいと思える方とは、相性が良い仕事と言えます。
論理的に思考できる
ミッションを達成するために、どのようなデータを用いるか、集めた情報をいかに役立てるかなど、常に倫理的に考えることが重要です。データの処理は一定の規則性をもって行われますから、解析や分析をおこなう際に、論理的ではない心情や感情的な思考が混在するのは望ましくありません。
データ分析の過程においても直感や閃きを否定するわけではありませんが、憶測や主観などの曖昧な要素を根拠としてしまうと、全体の整合性が崩れてしまいます。あくまでもデータを論理的に突き詰めることで、仮説を裏付け、真実を発見するのがデータサイエンティストの役割です。よって、俯瞰的な視点から冷静な思考で仕事をこなせる方に、向いている仕事と考えられます。
探究心が強い
その名の示す通り、データサイエンティストは情報分野における科学者としての一面があります。大学や研究機関などに在籍するアカデミアとはまた違った立ち位置で、まるで科学的な研究をするようにデータに向き合い、試行錯誤を繰り返すためです。データサイエンティストが、地道な取り組みを続けられる理由としては、彼らの強い探求心が挙げられるでしょう。
実現したいことがあったり、何かを深く知りたかったりと強い好奇心があれば、この職業に大きなやりがいを感じるはずです。時には予想外の結果が生じ、それを論理的に説明できなくなるケースもあるでしょう。それでも諦めず、事実を追い求められる方に、相応しい職業と言えそうです。
データサイエンティストに向いていない人
知的で社会的地位も高く、注目度が高いのがデータサイエンティストの魅力と言えるでしょう。しかし、実際には世間一般のイメージとは異なる側面もあります。表面的な魅力に憧れをもって、この世界に飛び込むと、思っても見なかったギャップに驚くかもしれません。そこで、データサイエンティストに向いていないと考えられる人についても、確認していきましょう。
華々しいイメージのみに憧れる人
高度な知的能力を武器に、世界の常識を覆し続けるデータサイエンティストは、セクシーな職業として紹介され、しばしば注目と喝采の的になってきました。この華やかなイメージに憧れる方も散見されますが、注意したいのは、その業務の実態です。基本的にIT技術を使ってデータを収集・解析するのですが、その業務は地道なものと言えます。
具体的にはSQLなど、データベースを使う仕事も多いです。付随する業務も、定期的なレポートの作成や会議への参加も含め、人によっては面倒に感じるものが少なくありません。堅実さが求められる地道な取り組みが多いですから、華やかな見た目だけに憧れを感じている場合は、ミスマッチが起こる可能性は高いでしょう。
計算や細かな作業が苦手
大量の数値を扱い統計モデルの作成やデータマイニングなどの作業をおこなうデータサイエンティストは、普段の仕事から集計やデータ管理、計画の作成など細かな作業が欠かせません。実際のデータにも目を通しながら、特徴のある箇所やパターンを確認して、利用するアルゴリズムや分析手法を考えるのです。
そのため、計算が不得意だと、何かと苦戦する可能性があります。また、データ処理では気の遠くなるような細かな入力作業なども多いため、大雑把な性格で地味な作業が嫌いな方も、この職業ではストレスが溜まりそうです。
数学やデータが嫌い
データサイエンティストの実務は、統計や数学的な理論をもちいたデータの活用にほかなりません。コンピュータを利用した計算では、数学的知識を根拠にロジックを考え分析します。したがって、数学に苦手意識がある他、大量のデータを見ると嫌悪感を覚える方も、この仕事との相性が良いとは言えないでしょう。
パソコンやプログラミングを使用して計算をおこなうとしても、その裏側で働く仕組みを理解しないと応用が利きません。また、扱うデータのなかには、個人情報や機密情報なども含まれますから、正確性を要求されるのは、データサイエンティストの宿命です。信頼を維持する上では、微に入り細を穿つような配慮が欠かせません。
データサイエンティストに必要なスキル
性格的な適性も大切ですが、データを扱って世間の役に立てるためには、専門的な技術力が欠かせません。データサイエンティストとして活躍するには、ITスキルの他に一定の学識、ビジネスへの理解など、多彩な能力が要求されます。
プログラミング
データサイエンスの実務では、PythonやRといった言語を使用してデータの解析をおこないます。グラフや図などのわかりやすい形に可視化してレポートしたり、収集したデータを加工したり、とプログラミング技術が必要なケースが多々あります。企業は様々なプラットフォームを使ってデータを管理しますので、社内に散在していますし、書式や拡張子が異なるファイルが混在するなど、そのまま利用できないケースも稀ではありません。
