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10代・20代前半でフリーランスエンジニアになれる?取り巻く状況、活躍のポイント

10代や20代前半といった年齢でフリーランスエンジニアとして独立は可能でしょうか。キャリアプランや人生を考えてやり直しがききやすいというメリットは、若いエンジニアがフリーランスになる点を後押しします。

今回の記事では、若手エンジニアでフリーランスが増加する理由、10代・20代前半でフリーランスとして独立する方法、活躍するポイントなど解説します。

目次

10代・20代若手フリーランスエンジニアが増加する理由

特定の企業や団体に所属せず自力で仕事を勝ち取るフリーランスという仕事のスタイルでは、会社である程度の経験・実績・能力を蓄えた人が独立するというのが一般的です。フリーランスエンジニアの年齢分布では40代・50代といったベテラン勢が中心となっています。しかし、ITエンジニアの需要としては、ベテランよりも20代・30代の若手エンジニアを求める企業が多く、供給とのギャップが生まれています。

また、最近では10代や20代前半の年齢から独立してフリーランスとして活動するエンジニアも徐々に増え始めており、今後は若手のフリーランスエンジニアが急増すると言われているのです。比較的経験の浅い若手エンジニアでもフリーランスが増えている理由には、大きく分けて4つの社会的背景が考えられます。

エンジニア不足だから仕事が決まりやすい

IT業界では慢性的なエンジニア不足が深刻な問題となっており、NHKがIT企業900社を対象にしたアンケートによると実に全体の80%以上が「人材が不足している」という回答を出しています。業種別の求人倍率を見てもIT業界は他業種に圧倒的な差を付けており、2014年10月から2018年10月にかけては常に求人倍率5.0倍以上をキープしている状態でした。

こうした中で企業は正規雇用や契約社員という形式にこだわらず、さまざまな方法でエンジニア・プログラマーなどのIT技術者を募集している状況です。そのため、優秀な人材に限らず若手のフリーランスにも仕事を回す傾向が広がっており、仕事獲得・独立がますます容易になっています。

個人事業・フリーランスとして働く環境の増加

個人が自力で仕事を獲得出来るような環境が社会的に増加しているという点も、若手のフリーランスエンジニアが増えている一つの要因です。仕事の「発注者」と「受注者」の間を取り持つクラウドソーシングサービスの展開が活発になってからは、個人が仕事を受注する事のハードルが大きく下がったと言えます。

また、戦後から日本の主な就業形態であった終身雇用という形式は少なくなり、リクルートワークス研究所の試算では2023年には非正規雇用者の数が1000万人に達すると言われています。

年収の大幅アップが期待できる

若手のフリーランスエンジニアが増加する要因として、年収アップの期待値が高い点も大きいでしょう。フリーランスエンジニアの収入は、仕事内容が報酬に反映されやすいため、年齢が若い会社員エンジニアほど、フリーランスとして独立した場合の年収アップ幅も高い傾向にあります。

一般的な企業に属しているエンジニアであれば、給与は固定月給制である事が多いでしょう。もちろん各種手当てや昇給によって手取りを増やす事は出来ますが、大元の月給が固定されている以上収入を増やすには限界があります。逆に言えばある程度の収入が保証されているとも言えるでしょう。

一方、フリーランスの場合は一つの案件に対してそれぞれ報酬が支払われる出来高制が一般的になっているため、仕事をこなせばこなす程に収入が増えていきます。高単価の案件を数多くこなす事が出来れば、大幅な収入アップが期待出来るのです。

転職よりも簡単に独立できる

エンジニアとして転職・就職を目指す場合は企業の採用試験を受ける事になります。中途採用やキャリア採用では、応募者が人事部の定めた採用基準を満たしているか厳しく審査されるというのが通例です。企業としては教育コストをかけて雇用するので、成長性・将来性や企業風土とのマッチングなどを吟味して出来るだけ長く働いてくれそうな人を採用したいというのが本音と言えるでしょう。しかし厳正な審査を行って採用した人材でも、長期的に雇用する中で様々な労務問題が発生するというリスクがあるのも事実です。

