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2021/07/16

機械学習エンジニアになるには?未経験からの就職・転職方法・キャリアパス

機械学習プロジェクトの推進やサービス開発で活躍する技術職に「機械学習エンジニア」があります。AI(人工知能)技術に関わる職業として脚光を浴びており、就職や転職を考える方も多いのではないでしょうか。

この記事では、未経験から機械学習エンジニアを目指す方法、求人の探し方、向いている人、キャリアパス、役立つ資格などを紹介します。

そもそも機械学習エンジニアとは?

機械学習エンジニアは、AI技術のなかでも「機械学習(マシンラーニング)」に関わるソフトウェアエンジニアです。機械学習は、コンピュータが反復学習により解析性能を改善する研究分野やアルゴリズムを指します。データから規則性やパターンを読み取り、何らかの法則を導きだすことで精度の高い予測や認識を実現します。

「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」などから目的に応じた手法を選定し、コンピュータに学習させるデータの用意、環境構築、特徴量や条件のチューニングをおこない、最適な学習モデルを作成します。

プロジェクトやチーム体制によっては、機械学習に関連するアプリケーションの開発やシステム実装、データを収集・管理するインフラ基盤の構築を担当することもあります。職種として日本での認知度はあまり高くありませんが、海外ではITエンジニアの一分野として広く認知されています。

機械学習エンジニアの仕事内容

機械学習エンジニアの仕事内容は、機械学習に関する「システムの設計・構築」「インフラ構築・運用・保守」「データ分析・解析・モデル開発」「最新技術の調査・研究」と大きく4つの業務があげられます。

それぞれの具体的な業務内容について、以下で順番に解説します。

機械学習に関するシステムの設計・構築

機械学習エンジニアの仕事の中でも、受託企業で働く際に根幹となる業務が「機械学習(Machine Learning)」分野のシステム設計や開発のタスクです。クライアントの課題や実際のデータを確認しながら、活用すべきモデルや期待できる結果を検討してPoCからビジネスへの実装までを段階的に行います。

例えば、コンピュータにユーザーのコメントを分析・学習させることで解答の精度を高めたり、決済履歴を学習させて不正を検知できるようにしたりなど、実践的な活用ができるようシステムの利用方法も提案します。

インフラ構築・運用・保守(MLOps)

ビッグデータと呼ばれる大量のデータを滞りなく処理できるように機械学習基盤(MLOps)を整えるのも機械学習エンジニアの仕事です。AWSやGCP、Azureなどのクラウド上にインフラを構築し、データの安全性や効率性を高めるために運用や保守を自動化するのも重要な仕事です。

テスト環境にある学習モデルを、少ない手間で本番環境に反映させたり、クライアントと開発者が実行環境を共有できるようにしたり、バッチを作成して効率的に運用したりするなどの技術も求められます。

データ分析・解析・モデル開発

機械学習は、コンピュータ自身の学習によるデータ分析・解析を得意としている技術ですが、精度の高い分析をおこなうためには、良質なデータの準備やアルゴリズムの検討、繰り返し調整を行うなど技術者の力量が必要となります。機械学習エンジニアは実際のデータや業務フローから構造を把握し、分析・解析結果をもとに複数のモデルを試作してから、最良のモデルを選び改良していきます。

分析・解析されたデータを結合させるなど、機械学習に適した形態に加工したり、パラメータの調整を繰り返したりして、本番のシステムに近づけていくのです。

最新技術の調査・研究

AI(人工知能)関連の技術については、従来のIT技術と比べても革新のスピードが早い傾向があります。より良いシステムやサービスを開発するためには、国内だけでなく、海外を含めた最新技術の調査や研究は欠かせません。そのため、機械学習に関する研究開発の現場では、リサーチャーやリサーチエンジニアと呼ばれる情報収集や技術調査・検証を専門とするポジションもあるほどです。

コンサルティングや最新製品の動向機械学習に関する論文を読むなど積極的に知識をアップデートすることも仕事の一環となります。

機械学習エンジニアの年収

機械学習エンジニアの年収は、経験や能力によって異なります。求人情報誌などで募集されている相場は、400万円から1000万円です。未経験の機械学習エンジニアは年収400万円からスタートですが、経験豊富で大きな案件を成功させた経歴があると、年収1000万円超えも夢ではありません。平均年収は600万円以上なので、一般的なITエンジニアよりも高いといえるでしょう。

機械学習エンジニアの将来性は?

