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フリーランスプログラマーとは?働き方の実態、メリット・デメリット、独立の手順

組織に属さず個人で仕事をするフリーランスプログラマーが増えてきました。人材が不足するIT業界では、会社員よりも良い待遇や高い自由度という声も聞こえてきます。しかしながら、フリーランスで働くと誰でも年収アップや在宅ワークは可能なものでしょうか?

この記事では、フリーランスで働くプログラマの実情やメリット・デメリット、独立の手順に加え、成功のコツ、将来性について紹介します。

フリーランスプログラマーとは

プログラマーは、プログラム言語を用いてコンピューターのプログラムを作成し、各種ソフトウェアやシステムの開発を行うのが仕事です。そして、プログラマーのなかでも、組織に属さず独立して、企業などから発注された仕事を行う人を「フリーランスプログラマー」と呼びます。

ただし、一言でフリーランスプログラマーといっても、働き方はひとつではありません。ここでは、フリーランスとして働く場合の2つの働き方について紹介します。

独立系

企業や団体などの組織と、雇用関係を持たずに働くスタイルが独立系のフリーランスプログラマーです。自分の持つスキルを生かして独立して働き、その仕事は生計を支える本業としている点が特徴となります。

PHPやRubyなどWeb系の開発案件にはリモートワーク可の求人も増えてきましたが、独立系のフリーランス求人としては、企業で常駐して働く案件が多くを占めています。

開業届を出して個人事業主として活躍する人もいれば、法人化しているケースもあります。

副業系

フリーランスは原則、組織に属さない形で働くスタイルを指しますが、会社などで働きながらフリーランスとして働くケースもあります。組織に属して働いている仕事は本業で、フリーランスとして請け負う仕事を副業としている場合です。

フリーランスとしての仕事は、本業の隙間時間を利用して行います。そのため、在宅ワークやリモート案件を受託でこなす副業プログラマーとしての仕事が多い傾向です。

時間や働き方の自由度は高いですが、報酬の単価は低めです。家事などを本業とする主婦や主夫なども副業系に含まれます。

フリーランスプログラマーのメリット

フリーランスだと雇用される働き方と比べて不安定なイメージもありますが、それでも独立して働く人がいるのには理由があります。

ここでは、フリーランスプログラマーとして働くことの主なメリットを4つ紹介します。

仕事を選ぶことができる

仕事内容を自分で選ぶことができるのは、フリーランスプログラマーの大きな魅力です。会社員だと、会社から指示された仕事は基本的には断ることができません。

しかし、企業内での上司と部下、会社と従業員といった関係とは異なり、仕事を委託する企業とフリーランスプログラマーとの関係は対等です。

そのため、フリーランスプログラマーは、どの仕事を受けるかについて自身で自由に決めることができます。特に、IT業界は人手不足となっているため、仕事を選びやすい状況です。

働く時間・場所の自由度が高い

仕事をする場所や時間を自分で決めることができる点もフリーランスプログラマーとして働くメリットです。

委託される業務によっては就業場所などを指定されることもありますが、そもそも、その仕事を請け負うかどうかは、働き方の条件なども踏まえて自分で決められます。

週に何回働き、休みをどれくらい取るか、1日に何時間働くかなど、プライベートと仕事の時間のバランスを自身で調整できるのはフリーランスならではの働き方です。

人間関係の悩みが減る

仕事に負担を感じる理由として人間関係を挙げる人は少なくありません。上司や部下、同僚などとの関係にストレスを感じて転職を考える人もいます。

プログラマーの仕事とは関係のない出世競争や人間付き合いなどの悩みに気を取られて、集中できないと感じる会社員プログラマーも多いでしょう。フリーランスとして働く場合でもクライアントやエージェントとの関係はあります。

しかし、対等な立場であるため余計なしがらみはなく、会社ほど1つのプロジェクトで長く時間を共にすることもないため過剰なストレスは感じずに過ごすことができます。

年収UPの可能性

フリーランスは安定した収入を約束されていません。毎月の基本給が定められているわけではなく、自分が働いた分だけ収入を得られる仕組みです。

仕事をしなければ収入は減っていきますが、頑張ればその分の見返りがあるのはフリーランスの魅力といえます。IT技術者は人材不足が続いており、ほとんどの場合、独立すると年収があがります。

また、報酬の高い仕事を優先的に選んだり、報酬額をクライアントと交渉したりすることも可能です。自分のスキルや努力に対して見合った高い年収を目指すことができます。

フリーランスプログラマーの注意点・デメリット

さまざまなメリットのあるフリーランスプログラマーですが、サラリーマンとして組織に属する働き方とは違うことによる注意点もあります。次に挙げるポイントについて、気を付けておくようにしましょう。

福利厚生や将来の保証は少ない

フリーランスという働き方をすると、社会保険や手当などの福利厚生を受けることはできません。

そもそも、福利厚生とは会社が従業員に対して提供するものです。健康保険や年金などは自分で納めなければならず、仕事のためにかかる交通費なども自ら負担しなければなりません。