一方、企業がフリーランスエンジニアに仕事を依頼する場合には、短期的な労働力を購買するという形式になります。企業としては自社で賄えない労働力をピンポイントで補強出来る便利さと、短期雇用なので労務問題のリスクが低いというメリットがあるのです。こうした事情から、企業は転職者よりもフリーランスエンジニアの方が受け入れやすいと言えるでしょう。

実は、若手エンジニアでも簡単にフリーランスになれる

フリーランスエンジニアになるには、企業から信頼を得るために最低限のITスキルや知識を持っている事が条件であると言えます。では、経験の浅い10代・20代のエンジニアがフリーランスで働く事は出来ないのかと言えば、一概にそうとは言えません。売り手市場のなか、若手エンジニアの独立はむしろ簡単といえます。

ハイスキルや有名企業出身でなくともフリーランスになれる

若くして活躍しているフリーランスエンジニアの全てが高度なスキルを有していたり、有名企業から独立したりしている訳ではありません。そもそも、企業が依頼したい案件の全てがハイスキルを要求される内容ではないのです。フリーランスエンジニアへ外注する業務の幅は比較的簡単なものから高度な作業まで幅広くなっています。そのため、10代のエンジニアでもフリーランスで仕事を獲得する事は不可能ではないのです。

運用監視、ヘルプデスク、テスターなどのフリーランスも活躍

一般的にエンジニアというと、プログラミングによってシステムやソフトウェアの開発を行うシステムエンジニアを思い浮かべる人も多いでしょう。しかし「エンジニア」という職種はIT関連の業種において多様な技術者の事を指しています。現代社会のIT業界では、様々なレベルのエンジニアがフリーランスとして活躍しているのです。例えば、完成したシステムが正常に動作しているかをチェックする「運用監視」というポジションで活躍するフリーランスエンジニアも存在します。運用監視は基本的に高度な開発スキルが要求されないポストですが、こうした分野にもフリーランスの需要があるのです。

また、ヘルプデスクやシステム・アプリのテスターとしてフリーランスで活躍している人も少なくありません。こうした業務は派遣の人材で賄われているイメージがあるかも知れませんが、フリーランスへの外注案件としている企業もあるのです。このように、フリーランスのエンジニアとして活動するためには必ずしもハイスキルや格式の高い経歴が必要とされる訳ではありません。様々な業務レベルにおいてフリーランスエンジニアの求人需要があるのです。

就業経験が無い現役大学生でも案件が見つかる

極端な例で言えば、就業経験の無い現役大学生がフリーランスエンジニアとして仕事を獲得したという事例も存在します。こうした場合にはアプリの製作実績や実力を証明出来る資格を有しているなどの条件が必要になると言えるでしょう。しかし、フリーランスで活動するにあたっては明確な年齢制限は存在せず、企業次第では若くても有能なエンジニアとしての素質があれば積極的に採用するというケースもあります。

10代・20代エンジニアの独立の不安、現実は厳しい?

10代でフリーランスエンジニアになる事は不可能ではありません。しかし、現実問題として10代や20代前半で活躍しているフリーランスエンジニアはかなり少ないと言えます。この現状には「フリーランスで働く事に対する不安」や「なかなか独立に踏み切れない」などの心理が大きく影響していると言えるでしょう。

フリーランスで継続的に仕事に就けるか不安

フリーランスとして活動するにあたって、最も代表的な不安と言えるのが「仕事に就けるかどうか」という点でしょう。人材不足が慢性化しているIT業界では、仕事を獲得する事自体は極端にハードルが高い訳ではありません。しかし10代という若さでは実績や経験が不足しているため、継続的にフリーランスの仕事を獲得出来るか不安に感じる人が多いのです。

特に「自分がやりたい仕事」にこだわりを持つ人にとっては案件の間口も狭くなってしまうため、仕事獲得に対する不安感はより一層強くなると言えるでしょう。

個人事業主として開業、税金、社会保障など手続きの不安

フリーランスエンジニアとして仕事を請け負うという事は、個人事業主になる事を意味しています。個人事業主になるには開業・税金・社会保障に関わる手続きが必要です。実際の手続き内容はさほど複雑ではないものの、こうした役所への届け出が若者の心理的障害となってしまうケースは少なくありません。

フリーエンジニアはキャリアアップが難しい?