その時に、データを整理整頓する目的で、バッチを作り、プログラムで更新を行うことがあります。ビッグデータが相手ですから、手作業で都度修正するのは現実的ではありません。他にも色々な場面でITスキルが役立つので、ぜひ、習得しておきたいものです。
大量データの処理
大量のデータを扱うデータサイエンティストには、データベースやSQLといったデータを保管・抽出して処理するためのスキルも必要です。クラウド上にデータをアップロードしてリアルタイムに解析をおこなったり、開発環境をプロジェクト毎に立ち上げたりといったことも実行できます。チューニングなど高速化のノウハウやBIツールなどを駆使し、情報を表示する能力も重要です。
日常的に、数万または数億のデータを扱いますから、効率的に処理できなければ苦戦は避けられないでしょう。各所からデータを集め、扱いやすい形に加工して集積し、効率的に分析を行うための仕組みを作り上げる必要があります。
数学と統計学
未加工のデータは、一見すると不規則で雑然とした、文字や記号の集合体のように感じるかもしれません。そこから規則性や傾向を導き出すためには、数学の知識が重要です。データサイエンティストは数理モデルを駆使し、高度な計算に基づいた手法を使って情報を整理していきます。
また、統計的な視点により、データから得られた示唆を適切に扱い、事業上の判断や意思決定に有効性を示すことも可能です。データ解析について設計や企画の知識があれば、解析の結果によって正しい答えが得られるかどうかも客観的に判断できます。
機械学習と人工知能
データサイエンスと人工知能(AI)は親和性が高い領域です。そのため、データサイエンティストとして働くには、機械学習や深層学習などのAI技術を学ぶ必要があります。公開されているオープンソースのライブラリやフレームワークを活用すれば、AIモデルを一から構築する必要はありません。
しかしながら、用途に応じたプログラムを作成して、精度高く稼働できるシステムに落とし込むためには、理論を学び実践することが欠かせません。アルゴリズムの選定やデータの前処理、学習や評価方法など身につけておく必要があるでしょう。
データ分析
課題に対して必要な分析手法を検討し、調査や取捨選択を行いながら、データを読み解き、有用性が高い情報をあぶり出していくのが分析作業です。単にデータを集めるだけでなく、仮説設定や検証方法を定めることが重要です。
そのため、有用な情報の見極めや、どのようなアプローチ方法を選ぶかなど、分析に関するノウハウは欠かせません。SPSSやSAS、Tableauといったツールにも慣れておくとよいでしょう。
実務では、思ってもみない結果が生じ、やり直しとなることが度々あります。そのような時でも、問題解決のスキルがあれば、窮地を脱しやすくなります。
ビジネスでの活用
近年、データサイエンスはビジネスシーンでも利用されるケースが増えてきました。この流れから考えると、マーケティングや自社の分析などのために、ビッグデータを活用するノウハウは重要と言えます。ところが、経営者やマーケターはビジネスのことは理解しても、ITに関するエンジニア的知識は期待できません。
事業部門のスタッフにはITが苦手な方もしばしば見当たり、データ分析や情報解析が役立つことは知っていても、具体的に、どのように役立てるか、わかっていない可能性が高いのです。逆に、データサイエンティストがビジネスのことを知らないと、事業部門との間で考え方に乖離が生じるおそれがあります。
そこで、データサイエンティストが現場に関わる知識を持っていると、より戦略的な提案を行えるでしょう。例えば、KPIの改善や、売上、需要などの予測精度を高めるために、データサイエンスがどう役に立つかを具体的に説明できます。具体性を伴う提言に対しては、経営者なども正確に判断を下せるはずです。よって、データサイエンティストがビジネス感覚を持っていると、組織での情報活用能力は高まると考えられます。
プレゼンスキル
分析した結果をビジネスに役立てるには、報告やレポートが欠かせません。そのため、データサイエンティストの業務スケジュールには、定期的な会議や打ち合わせへの参加が含まれることが珍しくありません。ミーティングの場でプレゼンを行い、他の部署や経営層などと、データをどう役に立てるのかを決めたり、成果物について説明したりします。
コンサルティングファームに所属するデータサイエンティストは、クライアントに向けた提案をおこなう機会も多くあります。プレゼンスキルが問われる場面であり、施策の有効性やデータ解析の必要性を訴求し、相手からの納得を得られなければ、苦労が水の泡になりかねません。
具体的には、成果物を準備する際にグラフなどを使ったわかりやすい資料に落とし込む他、詳しくない人にも明確に理解できるように平易な言葉で説明することが大切です。
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