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2020/11/20

戦略コンサルタントとは?なるには?仕事内容・スキル・年収・転職・代表的なファーム

経営戦略や業務改善、M&A、事業再生などのプロジェクトで活躍する職業が「戦略コンサルタント」です。マッキンゼーやBCG、ベインなどの戦略コンサルティングファームに所属し高給ながらもハードワークな印象ですが実態はどうなのでしょうか。

この記事では、戦略コンサルタントの仕事内容やスキルセット、年収、キャリアパスなどを紹介します。総合系との違いや未経験から戦略コンサルタントを目指す転職方法についても解説します。

戦略コンサルタントとは

コンサルタントとは、企業のあらゆる悩みを解決することに尽力する存在です。一口にコンサルタントと言っても、扱う業務の専門分野によっていくつかの種類があります。

この項では、戦略系コンサルティングファームに所属するコンサルタント(アソシエイト)とはどのような職業なのか、そして、総合系と戦略系とでコンサルティングで扱う内容がどのように違うのかを紹介します。

戦略系コンサルティングファームとは

戦略系コンサルティングファームの主な事業内容は、様々な企業における経営課題を明らかにし、解決策の提案やアドバイスを行うことです。

業務分析や市場調査を通してレポートを作成するだけでなく、その企業がどのような方針を掲げてビジネスを展開していくべきかといった、戦略策定もコンサルタントの役割です。

グローバル企業の経営統合、中長期の成長戦略、M&A戦略など企業全体の経営戦略に関わるプロジェクトのほか、新規事業やイノベーション、組織再編、マーケティング戦略などの個別テーマにも取り組みます。

総合系と戦略系の違い

戦略系コンサルティングと比較される分野として総合系コンサルティングがあります。戦略系ファームが企業の戦略策定支援に重点を置き、特化しているのに対して、総合系ファームは、戦略策定からその戦略を実際に企業が実行できるようサポートするところまでを業務内容とするという特徴があり区別されています。

しかし、近年は双方の境目も曖昧になりつつあります。戦略系ファームはクライアントから提案のみに留まらない実行支援が求められており、システムやオペレーションの構築などサービスの提供範囲を拡大しています。

総合系ファームも従来は戦略系ファームが得意としていた戦略立案の支援を手掛けることが増えてきており、戦略部門の設立やM&Aなどの動きも活発化しているのです。

戦略コンサルタントの仕事

戦略コンサルタントの仕事内容は多岐に及びます。この項では、戦略コンサルタントの具体的な仕事内容を紹介します。

経営層が抱える問題を解決する

企業の相談役とも言えるコンサルタントのなかでも、特に経営戦略支援を得意とするのが戦略コンサルタントです。経営にかかわる企業の悩みや課題の解決を図るため、戦略コンサルタントは企業の経営陣とのかかわりが深いことも少なくありません。

長期的な経営戦略の他、マーケティング業務、人事、新製品の販売戦略など、企業の経営に直接影響する業務も戦略コンサルタントが担う役割です。

提案した戦略の実行支援も増えている

戦略コンサルタントは、企業が直面している課題を浮かび上がらせ、その効果的な解決策を企業側に提案するというのが従来の役目でした。一方で、解決策を示すだけではなく、解決策をどのようにして実行に移すかをサポートする、総合系コンサルティングのような役割を求められる機会も増えています。

したがって、戦略を練ったうえで実行支援も行う、机上論で済ませない在り方が戦略コンサルタントの新たな姿として定着しているのです。

プロジェクト期間中はハードワーク

通常、コンサルタント業務は、少数精鋭で行われることが多いと言えます。したがって、それぞれが果たすべき役割は重要であり、通常の会社員としての働き方と異なる面も多いでしょう。一人一人の責任が大きい分だけ、戦略コンサルタントの仕事はハードであることが一般的です。

コンサルタント業務の多くはプロジェクト単位で請け負うため、仕事に期限が設けられていることが多くあります。クライアントへの提案期日に間に合うよう資料を準備し、急な打ち合わせや出張にも対応しなければなりません。

限られた時間のなかで求められる成果を出したり、膨大なタスクを処理して仕事をやり遂げたりしなくてはならないため、プロジェクト期間中のコンサルタントは非常に忙しいのです。

