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データベースエンジニア案件の単価は?フリーランスになる前に

業務システムや分析基盤、Webサービスなどでのデータ利活用を支える職業が「データベースエンジニア(DBエンジニア)」です。正社員として働いた後、独立してフリーランスの道を選ぶDBエンジニアも増加しています。

データベースエンジニアは、ビジネス上の要件やデータ構造を理解したうえでデータベースを設計するプロフェッショナルです。業務では、OracleやMicrosoft SQL ServerなどのDB製品のほか、MySQLやPostgreSQLなどを扱います。

この記事では、データベースエンジニアの単価相場やフリーランスとして活躍する方法について解説します。仕事内容や求められるスキル、将来性なども見ていきましょう。

データベースエンジニアのフリーランス案件動向

フリーランスのデータベースエンジニアとして働くためには、自分で仕事を獲得するアクションが必要になってきます。そのためには市場をみわたしフリーランス求人の需要を把握しておく事も重要です。

まずはデータベースエンジニア全体の求人数について動向を見ていきましょう。

データベースエンジニアの求人は減少傾向

データベース(DB)を専業のデータベースエンジニアが設計・構築する案件は徐々に減少しており、近年では、ソフトウェア導入時に最適化されたDBがパッケージングされているというケースも増えています。

データベースを用意する必要自体は増えているため、DBの設計や構築は様々な現場でおこなわれていますが「データベースエンジニア(DBエンジニア)」という肩書きでの求人数は減少傾向にあるのです。

IT化が進むに連れてWebエンジニアやインフラエンジニアといった職種も台頭してきており、こうしたエンジニアがデータベースの管理・運用を担う事が増えているという点にも留意しておきましょう。

AIやIoTなどビッグデータ需要が高まる

求人が減少傾向にあるとは言え、データベースエンジニアの需要が無くなった訳ではありません。

AIやIoT(Internet of Things)などビッグデータと関連性の深い案件については、活用するデータを保管するデータ基盤の構築や企業内に分散して保管されたデータを統合するなどの必要があり、データベースエンジニアの需要が高まっているのです。

ビッグデータを取り扱う業界は成長が著しく、その担い手であるエンジニアが不足しているという背景があります。比較的案件数が多いだけではなく、案件の報酬単価が高いという点もフリーランスとしては見逃せません。

大規模開発やハイスキル案件が集中

データベースエンジニアのフリーランス案件にはもうひとつ、大規模開発やハイスキルの案件が特に多いという特徴も挙げられます。

前述のように、データベースの運用や保守は別のエンジニアが担当するケースも珍しくありません。

しかし大規模なデータベースの開発やより一層高度なスキルが要求される案件など、データベースの取り扱いを専門とするデータベースエンジニアでなければ対応出来ないものも多いのです。

データベースエンジニア案件の単価相場

データベースエンジニアにおけるフリーランス案件の単価相場は、週5日8時間の常駐案件を基準にすると月収にして約65万円です。2019年5月にフリーランススタート運営事務局が行った調査によれば最高単価は150万円、最低単価は30万円となっています。

また、データベースエンジニアの収入は基本的に自分のスキル次第ですが、フリーランスの場合はエンジニア歴もスキルと同程度に重要視されるポイントです。

5年以上のエンジニア歴がある人であれば、年収1000万円を超えるケースもあります。

データベースエンジニアの仕事内容

データベースエンジニアの仕事内容は主に「設計・開発」「管理・運用」「活用・提案」の3つに分類可能です。ここからはこの3つの仕事内容について詳しく掘り下げてみましょう。

設計・開発

データベースエンジニアはクライアントの要望を取り入れてデータベースの設計・開発を行います。どんな種類のデータをどのようにして管理・活用したいかによって、組み上げるシステムの仕様は異なるのです。

設計・開発を行うには「Oracle」「Microsoft SQL Server」「MySQL」といった既存のデータベースアプリを活用するのが一般的となっています。

