フリーランス

ITコンサルタントの案件は高報酬?フリーランス案件の単価相場や案件獲得方法とは

IT戦略の立案や導入支援を行う職業に「ITコンサルタント」があります。DX推進や社内のIT化などで安定した需要があり、正社員として働いた後、独立してフリーコンサルタントとなる人材も増加しています。独立後の年収やフリーランス案件に参画した際の、報酬単価の金額が気になる会社員の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ITコンサルティング案件のフリーランス単価相場や収入目安、未経験から転職・就職などで目指す方法などを解説します。

目次

フリーランスのITコンサルタントという働き方

ITコンサルタントは、企業の問題をIT技術で解決するアドバイザーの役割を果たします。ITに関する戦略策定や導入計画の立案、実現化などの支援を行います。SEやPM、PLがプロジェクトを基軸に動くのに対し、ITコンサルタントは経営陣に近い視座で企業全体の問題解決を目指します。

ITコンサルタントというとコンサルティングファームに勤務するイメージがあるかもしれませんが、フリーランスとして独立して活躍する人も多く存在します。Slerやコンサルティングファームでの経験があれば、ITコンサルタントとして独立しやすいとも言われており、1人でも活動しやすい職種であることからもフリーランス向けの仕事だと考えられています。

ITコンサルティング案件の単価相場・収入目安

フリーランスのITコンサルタントとして独立するからには、収入についても考えておかなければなりません。ITコンサルタントがどのくらいの単価報酬を得ているのか、フリーランスの場合や会社員の場合について比較してみましょう。

ITコンサルタントの単価相場(フリーランス)

フリーランスの場合、案件ごとの月額報酬である単価が重要になってきます。金額が案件と見合っているかどうかは、相場と比較して判断するとよいでしょう。案件の内容によっても差が出る単価ですが、ITコンサルタントの平均的な単価は150万~200万円といわれています。

しかし、経歴による単価の差もあり、携わってきた案件規模やプロジェクト内容によっては、コンサルタントといっても80~100万円程度が相場という見方もされています。

ITコンサルタントの平均年収(会社員)

会社勤務のITコンサルタントの場合、平均年収は600万円程度。月収に換算すると、約50万円が収入の相場と見られています。所属する企業や在籍年数、役職によっても、年収に差が出るケースはあります。

大手SIerなどに所属するITコンサルタントの年収相場は平均より高く、外資系コンサルティングファームに所属する場合は、年収1000万円を超えるコンサルタントも珍しくありません。

SEよりもITコンサルの方が単価が高い

注目しておきたいのは、ITコンサルタントのほうがSE(システムエンジニア)よりも単価が高くなりやすい傾向にある点です。IT戦略の実行にはSEの働きが不可欠ですし、上流工程を手掛けるSEであれば実質担当している内容がITコンサルタントと変わりないことも多いです。

ただし、一般的にITコンサルタントはSEより担当範囲が広く、求められるスキル要求も高めです。その点が単価の高さにつながっています。

SEの立場として考えると意外かもしれませんが、フリーランスで独立するならITコンサルタントの肩書を名乗ることで、単価が上回っても不思議ではないのです。

ITコンサルタントの種類

ITコンサルタントの種類は、幅広いのが特徴です。具体的な特徴について、種類別に見ていきましょう。

IT戦略コンサルタント

IT戦略コンサルタントは、IT戦略の立案から実行支援までをおこないます。企業の経営課題を解決するために、ITシステムの改善策を提案して実行するまでを見届けるのが仕事です。経営的な視点からITをどう活用するかという専門的知識が求められ、担当する領域が幅広いのも特徴です。

CRMコンサルタント

CRMコンサルタントは、カスタマー・リレーションシップ・マネジメントを前面に出したコンサルタントです。会員へのメール配信やポイント付与、既存顧客の囲い込みなど、企業の成長と存続のためにおこなわれるデータ収集・分析・マーケティング戦略を担当します。

SCMコンサルタント

SCMコンサルタントは、サプライ・チェーン・マネジメントに関わるコンサルタントです。企業間での効率的な物流システムが構築されれば、経済の流れがスムーズになります。企業から消費者まであらゆる関係者が満足できるシステムを生み出すのが、SCMコンサルタントの仕事です。

