機械学習・AI

AIガバナンス-職種へのインパクト

世界有数のグローバル企業であるGartnerに25年間勤め、エグゼクティブバイスプレジデント(リサ―チ&アドバイザリー部門責任者)としての経歴ももつグローバルITリーダーPeter Sondaergaard(現2021.AI取締役会長)。
この記事では、そんな世界的リーダーであるPeter Sondaergaardの記事を翻訳します。

第5回は下記の記事について。

AI Governance – The impact on different business functions(Nov 30, 2019)

-Peter Sondargaard

引用元:https://www.sondergaardgroup.com/post/ai-governance-the-impact-on-different-business-functions

AIガバナンス-ビジネスにおける職業へのインパクト

AIガバナンスについて、以前の記事の中で触れている。そこで、人工知能やデータについて、企業の中で誰が何の責任をもつのか、それに付随して、いくつか追加の情報が出てきた。

企業内でのAI責任の任命は発展的なトピックであり、AIガバナンスにとって依然重要であり続けている。AIの説明責任について、わたしたちはまだまだ学ばなければならないことが多くある。しかしながら、最近のいくつかの研究が、どの役割で最初の影響がでるかということについての兆しを見せた。そしてその結果、挑戦的な企業は、その研究をもとに、複雑なAIやテクノロジードリブン組織やプロセス、カスタマーエンゲージメント、プロダクトディベロップメントを扱うリーダーシップスキルを作りはじめている。

調査:AIによって影響を受ける仕事

ブルッキングス研究所による最近のAIや仕事についての調査が行われた。人工知能は生産業やサービス業レベルの仕事と比較して、まず、より高月給で、より学識の高いオフィスでの仕事に対して、劇的なインパクトを与えるだろうということが、その調査によって明らかになった。
その調査は、人工知能によってインパクトがある仕事に着目した研究リストを統合したものであったが、他の調査と何が違ったかというと、それは、仕事というカテゴリーへの影響を決める手法が異なるということだった。この研究では、職務整理特許と職業分類と相互に関連するアルゴリズムを使っている。

最も影響を受ける職種とは?

アメリカでのみ計算されているが、驚くべきことに、結果として、生産業やサービス業(料理などの肉体的な仕事)、人事の仕事と比較すると、マーケティングやセールス、ITといいった高給料の職業がより人工知能による影響を受けるということが分かった。
その調査は、異なる職務内リーダーシップへのインパクトの変動性に対する理解を促した。より具体的に言うと、これらの職務内におけるリーダーが人工知能の台頭による業務インパクトに対して、いつ、どのように対応すればいいのかについての理解である。

この調査によって、AIガバナンスにおいて私たちがまず始めに、注意を促す必要がある部分がどこかについてのより良い理解ができるようになったのだ。

調査:AIによって影響を受ける業務とは

マッキンゼーは、2018年春に人工知能の進展状況詳細についてのレポートを公開した。このレポートでは、マッキンゼーが遭遇した過去事例のカテゴリーを使っている。レポートの後半にゆくについれて、企業の中で、それぞれの業務におけるAIのインパクト比較をチャートで見てゆくことになる。
企業内の業務で最もインパクトを受けたのは、マーケティング、セールス、サプライチェーン、法務・リスク管理、そしてサービス業だった。その影響は特定の業務におけるものだけでなく、企業内外で起こるすべてのプロセスにも同じように影響している。例えば、プライシングや、カスタマーインタラクション、プロダクト/サービスデザイン、そして人々の繋がりにさえ。

より最近の研究「グローバルAIサーベイ」では、たとえプロダクトディベロップメントが消滅する業務として加えられていたとしても、これらの業務の重要性は確立されたものであるという結果を発表した。どの研究もリーダーシップスキルや人工知能に注目していない中で、私たちはAIガバナンスの詳細を理解すべきリーダーシップの職務ごとのタイミングの違いを推測することができる。

セールスやマーケティングは明らかにより著しくAIリーダーシップスキルが必要とされる最前部にある。

調査データから私たちは何を結論づけることができるか?

