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AWSエンジニアとは?なるには?仕事・スキル・年収・将来性

AWS(Amazon Web Services)の導入やインフラ環境の構築、保守・運用などのプロジェクトで活躍する職業が「AWSエンジニア」です。パブリッククラウドの普及によりオンプレミスからクラウドへの移行案件なども増えており、求人の需要も高まっています。

この記事では、AWSエンジニアの仕事内容やスキルセット、年収、将来性などを紹介します。インフラエンジニアとの違いや未経験から目指す転職方法についても解説します。

AWSエンジニアとは

AWSエンジニアとは、クラウド製品の中でも特にAWSについて詳しい知識、優れたスキルを持つエンジニアのことです。要件に沿った最適なアーキテクチャの設計、インフラ環境の構築、オンプレミスからクラウドへの移行、AWS上でのシステム開発、保守・運用などで活躍します。

クラウドサービスの発展に伴い「AWSエンジニア」は需要の高い職業として注目を浴びています。

AWSとは

AWSとは「Amazon Web Services(アマゾン ウェブ サービス)」を略したものであり、Amazon.comが提供しているクラウドコンピューティングサービス群のことを指します。AWSはクラウドに関連した100種類以上ものサービスを提供しており、クラウド分野で世界的シェアの33%を占める、巨大サービスとなっています。

AWSでできること

AWSには100種類以上ものサービスが存在しており、パブリッククラウドと聞いて想像することなら、大体のことができるようになっています。その中でも特に代表的なものとしては、「サーバー環境の構築・運用(EC2)」と「データ保存・コンテンツ配信(S3)」、「データベースとしての活用(RDS)」が挙げられます。

サーバー環境の構築・運用(EC2)

EC2は、クラウド上に仮想サーバーを構築・運用できる、AWSのサービスです。EC2の特徴としては、数分と、非常に短い時間で仮想サーバーを構築できることが挙げられます。

また仮想サーバーを複数構築した際の冗長化やメモリやハードの拡張も、簡単な操作で行えるようになっており、非常に使いやすいサービスとなっています。

データ保存・コンテンツ配信(S3)

S3は、AWSのオンラインストレージサービスです。S3の特徴としてまず挙げられるのが、保存できるファイル数、データ容量が無制限である点です。データ保護機能にも優れているため、ファイルの破損防止に役立ちます。

また文書や図といった静的コンテンツについてはWeb経由でアクセスできるようになっているため、コンテンツ配信も可能となっています。

データベースとしての活用(RDS)

RDSは、AWSが提供するデータベースサービスです。RDSの特徴としては、冗長化やバックアップといった管理作業、パッチ適用などの時間がかかる作業について、ほとんどをRDS側が受け持ってくれることが挙げられます。管理にかかる負担が大幅に低減されるため、データベース作成作業にのみ注力しやすくなっています。

また使用するデータベースソフトに、OracleやMySQLなどの使い慣れたデータベースソフトを選択することもできるため、違和感少なく作業できるのも特徴です。

AWSの求人が増加する理由

ここでは、AWSエンジニアの求人が増加傾向にある理由としては、「パブリッククラウド市場の急成長」や「オンプレからクラウドへの移行が加速」していること、「AWSはシェアが高い」ことなどが挙げられます。

パブリッククラウド市場の急成長

パブリッククラウドとはクラウド形態の一つで、「組織運営に必要なITのインフラストラクチャを、ネットワークを介してよそから丸ごとレンタルすることで賄うシステム」のことを指します。

クラウドコンピューティング市場は急成長している分野であり、そのなかでも認知度の高いAWSの知識・スキルに秀でたエンジニアの求人が増えているのです。

オンプレからクラウドへの移行が加速

クラウド技術の発展により、企業の脱オンプレ(サーバー機材などを自社の中に置くこと)が加速しています。オンプレミス環境ではなく、クラウド上にサーバーを構築することでコストの削減につながりますし、よりスピーディーで柔軟なITインフラの運用管理を行えます。