さまざまな業界でデジタルリテラシーの高いIT人材の不足が叫ばれる中、機械学習や深層学習(ディープラーニング)などAI技術を修めた技術者の価値はうなぎ登りに上昇しています。

機械学習を応用して業務の効率をあげたり、費用を圧縮するなどの取り組みが大手企業を中心に進められています。そのような企業側の需要に対して、大学など高等教育機関での講座や民間の学習プログラムなどの提供も活発化しています。

しかしながら、拡大する求人需要に対して、供給は追いついておらず。まだまだ機械学習エンジニアの数は少ないといえます。今後も機械学習は、システムやサービスに導入されていくと考えられるため、高いスキルを保有する機械学習エンジニアの将来は明るいといえるでしょう。

未経験・初心者から機械学習エンジニアになるには?

機械学習エンジニアは将来性が高い職業ということで、就活や転職などキャリアパスの選択肢に入れている人もいるでしょう。では、機械学習エンジニアになるにはどのようなスキルや資格が必要であり、どんな人に向いているのか詳しく解説します。

機械学習エンジニアに必要なスキル

機械学習エンジニアに必要なスキルはたくさんありますが、プログラミングスキル、データベースやクラウドの知見、機械学習・深層学習のアルゴリズム、数学・統計学の知識が大きな柱となります。では、それぞれのスキルについて詳しく解説します。

プログラミングスキル

プログラミング言語を習得し、コードを書いてシステムに実装するスキルはプログラマーやシステムエンジニアなどIT関連の職業には欠かせないスキルです。データクレンジングや統計の前処理でもプログラムをおこなう機会が沢山あります。機械学習プロジェクトでよく必要になる言語はPythonやR言語であるため、機械学習エンジニアとしては、それらの言語を自在に操れるスキルを身につけておく必要があります。C言語やJavaなどシステムやアプリケーション開発に使用する言語も使いこなせるとなお良いでしょう。

データベースやクラウドの知見

機械学習はビッグデータを扱うため、データ操作や環境構築、データパイプラインの整備を素早く正確に実行できることは効率的に業務を行う上でも有益です。データレイク、データウェアハウス、データマートなど目的に応じた基盤環境を整え、データサイエンティストやデータアナリストなどの関連職種とも連携できるとよいでしょう。覚えておきたいデータ操作方法の知識としては、SQLやRDB、RDBMSがあげられます。また、処理回数も多いため、クラウドの知識があると負荷を分散させて分析・解析させるなど効率的に処理できます。

機械学習・深層学習のアルゴリズム

アルゴリズムを理解し、実際の課題やデータに当てはめて問題解決をおこなった経験は、機械学習プロジェクトを進めていくうえで欠かせない経験です。教師あり学習や教師なし学習のほか、ニュートラルネットワークなどのアルゴリズムの知識をもっているだけでなく、対象に合わせた適切な分析方法を選択して業務を実行できる能力がもとめられます。深層学習の基礎をしっかり学び、業務面での適用ケースも把握しておくことで、さまざまな場面で応用が利くようになります。

数学、統計学の知識

機械学習では、高度な数学・統計学の知識が必要になります。特に、自分で予測モデルを構築したりパラメータの調整を行ったりする場合には、機械学習の理論を理解するために大学レベルの数学知識が求められます。論理的な思考力や統計手法を学び、課題に適応することで積極的に知識を活用して身につけることが重要です。

どのような人が向いている?

機械学習エンジニアの仕事は専門性が高いため、向き不向きがはっきりしています。では、どのような人に向いているのか、人物像を詳しく解説しましょう。

論理的考察や分析が得意

機械学習エンジニアは、モデルを作成したり調整したりする時に論理的考察や分析が必要です。そのため、何よりもデータや数値などの事実に向き合い、論理的にものを考えられる人が向いているといえます。解析や検証には客観的な視点が必要です。感情や気分で物事を判断したり、短絡的な思考の人にはあまり向いていません。

大学で数学や情報科学を専攻

大学で数学や情報科学を専攻していた人は、数学的な思考が苦にならないため機械学習エンジニアに向いています。エンジニアの仕事の中でも、機械学習エンジニアは特に数学的素養が必要となります。大学で統計や物理学、コンピュータサイエンスなどの理論を学んでいた人なら、理数系の学科知識に関する引き出しも多く業務に役立てることができるでしょう。

地味な作業が苦にならない人

機械学習エンジニアは、業務において必要な検証を何度も実施したり、最適な状態に改良するための試行錯誤を繰り返し、細かい数値や実際のデータと向き合う地道な作業をおこなうことになります。担当する仕事内容によっても変わりますが、一日中誰とも話さないこともあります。そのため、地味な作業が苦にならない人に向いています。

機械学習エンジニアに役立つ資格

機械学習エンジニアになりたい人が持っておくべき資格としては、統計検定とG検定・E資格があげられます。ここでは、それぞれの資格の詳細について解説しましょう。

統計検定

統計検定は、統計に関する知識や活用力を証明できる資格です。国際通用性のある統計活用能力を測るために開発された検定試験で、1級から4級にランク分けされています。機械学習エンジニアに必要な統計活用能力を身につけていることを示すためには、準1級もしくは1級の資格を保持しているのが妥当といえるでしょう。

