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2020/12/23

SESの闇は深い?やめとけと言われる理由や契約形態を徹底解説

IT業界を目指す際に「SESはやめとけ」「SESの闇は深い」という言葉を耳にすることもあります。未経験からエンジニアやプログラマーを目指す際のポテンシャル求人で紹介されることも多いSES企業ですが、実態はどうなのでしょうか。

給料が低くスキルが身に付かないためブラック、仕事内容はそこそこで残業がないからホワイトなど、SES企業での勤務実態については様々な意見が取り交わされています。

この記事では、SESと派遣・請負の違い、やめとけと言われる理由、SESのメリット・デメリットなどを紹介します。独立などのキャリアパスについても見ていきましょう。

SESとは

SES(エスイーエス)はSystem Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)の頭文字をとった略称で、エンジニアをクライアントに派遣して対価を得るサービスを指します。SESを主な事業ドメインとする企業をSES企業、クライアントとの間で取り交わす契約をSES契約と呼びます。エンジニアの契約形態として、請負契約や派遣契約と並べて比較されることもあります。

SIerとの違い

SESとSIer(エスアイヤー)は混同されることも多い言葉ですが、意味は全く異なります。SESが契約形態の一種であるのに対して、SIerはソフトウェアの開発や情報処理サービスを受託する企業を意味しています。

SESと派遣・請負の違い

SES契約は、派遣契約や請負契約とよく比較されます。混同しないように、それぞれの違いを理解しておきましょう。

SES契約は準委任契約と同じ

SES契約では、成果物への責任を負う必要がありません。このような契約は、準委任契約と呼ばれています。成果物には責任を負わなくて良いものの、業務を遂行する義務はあります。準委任契約では、クライアント側による指揮命令はおこなえません。

もしもエンジニアがクライアントに1人で常駐する場合はクライアントから指示を受けざるを得ない状況にもなり兼ねず、SES契約の成立は難しくなります。

SES契約と派遣契約の違い

SES契約と派遣契約で大きく違うのは、作業の指示者が誰かです。SESの場合ベンダーの責任者がエンジニアに指示を出し、クライアントの担当者が指示することは禁じられています。一方の派遣契約では、クライアントの担当者がエンジニアに指示出しをするのが一般的です。

SES契約と請負契約との違い

SES契約と請負契約を比較してみると、成果物の納品について責任があるかないかに違いがあります。請負契約では納品の責任がありますが、SES契約では納品の責任がエンジニアには課されていません。対価の支払い方法についても、大きな違いがあります。

請負契約では成果物に応じた支払いが行われるのに対して、SES契約では作業時間に応じた支払いが行われます。

SES契約と委任契約との違い

SES契約は準委任契約と同じと解説しましたが、それなら委任契約とはどう違うのかと疑問に思った方もいるでしょう。委任契約とSES契約(準委任契約)の違いは法律行為を行うかどうかです。委任契約は法律行為を委託するときに用いられる契約形態になります。例えば、弁護士に弁護を依頼する契約は委任契約に当たります。

一方、SES契約(準委任契約)は、法律行為を伴わない業務を委託する契約です。エンジニアが行うシステム開発や運用保守の業務は法律行為に当たらないため、SES契約(準委任契約)になります。

SESの闇は深い?グレーとされる訳

IT業界のなかでもSESは、否定的なとらえ方をされることもあります。なぜ、闇が深い、グレーなどと言われるのか解説しましょう。

指揮命令系統の所存が明確にしづらい

本来、SES契約を結んだらクライアントが直接エンジニアに指揮命令できない決まりです。にもかかわらず、実際はクライアントがエンジニアに指示を出すことがあります。違反行為に当たることですが、指示が行われた証拠を明確にできなければ違反行為だと強く訴えることもできません。

指揮命令権の所存を明らかにしにくいことが、SES契約をグレーと見る意見につながっています。

実態が多重派遣になっている事がある

IT業界ではトップクライアントから1次請け、2次請け、3次請けと下請け企業が増えていき、多重派遣になっている事が少なくありません。派遣契約では多重派遣は法律で禁止されています。

しかし、実態は指揮命令がクライアントから行われているような派遣契約にも関わらず、書面上でSES契約が通っていれば違反行為にはなりません。このように、書面上と実態に差が生じやすい点がグレーといわれる所以です。