データからわかる、最も影響を受ける業務

この2つの調査で一致していることとして、1つ目に、セールス、マーケティング、サービス業務が直近で最もインパクトがあるということが示されている。

CMO(Chief Marketing Officers)、セールスリーダー、サービスのトップは、よく覚えておいてほしい。企業の中におけるAIだけでなく、マネジメントしているチームにおけるAIリーダーシップスキルについての理解を深めることは、急激に必要とされている(「デジタルエコノミーにおける7つの新しいスキル」を読んでほしい)。多くのCMOやCSOにとって、AIガバナンス、及び、AI倫理の詳細まで理解していることは、重要である。

影響を受ける職種でのAIガバナンスの重要性

AIガバナンスをマネジメントすることは、企業ブランド・プロダクト・サービスと、顧客・サプライヤー・社会という両面をずっとバランスさせることによって生じる結果なのである。2項対立的ではなく、陰陽的な理解をしてほしい。
リーダーたちは、AIガバナンスやAI倫理をマネジメントするにあたって、今日存在するテクノロジーがほんの少しもそれらを補助していないということに注意をしなければならない。それゆえに、この問題を取り扱う責任は、リーダーシップの責任であり、しばらくはずっと問題として残り続けるだろう。

データからわかる、次に影響を受ける業務

2つの調査の交差からわかる2つ目の結果は、サプライチェーン、製造、プロダクト開発、面白いことに法務・リスク管理といった業務が、企業の中でインパクトを受ける追加の職務だということを示している。

ここでいうインパクトとは、ビジネスタイプによって分かれている。例えば、BtoBやBtoCビジネスの違いというように。同じく、サプライチェーンや製造でも、インパクトは一企業内の業務だけでなくより広いもので、企業すべてのバリューチェーンに対して影響している。

リーダーが意識すべきこと

繰り返すが、これらの企業のリーダーは、よく覚えておいてほしい。そして、企業を超えたマネージャーとしての将来求められるリーダーシップスキルに注力すべきということを。これらのリーダーはAIガバナンスを含む、AIをマネジメントするソフトウェアを使う必要があるということを理解すべきだ。不運なことに、今日のAIソフトウェアほとんどが、環境の一部としてAIガバナンスを含んでいないのである。

インパクトを受ける各職務で意識すべきこと

セールス、マーケティング、サービス、サプライチェーン、製造、法務・リスク管理といった業務の中でのAIの重要性は、企業が今すぐにでも検討すべきいくつかの必須アクションを創り出した。

Chief Human Resource Officers(CHRO)

CHROは、新しいデジタルリーダーシップスキルを含む、データやAI(AIガバナンス)への理解も踏まえたマネージャーの雇用基準を検討するなど、企業におけるリーダーシップスキル育成の開発に注力する必要がある。これらはリーダーシップスキル企業外で学ばせ、継続的に企業内でも育成すべきなのだ。

Chief Data Officer

Chief Data Officerを置いていない企業、もしくは、今すぐにでもそのポジションを作ろうと少なくとも考えている企業は、Chief Digital OfficerやCIOといった他の取締役の責任と同じようにChief Data Officerにも責任があると考えていてほしい。コーポレートデータ、分析、AIを統合し、戦略的にマネジメントする必要性がChief Data Officerというポジションには求められる。AIガバナンスを統合する、独立的責任、もしくは、任命されるといった責任なしに、企業は劇的な競合優位性を推進することはできない。

Chief Information Officer(CIO)

CIOの役割、また、IT部門全体が、このステージにおいて重大な責任がある。CIOは少なくともAIガバナンスに則ったソフトウェアの利用を許可し、デプロイしているということを、保証する責任がある。これが一部の特定のデプロイだったとしても、並行して、CIOは積極的にAIガバナンスのテクノロジー部分を企業単位で幅広いアプローチ方法で構築し、この部分のソフトウェア開発戦略や購買基準を推進することを保証しなければならない。

Chief Legal Officers and Risk Officers

Chief Legal OfficerとRisk Officerは、AIガバナンスへの企業の将来的アプローチに深く参画しているということを理解する必要がある。

AIガバナンスへの理解を深める

私たちはAIガバナンスをより深く理解する必要がある。企業内でのすべてのリーダーシップへのインパクトや、CHRO、CIO、Chief Legal Officerといった企業全体でのリーダーシップへすぐさま関与する重要性に、私たちはフォーカスする必要がある。

最近の発展的な研究では、企業内で職務ごとの異なるインパクトをますます強めているが、そこにはAIがどのようにリーダーシップスキルにインパクトをマーケットに与えているかが、未だ欠けている。リーダーであるならば、このことを認識し、直接関与せよ。

翻訳者あとがき

自覚し、行動するということ。これは、各企業が意識できていないAIガバナンスについて警鐘を鳴らしているだけではない。リーダーたちが進むべき道を標したうえで、具体的な行動をせよという指示なのだ。

明日は我が身。これからの時代を動かすリーダーはテクノロジーが生み出す影響力を念頭に、行動していかなければならない。

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