SAPコンサルタント

ドイツ発のSAP社が販売するパッケージソフトERPを導入して、ビジネスの効率化を支援するのがSAPコンサルタントです。特殊なコンサルタントのようですが、SAPは世界で高いシェア率を誇るソフト会社ですからITコンサルタントをしていると関わる機会が珍しくないでしょう。

SAPやERPの特徴についてすみずみまで理解し、上手な活用法を企業ごとに提案する役目を持っているコンサルタントです。

PMOコンサルタント

PMOとは、プロジェクト・マネジメント・オフィスの略称です。プロジェクトを遂行するのに必要な資料作成・進捗管理などのマネジメント組織を指し、これをサポートするのがPMOコンサルタントです。

企業が社内スタッフで管理すればよさそうな業務ではありながら、プロジェクトの規模が大きくなるほどに管理が複雑になってくるため、専門にサポートするコンサルタントの存在が注目されています。

フリーランスのITコンサルタントの業務内容の例

ITコンサルタントの業務内容は多岐にわたり、携わる案件の内容によっても変わってきます。必ずしも同じフェーズで進められるとは限りませんが、プロジェクトがどのようなフェーズを踏むのか、段階ごとに説明していきます。

戦略策定

企業の目的は、ビジネスの成功と継続です。目的を達成するには、業務を効率よく運営する必要があります。経営判断の助けとなる正確なデータを提供するためや、デジタルマーケティングで新たな顧客の開拓が必要な場合もあります。

クラウドコンピューティングやAI、IoTなどIT戦略は様々なテクノロジーの観点からも合理的なシステムの実現を目指さなければなりません。戦略次第で、この先のフェーズの成否も左右されます。慎重な策定が求められるステップです。

計画策定

策定した戦略をスムーズに実行するために、導入に関する計画を立てる必要があります。新たに取り入れる施策を成功させるには、現状の業務の流れを無視するわけにもいきません。

現状の業務を維持するのか変更するのが判断しながら新しい業務手順を検討し、手順とタイミングに配慮した計画を立てることが大切です。

要件定義

要件定義のフェーズでは、業務に必要な条件を決めていきます。IT戦略の実現に必要な条件は、クライアントとも合意することが大切です。戦略を実行してから認識の食い違いが発覚するようなことを避けるためにも、確認作業をおこなう意味があります。

戦略通りに業務を実現できるかの検証も重要で、検証を踏まえてITコンサルタントがシステム要件まで定義できると存在感が高まります。

実現化

戦略を実現化するフェーズは、SEが担当する分野です。ITコンサルタントは、REP作成やITベンダー選定のサポート、PM支援などをおこなうのが一般的です。

戦略策定したシステムを導入するにあたってどのITベンダーを選ぶか手助けしたり、選ばれたベンダーに具体的な依頼文書を作成します。計画が正しく実行されているか確認し、マネジメントをおこなうPM支援もITコンサルタントの役目です。実行中にトラブルが発生すれば、その対処もおこないます。

移行&リリース

新しいシステムに移行するにあたって、クライアントの利用者にはトレーニングが必要です。移行と同時か移行後にスムーズに利用者が活用できるように、テスト・検証などをして準備しておかなければなりません。

リリースする準備ができたら、システムを本格的に稼働させます。

本稼働定着化

リリース後、システム運用と業務の運営がスムーズにおこなわれているか、しばらくは監視する必要があります。トラブルや疑問が発生したら、速やかに対処しなければなりません。改善すべきことをまとめて、対応する必要も出てきます。

フリーランスのITコンサルタントに必要なスキル

ここからは、フリーランスのITコンサルタントに必要なスキルについて見ていきます。独立を考えている人は、自分のスキルセットと照らし合わせてみてください。

PMやマネジメントの実務経験

ITコンサルタントは、PMやPLなどのプロジェクトマネジメントよりもさらに上流工程に携わることになります。そのため、最低限PM、PLの実務経験やマネジメント経験は備えておくべきと言えるでしょう。豊富な実務経験があれば独立時にも実績としてアピールしやすくなります。

ITソリューションの導入、支援経験

ITコンサルタントはIT戦略に携わる立場のため、IT全般の知識があることは必須です。それに加えて、企業の課題に対してITソリューションの導入や支援の立場での実務経験を持っていることも重要なポイントです。規模の大小を問わず、ERP、SCM、CRM、RPAなど何らかのITソリューション支援をした経験はフリーコンサルタントになっても役立ちます。担当した範囲が限られていても、その経験を得意分野にしたり、他の分野への足がかりにすることが可能です。

