キャリア

2020/04/13

ITコンサルタントとは?仕事内容・スキル・年収・将来性

高度なIT活用や大規模なシステム導入を支援する職業に「ITコンサルタント」があります。DXと呼ばれるデジタル変革の必要性が高まるなか、コンサルティングファームを中心に求人需要が急増するなど注目度が高まっています。

この記事では、ITコンサルタントの役割や仕事内容、必要なスキル、平均年収、役立つ資格、将来性など紹介します。それに加え、未経験からの転職方法やキャリアパスについても解説します。

ITコンサルタントとは

ITコンサルタントとは、企業の抱える課題や経営方針に沿ってIT戦略の立案、デジタル変革の提案、業務指導などを行う職種です。その多くはコンサルティングファームに所属して業界やソリューション毎のスペシャリストとチームを組みプロジェクトに参画します。

ITコンサルタントは、DX、ERP、SCM、CRM等のテーマに付随したシステム開発や最適化を提案し企業の経営を支援します。提案内容が承認されるとプロジェクトが開始となり、ITアーキテクトやSEによる要件定義フェーズへと移っていきます。

IT職種のなかでも上流業務を担当するコンサルタントには、事業拡大や経営の効率化など、ビジネス目線での提案が求められます。

ITコンサルタントの役割

ITコンサルタントの役割は大きく3つに分けられます。具体的にどのような役割があるのか見ていきましょう。

アナリスト

アナリストは企業の課題解決に向けたプロジェクトの中で、複数のタスクを担当する役割を担っています。画面定義書や動作検証書の作成やプログラミング、工程ごとのテスト実施などを行うポジションです。設計や開発、タスク管理などの能力が求められます。

コンサルタント

コンサルタントは、クライアントの要件整理やプロジェクトの調整、アナリストの作成した仕様書が要望通りのものかどうかの確認などを行います。さらに、開発計画の進捗確認など、関連するタスク全体の管理やアナリストの作業管理などが役割です。

マネージャー

マネージャーはプロジェクトの統括役として働きます。アナリストとコンサルタントの成果を確認し、工程に遅れがないか、作業に問題がないかをチェックします。さらに、作業計画作成や品質管理、関係各所とのスケジュール調整などもマネージャーの重要な役割です。

ITコンサルタントの仕事内容

この段落からは、ITコンサルタントの仕事内容をより具体的に見ていきましょう。

現状把握

ITコンサルタントは課題解決に向けて、まずはクライアントの現状把握を行います。クライアント先でのヒアリングに加え、必要であれば業務に立ち会いながらビジネスの分析をおこないます。IT戦略を検討する際は、システム環境(クラウドやオンプレミスなど)やインフラ基盤の調査など、すでに導入されているシステムの管理・運用方法についても確認します。そして、システムの現状調査報告書を作成し、問題が発生している箇所を可視化します。プロジェクトの規模によっては、調査や企画に数カ月かかることもあります。

問題分析

現状を把握した後は、システムやITで解決する問題を分析します。そのために有効な手段にフローチャートやイシューツリーなどの図をつかったプロセスの可視化があります。文章だけでなくグラフや図を表示してシステム上で問題が発生する構造をあらわします。問題の解決には仕組みを把握して、どこをどう改善すれば再発しないのかを詳細に分析・検討しなければなりません。

リスク分析

発見できた問題を一つずつ全て解決するのは、大きな時間とコストがかかってしまいます。そのため、問題を解決する優先順位を決めて、解決すべき問題を導き出す必要があります。優先順位をつけるために行うのがリスク分析です。問題を放置することで発生するリスクの大きさから、解決すべき問題の優先順位を定義していきます。有識者や決裁者との意識合わせを行い、ITコンサルタントが間を取り持って優先順位の定義を決めます。

改善提案

クライアントが導入しているシステムの問題やリスクを分析したあとは、ITコンサルタントの腕の見せどころである改善提案です。ここまでの工程で時間をかけて手に入れた材料(現状や問題、リスクなど)をもとに、どのような提案をすれば効果的に改善できるのかを判断します。ITコンサルタントとしての質の高さが評価される工程です。

プロジェクトの達成

契約によっては、改善提案までがITコンサルタントの仕事となるケースもありますが、プロジェクトの達成へ導くことも大切な仕事です。提案した改善案をより具体的なプロジェクトへ落とし込んで実際に行動へ移し、定められた期間内に課題を解決するまでがITコンサルタントの仕事となっています。

