フリーランス

機械学習エンジニアは副業できる?必要なスキル・案件獲得の方法

機械学習(Machine Learning:ML)に代表されるAI技術を利用したプロダクトや分析案件が増えてきました。フリーランスとして業務委託で働く機械学習エンジニアも増えていますが、正社員が副業で統計モデルの作成や開発の仕事をすることはできるのでしょうか。

この記事では、機械学習案件の副業に必要なスキルや、稼げる副業の例、仕事の探し方、収入相場などを解説します。

機械学習の副業案件について

機械学習エンジニア(MLエンジニア)の需要が伸びたことにより、副業としての求人も増えています。そうしたことから、「副業として機械学習エンジニアの仕事をしてみたい」と考える方もいることでしょう。副業を検討する場合、あらかじめ知っておきたいのは実際の案件と収入の見込みです。

どのような副業案件がある?

機械学習に関する副業の求人で目立つのが、広告などのマーケティングに関する案件です。メディアやSNSなどのデータ収集・分析といったデータサイエンスの案件は様々な業界で需要があります。

AI(人工知能)プロジェクトに関するコンサルティングや人材育成やチーム立ち上げのアドバイスなど技術顧問のような立場で稼働する案件は単価が高く狙い目といえるでしょう。

また機械学習を実装したアプリ開発や、PoCの次のフェーズとしてAI分野の開発案件も増えています。人に教えるのが得意ならば、プログラミングスクール講師の案件もあるので探しましょう。生徒を指導することで、自分自身の知識の再確認にもなるものです。

どのくらいの副業収入が見込める?報酬の相場は?

副業案件の求人情報によると、機械学習でよく利用されるプログラミング言語Pythonを使用した業務委託の仕事での平均時給は2,500~3,000円ほどです。これは一般的な副業案件と比較して高く、Pythonエンジニアに対する需要の多さがうかがえます。

副業の時給はスキルや経験で変動するものであり、実務経験が豊富な機械学習エンジニアの場合には5,000円以上になることも珍しくありません。

機械学習エンジニアの副業が注目される背景

機械学習エンジニアの副業が注目を集めているのは、次のような背景があるからです。これらの要因は一時的なものではなく、今後も継続していくと予想されています。

深刻なエンジニア不足

日本におけるIT人材の不足は慢性化しています。経済産業省の調査(IT人材需要に関する調査)によると、2030年時点での予想人材不足数は40万人以上、場合によっては79万人に達するとのこと。

IT人材の不足には様々な原因がありますが、主なものとしては「IT業界が急成長しているため」「少子高齢化による人口の減少」「IT業界の進歩に追いつけていない」の3つが挙げられます。

これらの人手不足は機械学習エンジニアも同様で、この状態は今後も続くとみられています。

副業を許可する企業の増加

政府が働き方改革を進めていることもあり、副業を認める企業が増えています。また、副業を認めることで得られるメリットが大きいのも、許可する企業が増加している要因の1つです。

その主なメリットは「会社のPRになる」ことと「優秀な人材の確保ができる」ことの2点であり、企業とエンジニアの双方にとって副業は望ましいものであると認知されてきているのです。

リモート・在宅ワークの案件も増えてきた

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、テレワークやリモートワークを推奨する企業も増えてきました。データを活用した開発や業務への理解が進んだこともあり、在宅での作業を認めるプロジェクトもでてきました。

副業者の案件獲得を支援するエージェントやプラットフォームも増加しており、以前に比べると機械学習系の副業を請け負いやすくなってきているのが現状です。

また、地方都市などは人材不足ということもあり、企業もリモート・在宅可のエンジニアを募集する方向に動いています。

機械学習の副業ができる条件

機械学習案件の求人は確かに増加していますが、機械学習エンジニアなら誰でも副業が可能だ、というわけではありません。副業をするためには、次のような条件をクリアする必要があります。

実務経験は必須

機械学習の副業案件を受注するために、企業や研究機関などでの実務経験は必須です。コンサルティングなど上流の案件に参加するには、単に働いていただけでは能力が足りないと判断されることもあります。

機械学習、深層学習などAIプロジェクトの高度な実績やコンサルティングファームや分析ベンダーなどのマネージャーやシニアクラスのポジションで働いた経験がもとめられることもあります。

