キャリア

2020/12/15

Webプロデューサーとは?なるには?仕事内容・スキル・年収・将来性

Web制作や開発プロジェクトの上流工程で活躍する職業が「Webプロデューサー」です。WebディレクターやWebプランナーの次のキャリアパスとしても人気のポジションですが実態はどうなのでしょうか。

この記事では、Webプロデューサーの仕事内容や必要なスキル、年収、将来性などを紹介します。未経験から就職・転職を目指す方法についても解説します。

Webプロデューサーとは

Webプロデューサーとは、簡潔に言うと、Webプロジェクト全体を統括する責任者というポジションです。しかし、Webプロデューサーという明確な資格が存在しているわけではなく、広告代理店や事業会社など所属する組織によってもその業務内容や範囲には多少バラつきがあります。

共通していることは、単にWebに関連した業務を行うだけではなく、プロジェクト全体を引っ張っていくリーダーとしての役割が求められるということです。

Webディレクターとの違い

Web制作や開発に関する求人において、Webディレクターの募集を目にする機会は多いことでしょう。プロデューサーとディレクターでは何となく言葉の雰囲気は似ていますが、実際のところどういった違いがあるのでしょうか。

ディレクターもプロジェクトの進行に責任を持つ立場で仕事に関わる点は共通しています。そのため、プロデューサー同様に予算や納期にあわせ、品質をコントロールできる程度に広い視野が求められます。一方で、プロデューサーに比べると、ディレクターは、より実務的、制作的な立場で業務を行うことになります。

プロデューサーはプロジェクト全体を監督するため、自らがWebサイトの作成、デザインに関する指示まで行うことは多くありません。それに対してWebディレクターは、アクセス解析を基に改善・施策を立案したり、サイトの作成や改修に関してワイヤーフレームを作成して制作スタッフに直接指示を出したり、ページの検収やテストをおこなったりと、より現場での指揮者としての色合いが強い職種です。

また、制作会社や広告代理店などでは、クライアントへの新規提案や予算交渉を行う営業職の位置づけでプロデューサーという肩書が使われることもあります。

Webプランナーとの違い

Webプランナーはその言葉の通り、主に、キャンペーンやメディア、広告などWebを活用した企画をおこなうポジションです。WebプロデューサーやWebディレクターに比べるとその業務範囲はやや絞られていると捉えられます。

Webサイト制作フローの中では、先ほど説明したWebディレクターが下流寄りの業務をカバーするのに対して、このWebプランナーは上流部分のサイトへの流入設計やコンテンツのプランニングを担当します。

ターゲットとなるユーザーの動向や市場環境を分析するマーケティング能力や、クライアントの要望を的確に汲み取り、サイト設計に反映させるコミュニケーション能力が求められます。

しかし、プランナーにはプロデューサーのような、プロジェクト全体を見渡した上での予算や人員の配置といった業務まで携わるわけではありません。

Webプロデューサーの業務内容

Webプロデューサーは、プロジェクトを全面的に任されたリーダーと言える存在です。どのようにプロジェクトの舵取りを行うのか大きな裁量を持つと同時に、それがビジネス的に成功を収められるかどうかの大きな責任を背負っています。

ここでは、そんなWebプロデューサーにはどのような業務が求められるのか具体的に見ていきます。

顧客折衝

まず、プロジェクトを始めるにあたりクライアントやビジネスオーナーに対して予算交渉を進めます。クライアントの事業観察やヒアリングをおこない、課題を抽出したうえで最適なWeb開発や事業スキームを提案します。

プロジェクトについて承認を得るためには、実現可能性の高い提案内容が必要です。期待できる効果に対して必要な予算を見積り、実行に必要な制作スタッフについても目途を立てます。それらを踏まえた説得力のある企画書を作成し、プレゼンを実行するのです。

ここでは、サイト作成やデザインの現場では一見無縁のように思われる、ビジネスマンとしての高いコミュニケーション能力が求められます。

予算管理

この予算管理もWebサイト作成フローの下流ではまず携わることのない業務となります。クライアントから預かった予算を超過しない範囲で外注費や人件費をコントロールしつつ、納品する成果物のクオリティも一定以上の品質を維持する必要があります。制作途中での機能追加やスケジュールの遅延など状況によっては、追加予算の交渉をおこなうこともあるでしょう。

