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インフラエンジニアの平均年収・給料事情

ネットワークやサーバーなど通信環境やIT基盤を整える職業が「インフラエンジニア」です。未経験から技術職への転職やキャリアチェンジを考える際にもインフラ業務で稼げる給料や生涯賃金は気になるところです。

この記事では、インフラエンジニアの平均年収や給料を、年代別や資格別などの切り口で紹介します。未経験からの就職した際の年収やその後のキャリアパスについてもみていきましょう。

インフラエンジニアの年収・給料

インフラエンジニアの年収は、働く企業や個人のスキル・キャリアなどによって違ってきます。保有資格によって手当てがつくこともあり、同じ職種でも年収に大きな差が出ることは珍しくありません。

ここからは「インフラエンジニアの平均年収」について、保有資格別や年代別に見ていきましょう。

インフラエンジニアの平均年収

インフラエンジニアとして働くIT技術者の給与を平均してみると、年収相場は凡そ480万~570万円といったところです。転職サイトの「doda」が調査・公開しているデータではインフラエンジニアの平均年収は約462万円でした。

別の求人サイトである「求人ボックス」の調査では平均年収が540万円であることからも、500万円弱程度の年収は期待できる職業といえそうです。年齢別や男女別にも差があり、あくまでも平均の額としてとらえておくとよいでしょう。

保有資格毎の平均年収

インフラエンジニアはネットワーク、サーバーなどの資格を取得していると、仕事上で有利になり年収がアップすることがあります。以下では保有資格別に見るインフラエンジニアの平均年収を紹介します。

LPIC

LPI(Linux Professional Institute)が実施しているLinuxの技術者認定資格に、LPICがあります。世界標準のIT資格で、日本の名だたるIT関連企業もサポートしている心強い資格です。LPIC保持者の平均年収は、450万~650万円が目安です。インフラエンジニア関連の資格の中ではファーストステップくらいの位置にある資格ですから、年収的にも平均的な額となっています。

CCIE

CCIE(Cisco Certified Internetwork Expert)は、シスコシステムズによるシスコ技術者認定のうちエキスパートレベルの資格です。シスコ技術者認定資格には5つのレベルがあり、CCIEは最上位のアーキテクトに次ぐ上位資格です。ネットワークエンジニアとしての価値が認められることから、保有しているインフラエンジニアの平均年収は550万~750万円と高めの目安です。

Oracle Master

Oracle Masterは、日本オラクル社がおこなっているデータベース技術の認定試験です。Bronze・Silver・Gold・Platinumと4レベルの試験があり、Silver以上は世界共通のOracle Certification Programで認定されたことにもなります。データベースやサーバーの運用管理に関する資格としてはポピュラーで、資格を保有している人の平均年収は500万~600万円が目安です。

AWS認定

AWSはアマゾン・ウェブ・サービスの略称で、Amzon.comが提供しているクラウドサービスです。世界的に展開されているAWSの技術に精通した認定資格は、インフラエンジニアはもとより開発エンジニアやSEにも役立ちます。11種類以上の試験があり、うち6種類は3つのレベルに分けられているため、目指す専門分野の試験から挑戦するとよいでしょう。

AWS認定資格を保有している人の平均年収は、注目度の高いサービスなだけあって550万~650万円と高めです。

年代別の平均年収

次に、年代別の平均年収を見ていきましょう。例えば、20代からキャリアを積んできた30代のインフラエンジニアとインフラエンジニアになりたての30代とでは年収に差が出ても不思議ではありません。大手求人情報・転職サイトが算出した結果を参考に、紹介していきます。

30代

30代のインフラエンジニアの平均年収は、530万円弱が目安です。一般に30代で転職を図る人は他の年代より多く、転職したての年収は200万~300万円台でも上昇の可能性が大いにあります。ただし、勤務先や保有資格、スキルなどによって影響を受ける点は他の年代と共通です。

40代

40代になるとさらに平均年収がアップし、600万円を少し超えるくらいが目安となります。早ければ30代で役職に就く人もいますが、一般的には40代前後で役職に就き手当が増える傾向があり、その分年収アップにつながる見込みがあります。また40代ともなるとインフラエンジニアとしてある程度のキャリアを積んできた人が多く、スキルや経験が考慮されたうえで30代より高くなるのが一般的です。

50代

企業などに勤務する50代のインフラエンジニアというと、現場で運用・管理をするよりはマネージングをする役目に就く人が多くなってきます。平均年収は約665万円と40代よりは高くなっているものの上昇ペースは若干ゆるめの傾向です。

とはいえ、エンジニアチームのリーダーや部門のマネージャーともなると責任が重いため、その分他の年代より年収がアップする可能性があります。

インフラエンジニアで年収1000万円稼ぐには?