クライアントも仕事を依頼するかどうかを過去の実績や成果をベースに判断します。統計やシステム開発に精通していることはもちろんですが、2、3年以上などある程度の実務経験が欠かせない点は留意しましょう。

経験不足だと感じるようなら、まず本業の機械学習エンジニアの仕事に励み、案件をまわせるスキルを身に着けることが肝心です。

機械学習エンジニアの仕事とは

副業として働くのであれば、機械学習エンジニアの仕事について精通しておくのが大事。機械学習エンジニアは、ディープラーニングやビッグデータに関する知識を活かし、分析システムや予測モデルなどの開発を行うのが仕事です。

また、機械学習用のデータ基盤となるデータレイク、データウェアハウスなどの設計・構築、データの名寄せやスクレイピングなどを担当することもあります。プロフェッショナルとして、様々な分野で機械学習による成果を上げるのが機械学習エンジニアの役割だと言えるでしょう。

未経験ならまずは就職・転職から始める

機械学習の依頼は、経験とスキルがものを言う仕事です。そのため未経験者が副業で働くのは、一部の社会人インターンなどを除き、ほぼ不可能となっています。

未経験者の場合には、独学やスクールなどで知識を学び、機械学習に関するアウトプットを作成しながら就職、あるいは転職活動をおこない、実際の現場で経験を積むのがよいでしょう。

未経験から機械学習を学ぶなら

未経験から機械学習のスキルを学ぶなら、「AIジョブキャンプ」がおすすめです。AIジョブキャンプは社会人向けの「AI教育講座」と業務委託の案件紹介をする「エージェント」サービスがセットになった無料の研修プログラムです。AI教育講座では、現役のデータサイエンティストによる機械学習を学べるオンライン講座を受講できます。登録料や利用料などは一切かかりませんので、ぜひご活用ください。

機械学習案件の獲得に必要なスキルセット

機械学習案件を獲得するためには、実務を経験するとともに関連するスキルを伸ばす必要があります。現場でどのような能力や知識が必要なのかしっかりと掴み、スキルアップに励むのが賢明です。

機械学習エンジニアとして身につけておきたいものは、次の4つに関するスキルです。

機械学習モデルの作成

機械学習エンジニアは、機械学習モデルの作成やパラメータチューニングにも携わります。開発を経験する際に役立つのが、プログラミング言語であるPythonのスキルです。毎日のように扱う言語なので、理解を深めておきましょう。また、機械学習アルゴリズムに関する数学の知識も必要です。

基本的な概念のほかに、実践で役立つような適用方法や精度向上のための手法についても身につけておきましょう。

機械学習ライブラリとフレームワーク

画像処理や言語処理を行う場合、それぞれに適した機械学習ライブラリやフレームワークがあります。代表的なものはscikit-learnやTensorFlow、Kerasなどであり、それらに関するスキルを高めておくのはとても大切なこと。

また、Anaconda やJupyter Notebookなどといった開発環境の使い方も学んでおくとよいでしょう。

Pythonでのデータ分析

Pythonでデータ分析を行う際、よく使われるライブラリはPandasなので、関連するスキルは伸ばしておきましょう。また、データ分析によく用いられるプログラミング言語はPythonとR言語です。そのためPythonだけではなく、R言語もしっかりとマスターしておくことをおすすめします。

データベース関連

データベースに関する知識やスキルも、機械学習エンジニアには必要不可欠。特に押さえておきたいのがSQL言語です。最近では、AWS、Azure、GCPなどパブリッククラウドでデータウェアハウスが使われる案件も多くなっています。AWS Redshift、Google BigQueryなどの経験があるとよいでしょう。

また、PostgreSQLやOracle、Microsoft SQL Serverなどといった代表的なデータベースについて学んでおくのも大事なことです。

機械学習の副業案件を獲得する方法

機械学習の副業案件は、黙っていても獲得をすることはできません。自分から積極的に探すのが肝心です。特に次の3つの方法が効果的なので、上手に活用して条件の良い副業案件を手に入れましょう。

クラウドソーシング

Web上で、比較的簡単に仕事を見つけられるのがクラウドソーシング。クライアントと直接コンタクトを取らなくても仕事を受注できる場合もあり、手軽に副業ができるのがメリットです。ただしクラウドソーシングの案件は、受注単価が平均よりも低い傾向にあります。