AWSエンジニアはそうした時流に沿った職業であり、多くの企業で重宝される人材となっているのです。

AWSはシェアが高い

先述した通り、AWSはクラウド分野で33%の高いシェアを得ており、パブリッククラウドにおいては主流とも呼べる存在です。必然的にAWSを利用する前提でのプロジェクトや開発の依頼も多くなり、導入や実装経験のあるエンジニアが求められることになるのです。

クラウドに関する知識、技術の中においてもAWSの存在感は非常に高まっており、その専門家であるAWSエンジニアは、引く手数多の状況といえるでしょう。

AWSエンジニアの仕事内容

AWSエンジニアの仕事内容を大きく分類すると、設計と構築、運用の三つに分けることができます。

設計

AWSエンジニアの仕事としてまず挙げられるのが、AWS上の仮想サーバーやストレージその運用計画、アーキテクチャ、管理方法などについて、設計を行うことです。企業がオンプレ環境も持っている場合は、クラウドとオンプレの連携運用にも配慮して導入計画や運用方法を企画します。

構築

設計した要件や仕様に基づきAWS上にインフラを構築します。稼働開始後のプログラマブルな監視やモニタリングも含めAWSエンジニアの業務に当たります。そうした業務に携わる場合は、クラウド環境の構築作業だけでなく、インフラエンジニアの業務設計も併せて行うようなケースも多いです。

運用

クラウド上でシステムが安定稼働するための保守運用業務もAWSエンジニアの役割です。日頃のメンテナンスや障害への対処などはもちろんのこと、自動化のスクリプトを書くなどもおこないます。AWSの新製品から企業に必要なシステムを取捨選択し、業務を効率的に行えるよう、改善を図り続けていきます。

AWSエンジニアに必要なスキル

AWSエンジニアとしてより効率的に業務を行っていくためには、いくつか習得しておきたいスキルが存在します。AWSに関する知識、経験は当然として、サーバー、OS、データベースなどの中間にあるミドルウェアについての知識や、アプリの開発、運用技術なども重要といえます。

AWSの知識、利用経験

AWSエンジニアとして活躍していく以上、AWSの知識やクラウドシステムの利用経験は必須のものとなります。クラウドシステムの利用経験に関しては他の職業で積める場合も多いですが、AWSの知識については他のクラウド関連のものと違う部分も多いため、基礎部分からしっかりと勉強していく必要があります。

実務では、クラウド上で保管するデータの種類や開発するアプリケーションによって最適な構成は異なります。費用を優先するのか、スケーラビリティや堅牢性を重視するのか、など前提とする条件に応じて、最適な環境を提案できる知識が求められるでしょう。

サーバー、ネットワークなどインフラスキル

AWSエンジニアの業務において、大きな割合を占めるのがサーバーやストレージの構築です。一方で、Amazon VPCやAWS Direct Connectなどを使った仮想ネットワークのスキルが求められることもあります。

そのため、サーバーなどのインフラ基盤に関する知識に加え、通信やネットワークに関する知識も非常に重要となります。オンプレ環境でインフラエンジニアなどをしていた経験があれば、AWSエンジニアをしていく上でも有利に働くでしょう。

ミドルウェア

企業がAWS上で社内用の業務システムやWebアプリケーションを開発するような環境であるならば、上記に加えミドルウェア関連の知識も必須となります。具体的にいうとWebサーバーやアプリケーションサーバー、RDBMSや開発言語、LinuxなどOS知識や利用経験があれば、AWSエンジニアの仕事に活かすことができるでしょう。

アプリ開発・運用

AWSエンジニアはインフラが専門とはいえ、AWS上で管理するアプリケーションの開発、運用に関してまったく無知でよいわけではありません。Webサービスなどの構成やシステムの構造を理解したうえで、仮想環境にサーバーを準備する必要があります。