どんなに穴のない計画を立てたとしても、予定外のことは起こりえるため、バランス感覚のある予算管理ができなければプロデューサーとして評価されません。つまり、限られた予算内で、いかに効率よく、適切な配分が行えるのか経営者的センスが問われてくるということです。クライアントと制作サイド双方にとっての成功へつながる収支管理が求められるのです。

進行管理

プロジェクトが円滑に進められるよう、人員の配置や必要に応じての外部からの人材の増強、スケジュールの策定を行います。Webディレクターなど下流の責任者への正確な指示や明確なビジョンの共有、プロジェクトが動き出した後も進捗状況に遅延やブレがないか、常に注視しなければなりません。

良い計画ができあがったからと満足するのではなく、プロジェクトの最終目的が果たされるまで忍耐強くマネジメント能力を発揮していく必要があります。

企画立案

クライアントの要望を汲み取るのと同時に、今の世の中の動向がどうなっているのかマーケティング能力を発揮して企画立案に臨みます。一通りクライアントと話がまとまった後は、さらにWebディレクターやWebプランナーも交えて企画立案会議にて最終的な計画の形へと話し合いを進めます。

クライアントや制作側の様々なポジションの意見を全て的確にまとめた上で、最良の企画立案を行います。

Webプロデューサーの年収

Webプロデューサーの年収は、マイナビクリエーターが2016年に保有する求人情報を基に集計したデータによると、下限が400万円程度、上限が700万円程度でした。業務内容として類似したWebディレクターの求人より平均的に高めの年収での募集となっているようです。ただ、所属する組織や個人のスキル、実績によって幅が出るのは確かで、Webプロデューサーとしてプロジェクトを大きな成功へと導くことができれば、1000万円以上の年収も上げることができるとされています。

Webプロデューサーのスキル

これまで述べてきたように、WebプロデューサーはWebプロジェクトの統括者として広い視野とバランス感覚が求められます。そのため必要とされるスキルも、他の一般的なWeb関連業務の職種と比べると明らかに多岐にわたります。

Webに関する専門知識

先述してきたように、Webプロデューサー自身が現場でWebデザインを行うようなことは殆どありませんが、判断や方針を決定するうえでUI/UXやテクノロジーの知識は必要です。最新トレンドやマーケティングに関する知識にも精通していなくては、状況に則したセンスある提案もできなければ、クライアントの要求をまとめた上で適切なアドバイスをすることもできません。

実際、Webプロデューサーとして活躍している人々の中で、Webディレクターやデザイナー、コーダーなどWeb関連の職種からキャリアアップしてきたというケースは多いです。

サイト構築現場とWebプロデューサーの業務内容とでは、異なってくる部分が多いのも事実ですが、実務で培ってきたWeb関連の知識は上流のポジションであっても確実に必要とされます。

リーダーシップ

リーダーシップは、プロジェクトの責任者であるWebプロデューサーにとって、非常に重要なスキルです。

長期的なプロジェクトが終始一貫して順調に進むということはほとんどありえません。予期せぬ困難な状況に直面したり、判断を誤ると成否の分かれ目となるようなポイントに差し掛かることもあります。そんな時は、リーダーとしてのメンタルの強さと、チームをまとめ上げるだけの信頼度がその後の進展を大きく左右するでしょう。

ここでのリーダーシップとは、他の業界のプロジェクトに関った場合に必要とされるスキルと同じものと言えます。プロジェクトをリーダーとして統括した経験があるという場合は、Webの専門知識は持ち合わせていないとしても、Webプロデューサーを目指す上で大きなアドバンテージとなるのは確かです。

企画力

企画力もWebプロデューサーにとって必要とされる能力の一つです。企画をするうえでは、ユーザーへのインタビューやアンケート調査などを実施して一時情報を収集し整理する能力やクライアントへのヒアリング、チームでのミーティングなどで議論を前に進めるファシリテート力、そもそもの企画の前提となる成功を定義する力やビジネスのツボを押さえるスキルなど複数の能力が必要です。

そのうえで、成功に導く企画を発案するには、Webに関する最新の動向だけでなく、世の中のトレンドや他分野の動向や知識、社会経済全体のこれからの見通しなど、常に敏感にアンテナを張り巡らせておかなければなりません。企画案を正しく相手に伝えるコミュニケーション力も問われます。その企画力がいい加減であると、プロジェクトが実際に動き始めて以降、どこかで歪みや大きなトラブルを引き起こすことになるでしょう。