コミュニケーションスキル

コミュニケーションスキルも、フリーランスのITコンサルタントにとって重要なスキルです。企業の課題を正しく把握するためのヒアリングや、改善案の提案や予算の交渉など、コミュニケーションスキルが重要になってくる場面は多くあります。プロジェクトに関わる多様なメンバーとコミュニケーションを取っていく必要もありますので、円滑にプロジェクトを進行していくためのコミュニケーションスキルは不可欠だと言えるでしょう。

資格を取得してスキルをアピールする方法も

ITコンサルタントになるために必須の資格自体はありませんが、フリーランスとして独立するにあたり、資格を取得してスキルをアピールする方法もおすすめです。資格を取得することでスキルの証明になり、クライアントへの信頼感にもつながりやすくなります。ITコンサルタント向けにおすすめの資格は、以下が代表的なものとして挙げられます。

  • 中小企業診断士
  • ITコーディネータ
  • ITストラテジスト
  • プロジェクトマネージャ試験
  • PMP®(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)

すべてを取得する必要はありませんが、チャレンジできるものから取り組んでいくとよいでしょう。

ITコンサルタントがフリーランスになるメリット

それでは、ITコンサルタントがフリーランスになる具体的なメリットについても見ていきましょう。

年収アップが狙える

ITコンサルタントがフリーランスになれば、実績や交渉次第で高額な報酬を得ることが可能です。会社員時代と比較しても年収アップが狙える可能性は十分にあります。フリーランスとして実績を重ねて信頼を得れば、企業からの継続受注も難しくはないでしょう。起業のための資金調達も狙えます。

案件を選べ、複数分野でも掛け持ちできる

フリーランスになると、案件を自分で選べるようになります。自分に合った案件を選べることで、働く満足度も高まりやすくなるでしょう。また、複数分野の掛け持ちも可能になるため、得意分野はもちろん興味のある分野へもチャレンジしやすくなります。幅広い分野での実務経験があれば、さらに高単価な案件も受注できる可能性があるため、積極的にトライしてみるとよいでしょう。

キャリア設計ができる

キャリア設計ができる点も、フリーランスとして独立することのメリットの一つです。さきほど案件を自由に選べると説明しましたが、得意分野に集中することでITコンサルタントとしての専門性を高めたり、複数分野の案件実績を増やしていき、幅広い分野に対応できるITコンサルタントを目指すことも可能です。つまり自分の裁量次第で自由にキャリア設計を進めていくことができるのです。また、ライフステージに合わせて働き方や働く場所を柔軟に変えられる点も大きな魅力です。

ITコンサルタントがフリーランスになるデメリット

フリーランスとして独立することは、メリットばかりではありません。独立を検討するにあたり、デメリットを理解しておくことも重要です。ここでは具体的に3つの点について見ていきますので、よくチェックしてみてください。

収入が安定しづらい

フリーランスになると、どうしても収入が安定しづらくなります。ITコンサルタントの場合、単価が高い傾向があるため案件を獲得できれば高報酬を期待できますが、収入を安定させるには案件を継続的に受注できるようにしなければなりません。特に独立したてのタイミングは収入が不安定になりやすいので、あらかじめ資金や生活費を準備しておくなど、備えておきましょう。

社会的信用が低くなりやすい

会社員と比較して、フリーランスは社会的信用が低くなりやすいと言われています。物件を借りたりローンを組みたい場合でも、審査が通らないといったことも起こりえます。いずれはフリーランスとして独立したいと考えているのであれば、クレジットカードの発行や各種ローンについては、独立前の会社員時代に済ませておくことをおすすめします。

トラブル対応も自分でしなければならない

企業に勤めていた場合、何かトラブルがあった場合は同僚や上司がサポートしてくれますが、フリーランスとなるとそうはいきません。自分ひとりで対応をしなければなりませんので、そうした点では組織に守られている会社員にはない厳しさがあると言えるでしょう。また、契約外の業務を求められ断れなかったといったケースもあります。こうした事態を回避するためにも、あらかじめ契約書に業務範囲を定めておくなど、事前の準備をしっかり行うことが大切です。

フリーランスのITコンサルタントになる前に

ITコンサルタントになるために資格は不要ですが、フリーランスとして独立するからには準備しておきたいこともあります。どのような準備が必要になるか、把握しておきましょう。