ITコンサルタントと周辺職種との違い

ITコンサルタントはIT関連の別の職種と混同されることもありますが、明確に異なるポイントがあります。この段落では、周辺職種との違いを解説します。

SEとの違い

SE(システムエンジニア)の仕事は企画やプロジェクトがある程度決まった段階で、システム開発に向けた要件定義や基本・詳細設計、テスト設計などを行うことです。一方、ITコンサルタントはこれらの工程よりも上流の工程(経営課題のヒアリングや業務プロセス分析など)を担当します。また、SEはベンダー側としてプロジェクトへ参加しますが、ITコンサルタントはユーザー側に立って参加するという違いもあります。

PMとの違い

PM(プロジェクトマネージャー)はITコンサルタントと同じような知見やスキルを求められますが、メインの仕事内容が異なります。PMはプロジェクトの管理・運営をメインに行い、全体の指揮を取ることが仕事です。ITコンサルタントはクライアントへの提案やサポートがメインなので、PMとは役割が違います。

PMOとの違い

PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)はプロジェクト管理のサポートを担当する職種です。クライアントとPMの間に立ってプロジェクトの監視を行い、トラブルを未然に防ぐためにPMへ提案も行います。ITコンサルタントとの明確な違いは業務領域です。PMOは案件を横断しながらマネジメント業務を行い、ITコンサルタントは特定の案件のみに参加します。

ITコンサルタントの扱う領域

ITコンサルタントが業務で扱うテーマは複数あります。将来的にITコンサルタントを目指している人は、どのような領域を担当するのかを把握しておきましょう。

IT戦略策定

IT戦略策定とは、システムの改善に向けて新たな技術を導入するのか、既存のシステムを刷新するのかなど、改善するための行動決定を支援することです。ITコンサルタントはプロジェクトの実行スケジュールの策定支援のほかに、システム開発の知見を活かしてこのような支援も行います。

ITデューデリジェンス

ITデューデリジェンスというのは、M&A(企業間で行われる合併・買収)を行う際に買収先となる企業の情報システムの資産評価算定を行うことです。ITデューデリジェンスにはシステムの維持管理や運用保守などの知見や経験を活かせるので、ITコンサルタントが扱えるテーマとなっています。

DXコンサルティング

デジタルトランスフォーメーション(DX)に関するコンサルティングはデジタル技術(デジタルマーケティングやモバイル、クラウドコンピューティングなど)やAI、IoTといった最先端のITテクノロジーを活用し、クライアントへの提案や導入を支援することです。IT技術を駆使して企業競争力を高めるため、ITコンサルタントは経営に活かすことのできるDX実行の提案を行います。ステークホルダー(株主や従業員、取引先など)なども巻き込んだマネジメントを行いつつ、クライアントに変革を起こす大切なテーマです。

IT組織の高度化

クライアントのIT課題を解決するのは、新しい技術やシステムの導入だけでなく、従業員のITスキル向上やIT部門の担当領域の拡大なども重要なポイントです。IT組織の高度化というのはITコンサルタントにとって1つのテーマであり、人や組織という側面からも課題を解決に導きます。

プロジェクトマネジメント支援

クライアントへ新規システムを導入する際、ベンダー企業やクライアント内部の関連部署も含めて打ち合わせを重ねながらプロジェクトを進めていきます。システムが大きなものになれば関わる人も多くなり、より高度なプロジェクト管理を行うためのマネジメント力が必要です。ITコンサルタントにとっては、レベルの高いマネジメントのサポートも取り扱うテーマとなります。

ITコンサルタントに必要なスキル

ITコンサルタントという職へ就くには、必要なスキルを把握し習得する必要があります。具体的にどのようなスキルが必要なのか、この段落で解説していきます。

問題解決力

問題解決力はITコンサルタントにとって重要なスキルです。クライアントが抱える課題を解決するにあたって、改善案や対策などを見出し、実行へ移すには、この能力を発揮しなければなりません。改善に向けたイメージを具体的な形にするためにも求められるスキルです。

情報の収集・提供力

ITコンサルタントが現状や要求の把握、改善に向けた提案をするには、まず情報を収集し整理しなければなりません。さらに、クライアントが抱える経営課題の解決には、有益な情報の提供や、適切にアドバイスをする力も求められます。

営業力・コミュニケーション力

ITコンサルタントに求められる営業力やコミュニケーション能力は、開発現場などで求められるものとは異なります。具体的には、クライアントから信頼されるための適切な改善・対策案の説明や、プロジェクト実現に向けた承認を得るために必要な営業力・コミュニケーション力です。クライアントと良い関係を築いていくためにも重要なヒューマンスキルとなっています。

論理思考力(ロジカルシンキング)

ITとは関連のない他業種からITコンサルタントを目指す場合、特に意識して習得しなければならないのが論理的思考力です。現状の課題やトラブルという事実に基づき、論理的思考で結論を導き出せなければ、クライアントの理解を得られない恐れがあります。ITコンサルタントとして長く活躍するためにも、論理的思考をよりスピーディーに行い、迅速に対応できる能力を身につけましょう。

