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バックエンドエンジニア案件の単価相場は?フリーランスになる前に

Webサービスの開発に欠かせない「バックエンドエンジニア」ですが、独立して年収アップはできるのでしょうか。技術者として幅広いスキルが必要なポジションですが、業務委託のフリーランス案件では、月にどの程度の報酬が期待できるのでしょうか。

この記事では、フリーランスのバックエンドエンジニアとして働く場合の単価相場、平均年収、案件内容、スキルなど紹介します。独立のポイントもみていきましょう。

フリーランスのバックエンドエンジニアという働き方

Webサイトやアプリなどが安定的に動作し、ユーザーへのサービス提供をおこなえるよう、企画・開発からテスト・検証、運用保守までを幅広く担当するWeb系エンジニアが「バックエンドエンジニア」です。スマートフォンが普及し、常時インターネットに接続する環境が当たり前となった現在では、技術を保有した人材の不足が露呈しており、正社員として雇用される以外に、フリーランスとして独立したプロフェッショナル人材にも、さまざまな企業からプロジェクト参加の要望があります。

規模の大きさや扱う技術要素・ツールは案件によって様々ですが、エンジニアリングという枠組みのなかでは違いがないため、複数のクライアントから仕事を請け負うフリーランスも存在するくらいです。以下に、独立後のバックエンドエンジニアの仕事内容や在宅で働けるのかなど、実際の業務について見ていきます。

バックエンドエンジニアで働くフリーランスの仕事内容

バックエンドエンジニアは、Webサービスの開発に関わる技術職のなかでも、特にサーバーサイド(サーバー側)で動作するプログラムの実装を担当するポジションです。コーディングやテストなど開発業務のほかに、企画や要件定義、アーキテクチャ設計、サーバーやデータベースの構築といった幅広い業務に携わります。

保守運用やインフラ整備に関わることも多く、サービスが安定して稼働できるようシステム運用を担うことも仕事です。ローンチ後の案件では、プログラムのアップデートやログ監視、セキュリティ対策などの知識が求められるでしょう。

フロントエンドエンジニアとの違い

バックエンドとフロントエンドでは、開発を担当する箇所が異なります。バックエンドエンジニアが、画面上からは見えないデータベースへの問い合わせやログイン認証など裏方の処理を担当するのに対し、フロントエンドエンジニアは同じWeb開発でもユーザーが目にするサイトデザインやページ移動、フォームの入力などフロント分野で動作するプログラムを専門的に担当します。

それぞれの分野では使用する言語やスキルが異なるため、ある程度規模が大きいサービスの開発になるとそれぞれ別の担当者がついて分業するのが一般的ですが、小規模なサービスでは同じエンジニアが担当することもあります。

在宅・リモートワークの案件はある?

バックエンドエンジニアのフリーランス求人で、在宅ワークやフルリモートの案件はあるのでしょうか。コロナ禍とはいえIT系のフリーランス求人では、客先に常駐する案件が多いものの、バックエンドやフロントエンドなどWeb系の仕事では、フルリモートの案件も増加している傾向にあります。また、参画当初は、常駐や週のうち何日かは出勤が必須であるものの、チームに慣れた段階でフルリモートでの在宅勤務を許可するクライアントも多いです。

設計や開発で多くの部署と連絡を取り合う必要があるプロジェクトや情報の持ち出しが厳しい会社では、出勤しての作業が求められるフリーランス案件も少なくありませんが、ベンチャーやスタートアップでは、リモートワークが推奨されている会社もありますし、クラウドソーシングなどの案件は殆どが在宅可になっています。

バックエンドエンジニア案件の単価相場・収入目安

ここからは、バックエンド案件の単価相場やフリーランスエンジニアの年収について解説します。フリーランスとして働く場合には、業務委託で案件を受注するため、依頼主からの報酬という形で、仕事や契約内容に応じた収入を得ることになります。

一方、会社員として働くのならば、雇用主から給料として所定の金額が支払われることになります。以下に、フリーランスの場合と会社員の場合の収入の目安を見ていきましょう。

バックエンドエンジニアの単価相場(フリーランス)

フリーランスで働くバックエンドエンジニアの平均的な報酬の単価としては、ひと月あたり60~80万円が相場です。エージェント経由の案件では、正社員エンジニアと同じように週5日、一日8時間稼働する常駐勤務も少なくありません。安定的に稼働することができれば、年収の目安としても720万円から960万円程度が見込めるでしょう。

ただ、案件や経験年数によって報酬の金額は上下するため、スキルが低いと報酬も少なくなってしまいます。また、リモートや地方の案件は単価が安くなることがあります。逆に、同じ年齢でもフルスタックに近いスキルや経験を持っている人やマネージャーやリードエンジニアとして働いてきた実績がある人は、担当する業務の難易度が高く責任も生じてくるため、高単価になる傾向があります。