営業力・折衝力

クライアントは通常、複数の提案の中から1つの会社を選びます。「この会社、このプロジェクトに任せてみたい」とクライアントを引き付ける営業力は、当然Webプロデューサー自身に求められる要素です。そして、話し合いの過程で、クライアントと制作サイド双方、なかなか折り合いのつかない意見や要望が出てくるかもしれません。そうした異なる意見をすり合わせ、それぞれを納得させる妥協点を見出す折衝力もWebプロデューサーという立場にある人間に必要とされるスキルです。

クライアントの要望を聞くといっても、何もクライアントは1社だけに絞って話をする義理があるわけではありません。競合他社の方が感触が良いと判断してしまっては、プロジェクトの話自体が流れてしまいます。

また、明らかに理想論ばかりを突き付けてくる夢見がちなクライアントもいるでしょう。そうした時は、少々強引であったとしても過剰な要求に対して先手を打ったり、クライアントの真意を引き出し、プロジェクトをリードするような振る舞いが求められます。

運営・管理能力

長い道のりのプロジェクトを、最も高い視点から、且つ、全てポジションの視点に立って把握し、正しい方向へ導いていく運営・管理能力が必要です。ブレなく運営していくためには、予算の範囲内で適材適所にスタッフを配置し、現場で何か不満や問題点が生じていないかコミュニケーションを欠かさず、十分なマネジメント力を発揮していかなければなりません。

その際、現場で実際にWebサイト作成やデザインにも関わっていたという経験があれば多いに役に立つことでしょう。

Webプロデューサーになるには

最初に触れたように、Webプロデューサーという揺るぎない資格があるわけではありません。そのため、就職や転職で未経験からでも目指すことは可能です。そもそも、Webプロデューサーが関わる業務範囲自体が会社によってまちまちである場合が多いです。

そのため、Webディレクターとして雇われたが、実質的にクライアントとの交渉を含めてWebプロデューサーのような業務を任されているというケースや、Webプロデューサーと募集されていたが、働きはじめたらワイヤーフレームの作成からデザイン関係まで、何から何までこなしているというケースも少なからずあるようです。こればかりは採用の時点で人事担当者に確認をとったり、求人媒体の担当者に相談したりするなどして対応するしかありません。

Webディレクターからキャリアアップ

業務範囲について不明瞭な印象が拭えないWebプロデューサーですが、やはり業務内容として最も類似点が多いのはWebディレクターで間違いないでしょう。

よって、社会人が未経験からWebプロデューサーにキャリアチェンジするために確実な方法としては、まずWebディレクターというポジションを目指し、そこで経験を積んでからWebプロデューサーへ移行するというキャリアパスです。

例えば、Webディレクターとして勤務している際の上司がWebプロデューサーに当たるというケースも多いでしょう。その場合は、「常に自分が上司の立場だったらどうしただろうか」という意識を強く持って業務に当たるのがいいでしょう。また、会社によってはWebディレクターという建前で採用されたが、気が付いたらWebプロデューサーと相違ない仕事をやらせてもらっているという経験もできるかもしれません。

いずれにせよ、Webプロデューサーはより経営者的思考が要求されるポジションですから、現場主体の業務を行っている時から、並行してプロジェクトマネジメントやビジネススキルの習得に励むようにするといいでしょう。

未経験ならまずはWeb業界を目指す

Webプロデューサーという仕事に憧れを抱いたからといって、未経験の状態からいきなりそのポジションに配置されるというのは現実的ではありません。未経験者はまず、大きな枠組みとしてのWeb業界を目指すというのが初めの一歩として最適です。

Webをデザインする制作メインのデザイナー職種だったり、Web関連サービスの営業を行う職種であったり、明確にどの職種でなければWebプロデューサーの道が遠のくというわけではありません。

Webプロデューサーは、広範な知識が要求されるポジションですから、未経験であればWebサイトに関連した何らかの職種に就くことで次のキャリアへのステップとなります。

Webプロデューサーの活躍する場所

Webプロデューサーが活躍する場所も比較的多岐にわたります。そして、その所属先によっても、業務範囲が多少異なってくるという一面があります。その違いを会社の種類ごとに見ていきましょう。

