フリーランス

2019/09/25

AIエンジニア案件の単価は?AI開発のフリーランス求人動向

AI(人工知能)案件に携わる技術者として「AIエンジニア」の需要が増加しています。ディープラーニング(Deep Learning)や機械学習(Machine Learning)などの技術を身につけたAI人材を正社員として採用・育成するにはノウハウや多くの時間が必要なため、開発要員を確保する目的でも業務委託や派遣契約での求人は多くあります。そのため、AI領域でもITの開発案件と同様にフリーランスとして働くエンジニアが求められています。

最先端技術とされるAI関連の案件は、エンジニアからも人気です。スキルアップや年収向上を目指してAI分野への転身を検討するフリーエンジニアの方も多いのではないでしょうか。その際「AI案件の単価相場」や「AIエンジニアはフリーランスとして独立可能なのか」などの点は気になるポイントといえるでしょう。

今回の記事では、そのような疑問に答えるため、AIエンジニア案件の求人動向や案件参画に必要なスキル、フリーランスの単価相場について解説します。AI案件の将来性や需要についても確認しましょう。

AI(人工知能)のフリーランス求人動向

AI分野は自動運転やチャットボットによる接客、業務効率化など幅広く展開されているため、さまざまな企業がフリーランスのAIエンジニアを積極的に受け入れている状況です。実際に、求人を募集する業界は、金融、IT、製造・メーカー、流通・小売、宿泊、教育、医療、農業など多岐にわたります。また、それらユーザー企業からAIの開発を受託するSIerやコンサルティングファームなども中途採用やフリーランスの求人を募集しています。

実際のフリーランス求人:AIの求人・案件一覧

企業側からすると、自社内でエンジニアを育てるコスト・リスクが不要な点がメリットとしてあり、フリーランスのAIエンジニアの需要は高い傾向にあります。また、PoCなど本番適用の前に行うスポット的な開発やコンサルティング、アドバイザリーなどの案件ニーズもあり、不足しているAI人材を業務委託でまかなう企業は多くあります。

ただし、正社員と同様にフリーエンジニアの場合も、企業の開発需要に対してAIの経験を持つ人材が十分な数そろっているとはいえません。そのため、AI案件の人材市場は若手の登用やスキルアップによる転身にも積極的な傾向がみられます。数学や統計などの学習が必要なため、ハードルは高いですが挑戦する価値はあるでしょう。

AIエンジニアのフリーランス単価相場

一般的なAIエンジニアのフリーランス案件で月額の単価相場は60~90万円程度です。この額は作業日数を週5日、月に140~180時間程度の業務をした場合の目安となっています。経験豊富なシニアレベルのAIエンジニアやプロジェクトマネージャー、コンサルタントなどでは月単価が150万円などの案件もあり、経験を経てフリーランスとして独立した場合は年収2000~3000万円を目指すことも可能です。

AIエンジニアとして5年以上の経験を積むと、年収1000万円を超える人も多く出てきます。具体的な経験年数別の単価相場としては、1年未満で月40~50万円、3年で月55~70万円、5年以上で月85~100万円です。これらの相場を目安に、受注する案件を検討してみましょう。もし、相場より低い額で仕事を受けている場合は、クライアントへの単価交渉を試みてもよいでしょう。

AIエンジニアの仕事内容

AIエンジニアの主な仕事は、ビジネスシーンにおける課題・問題に対し、AIを使ってどのように解決するのかを考えることです。仕事を進める際は、プロジェクトの方向性を決める上流工程から参加できます。また、他のジャンルのエンジニアとも連携しつつ、AIを開発することが多いです。開発したAIには課題・問題解決に向けた必要なデータを与え学習させ、結果を引き出すことも重要な仕事となっています。

AI案件の種類

AIエンジニアが参画する開発プロジェクトや求人案件にはどのような仕事があるのでしょうか。実際の仕事ではさまざまな種類の案件がありますが、ここでは、4種類を紹介します。

画像認識

画像認識は、文字や物体(顔や動くもの)を認識し検出する技術です。AIに画像・動画を読み込ませて認識させることで、車の自動運転や表情からの感情分析などができるようになります。AIエンジニアが参画する案件のなかには、このような物体検出や画像処理の技術を扱う求人があります。SNS上で顔認証を行いタグ付けするツールや、文字を読み取ってその意味・使い方などを教えてくれるアプリなどの開発を行います。

音声認識

音声認識はAIに音声を入力し、その音の特徴を捉えて認識することで何の音なのか、誰の声なのかを判断できる技術です。人の声を認識することで、その内容をテキストへ書き出すこともできます。アプリの開発会社やスピーカーメーカー、スマートフォンの音声認識AIを作っている企業などが、この技術に係わる案件を出しています。

