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セキュリティエンジニア案件の単価相場って?案件例や案件受注の方法も紹介

情報セキュリティを専門に扱う職業に「セキュリティエンジニア」があります。プライバシー保護やセキュリティ対策に関する案件は安定した需要があり、正社員として働いた後、独立してフリーランスの道を選ぶ技術者も増加しています。

この記事では、セキュリティエンジニアの単価相場や年収、フリーランスとして独立する方法などを解説します。仕事やスキル、将来性なども見ていきましょう。

セキュリティエンジニアとは

IT人材の中でも、情報セキュリティを専門的に担当するエンジニアのことを「セキュリティエンジニア」と言います。

PCやスマートフォンをはじめとする様々な情報端末が普及し、インターネットの利用が当たり前となりました。それに伴い、サイバーセキュリティや情報漏えい対策の必要性も高まってきています。そのような背景から、セキュリティエンジニアは誕生したのです。

セキュリティエンジニアは、ITインフラやソフトウェア、システムの設計・構築に関してセキュリティの観点からアドバイスを行ったり、脆弱性に関する調査や改善を行います。専門性の高い仕事であることから、ある程度の実績を積んだのちはフリーランスのセキュリティエンジニアとして活動する人も増えつつあります。

セキュリティエンジニアの仕事内容

セキュリティエンジニアは大きく分けて3つの業務に従事しています。具体的にどういった内容になるのか、一つずつ見ていきましょう。

セキュリティシステムの企画・提案

企画・提案のフェーズでは、クライアントの要望を満たすセキュリティシステムを構築するため、ヒアリングを実施します。クライアントの要望だけでなく、現場の実態についても正しく把握する必要があります。これらのヒアリングの結果をもとに、どういったセキュリティシステムが必要かを検討し、提案を行います。現場の声や状況を引き出すためのコミュニケーション能力も必要な場面となり、セキュリティコンサルタントに近い業務だとも言われています。

セキュリティシステムの設計・構築・実装

セキュリティシステムの設計・構築の作業では、ネットワークやサーバーの設計・構築などに携わることになります。クライアントのネットワークやサーバー周辺状況を把握しつつ、セキュリティシステムを構築していく必要がある作業です。特に近年はクラウド環境にサーバーを置く企業が増えてきており、セキュリティエンジニアとしてもクラウド環境への対応が求められています。

実装の段階まで進むと、ネットワークやOSの設定、プログラムの実装を行います。システムに脆弱性がないかを確認するためにテストを実施しますが、擬似的にサイバー攻撃を行うようなケースもあります。

セキュリティシステムの保守・運用

保守・運用のフェーズでは、構築したシステムをサイバー攻撃から守り、安心・安全なセキュリティシステムを維持していくことが求められます。具体的には定期的なセキュリティテストの実施、OSやアプリケーションを常に最新の状態に保つ、必要に応じてソフトウェアを導入するといった作業を行うことになります。また、サイバー攻撃に遭った場合は迅速に対応し、被害を最小限にとどめるよう行動します。原因や被害範囲などをつきとめ、再発防止の対策まで行います。

セキュリティエンジニアの単価相場

ここで、セキュリティエンジニアの単価相場について見ていきましょう。会社員の平均年収についても紹介しますので、フリーランスの単価と比較してみてください。

セキュリティ案件の単価相場(フリーランス)

セキュリティエンジニアのフリーランス案件は、スキルや経験によって単価が変わりますが、月額単価の平均としては「66万円」だと言われています。これは平均値になりますので、経験1年未満の場合は月40万円程度、経験1~2年目であれば月50万円程度といった値になります。

単純に年収換算すれば、平均790万円程度の年収が想定できるでしょう。もちろん、経験年数やスキルが伴えば、これ以上の年収もフリーランスであれば狙えます。

セキュリティエンジニアの平均年収(会社員)

セキュリティエンジニアの会社勤務求人には、年収約450万円程度の案件が多く見られます。ただし、会社員の場合もスキルや経験が年収に影響します。スキルが高く経験が長いほど、年収アップの交渉余地が出てくるのです。30歳前後でも平均をはるかに上回る年収に期待できる職業ですから、スキルと経験は磨いておくに越したことがありません。