インフラエンジニアとして働いて、年収1000万円以上を目指したいという人もいるでしょう。ところが一般的なインフラエンジニアの給料では稼ぎ頭の40代・50代でも年収1000万円まで大きな差があります。もちろん平均年収はあくまでも平均ですし、会社員ではなくフリーランスで独立して年収1000万円に達している人もいるでしょう。

どうすればインフラエンジニアとして高収入で稼げるのかには、以下のような方法があります。

大企業や外資企業に転職する

インフラエンジニアの年収は、勤める企業によって異なります。国内企業や日系企業でも通信会社や大手SIerなどで働くインフラエンジニアは、高年収を得る傾向があります。大規模なインフラの運用・管理を担っている企業も同様です。

また、外資企業の中でも世界規模で事業を展開している場合、市場が広いだけに高い収益を期待できます。ストックオプションなどの報酬制度を採用している外資企業も多いため、社員への高い還元率も期待できるでしょう。

出世して役職につく

職業はインフラエンジニアといっても、出世してメンバーやプロジェクトの管理をする立場になる人もいます。中には、現場とは大きく離れた役職に就く人もいるでしょう。

ボードメンバーやマネジメントなどの役職に就けば、役職手当として高い年収が見込めます。この場合も、企業の規模が大きくなればなるほど年収の高さに期待できます。

未経験からインフラエンジニアになる際の年収相場

これからインフラエンジニアになりたいという人の場合、インフラ業務の経験者よりも低い年収からのスタートになるのが一般的です。特に未経験からのスタートでは、雇用する側もリスクを抱えることになります。

未経験で就職してどのくらいの年収を見込めるのか、以下で目安を紹介します。

最初の年収は250~380万円くらい

求人サイトで紹介されている求人票や募集内容を参考にすると、未経験のインフラエンジニアの平均月収は25万円ほどです。年収換算すれば平均300万円といったところですが、実務未経験でも高いスキルを備えていたりインフラ以外のエンジニアとしてキャリアがある場合には400万円弱の年収を出す企業もあります。

会社によっては給与テーブルが平均より低めに設定されている組織もありますから、最低250万円からの年収を目安と考えておくとよいでしょう。

ネットワーク、サーバー知識の有無で、年収は変わる

実務未経験からインフラエンジニアを目指す場合、どうしてもキャリアがある人よりは給料や年収が低くなりがちです。少しでも高い年収からスタートするには、ネットワークやサーバーなどインフラ周りの知識を増やしておくことです。知識の有無を証明する手立てとして、資格を保有する手もあります。LinuCレベル1やCCNAなどは、未経験者がインフラ知識を示すのに有効です。

未経験からインフラエンジニアになった人の年収相場は、初年度で平均250万~300万円程度です。LinuCレベル1やCCNAといった資格を保有していることで、資格手当がつくと初年度の年収がアップする見込みもでてきます。こうしたわかりやすい資格提示ができなくても、自宅でネットワークやサーバーの構築をしてきた経験がモノをいうケースもあります。どの程度のスキルがあるかが、年収を大きく左右する職種なのです。

インフラエンジニアの年収相場(スキルと年収の関係)

インフラエンジニアの年収は、経験によってスキルを積み上げることで徐々にアップすることも可能です。初歩的な業務としてネットワークの監視やテクニカルサポートがありますが、この業務に就いた場合の平均年収が240万~380万円として1段階上の運用業務に就くと平均年収は300万~450万円にアップする可能性が出てきます。さらに設計や構築の業務に就くと、平均年収は400万~550万円にアップ。

基本設計の業務では平均年収450万~750万円、最上位の要件定義業務に就くと平均年収650万~1200万円というように、業務内容が上位になるに伴って年収も上がってくるのです。

インフラエンジニアになるには

ここからは、どうすればインフラエンジニアになれるのかについて見ていきましょう。

インフラエンジニアの仕事内容

インフラエンジニアの仕事は、企業や団体のシステムネットワークや通信関連の構築・運用・管理です。いわば通信環境の交通整理的な役どころで、作業はWebサーバーを介しておこないます。ネットワーク構築の完成度によって後々の運用に影響が出てくるため、設計や構築は上位業務です。

