キャリア

2021/05/06

システムアーキテクトとは?なるには?仕事内容・スキル・年収・資格・将来性

システム導入に関する企画や設計などの上流工程を担当する職種が「システムアーキテクト」です。IT業界で働くシステムエンジニアやプログラマーが受験する資格としても人気があります。

この記事では、そんなシステムアーキテクトの仕事内容やスキル、年収・給与、将来性について紹介します。資格試験や転職方法についてもみてきましょう。

システムアーキテクトとは

システムアーキテクトとは、システム開発における企画や分析、設計といった上流工程を担当する職業です。システム開発の構想や基礎的な設計から携わるポジションであり、クライアント側と開発側の橋渡し役としてプロジェクト全体の調整・とりまとめを行うなど、IT業界ではシステムエンジニアやプログラマーの上級職として位置づけられています。

また、システムアーキテクトは経済産業省により、情報処理技術者試験の試験区分のひとつとして定められた国家資格でもあります。情報処理技術者試験の中でもレベル4と最も難易度が高い区分に位置し、高度な知識とスキルが求められますが、IT業界におけるキャリアアップとして人気が高く、様々な企業からの需要も高い資格と言えます。

システムアーキテクトの仕事内容

システム開発の上流工程を主導するシステムアーキテクトは、具体的にどのような仕事を行うのでしょうか。ここでは、3つにまとめて詳しくご紹介します。

システムの企画・要件定義

企業が社内システムの開発や経営戦略上必要なソフトウェアの導入を検討する場合、まずは用途や期待する効果を明確にすることから始めます。そして、そのような企画・構想からシステムアーキテクトが活躍することになります。

企画の初期段階では、クライアントの情報システム部門だけでなく、実際のユーザーである事業部門がシステムによってどのようなことを実現したいのか、またプロジェクトオーナーや経営陣がどのような課題を解決したいのかといった点を理解するための打ち合わせを行います。

また、システムアーキテクトは、要件定義の段階からチームに参加することもあります。システムが実現する具体的な機能や満たすべき要望など納品時に要求される内容を仕様書という形で明確にすることで、開発に必要な費用や工数の根拠となります。

要件定義で定めた内容をもとに具体的な導入計画を作成したり、既存システムとの連携や業務への組み込み方法などの構想を立てていきます。その際、様々な職種の人が関わることになりますが、それぞれの意見や要望をとりまとめ、クライアントの企業戦略に適したシステム構成に落とし込むのがシステムアーキテクトの役割です。

アーキテクチャの検討・設計

要件定義がまとまったら、より具体的なシステム開発のフェーズへと移行します。予算や開発期間などをクライアントに説明し、承認を得たうえで対象となるシステムのアーキテクチャを設計します。まずは、あらかじめ要件を実現するための設計概念にあたるアーキテクチャを検討し、対象となる範囲に抜け漏れがないかを確認します。システム内の各モジュールやレイヤーにおける役割を把握できるよう基本設計を作ります。

そして、システムが稼働するには、どのような仕組みが必要で、どのようなデータをやり取りするのかなど、システム構成の概要を決めていきます。このアーキテクチャの設計段階において、クライアントの要望の実現を目指すだけでなく、実際に動作させる際の環境による制約および既存の関連システムとの連携など、懸念事項を明らかにして解消することや完成後の運用および保守まで想定して検討を重ねることなどもシステムアーキテクトの重要な役割です。

また、各エンジニアが実際にどのようにプログラム設計にあたるかの詳細を決め、スムーズに進行できるよう矛盾のない基本設計を提示することも必要です。

開発マネジメント

システムアーキテクトの仕事は、システム開発における上流工程の企画や設計だけではありません。下流工程に移った後もシステムが無事にプログラミングされ、最終的にクライアントの業務に活かされるものになるか、プロジェクト全体を通じて管理者としての役割を担います。システム開発のプロジェクトには、その都度様々な職種とのすり合わせや調整が必要となります。