こうした業務を請け負うポジションはソフトウェアエンジニアと呼ばれる事もあるので覚えておくと良いでしょう。

管理・運用

開発したデータベースはクライアントに納品して終わりという訳ではなく、その管理と運用もデータベースエンジニアの重要な仕事のひとつと言えます。データベースが正常に動作しているかチェックする他、サーバーの最適化や効率化といったメンテナンスも行うのです。

ソフトウェアに留まらずサーバーの物理的なメンテナンスが必要になるため、担当者はハードウェアエンジニアと呼ばれる事もあります。

活用・提案

データベースエンジニアの発展的な業務内容には活用・提案と呼ばれるものがあります。データベースエンジニアとしての専門的知識やスキルを磨いていけば、データベースを利用していないクライアントに対して導入を提案する事で新規の案件を獲得出来るでしょう。

既にデータベースを利用しているクライアントであっても、より一層効果的な運用が出来るようにアドバイスなどを行う事で今後の良好な関係構築や新規の案件獲得に繋げられる可能性もあるのです。

データベースエンジニア案件への参画に必要なスキル

フリーランスのデータベースエンジニアは一般的に設計や構築を行う職業としてのイメージが強いですが、実は様々なスキルが要求される仕事です。

ここでは優秀なデータベースエンジニアとして活躍するために必要なスキルをしっかりと把握しておきましょう。

開発スキル

データベースエンジニアはデータベースの開発を行うにあたって、先に述べたような関連ソフトウェアや開発言語の扱いに関する知識・スキルが必要とされます。

RDBMSだけでなくクラウドサービスや自動化などインフラ運用に関するスキルについても積極的に学習を進めておく事が大切です。

ビッグデータを扱う案件であれば「BigQuery」「Redshift」などのサービスや「MongoDB」「Redis・Memchached」といったソフトを利用する事も多いでしょう。

コミュニケーション能力

意外に思われるかもしれませんが、データベースエンジニアはコミュニケーション能力が重要になる職種と言われています。データベースで管理する情報は多岐に及ぶため、データベースエンジニアはクライアントの関係部署担当者と連絡を取る機会も多いのです。

開発段階でのクライアントとの打ち合わせや運用時の経過報告など、長期に渡ってやり取りするケースも少なくありません。

正確な仕事と円滑なスケジュール進行のためには、エンジニアと言えどもコミュニケーション能力は重要なスキルであると言えるでしょう。

論理的思考能力

データベースエンジニアは様々な場面で論理的思考力が求められるという点にも留意しておきましょう。例えばデータベースの設計・開発段階では、クライアントの要求に対して最適な仕様を組み上げるために様々な選択肢の中から合理的なものを採用する必要があります。

フリーランスともなれば、自分のキャリアプランを戦略的に考えて仕事を獲得していく事も重要です。自分に必要なものは何なのか、クライアントが求めているものは何なのか、最適な選択をするためには物事を論理的に思考する能力が求められるでしょう。

インフラスキル

データベースエンジニアが開発するデータベースは、クライアントの利用環境で正常に動作する事が大前提となります。

使用しているOSやアプリケーションは企業によって様々であり、データベースエンジニアはいかなる利用環境にも対応するためのインフラスキルを身につけておく必要があるのです。

有名どころでは「Linux」「UNIX」「Windows」「MacOS」などへの理解を深めておくのがベターと言えるでしょう。

フリーランスのデータベースエンジニアになる前に

フリーランスという働き方には様々なメリットが期待出来ますが、何の準備もなしにいきなり独立するのは大きなリスクを伴うでしょう。フリーランスのデータベースエンジニアとして活動を始めるにあたっては、以下の様な注意点があります。

案件獲得には1年程度の実務経験が求められる

世に出回っているデータベースエンジニアのフリーランス案件は、その多くが「1年以上の実務経験者」を対象としている点に十分注意しておきましょう。

データベースエンジニアはクライアントが保有している機密情報や個人情報を取り扱うデリケートな職種であるため、ある程度の実績で信用を勝ち取る必要があるのです。

実務経験がない場合には「情報処理技術者試験」や「オラクルマスター」といった資格を取得して、可能な限り実力をアピール出来るようにしておきましょう。

未経験なら転職・就職でエンジニアを目指す

関連資格を取得する事で案件獲得に近づく事は出来ますが、未経験者がフリーランスのデータベースエンジニアを目指すには就職や転職などで一度実務経験を積んでおくのが現実的です。