業界に関する知識や経験

ITに関わる知識・経験だけでは、ITコンサルタントとしてクライアントを適切にサポートできない恐れがあります。クライアントが属する業界の知識・経験があれば、その業界ならではのトラブルや問題を解決できるアドバイスが可能です。自分の強みにもなり転職へ有利に働くケースもあります。

ITコンサルタントの年収

ITコンサルタントは高いスキルや知識が求められる職種なので、年収も高い傾向にあります。正社員として働くITコンサルタントの平均年収は30代で635万円、40代になると820万円です。年代のほか日系企業と外資企業では報酬に差があり、コンサルティングファームの中でもBIG4と呼ばれる「デロイト トーマツ コンサルティング」「PwCコンサルティング」「KPMGコンサルティング」「EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング」では平均年収が900万円を超えており、30代で年収1000を目指せる職業といえそうです。また、経験を積んだITコンサルタントはフリーランスとして独立して働くキャリアパスも存在します。フリーで働く場合の単価は、月120万円程度が相場になり、高額な案件では月の単価報酬が200万円になることもあります。

ITコンサルタントになるには

この段落では、ITコンサルタントになるための方法を2つ紹介します。

ITコンサルタントとして転職する

IT技術に関わる知識やスキルを身に付け、幅広いフェーズの業務経験がある場合、ITコンサルタントへ転職できる可能性があります。他業種の人であれば、ITコンサルタントへの転職に必要な知識とスキルをITスクールなどで学ぶことができます。企業によっては、資格やスキルを身につけていれば、未経験でも募集しているところもあるのでチャレンジしてみましょう。

SEからコンサルタント業界への転職を目指す

SE(システムエンジニア)の経験があれば、システム開発に関わる一連のスキルや知識を身につけているため、ITコンサルタントへ転職できる可能性があります。ただし、SEの頃に顧客折衝やマネジメントの経験があまりない場合、これらのスキルを身につけておきましょう。ITコンサルタントにとって、クライアントとの折衝やプロジェクトを円滑に進めるためのマネジメントは重要なミッションです。

ITコンサルタントにおすすめの資格

この段落では、ITコンサルタントを目指すうえで取っておくべき資格を3つ紹介します。

ITストラテジスト試験

ITストラテジスト試験はITに関する高度な知識を持ち、経営戦略に合わせた提案ができることを証明できる資格です。取得するには、IT技術を活用した経営戦略策定や業務改革など高度な知識が必要ですが、国家資格となっているので企業面接ではアピールできる材料になります。

プロジェクトマネージャ試験

プロジェクトマネージャ試験は情報処理技術者試験の1つで、ITコンサルタントを目指す人の多くが取得を目指す資格です。情報処理に関する応用的な知識やシステム戦略などの知識を問われます。取得すると、プロジェクトマネージャーとしてプロジェクトの目的達成や成功へ導く能力があることを証明できます。

ITコーディネータ

ITコーディネータというのは、経営・ITの両方に精通したプロフェッショナルを指します。この資格は毎年開かれるセミナーへ参加し更新する必要があるため、取得しておくと最新の知識やスキルを持っていることが証明できます。ITコンサルタントは最新技術を提案する機会も多いので、クライアントからの信頼を得るためにも活用できる資格です。

ITコンサルタントの将来性

ITコンサルタントを目指すうえで、将来性は意識すべきポイントの1つです。これから活躍し続けていくためにも、ITコンサルタントは将来的にどうなるのか把握しておきましょう。

DXの必要が高まり求人需要が拡大する

ITが世の中へ浸透することで、人の生活をより良い方向へ変化させるDX(デジタルトランスフォーメーション)。家電や自動車などにもIT技術が活用されるようになり、DXの必要性が高まっています。多くの企業でDXに関わる事業を進めようという取り組みがなされていますが、その事業を管理できる人材が不足しているため、ITコンサルタントの需要は高まる傾向にあります。

ITコンサルティングを提供する企業が増える

大手のコンサルティングファーム以外にも、ITコンサルティングを手がけようとしている企業は増加しています。大手広告代理店のグループ企業では、ITコンサルティングをメインに扱う新会社を設立しました。ITコンサルティング事業を強化する企業の増加に伴い、ITコンサルタントのニーズも高まっていきます。

下流工程の海外移転や自動化が進む

日本国内におけるIT人材の不足は深刻ですが、あらゆる分野においてIT化は進行中です。この課題を解決するため、開発における下流工程を海外へシフトする動きが進んでいます。そのため、国内においては将来的に下流工程に関わる人材よりも、上流工程をメインに扱うITコンサルタントの需要が高まる可能性があります。

関連記事Related Posts