クライアントの要望を汲み取りながら開発チームに正確な指示を出したり、適切なサポートを行ったりとリーダーシップやマネジメント能力を発揮してプロジェクトを成功へ導くための舵取りを行うのもシステムアーキテクトの仕事です。

また、時には企業のプロジェクト自体がまだ構想段階のものもありますが、その場合はプロジェクト立ち上げの一員として基礎的なシステムのデザインから携わり、クライアントのアイデアを形にしていくサポートをすることになります。このように、システムアーキテクトはIT面でのビジネスコンサルタントとしての役割も担うことがあり、仕事内容は高度かつ多岐に渡ると言えるでしょう。

システムアーキテクトに必要なスキル

ここでは、高度なIT人材としてシステムアーキテクトに求められるスキルを3つに分けてご紹介します。

上流工程の経験・知識

システムアーキテクトが担当する企画・設計などの上流工程はシステムの根幹を担い、IT導入や開発プロジェクトの成功を左右する重要な部分です。そのことから、システムアーキテクトには、要件定義など上流工程の実務経験に加え、システム全体を見通し、適切な分析および設計ができるだけの知識やスキルが必要とされます。

また、開発に関係する各所と連携を取りながらプロジェクトを進行していく中で様々なステークホルダーとの打ち合わせが必要であり、プログラミング言語やシステムに関する知識だけでなく、クライアントの業務や経営に関する知識も必要です。

そのため、下流工程で十分な経験を積んだITスペシャリストやプログラマーというだけでは不十分であり、システムエンジニアやPL・PMとして上流工程の仕事をこなしておく必要があります。

開発対象の業種・業務への理解

クライアントとなる企業の業種やシステムを構築する対象となる業務は様々ですが、システムアーキテクトとして強みとなるジャンルを持つことも大切です。ERPやCRM、SCM、セキュリティ、内部統制、クラウドなどクライアントの要望を正確に理解し、適切な運用・保守までを見通したシステム開発を行うには、対象企業の業種や業務への理解が必要不可欠です。

システムアーキテクトは、システム開発を通してクライアントの経営戦略のサポートをするという一面から、テクノロジーに関する知識やスキルだけでなく、新規事業やM&A、グローバル対応などビジネスに関する知識も求められます。

コミュニケーション能力

ITプロジェクトではクライアントの社内メンバーや開発スタッフなど多くの人が関わり、システム開発に関するタスクを進行していきます。プロジェクトをスムーズに進めるためには、相手がどのような意図で発言しているのか真意を理解したり、どのような感情を抱えているのかを正しく理解する必要があります。

報告や確認についても、その時々の情報を取りまとめて開発チームに共有したり、早め早めに確認して問題やトラブルの目を摘み取るなどの配慮が重要です。

特に、開発プロジェクトを主導する立場のシステムアーキテクトでは、クライアントからの要望があるたびに打ち合わせを行って協力会社や他部署と連携して開発を行うなどコミュニケーション能力が必要な場面が多いため、必須のスキルと言えます。

システムアーキテクト試験とは?

IT業界で人気の高い国家資格であるシステムアーキテクト試験とはどのようなものなのでしょうか。ここでは、その詳細をご紹介します。

試験の概要

システムアーキテクト試験は、経済産業省が情報処理技術者として一定以上の水準であることを認定する国家試験「情報処理技術者試験」のひとつです。対象者像としては、高度IT人材としての専門分野を持ち、システム開発における要件定義・アーキテクチャ設計を行い、情報システム開発を主導する者とされています。

試験は、午前と午後合わせて4回行われる形式となっていて、システム開発の企画や要件定義、運用保守といった基本的な内容だけでなく、関連法規など幅広い分野の知識が問われます。また、午前の2回の試験は多肢選択式ですが、午後の試験は1回目が記述式、2回目が論述式と論述の出題があるのが特徴です。