また、体調が悪くなったときにも保障はなく収入への影響も出るため、いざというときの準備をしておくことが大切となります。

経理など事務作業も自分で行う

会社などの場合、お金のことは経理、顧客の獲得は営業といったように仕事が内容ごとに細かく分担されています。そのため、個々の従業員は通常、担当業務だけをしていれば問題ありません。

しかし、フリーランスは、経費の精算や契約書類の作成、確定申告の手続きなどといった事務作業などもすべて自分で行うことが基本です。

プログラマーとしての業務以外に使える時間も別途確保しておくことが必要となります。

自己管理が大切

さまざまなことを自分で自由に決めることができる働き方であるからこそ、自己管理は重要です。自由さに甘えてルーズな生活とならないよう、常に自身で、時間やお金、体調などをきちんと管理しておかなければなりません。

特に、時間の管理は、その後の仕事に影響を与えることもあるため要注意です。

約束した期日までに仕事を終わらせることができなければ、クライアントからの信頼を落とし、仕事を失ってしまう可能性もあります。

フリーランスプログラマーとして独立するパターン

フリーランスプログラマーを目指しているなら、具体的にどのようにすれば実現できるのかについて知っておくことは必要です。ここで紹介する3つの方法を参考にして、自分にあった手段を見つけるとよいでしょう。

プログラマーを経験して独立

フリーランスとして働く際には、即戦力が問われます。そのため、まずは、企業に属してスキルや経験を積んでおくと安心です。

企業での実績があれば、クライアントからの信頼を得やすくなります。また、会社での仕事を通してつながったクライアントから、独立後に仕事をもらえる可能性があるのもメリットです。

フリーランスとなるまでに多少の時間はかかりますが、その間に、独立に向けてしっかりと準備をすることができます。

プログラミングスクールを卒業して独立

専門的な知識やスキルを短期間で身に付けられたいなら、スクールに通うと効率的です。

時間などに縛られることが苦手だったり、自分のペースで学びたいと思っていたりする場合には、組織に属さず学べる手段は適しています。

クラウドソーシングサイトなどで案件を探しましょう。ただし、スクールに通うためには費用がかかることを把握しておきましょう。

独学で勉強

自由に学びながら、お金はできるだけかけずにフリーランスプログラマーを目指したいなら、独力で学ぶのも手段です。学生のうちであれば、生活費に対する心配もなく、学習する時間も確保しやすいので、独学しやすくなります。

参考書や学習サイトを利用して学べますが、専門的な内容を理解しなければならないため、それなりの理解力と努力は必要です。

また、独立に向けて、自らのスキルを証明するためのポートフォリオを自分で作成しておかなければなりません。

フリーランスプログラマーになるには?独立の手順

フリーランスプログラマーは、仕事を受けたらすぐにプロとして仕事に取りかかることが求められます。1年程度の実務経験があれば、エージェント経由で簡単に仕事は見つかります。しかし、未経験者が独立することは簡単ではないでしょう。

ただし、経験ゼロからフリーランスとして独立することは不可能ではありません。ここでは、フリーランスを目指す場合に押さえておきたい手順について紹介します。

開発言語を勉強し、知識を身につける

プログラマーにとって、開発言語の習得は必須です。開発言語は独学でも学ぶことはできますが、専門性の高い内容であるため、スクールや通信学習などを利用して専門家から学ぶと安心です。

スクールなどのなかには、転職のサポートサービスを行っているところもあるため、卒業後、会社に就職して経験を積んだ後、独立を目指すという方法もあります。

小さな仕事から始め、実績を作る

企業に対して自分の価値をアピールする際、どのような実績を持っているかは重要なポイントです。

未経験者は実務経験がない分、これまでの仕事の成果を別の形で企業に見せることが必要となります。特に、書類による選考がある場合、何もないよりは、少しでも多くの実績が記載されていたほうが有利です。

未経験から急に大きな仕事をすることは現実的に難しいので、まずは小さな仕事から始めてみるとよいでしょう。

エージェントに登録し、案件をこなす

企業や人とのつながりがまったくない状況のなかから仕事を探してくることは簡単ではありません。

そこで、プログラマーを探している企業と、仕事を探しているプログラマーをつないでくれるエージェントを利用すると便利です。

エージェントに登録すると条件に合った仕事や企業を紹介してもらえるので、紹介された仕事をひとつひとつこなしていき、実績作りをしていきましょう。

コミュニケーション能力なども必要

仕事をするなかで、クライアントとのやり取りは必須です。どれほどスキルが高くても、コミュニケーションを上手に取ることができなければ、交渉したり、仕事を新たに取ったりすることができず苦労します。

仕事を円滑に進めるためにも、クライアントとの間に強い信頼関係を構築するためにも、コミュニケーション能力の高さは大事です。

フリーランスプログラマーの実態

プログラマーがフリーランスとして働くスタイルは、働き方として主流ではないため、実態が見えにくい部分もあります。そこで、ここからは、収入や働く場所、働き続けることができる年齢など、フリーランスプログラマーの現状について紹介します。