セキュリティエンジニアが案件を受注するために必要なスキル

ここからは、フリーランスのセキュリティエンジニアが案件を受注するために必要なスキルについて見ていきます。

セキュリティやセキュリティ関連の法律への知識

セキュリティエンジニアは、セキュリティの専門家とも言える立場です。そのため、セキュリティに関する知識を持っていることは必須の条件とも言えるでしょう。また、日々の作業だけでなく、最新のサイバー攻撃への対策方法を常にキャッチアップしていくことも必要です。

近年はセキュリティに関する法令なども整備されてきています。こうした法令にも対応できるだけの知識も備えておかなければならないでしょう。

サーバーやネットワーク、OSに関する知識

セキュリティシステムを構築するにあたり、サーバーやネットワークに触れる機会は多くあります。これらへの知識や理解がなければ、作業に支障が出てしまうでしょう。クライアントごとにこれらの周辺環境も異なってきますので、代表的とされるものについては理解しておかなければなりません。サーバーについてはオンプレミスだけでなく、近年広まりつつあるクラウド型のものを押さえておくとよいでしょう。OSも多様な種類がありますが、Linuxなどまずは主要なタイプについて学んでおくことをおすすめします。

コミュニケーションスキル

セキュリティエンジニアは、クライアントの要望を正しく汲み取る力や、現場の実態を把握するために状況を聞き出す力が必要になってきます。また、トラブルがあった際の顧客対応に応じることもあるため、コミュニケーション能力は非常に重要です。フリーランスは案件ごとに関わる人も変わってくるため、どんな相手でもコミュニケーションを図る姿勢は忘れないようにしましょう。

責任感とモラル

セキュリティエンジニアは強い責任感を持っている人が適任です。個人情報や機密情報などの情報漏えいを防ぐためには、責任感を持って業務にあたっていかなければなりません。また、セキュリティエンジニアはクライアントの機密情報や個人情報といった情報資産に関わることが必然的に多くなります。安易な扱い方をしてはならないのはもちろんですが、自分の行動に責任感とモラルを持って取り組んでいく必要があります。

洞察力・想像力

細かな点にも目を向けておく必要のあるセキュリティの仕事には、洞察力が欠かせません。侵入者の形跡が見られないか、鋭く見抜く目を持つことが強固なセキュリティの維持に役立ちます。目には見えないことを想像する力も重要です。想像を超える方法や経路でシステムに侵入されることもあり得ますが、できるだけ想像力を発揮してリスクを防ぐことも可能です。

セキュリティエンジニアの案件例・案件の種類

セキュリティエンジニアと言っても、案件ごとに携わる立場なども変わってきます。ここからは、フリーランスのセキュリティエンジニアの案件例・案件の種類について詳しく見ていきましょう。

セキュリティ担当者

セキュリティ担当者は、オペレーターとも呼ばれる役割で、基本的にはセキュリティシステムの保守や運用に携わります。セキュリティエンジニアの場合、まずは保守・運用の経験を積んだのちに設計や構築の業務も担当するといったケースが非常に多いです。

設計や構築に携わる案件よりは安価な傾向がありますが、企業にとってはセキュリティ体制の維持において欠かせない存在です。フリーランス向けの案件としても数多くあるので、経験が浅いうちはセキュリティ担当者の案件から取り組むとよいでしょう。

セキュリティ管理者

セキュリティ担当者の経験を経て次の上位キャリアとなるのが、セキュリティ管理者です。セキュリティ担当者の次には一度リーダー経験を経ることもありますが、一般的には経験3年目くらいでセキュリティ管理者となることが多いようです。この段階では、セキュリティシステムの設計や構築などにも携わることになります。

セキュリティコンサルタント

セキュリティシステムの企画・提案を専門におこなうのが、セキュリティコンサルタントです。セキュリティ関連の相談を一手に引き受ける役割で、セキュリティエンジニアのキャリアとしては最上位です。