バックエンドエンジニアの平均年収(会社員)

会社員として働く場合のバックエンドエンジニアの年収は、450~550万円が目安となるでしょう。勤務している企業の規模や担当する業務の内容によって金額の差はありますが、会社員はフリーランスと比べて安定した収入があり、福利厚生が受けられるなどの利点があります。

その一方で、短期的な収入面で見ると、会社員エンジニアの昇給やボーナスでの収入アップは限定的で、フリーランスほど高額な所得上昇の可能性を得ることは少ないです。

バックエンドエンジニアに必要なスキル

バックエンドエンジニアとしてフリーランス案件に参画するには、幅広い知識が必要です。また、Web開発やサービス運用に関するスキルを数多く身につけなければなりません。対応できるプロジェクトの範囲や保有する技術に希少性があるほど企業からの需要も高くなりますので、できるだけ積極的にスキルを身につけましょう。

開発スキル

フリーランスエンジニアとして働くならプログラミング言語のスキルは必要不可欠です。バックエンド開発の案件で使用される言語としては、JavaやPHP、Ruby、Python、Perlなどがあります。プロジェクトによっては、GoやScalaでの開発経験を求められることもあるでしょう。ジャンルや業界によって、必須スキルが変わることも珍しくありません。IoT機器に組み込むソフトウェアやシステムの開発で使用するC言語、Androidアプリの開発で必要なKotlinなども習得しておくと対応できる仕事の幅が広がるでしょう。

コーディングのほかに、MySQL、PostgreSQLなどの知識やデータベースを操作するためのSQLのスキルも必要です。大規模なWebアプリケーションの開発では、NoSQLや分散処理の技術が求められることもあります。

フレームワークの使用経験

プログラミング言語を学んだとしても、開発作業には手間や時間がかかりますし、デバッグの負担は大きいままです。そのため、システムの枠組みとして機能し、それぞれの言語を扱いやすくするフレームワークを使用することが多く、代表的なものに関しては使用経験があったほうが案件を獲得しやすくなります。

例えば、RubyのフレームワークであるRuby on Railsや、PHPのLaravelやCakePHP、PythonのDjangoなどは実際の現場でも使用されることが多いため、使いこなせるようになっておいたほうがよいです。

サーバーやセキュリティの知識

バックエンドエンジニアのメイン業務の一つに、サーバーの設計や構築、運用があります。最近では、オンプレミス環境ではなく、クラウド上にインフラを構築する案件も増えており、AWSやGCP、Microsoft Azureなど各プラットフォームの知識も必要でしょう。

技術選定やインフラ環境の整備なども依頼されることがあります。製品やセキュリティに関する知識を身につけておかなければ、適切なアーキテクチャ設計を行うことはできないので、スムーズに作業を進めるためにも常に知識をブラッシュアップしておきましょう。

コミュニケーション能力

バックエンドエンジニアはチーム内、もしくは単独で作業をすることが多いと思われがちですが、実際には多くの人と交流します。設計の段階では追加したい機能やコンセプト、予算、納期などをヒアリングしなければなりませんし、チーム内での連絡やコミュニケーションは業務を円滑に進めるために欠かせません。

時として他部署や他の企業と連携を取ることもありますし、プロジェクトオーナーへの業務報告や提案、要望などを伝えることもあります。そのため、対人スキルがあったほうが、仕事がやりやすくなります。

バックエンド案件の種類

フリーランスでバックエンドの案件を請け負うと言っても、その内容はさまざまです。業務内容によって得手不得手がありますので、自分が対応しやすい案件を探しましょう。

開発

開発案件はSNS、ECサイト、ゲーム、アプリなど様々なジャンルに及びます。システムのインフラ整備や既存の環境を踏まえて開発をしていかなければならないため、単にプログラムのコードが書けるだけでは対応するのは難しいです。サーバーサイド開発に関する知見やITの知識、スキルを必要とするのが開発業務です。募集案件でも経験年数を明記していることが多く見られます。

コンサルティング

コンサルティングの案件では、実際に手を動かして開発等に関わるのではなく、Webサービスに関する課題を抽出して問題を解決するためのアドバイスや、開発体制の構築、エンジニア採用や教育のサポートをします。大規模なアプリケーションを開発した経験のあるバックエンドエンジニアは能力が高く経験豊富な人材が多いため、アドバイザーとして信頼されることが多いです。

プログラミング講師

プログラミングスクールや専門学校では、エンジニア経験者を募集する講師のフリーランス求人が増加しています。特定の講座を受け持つ個人講座の先生やメンターのほか、研修講師など、需要に応じてプログラミングを指導する立場として招かれるのです。プログラミングについてだけでなく、エンジニアの仕事やキャリアパスなど就職後の相談についても説明できるので、生徒からの需要も高いです。