G検定・E資格

G検定は、ディープラーニングの知識を持ち事業に活用する能力があるかを測る資格試験です。合格率は60%から70%と高めですが、ディープラーニングの高度な知識が求められるため持っていると就職にも有利です。E資格もディープラーニングの知識を証明できる資格で、ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法で実装する能力があるかどうかを評価します。合格率は、約70%です。

機械学習エンジニアへの就職、転職方法

未経験から機械学習エンジニアとして就職・転職するための方法にも色々な手段があります。独学やスクールなどで勉強してから転職に挑戦するパターンや、まず転職に成功してから実務で経験を積むといった方法もあります。ここでは、キャリアチェンジの方法として具体的にどのような手段があるのか詳しく紹介します。

未経験可の求人を探して応募する

20代前半であれば、新卒や既卒、第二新卒などの未経験者を募集する求人を探して応募してみるのも一つの方法でしょう。ただし、機械学習エンジニアは技術職であるため、経験のある人の方が有利です。新卒の場合は未経験でも就職先が見つかることも多いですが、中途採用での転職の場合は、資格取得や独学での個人活動で未経験であることの不利をカバーするのが良いでしょう。IT業界未経験から目指す場合は、まずITエンジニアとして就職することも視野に入れましょう。

エージェントで探す

転職エージェントは、一般公開だけでなく未公開求人を豊富に抱えているため、未経験でも可能な機械学習エンジニアの求人を見つけられる場合があります。自分が思ってもいなかった企業の求人を紹介してくれることもあり、新たな発見につながるでしょう。専任のアドバイザーが付き、履歴書の書き方、面接の服装や対応の仕方など、細かくアドバイスしてくれるので頼りになります。ほとんどのエージェントは無料で登録できるので、経済的な負担なく良い条件の職が見つけられます。

求人サイトやSNSで探す

求人サイトやSNSは、インターネットの環境さえあればどこででも職探しできるので便利です。ただし、条件の良い求人はすぐになくなってしまうため、常に目を光らせている必要があります。職務経歴書やプロフィールは自分で用意して、面接の日取りなども自分でセッティングしなければなりませんが、好きな条件を絞って検索し、自分の望む求人を見つけられるのがメリットです。お気に入りに条件を登録して、新着求人があれば通知も受け取れます。

転職と並行して自己学習を行う

未経験で機械学習エンジニアを目指す際は、勉強や準備をおこなわないと採用される確率が低くなるため、転職と並行して自己学習を行うことが推奨されます。では、具体的な勉強方法にはどのようなやり方があるのでしょう。

独学で勉強する

転職と並行して自己学習する方法として、もっとも一般的な方法が書籍やオンライン講座を利用した独学です。転職活動の合間に、自分のペースで勉強できるのが利点です。プログラミング言語やデータ操作方法、ディープラーニングなど、機械学習エンジニアに必要な知識を学ぶことで、転職の道をより有利に切り開くことができます。

ただし、怠けずに勉強を継続して技術を習得できる人でないと独学で専門的な知識を習得するのは難しいでしょう。

スクールに通う

体系的な教育プログラムにそって専門的な機械学習エンジニアの知識を身につけるには、AI関連の講座を提供するスクールに通うのが一番です。学費はかかりますが、正しい知識が学べるのがメリットです。

また、学校によっては就職を斡旋してくれるので、修了後に仕事を見つけられる可能性も高くなります。独学でダラダラと勉強するよりも、プロの講師から短期間で学ぶ方が効率的です。

エンジニアとして就職する

機械学習エンジニアとしての転職先がなかなか見つからない場合は、まずITエンジニアとして就職するのも一つの方法です。ITエンジニアとしての経験を積むことで機械学習に必要な、プログラミングやクラウド、データベースなどの開発知識も身につけられます。

数年働いた後に同じ会社内で機械学習エンジニアのポジションが空いていたら移動させてもらったり、エンジニアの経歴を利用して別の会社の機械学習エンジニア求人に挑戦したりすることもできます。

機械学習エンジニアのキャリアパス

社会のIT化が急ピッチで進んでいるため、機械学習エンジニアのキャリアパスも選択肢が広がっています。専門的な知識を活用してAI分野のスペシャリストになったり、コンサルティング能力を駆使してデータサイエンティストになったり、プロジェクトマネージャーとしてチームをまとめたりと、色々な未来が開けています。

データサイエンスチームの一員として機械学習・深層学習のソフトウェアエンジニアリングに関わる点は同じですが、企業に所属して働くのではなく独立してフリーランスになるという道もあります。

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