難易度

システムアーキテクト試験は、情報処理技術者試験の試験区分の中で最も難易度が高いとされるレベル4に位置づけられています。また、論述式の出題があるため、特に高度な区分の情報処理技術者試験に初めて挑戦する人にとっては難関試験と言えるでしょう。例年、合格率は10%台となっています。

受験方法

情報処理技術者試験は春期と秋期に行われますが、システムアーキテクト試験は例年どちらか1回のみ、全国主要都市で実施されます。情報処理推進機構のホームページで試験のスケジュール等を確認した上で、受付期間内であればインターネットで受験申込ができます。受験料は、例年消費税込みで5,700円です。合格発表も公開期間内に情報処理推進機構のホームページで確認することができます。

取得のメリット

ここでは、システムアーキテクト試験に合格して資格を取得するメリットを3つ挙げてご紹介します。

実務能力の証明

システムアーキテクト試験は高度なIT人材を対象としており、出題範囲は広範囲に渡って難易度が高いのが特徴です。システムに関するスキルだけでなく、クライアントへの提案能力や開発したシステムの投資効果の評価など、コンサルタント業務に関する能力についても問われます。

論述式の出題もあり、システム開発に関わる豊富な実務経験がなければ解答が難しいことも多く、資格を取得することで実務における幅広い知識と能力を持っていることを証明することができます。

年収アップが期待できる

システムアーキテクトには様々なスキルや知識が求められ、業務内容は高度になりますが、その分給料面は一般のITエンジニアやプログラマーに比べて高く設定されている企業が多い傾向にあります。また、資格を保有していることで手当がつく企業も多く、IT業界の様々な資格の中でも年収アップが期待できる資格と言えます。

転職に有利

高度なIT人材が不足している昨今において、上流工程の経験および知識があってシステム開発を主導できるような人材は希少です。IT業界は実務経験や実績が重視されるといっても、知名度の高い資格であれば転職に有利なことは間違いありません。

システムアーキテクトの需要が高まっており、IPAの資格を保有していることは知識や能力の証明として、転職の際にアピールできる有利なポイントとなるでしょう。

システム開発のスキルだけでなく、ITを活かしたビジネス戦略の知識を持っていることで、コンサルティング業界への転職やITコンサルタントへのキャリアパスなども可能になります。

システムアーキテクトの給料・年収

厚生労働省が行った2018年度の賃金構造基本統計調査によると、社員数1,000人以上の規模の企業で働くシステムエンジニアの年収は、約610万円とされています。業務内容が多岐に渡り、開発を主導するポジションであるシステムアーキテクトの給料は一般のITエンジニアやプログラマーより高い傾向があるため、就職先によりますが年収は610万円以上である場合が多いでしょう。

システムアーキテクトになるには

システム開発における要件定義や設計を行うシステムアーキテクトの仕事は専門的な知識やスキルはもちろんのこと、実務経験を活かしたコンサルティング能力なども必要となるため、エンジニアやプログラマーとしての経験を積んでから挑戦するのが一般的です。

システムアーキテクトとしての仕事を行うにあたって必須の資格はありませんが、国家試験であるシステムアーキテクト試験に合格することで十分なスキルと知識を持っていることの証明になります。

システムアーキテクトの将来性

様々なクラウドサービスが利用される現代において、アーキテクチャ設計に必要な知識やスキルは次第に高度になっており、高い実務能力を持ってプロジェクトを主導するシステムアーキテクトの需要は今後ますます高まっていくことが予想されます。また、ITの進歩に合わせて各企業がシステム最適化に乗り出していることなどから、システムアーキテクトが行う業務は増え続けています。

一般企業の情報システム部門などでもシステムアーキテクトの資格保持者を採用する企業はあり、SIerやコンサルティングファームなどの受託企業にとどまらず、システムアーキテクトの資格取得は将来的な市場価値を高めることに繋がると言えるでしょう。

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