戦略コンサルタントに求められるスキル

企業の経営にかかわる重要な役割を担う戦略コンサルタントには、役職やポジションに応じた様々な能力や資質が求められます。コンサルティングファーム内での業務内容は職位階層によって異なるため、それぞれの場面で的確に役目を果たす能力が重要です。

この項では、戦略コンサルタントのチームを構成する様々な立場と、その役割、求められる能力を紹介します。

ビジネスアナリスト(ジュニアコンサルタント)

新卒や第二新卒で戦略ファームに入社すると、最初はビジネスアナリストからスタートします。アナリストは、プレゼンテーションに使う資料の作成や、コンサルタント対象の企業調査といった、コンサルタントのサポート的な役割を担う立場です。アナリストが集めた情報や、分析、作成した資料をもとに、上席にあたるコンサルタントが業務を進めていきます。

アナリストには的確な情報処理能力や積極的な姿勢、ひらめきなどが求められます。ビジネスアナリストの次にジュニアアソシエイト、シニアアソシエイトを経てコンサルタント(アソシエイト)となります。

コンサルタント(アソシエイト)

コンサルタントは、マネジャーの監督下で請け負ったプロジェクトの実行を担当します。業務経験のある中途採用やMBA採用ではコンサルタントからスタートします。経営情報の分析や議論の内容を整理して企業の課題を抽出し、それに基づいた検証作業を行います。

コンサルタントは、基本的に、自分自身の判断で仮説の構築や課題を克服するための手段を決定する必要があります。

したがって、成果を出すための段取りやスケジュールの作成など、セルフマネジメント能力を身につけていることが重要です。加えて、ハードワークを耐え抜く、精神力や体力も求められるでしょう。

プロジェクトマネジャー(プロジェクトリーダー)

請け負ったプロジェクトの責任者となるのが、プロジェクトマネジャーです。マネジャーは、コンサルタントを指揮監督し、プロジェクト全体の動向や顧客の課題を把握したうえで、成果物の品質や納期を担保する必要があります。マネジャーが担う主な仕事内容は、プロジェクトの管理、顧客との交渉、予算の管理、教育など多岐にわたります。

プロジェクトにかかわるメンバーを適切に振り分けたり、プロジェクトの方向性を細かく修正したりする判断力が求められます。また、フレームワークを駆使して論点を整理したり、メンバーやクライアントと円滑で活発な意見交換を行うコミュニケーション能力も重要です。

プリンシパル(シニアマネジャー)

管理下にあるマネジャーに助言を与えたり、効果的にプロジェクトを進行するために、発生する諸問題に対応したりするのがプリンシパルです。複数のプロジェクトの進行を同時に見ながら、プロジェクトを成功に導くための人材獲得や教育などもプリンシパルの役割です。

また、新たなプロジェクトを受注する新規開拓や、顧客との長期的な関係を維持する営業活動も、プリンシパルが果たすべき役目と言えます。したがって、広い範囲を客観的に俯瞰する能力がプリンシパルには求められるでしょう。

パートナー(マネージングディレクター)

パートナーは、コンサルタント企業の共同経営者である、責任の大きな役割です。パートナーは、経営者として、長期的な成長戦略を構想したり、人材の育成に尽力したりする役割を果たします。そして、セミナーを開催したり、書籍を出版したりすることで、積極的に情報や自身が供給できる能力を発信します。

また、個人の人脈を活かした働きかけによって、新たなプロジェクトの受注に結びつけることも必要です。したがって、パートナーには力強くアピールする力や、人と人を結びつける能力、そして人を引きつける魅力的な人間性が求められるのです。

この他にも、有名企業の経営者と議論を交わせる能力や人間性、将来的にプロジェクトへつなげていく判断力やリーダーシップなど、豊かな資質や能力も重要でしょう。

戦略コンサルタントの年収

戦略コンサルタントの年収は、固定給に業績賞与を加えた額であることが一般的です。また、戦略コンサルタントの年収は、他分野のコンサルタントと比較して高額になる傾向があります。ただ、役職によってその額には開きがあります。

戦略コンサルタントの平均年収

比較的若い人材が多いアナリストの年収は500~800万円です。20~30代半ばくらいの人が多いコンサルタントでは、900~1,300万円ほどが平均的な年収でしょう。さらにこの2職種は、固定給の約20%を業績賞与として受け取ることがあります。