独学で実務に必要なスキルや知識を身につけるよりも、現場で仕事をしながらノウハウを身に付ける方が効率的な場合もあります。IT系のエンジニアは慢性的な人手不足と言われているので、未経験でも就職・転職先を探す事は難しくないでしょう。

高単価のデータベースエンジニアを目指すために

フリーランスのデータベースエンジニアとして効率的に収入を得るためには、案件ひとつあたりの単価が重要なポイントになります。高単価案件を獲得するためのポイントは、大きく分けて以下の3点です。

上流工程やマネジメントの経験

エンジニア業界では主に案件定義やシステムの設計を「上流工程」、実際のシステム開発やテスト・運用を「下流行程」と呼んだりします。上流工程では技術的な知識を基にした納期や価格の交渉など、優れたビジネススキルも要求されるのです。

下流行程においてもチームをまとめたりスケジュール管理を行ったりするマネジメント職には優秀なデータベースエンジニアが配置されます。こうした上流工程やマネジメントの経験は、高単価のフリーランス案件の募集要項になっているケースも多いです。

クラウドサービスやセキュリティの知識

データベースを取り巻く環境において「クラウドサービス」と「セキュリティ」の2点は重要視される傾向が強まっています。

クラウドサービスはネット上のストレージを利用して大容量のデータを取り扱う事を可能としていますが、その反面データの情報漏洩といったリスクも孕んでいると言えるでしょう。

データの安全性を確保するためには、セキュリティシステムに対する深い理解が必要になるのです。この2つのポイントは強い相互関係にあるので、併せて学習しておくと良いでしょう。

大規模なシステム開発の経験

データベースの開発案件は大小様々な規模がありますが、大規模システムの開発案件に携わった経験は今後のフリーランス活動において強い武器になり得ます。

小規模案件では行わないような細かな業務経験や優れたシステム構築力をクライアントにアピールする事が出来れば、高単価案件を獲得しやすくなるでしょう。

フリーランスのデータベースエンジニア案件の今後

フリーランスという働き方は良くも悪くも時代の流れに影響を受けやすいと言えます。最後に、データベースエンジニア案件は今後どのような動向が予想されているかしっかりチェックしておきましょう。

クラウドサービスの重要性が高まる

企業が扱う情報量は増加傾向にあり、今後も右肩上がりになる事が予想されています。膨大なデータを効率的に扱うためにクラウドサービスを導入している企業も少なくありません。

データをネット上で扱う事に長けたデータベースエンジニアの需要が高まると考えられているため、クラウドサービスの動向や最新技術にはアンテナを張っておくようにしましょう。

データベースのみを扱う案件は減っていく

ビジネスシーンのIT化に伴って、それぞれのエンジニアが担当する業務範囲も徐々に広がりを見せています。前述のweb系エンジニアがデータベースの管理を行うというのもその一例と言えるでしょう。

フリーランスエンジニアの案件は需要が増加する一方で、データベースエンジニアがデータベースのみを取り扱う案件は減少していくと予想されています。

フリーランスのデータベースエンジニアとして活躍するためには、基本的なスキルや知識にプラスアルファとなる武器が必要になっていくでしょう。

データサイエンススキルを身につける

データベースエンジニアの関係領域で今後需要が高まると言われているのは「データサイエンス」です。データサイエンスは膨大な情報を基にしてクライアントの事業改善提案や新商品・サービスの立案を行うコンサルタント業務に役立ちます。

データエンジニアやデータサイエンティストと呼ばれるデータサイエンスを専門に行うエンジニア職も既に存在しています。

データベースエンジニアが、統計や機械学習などデータサイエンスの知識を持つことで、より一層技術的な側面からビジネスにアプローチする事が可能になるでしょう。

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