10代のように将来の時間が多く残されている場合、フリーランスとして働く事が自分のキャリアアップの妨げになるのではないかと不安に思う人も少なくありません。確かにフリーランスとして単発の案件をいくつもこなしていくよりも、正規雇用で与えられた仕事を着実にこなしてキャリアを積む方が安心感があるでしょう。

しかし、結論を言えばフリーランスだからと言ってキャリアアップが難しいという事はないのです。仕事をこなす事で実務経験を積み、キャリアアップに必要なスキルを習得するというプロセスはフリーランスでも正規雇用でも変わりません。

10代・20代前半で未経験からフリーランスエンジニアになるには?

多くは学生である10代や20代前半からフリーランスエンジニアとして活動を始めるためには、そのために必要なプロセスを間違えない事が重要です。一度にあれこれと手を出すよりも、一つ一つのステップを確実にこなしていきましょう。

まずはエンジニアのスキルを身につける

未経験者の場合に、まずはエンジニアとして必要なスキルを身につける事からスタートする事になります。ここで重要なポイントは最初に「作りたいもの・やりたい事」を明確にしておくという事です。エンジニアはどのような職務につくとしても、必要最低限のプログラミングスキル・知識が求められます。しかし、必要とされるプログラム言語の種類やスキルは業務内容によって異なるのです。自分が目指していた仕事に必要ないプログラム言語を優先して学習してしまう事は大きなロスに繋がります。

作りたいもの・やりたい事を明確にしたら、それに必要なプログラミング言語を学習しましょう。まずは参考書や無料サイトを利用して独学してみるのも良いでしょう。勉強会・交流会といった機会があれば積極的に参加する事でモチベーション維持にも役立ちます。

プログラミングスクールでレベルをあげる

プログラミング学習においてはエラーや自分にあった学習方法の選定など、躓いてしまうポイントが少なくありません。独学で実用レベルまでスキルや知識を身に付ける事はハードルが高いと言えるでしょう。そこで助け舟となるのがプログラミングスクールです。分からない事を講師や学友に質問出来るという環境は、学習を始めて間もない人にとって特に有用と言えるでしょう。プログラミングスクールでは体系的にカリキュラムが組まれているので効率的に学習を進める事が出来ます。

フリーランス向けコミュニティで人脈をつくる

フリーランスを目指すにあたって見落としがちなのが「人脈作り」というポイントです。フリーランスとして活躍しているエンジニアは、フリーランスエンジニアならではの苦労や経験を積んでいます。そうした体験談や困難の克服方法といった「生きた情報」は、これからフリーランスエンジニアを目指す人にとって貴重かつ有用な知識となるでしょう。フリーランスエンジニア向けの交流会や勉強会といったイベントも少なくないので、そうした機会は積極的に活用していくのがおすすめです。情報を与えてもらえるだけでなく、案件の紹介や共同作業に繋がるケースもすくなくありません。

経験の浅い10代・20代のフリーランスは不利なのか?

単純な経験値や知識量だけで言えば、10代・20代のフリーランスエンジニアよりも30代・40代のフリーランスエンジニアに軍配が上がるというケースは多いでしょう。しかし、仕事の依頼という意味では必ずしも若いフリーランスエンジニアが不利とは言い切れません。

30代・40代のフリーランスエンジニアともなるとそれなりにキャリアを積んでいる人も多く、中にはクライアントと意見の衝突を起こすというケースもあります。ある意味、企業からしてみれば話や指示がしやすい若手の方が仕事を依頼しやすいと言えるのです。