フリーランス案件を獲得するために

フリーランスエンジニアとして働く場合には、独立してもただ待っているだけでは依頼が舞い込んでくることはありません。まずは募集が出ている案件を探し、仕事内容や待遇、単価などを検討して営業するなど自分から働きかけていく必要があります。

気に入った仕事があっても、依頼主に発注の意思がなければ、必ず受注できるとは限りませんので、収入源は多く持っておくと良いでしょう。以下に代表的な案件獲得の方法を見ていきます。

エージェントを利用する

フリーランス向けに業務委託の仕事を紹介してくれるエンジニアエージェントを活用すると、自分で新規開拓や飛び込み営業をする必要がありません。スキルや経験年数などを登録しておいて、クライアントの募集内容とマッチングをはかるため、事前にエージェントと面談したり職務経歴書等を提出したりしなければなりませんが、登録したデータをもとに担当者から仕事が紹介されるため、時間を効率よく使えます。

エージェントによっては福利厚生を受けられたり、商談日程の調整や条件交渉など契約手続きなども代行してもらえるため、フリーランスの多くが登録しています。

クラウドソーシングで探す

クラウドソーシングサービスでは、バックエンドエンジニアの案件が数多く公開されています。自分で応募して案件を獲得しなければなりませんが、条件や単価の比較がしやすく、件数が多いので自分のレベルに見合った仕事を見つけやすいというメリットがあります。仕事の紹介がないときにはこちらから探してみるのも良いでしょう。

知り合いからの紹介

エージェントやクラウドソーシングに登録しても、スキルシートの内容に懐疑的なクライアントも中にはいます。特に経験年数が短い場合はその傾向が強く、せっかく卓越したスキルを持っていても案件の獲得が難しいこともあるでしょう。しかし、知り合いからの紹介ならばクライアント側も安心して発注できますし、自分の能力に見合った案件なので作業がしやすくなります。

バックエンドエンジニアで独立するには

バックエンドエンジニアは、スキルや実績を重視されることが多い職業です。そのため、独立するには資格取得や学習ばかりを行うだけでは足りません。以下に、需要のあるフリーランスになるための基本手段や実績のない状態でバックエンドエンジニアを目指すときの方法について見ていきます。

正社員で働いてから独立するのが基本

Webサービスやアプリケーションなどの開発に関するフリーランス案件は、未経験者でできるものがほとんどありません。経験年数を設定してエンジニアの募集を出している求人が大半ですので、フリーランスになる前に経験を積んでおく必要があります。

会社員として数年間はバックエンドエンジニアの業務を経験し、必要な知識やスキルが身についてからフリーランスに転身するというステップが一般的でしょう。会社で働く場合は他部署との連携やサポートも多く、独学よりもコミュニケーション能力や経験を重ねることができます。

バックエンドエンジニアの仕事に就くには

大学や専門学校などを卒業後に新卒採用での入社を目指すなら技術職の採用試験を受けましょう。ただし、バックエンドエンジニアになるには、少なくとも業務が滞りなく遂行できるレベルの知識を身につけておく必要があります。

未経験から中途採用で転職を目指す際は、不足している知識やスキルを身につけながら、Web開発の案件をこなすなど経験や実績を積み重ねていくと、経験が少なくても企業にアピールしやすくなります。

デザイナーやプログラマーとして就職してから、転職でエンジニアになることも可能です。小規模の案件ではフロントエンドの業務も兼任することがあるため、WebデザインやJavaScriptについても学んでおいて損はないでしょう。

バックエンドエンジニアの将来性

Webエンジニアとして働いていると、この先の将来について考えることもあるかもしれません。自動化のテクノロジーが発展するとコードを書くプログラマーの仕事が不要になるという意見もあります。不景気になるとフリーランスの需要が減ってしまうことを不安に思う人もいるでしょう。果たしてバックエンドエンジニアは、この先も生き残ることができるのでしょうか。

技術の移り変わりはあるものの、Web制作や開発は、今後も継続的な需要が見込まれています。フロントエンドと比べてもバックエンドの業務は難易度が高く、より高度なプログラミングの知識やスキルを要求されるため、容易に他の手段に置き換わりづらいと予想されます。

将来的に今よりもエンジニアが増えたとしても、早めにこの仕事に就いていれば、すぐには手に入らない経験や実績がその頃には積みあがっています。ただし、技術職である以上、自己の研鑽はかかせません。開発や技術力でもマネジメントでも、なにか若手エンジニアにまさる領域がなければ淘汰されてしまう心配があります。

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