プログラマーとしてWeb開発、運用を行ってきた経験があるならば、そのような現場においても十分な活躍が見込めるでしょう。

AWSエンジニアの年収

一般的にAWSエンジニアの年収は、日本全体の平均年収や他のシステムエンジニア(以下SE)と比較しても、高めであるといわれています。ここではAWSエンジニアの年収事情について解説します。

平均年収

まずAWSエンジニアの平均年収ですが、SE向け求人サイトの調べによると、正社員の場合、約580万円程度が相場となっています。厚生労働省が発表している賃金構造基本統計調査では、平成29年度の全体の平均年収が454.5万円、SEの年収が550.8万円となっており、これらの数値を見てもAWSエンジニアの給与が一般に比べ高めであることがわかります。

単価相場

AWSエンジニアがフリーランスとして仕事を受けた場合の単価相場ですが、SE向け求人サイトの調べによると、平均月単価が約81万円となっています。これを年収に換算すると約972万円であり、先に述べたことと照らし合わせてみても、フリーランスのAWSエンジニアは非常に高収入な職業であるといえるでしょう。

未経験からAWSエンジニアになるには

AWSエンジニアは非常に専門的な知識と経験が求められる職業であり、IT関連の仕事をまったく経験したことのない人が就くには、かなりハードルが高い職業といえます。もしも未経験の状態からAWSエンジニアを目指すのなら、きちんと順序立ててからキャリアパスを描く必要があります。

就職・転職して経験を積む

まったくの未経験からAWSエンジニアを目指すには、まずはIT関連企業に就職・転職し、SEやインフラエンジニア、プログラマーなどで経験を積むのが近道です。IT技術者には未経験者を対象とした求人も多く、実際の業務経験を積みながら、AWSエンジニアに必要な知識を蓄えることができます。

インフラエンジニアから目指す

AWSエンジニアと非常に近しい仕事内容を持つのがインフラエンジニアです。インフラエンジニアは、大きく分けて「ネットワークエンジニア」と「サーバーエンジニア」の二つに分かれます。

インフラ環境の構築や運用管理に特化したITエンジニアといえます。クラウド環境かオンプレ環境かの違いはあれど、AWSエンジニアを目指すうえで必要な経験を積める職業です。

インフラエンジニアで就職して、AWS(クラウド)関連の知識を蓄えていくことで、AWSエンジニアへの道筋はかなり明確なものとなるでしょう。

プログラマーから目指す

AWSエンジニアの求人募集でみるスキル要件には、ソフトウェアの開発経験が必須のものもあります。そうした開発スキルが求められるAWSエンジニアを目指す場合は、まずプログラマーやWebエンジニアとして実務経験を積むことが大切です。

ネットワークやサーバーなどインフラ関連の知識についても、自分で学んでいきましょう。プログラミングの勉強は大変ですが、最近ではスクールなども充実してきています。

開発技術を持つAWSエンジニアは貴重な存在であり、就職する際の条件面優遇に期待が出来ます。

AWSエンジニアの勉強方法

AWSエンジニアには、クラウド技術に関する知識も必要です。就職前は独学によって身につけていくことも多いでしょう。ここではAWSエンジニアになるための勉強方法についていくつか紹介します。

本で勉強

AWS関連の書籍には、基礎的なものから応用まで数多の種類が存在します。まったくの初心者がAWSの勉強に取りかかる際は、まずそうした書籍の基礎的な内容のものから取りかかるようにすると良いでしょう。

初心者がAWSの勉強でつまずきがちな点として、「多くの専門用語が存在する」点が挙げられます。そのため最初は、用語解説が記載されているような、できるだけ平易な書籍を選択するのがおすすめです。

動画で学ぶ

ネット上には、AWS学習に関する動画がたくさんアップロードされています。初心者に向けた解説動画も多く存在しているため、書籍での勉強がうまくいかないと感じられたら、そうした動画を参考にしてみるのも一つの手段といえるでしょう。