また、30代が中心となることが多いマネジャーの年収は、1,400~2,000万円ほどです。30~40代が多いプリンシパルでは、1,700~2,500万円ほどになり、この2職種は固定給の約30%が業績賞与の額になることが一般的でしょう。

年収が最も高い役職はパートナーであり、固定給は2,500万円以上です。また、パートナーが得る業績賞与は、業績次第で変動することが多いと言えます。

高額な給与とUp or Out

年収が高額であるイメージが強い戦略コンサルタントには、同時に「Up or Out」という印象を持つ人も少なくありません。「Up or Out」とは、昇進するか辞めるかという、コンサルティング業界に多い二択の考え方を指すものです。ただ、これまでと比較すると、この二択の考え方は大手の戦略コンサルティングファームでは少なくなっている傾向にあると言えます。

業界の景気が明るいという側面からも、競争が弱まり、離職を迫られるほどの厳しさは薄くなっているのです。特にハードワークになることが多い、アナリストやコンサルタントの離職率を下げるための対応を行う企業も出てきています。

戦略コンサルタントのキャリアパス

ここからは、未経験から戦略コンサルタントとしてキャリアを積む道筋や、コンサルタントになった後のネクストキャリアについて紹介します。

未経験ならアナリストから始まる

未経験から戦略コンサルタントの世界に足を踏み入れる場合、まずポテンシャル枠で採用されビジネスアナリストとして入社してから経験を積むことが一般的です。アナリストとしてコンサルタントのサポートをしながら、業務分析やインタビュー、報告書作成など戦略コンサルタント全体の仕事を学ぶのです。

ポストコンサルのキャリアは自分次第

アナリストから昇進して、コンサルタントとしての仕事を始めれば、その先の選択肢は大きく広がるでしょう。実績を着実に積んでいけば、事業会社の経営企画部門などに転職することも可能です。ファーム内で昇進を目指したり、より高い年収を求めて別のファームに転職をしたりすることも可能です。さらに、自分の道を切り開く独立も、1つの選択肢です。

事業会社

戦略コンサルタントのネクストキャリアとして多いのが、事業会社での勤務です。事業会社と言っても、大手企業の経営企画室やIT企業の役員、企業社長の重要な補佐役など、就くポジションや働く業界は多様です。

クライアント企業の重職に就く人もいれば、付き合いのある人が社長を務める会社に招かれるなど、事業会社のなかにも様々なポストコンサルタントのキャリアがあるでしょう。

他のコンサルファーム

次のキャリアとして、戦略系とは異なる分野のコンサルタント職に就く人も少なくありません。コンサルタントの分野や企業をファームとも呼びますが、このファームが異なっても、コンサルタントとして培った能力を発揮できる場面は多いと言えます。

したがって、他ファームへの関心の高まりや好待遇の提示によって、他ファームをネクストキャリアとして選択する人もいるのです。

投資銀行・PEファンド

投資銀行は、金融の専門知識が必要になる特殊な業界です。また、身につけたコンサルティング能力よりも、今後に期待が持てる人材が求められるため、戦略コンサルタント業界でも比較的若い人材のキャリアパスとして選ばれる傾向にあります。

加えて、未上場企業株式に関する投資を行うPEファンドは、ファーストキャリアとして新卒で入ることの少ない業界で、戦略コンサルタント出身者に人気の高い業界でもあります。

好待遇であることが多い反面、高い能力が求められる職種であるため、戦略コンサルタントのなかでも比較的高い職種の人材がセカンドキャリアとして選択することが多いでしょう。

起業・独立

戦略コンサルティングファームでの勤務経験をもとに、会社を辞め起業するという道もあります。企業で勤務しながら、副業で起業や独立の準備を行う人もいます。準備が整ったり、興した事業が軌道に乗ったりした時点で、それまでの職場を辞め、本格的に新たなキャリアをスタートさせるのです。

また、戦略コンサルタントとして個人事務所をかまえ、会社員ではなく個人として働くことを選択するキャリアパスも増えてきています。

その他

戦略コンサルタントとして多くの経営陣とかかわるなかで、社会性に関心を持つ人もいます。そうした人のなかには、社会的な意義を見出し、教職や政治家に転身する人もいるのです。