若手に仕事を依頼する事で育てていけば、自社のお抱えエンジニアとして長期的なパートナーシップを築く事が出来るというのも企業側のメリットと言えるでしょう。10代・20代のフリーランスエンジニアにとって、若さは武器にもなり得るのです。

フリーランスエンジニア案件の探し方

フリーランスエンジニアは黙っていても仕事を与えてもらえる訳ではないので、自発的に仕事を探す姿勢が必要になります。フリーランスエンジニアが案件を探す方法は主に以下の3つに分類可能です。

フリーランス向けエージェント

最も効率的に案件を獲得しやすいのが、フリーランス向けエージェントの活用です。フリーランス向けエージェントでは登録企業が公募している案件を紹介してもらう事が出来ます。希望条件を伝えておけばその条件にマッチした案件に絞り込む事も可能です。また、サービスに登録する事で非公開案件を紹介してもらえるケースも少なくありません。仕事やキャリアプランに関する相談を受け付けている場合も多いので、自分に合ったエージェントを探すのが大切なポイントと言えるでしょう。

クラウドソーシング

時間や場所を選ばずに案件を探したいのであれば、クラウドソーシングがおすすめです。クラウドソーシングではweb上で企業が公募している案件を自分で選んで参加する事が出来ます。基本的には早いもの勝ちとなっているので、こまめにサイトをチェックするようにしましょう。ただし、いつでも案件が十分に確保されている保証はないので収入が不安定になる可能性がある点には注意が必要です。

紹介による案件

人脈を活用して案件を紹介してもらうというのも、フリーランスエンジニアにとって重要な仕事の獲得方法です。勉強会や交流会で知り合ったフリーランス仲間・先輩はもちろん、プログラミングスクールで紹介してもらえるケースも少なくありません。過去にこなした案件のクオリティが認められれば、その企業から別の案件を案内されるという可能性もあります。

10代・20代前半でフリーランスエンジニアとして活躍するポイント

10代や20代前半という若さでフリーランスエンジニアとして活躍するためには、経験の浅さをカバーするためのポイントを押さえておく事が大切です。先輩エンジニアに負けないためには、以下のような点に気をつけましょう。

ITスキルだけではなくコミュニケーション能力も重要

フリーランスエンジニアは個人事業主である事と、比較的個人的な作業が多い事から「コミュニケーション能力」が軽視されがちです。しかしクライアントとの打ち合わせはもちろんの事、大きな案件ともなれば他のエンジニアとの共同作業になります。例え個人事業主であっても、優れたコミュニケーション能力は仕事をスムーズに進めるために必要なスキルなのです。

ITスキルを証明する資格を取得する

10代では経験や実績で勝負する事が難しいので、自分のITスキルを証明出来る資格を取得しておく事が有効です。案件によっては有資格者である事が応募条件であるケースも珍しくありません。エンジニア系のIT資格としては「情報セキュリティスペシャリスト」「ネットワークスペシャリスト」「データベーススペシャリスト」「システムアーキテクト」あたりが代表的でしょう。

もう少し平易な資格であれば「MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト) 」「ITパスポート(iパス)」「基本情報技術者」などから学習してみるのもおすすめです。

計画的にIT案件の経験値を養うこと

10代・20代のうちに大切なのは、とにかく視野を広く持っておく事です。最初から自分のやりたい分野の案件だけに注視してしまうと中々仕事が得られず、収入も経験値も効率的に増やす事が出来ません。将来的に獲得したい案件や経験を念頭に、様々な案件に着手していきましょう。実績を積み重ねる中で、少しずつIT案件の経験値を養っても遅すぎるという事はないのです。

エンジニアとして目指す点を明確にする

最後に「エンジニアとして自分は将来何を目指すのか」という点は明確にしておきましょう。自分が目指すものが明確になれば、そのために必要なスキル・知識・キャリアパスも自ずと見えてきます。若いうちから漠然とフリーランスエンジニアを続けているだけでは、キャリアアップする事は難しいでしょう。目標を明確にするという事は、そこへの最短ルートを導き出すという事でもあるのです。

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