IT業界で準委任契約が必要な背景

違反とわかっていながらもスルーされてしまうことが多い、IT業界のグレー行為。それでもなぜ業界で準委任契約が必要とされているのか解説します。

短期で技術者を必要とする現場が多い

IT業界の現場では、プロジェクト単位でエンジニアが求められるのが一般的です。参加するエンジニアは、必然的に短期間の契約をすることになります。企業が正社員を育成するのは大変で、育てた正社員がすべてのプロジェクトに通用するとは限りません。こうした事情から、期間が定まった雇用をしやすいエンジニアを求めるクライアントが多いのです。

受注側の企業やエンジニアにも利点がある

SES契約は、受注するベンダーやエンジニアにもメリットがあります。派遣契約では、指揮命令権を持っているのがクライアント側であるのに対して、SES契約はベンダー側が指揮命令権を持っているため、作業分担や残業時間などを管理しやすくなります。さらに、エンジニア自身がベンダーとなって、クライアントとSES契約することも可能です。エンジニアが起業するのに手っ取り早いビジネスモデルとも言えます。

SESのデメリット・やめとけと言われる理由

SES企業への就職は止めておいた方が良いと言われたり、うわさを不安に思ったりしたことがある人もいるでしょう。SESがなぜそのように言われるのか理由を解説します。

給料が安くなりがち

時間給で給与の支払いが行われるSES契約は、成果物に対して報酬が支払われる請負契約などに比べると給与が安いと感じることがあるかもしれません。時間給の問題以外にも、SES契約で給与が安くなりやすいのは成果物への責任がない契約だからです。より重要な業務を任せられないとなれば、給与が安くなってしまっても仕方がありません。

常駐先が変わりストレス

短めの期間で契約することが多いSES契約では、常駐先のクライアントが頻繁に変わりやすいのが問題です。こうした働き方が向いている人は別として、職場が変わるごとに新たに覚えたり慣れたりしなければならないことが出てきて、ストレスになる人もいるでしょう。

ブラックな会社もある

常駐先のクライアントによっては、望まない働き方を強いられる可能性もあります。優良ブラック企業という言葉もあるように、一見ホワイト企業のようでいて実態はあまり良い条件とは言えない環境の企業に当たるかもしれません。働き始めてみなければわからないことも多いため、入ってみて失敗だったと後悔する契約もあり得るのです。

スキルを伸ばし辛い

成果物に対する責任がない契約形態では、ハイレベルな業務に就けないこともあります。テストや保守・運用など簡単な作業でなくもっとスキルを伸ばしたいと思っている人には、物足りなく感じるかもしれません。他にはあまり通用しない技術を扱うプロジェクトに参加した場合も、プロジェクトが終われば無用のスキルとなってしまいます。

SES企業で働くメリット

SES企業への入社は止めておいた方が良いという意見がある一方で、未経験者や中途採用でのキャリアチェンジを実現するにはSESで働くメリットもあります。どのような理由があるのか詳しく紹介します。

未経験でも正社員で働ける

正社員を募集するSES企業は多く、未経験歓迎の求人が多いことも特徴です。未経験からITエンジニアへとキャリアチェンジする際に、派遣契約や請負契約では立場が不安定ですが、正社員として働けるSESは安定した働き方と言えるでしょう。有名なIT企業に未経験でエンジニア入社するのは簡単ではありませんが、SES企業なら未経験から正社員になりやすいのです。

IT技術者として様々な経験が積める

異なるプロジェクトや常駐先に派遣されることで、様々な経験を積めるのもSESのメリットです。エンジニアとの出会いも多く、自分の可能性を広げることもできます。コミュニケーションスキルや精神力も鍛えられて、人間的に大きく成長する機会となるでしょう。起業やフリーランスとしての独立を目指している人には、人脈を広げるチャンスでもあります。

残業が少ない

SES契約では、ベンダーが勤務時間の管理を行います。会社によっては常駐先での仕事のほかに、自社での業務や研修があったりと労働時間の長い会社もあるかもしれませんが、一般的なSES企業では無理な残業を強いられる心配はなく、サービス残業をすることもありません。残業した分は時間給として支払われるため、安心して働けます。

独立も選べる

様々な現場で多くの人と関わることができるSES企業への就職は、独立を考えている人にもメリットがあります。1つのプロジェクトだけでは学べないことが、SESなら複数の企業を渡り歩いて学べるからです。独立後もエージェントを利用すれば、自力でクライアントを探す必要はなく、経歴にあった常駐先を見つけてくれます。

時間給で確実に給与が支払われる安心感がある割に、成果物に対する責任がない分ストレスはかかりません。また、会社員時代の仕事ぶりを見て、独立後の案件振りをしてくれる人も出てくる可能性があります。SESは、独立準備をしやすい様々なメリットを持っているのです。

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