年収・単価相場

フリーランスプログラマーを本業にしていれば、副業として働く場合に比べて年収は高くなるのが通常です。また、単価が高い仕事をたくさんこなしていれば、必然的に年収は上がります。

このように、収入は、請け負う仕事の内容や働くスタイルによって異なってくるものです。ただし、企業で、ある程度の実績を積んだフリーランスプログラマーであれば、500~800万円程度が平均年収となっています。

年収が300万円に満たない人が3割程度いる一方で、スキルや営業能力などが高く1000万円以上の年収を得ている人もいるのです。また、単価については、それなりの経験を持つ人であれば50~60万円が相場となっています。

在宅より出向型や常駐型が多い

フリーランスは働く場所を選ばないのが特徴のひとつです。しかし、仕事上、在宅と比べて、決められた企業に出向したり常駐したりする働き方のほうが多い傾向にあります。

出向型や常駐型の働き方をする場合、勤務場所は、出向先の会社などに勤める従業員と同じオフィスです。

ただし、フリーランスプログラマーは、あくまでも、業務を委託されているだけの立場であるため、ほかの従業員が会社から受けている制約などには原則関わりません。

案件が多いのは40代後半まで

フリーランスには定年制度がありません。そのため、やる気さえあれば、何歳まででも働き続けることができます。しかし、実際には、依頼される案件がなければ仕事になりません。

案件が多く来るのは40代後半までといわれています。高い年齢だと仕事の依頼が少なくなるのは、発注する企業の担当者の年齢に30~40代が多いからです。

年齢が近いほうが一緒に仕事がしやすいため、年齢の高い人は避けられる傾向にあります。また、若いほうが、体力や柔軟性、習得度が高いと思われやすいのも理由です。

フリーランスプログラマー成功のコツ

フリーランスプログラマーとして成功するためには、地道に実績を積んでいくことが大事ですが、成功をつかむためにはそれ以外にもコツがあります。

仕事を切らさない

仕事を止めてしまうと、途端に収入が途絶えてしまうのがフリーランスです。安定的な収入を得るためには、常に仕事を切らさないことが必要となります。

契約が切れる予定がある場合には、期間を空けず、すぐに新しい仕事に取り組めるように、次の仕事を確保しておくようにしましょう。

スキルを付けて単価をUP

単価を上げるためには、スキルを付けて、ほかのフリーランスプログラマーとの差別化を図ることが大切です。自分でしかできない仕事があれば、仕事を獲得しやすくなります。

基礎を固めたうえで、応用力も付けてプログラマーとしての専門性を高めておきましょう。特定の分野のプログラミング言語を極め、専門性を上げて得意分野を作るのも方法です。

また、仕事に対して幅広く対応できるように、専門外のプログラミング言語を習得しておくのもよいでしょう。

営業・案件獲得の効率化

案件を獲得しなければ、仕事は始まりません。フリーランスプログラマーとして成功するためには仕事は絶えず獲得することが求められますが、仕事探しは時間も労力もかかるものです。

営業活動に時間をかけて、本業がおろそかになってしまっては元も子もありません。エージェントを上手に利用して、効率的に仕事を取れるようにしておくのもよいでしょう。

フリーランスプログラマーの将来性

これから、フリーランスプログラマーとして長く活躍したいと考えている人にとって、将来性は気になるポイントでしょう。そこで、最後に、フリーランスプログラマーの今後のニーズなどについて解説します。

59万人のIT人材不足、案件も多い

IT業界では専門的な知識やスキルを持った人材の確保が課題となっています。不足している人材の数は59万人ほどともいわれ、フリーランスプログラマーも、年齢や経験を問わず、ニーズが高いのが現状です。

今後もますます需要が高まることが予想されています。案件の需要に対して十分に人材の供給が確保されていない状況であるため、仕事は獲得しやすい傾向です。

家事や子育てをしながら自宅でも稼げる時代に

かつては会社に出勤して仕事をするスタイルがほとんどでした。しかし、国による働き方改革でも推し進められているテレワークが広がれば、自宅で仕事をするスタイルが浸透してくるようにもなるでしょう。

共働きの家庭が多いなかで、ITスキルを活用した在宅・リモートワークのスタイルをとって家事や子育て、家族の介護などをしながら、収入を得られる時代に入ってきているのです。

経営者の視点を持つ

自分の能力を生かして独立するからには、フリーランスプログラマーとして成功を目指したいものです。しかし、成功できるかどうかは、すべて自分の腕にかかっています。

会社員であれば、ほかの従業員のサポートがあったり、会社に守られる部分もあったりすることでしょう。しかし、フリーランスとして成功するためには、一人の労働者として仕事に向き合うだけではなく、経営者の視点を持つことも必要です。

中長期的な収入計画を立て、スキルアップを積極的に行い、効率のよい事務作業ができるシステムを構築するなどの行動や工夫が求められます。

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