広告代理店

広告代理店のWebプロデューサーはクライアントとの交渉を通して、商品やサービスのプロモーションやメディアでのPRに至るまで、多岐にわたるクライアントを担当します。会社によっては業界やジャンルごとに担当がわかれており、担当クライアントに対して提案をおこなうことがメインになります。Web広告やSNS、動画などキャンペーンに関連する業務に携わることも多いです。

制作会社・開発会社

Web制作会社やスマホアプリ開発、システム開発などの受託企業に所属のWebプロデューサーの場合、Webサイトやスマホアプリなどサイト制作にかんするプロデュースを担当することが多いです。新規サイトの構築やリニューアル、キャンペーン用のLPなども提案します。広告代理店がクライアントから受注した案件を担当することもあります。

事業会社

事業会社のWebプロデューサーは、自社商品やサービスに関する企画や開発計画などの立案を行うとともに、メディアの収益についても責任を負う立場になることが多いです。状況に応じて広告代理店やWeb制作会社と連携しながらWebサイトを運用し、広告掲載やクライアント開拓などマネタイズを担うこともあります。

フリーランス

フリーランスのWebプロデューサーは会社に所属せず個人で業務を行います。カバーする業務範囲も出身の会社により異なり、多様性も一番広いと言えます。

クライアントの依頼内容によっては、部分的に業務を担当するというケースもありえますが、基本的に事業戦略の策定からWebサイト構築に至るまで広範な業務に携わります。全て個人でこなす分、その反面責任も大きなものとなります。

Webプロデューサーの将来性

広告媒体としてマスメディアのシェアが低下していく一方、Web媒体の重要性はこれからもますます上昇していくと見られています。そんな中、Webプロデューサーの求人はWebディレクターやWebデザイナー、コーダーなどの求人と比べると、余り目に付かない印象を受けます。

これは決してWebプロデューサーがあまり必要とされていないというわけではなく、組織構造上、WebディレクターやWebデザイナーの上位にWebプロデューサーが配置されるというのが理由です。マクロの視点で見た場合、どうしてもWebプロデューサーの絶対数は少なくなります。

そんなWebプロデューサーについて、将来性は一体どういう見方ができるでしょうか。

責任者として大きな裁量がある

デジタルトランスフォーメーション(DX)に関わるプロジェクトはこれからますます増えていくことでしょう。今では大企業に限らず、中小企業においても戦略的なWebプロジェクトを遂行するケースは珍しくありません。

そうしたデジタル変革の真っただ中で、大きな裁量を持つことになるのがWebプロデューサーです。プロジェクトが行き詰った時、Webプロデューサーの迅速な判断一つでプロジェクトが息を吹き返すかもしれません。

単にサイトが完成しただけではなく、運用や改善によって想定を超える功績が上がるかもしれません。そうした時に誰よりも大きなやりがいを感じることができるのがWebプロデューサー本人です。重い責任の表裏一体として誰も手にできない自由と特権があります。

業務経験と高いスキルが必要で人材が不足

WebプロデューサーはWeb業界での実務経験に加えて、企画力、交渉力、リーダーシップなど経営者的思考や能力が求められます。正直、これだけ多岐にわたるスキルは誰もが簡単には身に付けられるものではありません。

そうした背景もあり、Webプロデューサーとして十分なスキルセットを保有した即戦力となる人材はまだまだ人で不足の状況にあり転職市場を見渡してもそう多くはないのです。

容易に就ける職種ではない上、人材不足にも陥っているWebプロデューサーですから、これからそれを目指してキャリアを積んでいく価値は大いにあるということです。

経営者的思考やマーケティングスキルが求められる

単にWebスキルに精通しただけ、サイトを制作できるだけの人間では、Webプロデューサーを務めることは難しいでしょう。プロとして求められるのは何よりも成果です。

また、プロジェクトにおいては、多くのメンバーをまとめて納期通りに完成まで導かなければなりません。そのためには、マネジメント力とリーダーシップが求められます。そして、キャンペーンの肝である集客や流入を成功させるには、高いマーケティングスキルも要求されます。

こうしたスキルは必ずしもWebプロデューサーになったからそれまでという能力でもありません。企業そのものを経営するような、さらに上のポジションに就くという場合でもそれは大きく生かされるはずです。Webプロデューサーになるために求められる数々のスキルは、将来的な自身のキャリア形成の過程で大きな自信と財産になってくれることでしょう。

関連記事Related Posts