中には条件の良いものもありますが、そういったものは高度なスキルが必要となることは覚えておきましょう。

エージェントや求人媒体の活用

副業求人も扱うエージェントや求人情報サイトで、機械学習に関する案件を探すのも有効な方法です。特にエージェントは、独自の求人情報を数多く抱えています。登録するだけで案件を紹介してくれるので、積極的に利用しましょう。

エンジニア専門のエージェントなら、クラウドソーシングよりも高単価の仕事を手に入れられる可能性が高まります。とはいえ好条件の案件を獲得するには、ある程度の実務経験が欠かせません。

知り合いからの紹介

AI関連の企業に人脈が豊富であれば、ぜひ活用したいのが知人や同僚からの紹介です。というのは、求人媒体に載らないような条件の良い案件を紹介してくれたり、有利な仕事を教えてくれたりすることがあるからです。

仕事の結果次第では、さらに違う仕事をまわしてくれることも。知り合いが少なくともSNS上のコミュニティやセミナー・勉強会などに参加し、人脈を広げていくとよいでしょう。

機械学習系の副業を行うメリット

機械学習エンジニアとしての副業を行えば収入をより増やすことが可能となりますが、良い点はそれだけではありません。次のようなメリットもあるので、積極的に機械学習系の副業を探しましょう。

色々な現場で経験を積むことができる

副業で本業とは違う課題やデータを活用して機械学習に取り組むことで、今までとは違った方法や現場でのノウハウを知ることができます。

また、新しいOSSや技術要素に触れたり、違うフレームワークに取り組んだりもできます。そうした経験を重ねることで、自分自身の市場価値も増していくものです。

人脈を増やすことができる

エンジニアとして活躍する場を増やす効果的な方法は、より多くの人脈を得ることです。副業をすることで、転職や独立など新たな転機を得られることもあります。他のジャンルの人と触れ合うことで刺激になりますし、そこから仕事を請け負うこともあるでしょう。

ただし、IT関連に疎いクライアントの仕事を受注する際には注意が必要です。というのは、無理な提案であったり、相場よりも低い単価だったりすることがあるからです。

キャリアの幅が広がる

機械学習エンジニアの副業は、会社員からフリーランスを目指す際に役立ちます。複数の現場を経験することで、人脈が豊かになりますし、クライアントとの交渉は貴重な経験となります。

会社内で管理職やPMになるという選択肢の他に、フリーランスの道をも選べるというのはエンジニアとして大きな強みとなるでしょう。このようにキャリアの幅が広がる点も、副業の見逃せないメリットです。

副業を行う上での注意点

機械学習系の副業に限らず、会社員が本業とは別に仕事を行う場合、次のようなポイントに注意を払う必要があります。副業で失敗をしないためにも、事前に確認し対策を講じておくのが肝心です。

就業規則で副業の可否を確認

事前に必ず確認をしておかなければならないのが、所属する会社で副業が認められているのかどうかという点です。就業規則で副業が許可されていない場合、契約違反となってしまうことも。ペナルティを課される可能性がありますし、何よりも信用を失ってしまいます。

副業を検討するのであれば、まず就業規則の確認を行いましょう。

確定申告や税金について事前に調べる

税金の問題も、避けては通れないポイントです。年間で20万円を超える副業収入がある場合には、確定申告を行わなければなりません。確定申告を怠ると、無申告加算税や延滞税といった罰金が課せられます。

副業収入を20万円以内にとどめるのも1つの選択ですし、もし超えるようなら確定申告の勉強を行い、しっかりと申告をするのが大事です。

副業の時間を確保する

システム開発などのプロジェクトに参加するとなると、副業と言えども時間を取られてしまいます。時間調整ができているのなら別ですが、副業のせいで本業が疎かになっては本末転倒です。

機械学習の仕事では最新論文のリサーチや技術的なキャッチアップも重要です。余暇の使える時間が減ってしまう点には注意しましょう。

また、副業にあてる時間が足らず、満足のいく仕事ができないようではいけません。副業をするのなら、自分の能力に合った時間配分を考えるのが大切です。

関連記事Related Posts