スクール

AWSについての学習は独学で行うことが一般的であり、専門のスクールはあまり一般的ではありません。しかし都市部には、そうしたクラウド関連の教育に特化したスクールも存在します。独学でのAWS学習が捗らないようなら、そうしたスクールに通って学んでみるのも良いかもしれません。

AWS認定資格

AWSエンジニアに関連した資格に、AWS認定資格というものが存在します。AWS認定資格はAWSエンジニアになるために必須の資格というわけではありませんが、資格勉強をすることでAWSエンジニアに必要な知識、技術を効率的に学習できるようになっています。AWS認定資格には、役割別認定資格と専門知識認定資格が存在します。

役割別認定資格

役割別認定資格は、AWSエンジニアの知識、技術を測るための資格です。役割別認定資格には、クラウドプラクティショナー、開発者、運用者、アーキテクトの、四つのカテゴリーが存在し、それぞれベーシック、アソシエイト、プロフェッショルの難易度が設定されています。

ベーシック

役割別認定資格のベーシックでは、AWSの全体的な理解について問われます。ベーシックにはクラウドプラクティショナーのカテゴリーのみ存在し、合格するためには、AWSについて6カ月程度学習した知識が必要とされています。受験費用は11,000円(税別)で、試験時間は90分間です。

アソシエイト

役割別認定資格のアソシエイトでは、AWSに関する、より実務的な内容が問われることとなります。アソシエイトは、開発者と運用者、アーキテクトの三つのカテゴリーに分かれており、合格するためには1年間程度、AWSを活用した経験と知識が必要とされています。受験費用は15,000円(税別)で、試験時間は130分間です。

プロフェッショナル

プロフェッショナルは、役割別認定資格における最高位の資格です。プロフェッショナルにはアソシエイトと同様に、開発者と運用者、アーキテクトの三つのカテゴリーが存在します。合格には2年間のAWSを活用した経験が必要とされ、AWSの設計運用や、問題が発生した際の解決方法まで、幅広い知識が求められることとなります。受験費用は30,000円(税別)で、試験時間は180分間です。

専門知識認定資格

専門知識認定資格は、AWSに関する、より専門的な知識が問われる資格です。専門知識認定資格を受験するには、役割別認定資格のベーシックかアソシエイトを合格している必要があります。専門知識認定資格には、以下の六つのカテゴリーが存在します。

  • ネットワーク
  • セキュリティ
  • ビッグデータ
  • 機械学習
  • アレクサ
  • データベース

それぞれの専門分野において、非常に高度な知識が求められる資格であり、取得することで自分の知識、技術が一定水準以上にあることを証明できます。受験費用は30,000円(税別)で、試験時間は170分間です。

AWSエンジニアの将来性

AWSエンジニアはまだまだ不足している状況にあり、これからさらなる需要も見込める、将来性の高い職業といえます。

AWSの利用は今後も伸びる

AWSエンジニアの将来性を考える上で重要なのが、AWSは今後ますます利用が伸びていくサービスだと考えられる点です。多くの企業が現在進行形でオンプレ環境からクラウド環境への移行に取り組んでおり、クラウド分野の旗手であるAWSは、これからも業界をけん引していくサービスであるといえます。

機械学習やIoTなど先端分野

AWSには、機械学習やIoTといった先端分野を利用できるサービスが存在しており、これから先の拡がりについても非常に期待できるサービスといえます。今のうちにAWSエンジニアを目指しておくことで、将来的に活躍の幅を広げられる可能性も高いです。

活躍には運用スキルを身に着けること

当然のことながら、AWSエンジニアとして活躍していくためには、AWSの運用スキルを身に着ける必要があります。簡単に身に着く技術ではありませんが、AWS関連事業がこれから増えていくと予想されていることからも、勉強するだけの価値がある技術といえるでしょう。

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