自然言語処理

自然言語処理(NLP)を使ったAIでは、人が普段話している言葉を認識して処理することが可能です。日常的に話している言葉でも読み取ることができるため、翻訳やコールセンターの問い合わせ対応などに活用されています。この技術を使った案件としては、自然言語処理を使ったデータ分析や、金融サービスの開発といったものがあります。

異常検知

異常検知は製造設備などに取り付けられたセンサーが、故障や異常動作などを検知する技術です。膨大なデータを保存し、これらのデータと異なる動作や形状を見つけることで異常を検知できます。自動車メーカーや産業機器を取り扱っているメーカーなどが、異常感知に携わるAIエンジニアを募集しているケースがあります。

AIエンジニア案件の参画に必要なスキル

AIエンジニアがフリーランスとして独立するために必要なスキルや知識があります。ここからは、AI案件の仕事を獲得するために必要な4つのスキルを解説します。

開発スキル

AIエンジニアはアプリケーションやソフトウェアなどの開発案件にも多く携わるため、開発スキルが求められます。Pythonでプログラムが書けるコーディング技術のほか、システムの設計・開発・運用について一通り理解しておくことが重要です。

AI開発の現場では、プログラミング言語にPythonが多く使われていますが、開発するアプリ・ソフトなどに合わせJavaやC/C++など他の言語でコーディングが必要な場合もあります。いくつかの言語を習得しておくと仕事に幅が出るので、開発スキルを伸ばすことはAIエンジニアとして大切です。

機械学習ライブラリ・フレームワークを扱うスキル

AI開発に利用できる機械学習ライブラリ・フレームワークはさまざまな種類があります。AIエンジニアとして活躍したい場合、これらを使ってAIモデルを作成したりシステムに実装できるスキルを持っていることが大切です。機械学習はAIにさまざまな物事を学習させ、結果を予測させたり、特定の課題を解決させたりすることを目的としています。

ライブラリ・フレームワーク
  • TensorFlow
  • Chainer
  • PyTorch

ライブラリ・フレームワークは効率的にAIを機械学習させるために必要なツールです。開発期間を短縮し、スムーズに仕事をこなすためにも習得しておきましょう。

データ処理・データ解析に関するスキル

開発やライブラリなどを扱えたとしても、データ処理・解析ができなければ、AIをうまく活用することはできません。データベースの構築やSQLでのデータ抽出・加工などを行い前処理やデータクレンジングができるようにしておきましょう。また、課題・問題解決のためにデータを解析するためには統計知識が必要です。しかし、効果的なデータの処理・解析方法を知らなければ、AIが最適な結果を導き出すのは難しくなります。

そのため、AIエンジニアとして仕事をする場合は、数種類の処理・解析方法を知っておくことが重要です。フリーランスのエンジニアが仕事を受注する際は、習得しているデータ処理・解析に関するスキルもアピールしておきましょう。

インフラスキル

AIエンジニアには開発環境やインフラに関するスキルも必要です。AIの精度はデータによって性能が左右されますし、リアルタイムにAIを活用するためにもデータ基盤やインフラ環境が必要です。そのようなインフラの設計・開発に携わる場合は、確かな知識と技術力が必要です。

また、インフラ設計はプロジェクトの上流工程で行われます。AIエンジニアはこの上流工程から関わってくるケースも多いので、インフラスキルを習得しておくと活躍できます。AI基盤にAWS、GCP、Azureなどのクラウドサービスを利用することも多く、クラウドのデータ基盤やインフラについて経験や実績があると、クライアントとなる企業側からも評価されやすいです。

未経験でAIエンジニアになることはできる?

全くの未経験でIT関連の知識・技術のない人がAIエンジニアになるのは難しいです。クライアントとなる企業が求めているのは、即戦力として仕事を受注してくれるエンジニアとなっています。案件の内容によっては、経験の浅いエンジニアが受注できるものもありますが、AIに関する最低限の知識・技術は求められます。ただし、これまでAI以外の分野であってもエンジニアとして活躍してきた経験があれば、仕事を受注できる可能性はあります。

分野は違ったとしても、AIに関連する開発言語を習得したエンジニアが仕事を受注してきたケースは少なくありません。また、IT関連の開発経験が半年以上ある人を対象としたスクールもあります。このようなスクールでは、AIエンジニア未経験でも専門知識・技術を教えてくれるほか、将来的にはフリーランスエンジニアとして仕事を受注できるレベルになることも可能です。

35歳以下のエンジニア経験者には、機械学習・ディープラーニング講座が全額無料で受講できる「AIジョブカレPRO」もおすすめです。

高単価のAIエンジニアを目指すために

高単価のAIエンジニアになるためには、豊富な経験や知識・技術などが揃っている必要があります。ここからは、具体的にどのような条件をクリアすると高単価な案件を受注できるAIエンジニアになれるのか解説します。