未経験から戦略コンサルタントになるには

好待遇が期待でき、強い達成感が得られる戦略コンサルタントは、次なるキャリアを見据えたうえでも魅力的な仕事です。ここからは、多様なキャリアアップや働き方が選択できる、戦略コンサルタントになる方法を紹介します。

採用の傾向

業界未経験から戦略コンサルタントを目指すうえで、採用される人材の傾向を知ることは重要です。

新卒・第二新卒

新卒や第二新卒を戦略系コンサルティングファームが採用する際、学歴はもちろんですが、どれだけ自分の頭で考えられる人かという点が重要視される傾向があります。専門知識を有していることに越したことはありませんが、ゼロから考えられる力を持っているかどうかが採用に影響を与える重要なポイントです。

中途

中途採用であっても、考える力が求められることは新卒や第二新卒と同じです。また、すでに他業界で活躍した経歴のあるビジネスリーダーなどといった人材を採用する傾向があります。また、海外の有名大学でMBAを取得したことが、採用に有利に働くこともあるでしょう。

採用プロセス

戦略コンサルタントに応募した後の、採用プロセスについて紹介します。

書類選考

履歴書や職務経歴書によって選考が行われることが一般的です。こうした点は、他業界を含めた多くの企業と同様と言えます。また、語学力が求められる企業では、書類を英語で作成しなくてはならない場合もあります。

筆記試験

応募者の論理的な思考能力を調べるために、GMATや判断推理といった試験を課すことが多いでしょう。GMATは経営大学院の入学適性試験として用いられ、また、判断推理は公務員試験にも用いられるものです。一般的な適性試験と比較すると、難易度が高いことが特徴です。

面接

面接においても、論理的で合理的な思考力が試されます。面接官から特定の状況が示され、それに対して制限時間内にどのように答えるかを見られます。これにより、思考プロセスや合理性が細かく試され、思考力の優劣が評価されるのです。また、語学力を重視する企業では、面接が英語で行われることもあります。

戦略コンサルティングファームの代表例

ここからは、代表的な戦略コンサルティングファームを挙げ、それぞれの特徴を紹介します。

マッキンゼー・アンド・カンパニー

世界最高のコンサルティングファームと言われることもあるのがマッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company)です。様々な業界のトップを走るビジネスパーソンを、多数輩出していることでも知られています。また、戦略案件が強みであり、あらゆる業界の案件に強いという特徴があります。一方で、難解な業務も多く、コンサルタントには高い能力が求められます。

ボストン コンサルティング グループ

ボストン コンサルティング グループ(Boston Consulting Group)は、マッキンゼーと比較されることも多い世界最高峰の戦略コンサルティング会社です。頭文字をとったBCGと略称で呼ばれることも多く、外資系コンサルファームのなかでも日本における歴史が長いため、日本のクライアントに精通しているという特徴があります。日本の大手企業からの信頼が厚いこともBCGの魅力です。

ベイン・アンド・カンパニー

世界最高峰のコンサルタント企業の1つであり、平均年収の高さが特徴なのがベイン アンド カンパニー(Bain & Company)です。結果に徹底的にこだわる姿勢もベイン アンド カンパニーの特徴です。加えて、社員のトレーニング制度が用意されているなど、社員教育に力を入れている企業とも言えるでしょう。

A.T.カーニー

日本におけるトップの戦略コンサルタント企業と言えるのがA.T.カーニー(A.T. Kearney)です。少数精鋭の体制が特徴で、離職率が低いことも魅力の1つと言えます。

ローランド・ベルガー

欧州系で最も規模の大きな戦略コンサルタントが、ローランド・ベルガー(Roland Berger Strategy Consultants)です。製造業や消費財、物流業界の案件が得意な企業として知られています。また、戦略策定から実行支援まで、様々な案件をバランス良くこなすのも特徴です。

アーサー・D・リトル

世界で最初のコンサルタント企業として知られているのが、アーサー・D・リトル(Arthur D. Little)です。マサチューセッツ工科大学の博士が設立したという歴史があり、製造業への屈指の強さを誇ります。理系出身の大学院生が採用される傾向にあることも特徴の1つですが、一部で文系の学生が採用されることもあります。人間性を重視した採用を行うことも、アーサー・D・リトルの特色だと言えます。

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