ただし日常的にトラブルの発生を未然に防ぐ必要もあるため、監視・運用担当の業務もあなどれません。スムーズにシステムを運用するため、トラブルのないネットワーク環境を維持管理することが重要です。

インフラエンジニアが所属する企業・求人

インフラエンジニアには、企業の他にも各種団体や官公庁、大学・学校、研究施設など様々な職場があります。企業などが直接インフラエンジニアを募集することもあれば、依頼された企業のインフラ整備を請け負う仕事を専門とするIT企業もあります。そのような企業にはインフラエンジニアが数多く存在し、大手企業から官公庁まで様々なクライアントを抱えています。

例えば富士情報は、複数の大手保険会社や日立系の製造会社などを顧客に持つ安定した経営の企業です。日本通運グループの日通情報システムでは、グループ内のシステムを管理するインフラエンジニアを募集することがあり、学歴不問な点に注目です。インフラエンジニアは求人率の高い職種ですから、求人情報を探すのには苦労しないでしょう。

インフラエンジニアが年収をあげるには

インフラエンジニアが年収を上げるためには、いくつかの方法があります。自分に合った方法を見つけて、年収アップを目指してみませんか?

給料のよい会社に転職する

給料のよい会社に就職する方法は、堅実です。一般的には大企業ほど給料が高い傾向があり、大企業ほどインフラ整備の重要性が高まります。会社としては大事なネットワークをダウンさせるわけにはいかず、インフラエンジニアにもしっかりと投資しなければならないのです。逆に、下請けや商流の深い会社ではインフラエンジニア業務の人月単価が安く設定され、支給される給料も低くなりがちです。

独立してフリーランスになる

スキルやキャリアに自信がある場合は、独立してフリーランスのインフラエンジニアになるのも1つの方法です。ただしこの場合も、年収アップには大手企業をクライアントにするなどの工夫を要します。とはいえ、フリーランスのインフラエンジニアが大企業のネットワーク構築や運用を請け負うには相応のコネクションや信頼が必要です。

中小企業をクライアントとする場合は1件あたりの報酬が少なくなるかもしれませんが、請け負う件数を増やして年収アップを狙う方法があります。フリーランス向けのエージェントを利用するなどすると案件の確保も楽になるでしょう。

コミュニケーション能力は必要

年収アップを目指すには、コミュニケーション能力も磨いておいたほうがよいでしょう。インフラエンジニアにも、他部署や自身が属するチームとのミーティングがあるからです。特に上位業務に就くエンジニアには、他の人を説得する力が求められます。

また、トラブル発生時にはネットワークの監視やサポート担当者にも経緯の説明を求められることがあります。

必要なときに上手くコミュニケーションできれば、IT技術以外のスキルも評価されて年収アップにつながる可能性が高まるのです。

給料の高いインフラエンジニアの傾向

給料の高いインフラエンジニアには、どのような傾向があるかを紹介しておきます。

常にスキルアップを意識している

エンジニアの業界には、スゴ技を持つ超人的な人達がいます。人が羨むような職場で高い年収を得ている超人のエンジニアは、スキルを磨く努力を惜しみません。エンジニア不足が叫ばれる時代には、スキルが低い人でもエンジニアになれる可能性があります。

しかし、エンジニアになれた途端にスキル磨きを放棄してしまうのでは遅れをとってしまいます。IT技術の進化は止むことを知らず、エンジニアを目指すライバルは星の数ほどいるのです。そんな中、常にスキルアップを目指す人が着実に成長し、年収アップを実現しています。

さまざまな案件や上流工程の経験がある

スキル磨きは、経験を積むことによっても実現します。インフラエンジニアとしての実務経験は、様々な案件に取り組んでみることで増やしていけます。得意な分野をレベルアップしてみたり、苦手な分野の克服を目指してみるのも一案です。

多様な案件に取り組んだ経験もそうですが、設計などの上流業務を経験すると幅広い状況や規模に対応できる力になるでしょう。

どのような案件でも任せられるエンジニアは、高い給料を払っても欲しいという企業が多いです。

分野の知識も持つ

ネットワークやサーバーなど複数の分野のインフラ知識を持っていると、エンジニアとして重宝されます。例えばインフラ周りに加えてセキュリティ関連の知識を持っていたりすると、プロジェクト内で連携が必要なときにスムーズに話がまとまりやすくなるでしょう。

関連する他部署の業務も考慮しながら仕事を進めることができれば、高い評価を得られます。インフラエンジニアとはいえ他分野のエンジニアともコラボして活躍することも可能になり、請け負う案件に広がりが出てくるのも年収アップに役立ちます。

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