上流工程やマネジメントの経験を積む

高単価のAIエンジニアになるには、要件定義や設計など上流工程の仕事を受注できるようになることが大切です。AIエンジニアになりたての場合、ソースコードを書ける(下流工程の仕事)人は多くいます。しかし、上流工程やマネジメントに係わる仕事も受注できるようになれば、仕事の難易度や責任も大きくなるため、その分単価が高くなります。ある程度の期間、AIエンジニアとして仕事をこなしてきた人は、上流工程やマネジメントの経験ができる案件も積極的に取っていきましょう。

ディープラーニングの開発経験

ディープラーニング(深層学習)は2013年以降に注目され始めたAI開発に関する技術です。AIが学習した情報から、人間の力を借りずにデータを解析できる技術であり、機械学習よりも高い精度が期待できるため医療や流通、製造などあらゆる現場で活用されています。前述したとおり、AIビジネスは2030年度には2兆円にまで市場規模が広がると予想されており、ディープラーニングに携わるエンジニアの需要も高まる可能性が十分あります。

そして、需要が高まるということは、単価の高い案件も増えていく可能性があるということです。画像認識、音声認識、自然言語処理などディープラーニングの開発経験を積んでおくことは、高単価のAIエンジニアを目指すうえで重要なポイントとなるでしょう。

データを扱う知識や知見

AIエンジニアは開発の段階で膨大な量のデータを扱います。開発したAIへ取り込むデータの準備や処理、収集などさまざまなシーンでデータを扱う知識が必要になります。データをうまく扱える人は、クライアントからも重宝される存在です。また、データを扱う知識・知見を持っていれば、効率的に開発が行えるため、短期間で精度の高い仕事ができます。このような人材は高いレベルで仕事をこなせるため、案件の単価も高くなります。

AI案件の将来性とフリーランスの今後

最後に、AIエンジニア案件の将来性と今後のフリーランス需要について紹介します。

AIビジネス市場は2030年に2兆円規模に

市場調査会社の富士キメラ総研によると、国内におけるAIビジネスの市場規模は2030年に2兆円規模になると予想されています。このAIビジネスとは、システム開発・データ分析などのAI開発、AI導入のコンサルティングや環境構築をサポートするプロダクト、クラウドサービスなどを含みます。また、AIを活用したシステム・機器における2030年の市場規模は、EY総合研究所の調査によると86兆円規模になるとされています。

定義によってAI関連の市場規模は異なりますが、いずれも拡大傾向にあることが読み取れます。AI市場の拡大とともに、AIエンジニアの活躍の場も増えることが予想されます。今後AI技術が本番適用のフェーズに入ることで、開発や実装などを行うソフトウェアエンジニアと協業する案件も増えていく可能性があります。

先端IT人材は2020年までに4.8万人が不足

ビッグデータ・IoT・AIなどに携わるエンジニアは先端IT人材と呼ばれ、経済産業省の調査により2020年までには4.8万人が不足すると予想されています。それらの先端技術者が不足する要因としては、IT市場の急速な拡大や技術の進歩するスピードに対して人材教育が追い付いていない点が挙げられます。データサイエンスを専門に学べる高等教育機関や民間のAIスクールなども増加していますが、教育には時間がかかるため需要に対して人材の供給が間に合わない状況となっています。

新卒採用などにより、統計や機械学習の専門教育を受けた人材が徐々に増えていくことが予想されており、既存のITエンジニアをAIやIoTなどの分野へと転換する試みもみられますが、企業のなかで働くAIの知見をもった人材自体が不足しており、中途採用や社内教育だけでは不十分であることが懸念されています。

AI人材の獲得競争が追い風に

AI人材を採用する企業では優秀なエンジニアや研究者を獲得するため、働きたいと思ってもらえるような環境整備を進めています。米国や中国などの外資系企業に対抗するため、AI人材だけに適応する給与テーブルや待遇などの制度を設けたり、別会社を設立する動きもあります。また、仕事の成果や実力に応じて昇給できる仕組みを作り、ボーナスやストックオプションなどのインセンティブにより年収をアップして他の会社の待遇と差別化を図る企業もあります。これにより、エンジニアにキャリアアップできる会社という認識を持ってもらうことが可能です。

これらのAI人材を優遇する傾向はフリーランス人材の活用にも当てはまります。今後もデータ活用が盛んになることでAIの需要はますます拡大しますが、それに対応できるエンジニアの数が追いついていない状態です。AI人材の採用や教育が難しいこと、開発の納期を間に合わせるためなど、外部人材の活用は必須となっています。そのため、AIなどの先端分野はフリーランスエンジニアが仕事を獲得しやすく、単価アップなども期待できる状況が続くでしょう。

 

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