セキュリティアナリスト

サイバー攻撃の手法を分析したり情報収集・検証したりするのが、セキュリティアナリストです。セキュリティコンサルタントの1つ下くらいのキャリアとする見方もあります。アドバイザー的な役割で、最新のサイバー攻撃の脅威について知り尽くし仮説を立てることができる力も必要です。

フリーランスのセキュリティエンジニアになる前に

フリーランスのセキュリティエンジニアになるためには、それなりに準備が必要です。どのような準備をしておけばよいか、ご紹介します。

独立してフリーランスで働くには実務経験が必要

フリーランスのセキュリティエンジニアが案件を獲得するためには、スキルを証明するものが必要です。セキュリティエンジニアの場合、どのようなスキルを持っているかは実務経験で判断してもらうのがわかりやすいでしょう。また、実務経験がないセキュリティエンジニアは実践力がないとみなされやすく、案件の獲得は難しくなります。

未経験可の求人に応募して実務経験を積む

実務経験がないとフリーランス案件の獲得は困難です。そのため、未経験者はセキュリティエンジニアへの転職に挑戦しましょう。その場合、未経験でも可能な求人に応募して実務経験を積む方法があります。中途採用や転職の求人の中にも、会社によっては未経験可の仕事があるためあきらめるのは早計です。最初は小さな会社や受託企業に就職してコツコツと実務経験を積み重ねることで、いずれは大きな案件をつかめる実力がついてきます。

スクールに通ってから求人に応募する

未経験可の正社員求人に応募しても書類選考で落ちてしまったり、面接を突破できず転職するのが大変そうだと思ったら、プログラミングスクールに通ってみるのも1つの方法です。スクールによっては、コースを修了することで案件紹介を受けられるところがあります。実務未経験でも受講完了として企業を紹介してもらえれば、独学や完全未経験の候補者よりも人事や企業からみた印象はよいでしょう。

セキュリティエンジニアに役立つ資格

セキュリティエンジニアに関連する資格を取得しておくと、プロフィールとして提示することができます。どのようなスキルを持っている人物かがわかりやすく、自身の実力を把握するためにも役立つでしょう。持っておくと役立つ資格について、紹介します。

シスコ技術者認定

シスコシステム製品に関する技術者認定で、シスコ製品を利用してセキュリティ管理をしているクライアントにアピールできる資格です。5つのランクがあり、資格有効期限は3年間とされています。上位資格を受験するためには下位資格を取得している必要があるため、段階を経て資格取得を目指せます。

情報処理安全確保支援士試験

サイバーセキュリティ分野唯一の国家資格で、取得すると経済産業省の認定を受けることができます。セキュリティ関連の資格としては最難関とされる資格でもあり、持っているとフリーランスのセキュリティエンジニアとしてもかなり有利です。なお「情報処理安全確保支援士試験」は、2016年10月に廃止された「情報セキュリティスペシャリスト試験」の代替となる存在でもあります。

セキュリティエンジニア案件の今後の動向、将来性

セキュリティエンジニアとして独立して、採算がとれるのかと心配している方もいるでしょう。今後の案件の動向や将来性について、紹介します。

セキュリティエンジニアの需要と背景

世界的には大規模な企業や公共機関がサイバー攻撃を受ける頻度が高まっていますが、日本でもオリンピックなど大きなイベントの開催が注目されてサイバー攻撃のリスクにさらされるようになっています。既にセキュリティエンジニア案件は増加傾向を見せており、需要の点は期待してよいでしょう。

サイバーセキュリティの重要性が高まる

フリーランス案件の数だけでなく、サイバーセキュリティの重要性も高まりつつあります。危険度の高いサイバー攻撃には、高度なスキルで立ち向かわなければなりません。セキュリティの重要性を再認識し、対策の必要性を感じている企業などに売り込める好機といえるでしょう。

高時給・高単価を目指せる

市場価値が高いエンジニアは、高時給・高単価を狙うことができます。もちろん市場価値の高さを認めてもらうためにはスキルや経験が必要ですが、それらを磨けば磨くほど高時給・高単価を目指せるのがセキュリティエンジニアという職業です。

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