正社員で働いてから独立するのが基本

フリーのITコンサルタントとして生計を立てるには、仕事を獲得できる経歴や実績が必要です。そのため、未経験の場合、まずはコンサルティング会社やシステム会社に就職して数年間勤務する必要があります。IT業界での経験もないケースでは、SEやPGとして入社してから転職することも視野に入れましょう。必ずしもITコンサルタントである必要はなく、IT系の職務の経験があればそこからITコンサルタントへのキャリアチェンジを進められる可能性があります。

ITコンサルタントの仕事をこなすうえで、システム開発やツール導入など一連の流れを経験しておくことが重要です。企業が抱える課題や対処法、組織の動かし方などは、一度正社員として働いてみないと実感がわきにくい点もあります。独立への足掛かりとして、まずは正社員として実務経験を積んでおきましょう。

人脈を広げておく

正社員として実務経験を深めていくのと同時に、人脈を広げておくことも大切です。フリーランスの案件獲得方法として、過去の取引先や同僚、知人などからの紹介といったケースは非常に多いとされています。独立後にスムーズに案件を獲得するためにも、人と関わる機会を積極的に持ち、信頼を得るよう取り組んでいきましょう。

副業からトライしてみる

ある程度業務に余裕が出てきた段階になったら、まずは副業からトライしていきましょう。副業であれば正社員として安定した収入を得つつ、個人で仕事を受注し、業務を進めていく経験ができます。副業収入を独立資金に充てることもできますし、副業で得た人脈が独立後のクライアントになる可能性もゼロでありません。独立を考えているのであれば、積極的に副業に取り組んでいくことをおすすめします。

独立する

副業経験を積み、資金などの面でも準備が整ったら、本格的にフリーランスとして独立できます。独立したての頃は、まずは案件数をこなして実績を積んでいくことが大切です。実績を積んでいくことでクライアントからの信頼を得やすくなり、次の受注にも繋がりやすくなります。

フリーランスのITコンサルタントの案件獲得方法

フリーランスのITコンサルタントが案件を獲得する方法としては、以下のものが挙げられます。

  • フリーランスエージェントや案件紹介サイトを利用する
  • 過去のクライアントや同僚といった人脈から紹介してもらう
  • 自ら営業して案件を獲得する

ここでは、ITコンサルタントにおすすめのフリーランスエージェント、案件紹介サイトについて詳しく見ていきたいと思います。

PMO NAVI

PMO NAVIはITコンサルタントやPM・PMO、経営・業務コンサルティング案件に特化したフリーランスエージェントです。高単価案件が揃っている点も魅力で、フリーランスとしてしっかり稼ぎたいという人にはぴったりのサービスです。

ハイパフォコンサル

ハイパフォコンサルは、フリーランスコンサルタント向けの案件紹介サイトです。30代~40代の若手コンサルタントを中心に利用されており、ITコンサルティングに限らずさまざまなコンサル案件があります。

Pro Connect

Pro Connectは、フリーランスコンサルタント向けの案件マッチングサービスです。マージンを公開している点が特徴で、高単価な案件が豊富に用意されています。収入アップを目指しているフリーランスコンサルタントの人にもおすすめです。

ITコンサルタントの今後の動向、将来性

ITコンサルタントの今後の動向や将来性があるかどうかについて、見ていきましょう。

ITコンサルのニーズは今後も伸びる

ITコンサルタントが取り扱うIT分野は、世界的にもまだまだ市場規模が大きくなると見込まれています。ITをどう活用するか、専門家に助けを求めたい企業は今後も増えていくでしょう。

ITコンサルタントの将来性は明るいと予測できますが、優秀なコンサルタントほど引く手あまたとなっているのも現実です。コンサルタントのニーズ自体は伸びているのですから、チャンスを活かすためにも常にスキルアップを図る努力やチャレンジ精神を忘れないようにしましょう。

小回りが利く点がフリーコンサルタントの強み

フリーランスのITコンサルタントには、小回りや融通が利くという強みがあります。柔軟な対応で、クライアントのかゆいところに手が届くようなサービスを提供すると、重宝されるコンサルタントとして活躍できます。

ITでも様々な領域のコンサルタントが必要に

ひと口にITといっても、AIやクラウドなど様々な専門領域があります。ITを必要とする企業も、それぞれに異なるニーズを持っています。専門領域を持つことで、この分野ではこの人に頼むのが一番というフリーコンサルタントになることを目指してみてもよいでしょう。

関連記事Related Posts